小説。——櫻、三月の雪…散文。及び立原道造の詩の引用 /《‘In A Landscape’ ...John Cage,1948》Ⅱ 或る風景の中で。ジョン・ケージ、1948 ■54
以下、一部箇所に暴力的な描写が在ります。
ご了承の上お読み進めください。
又、歴史的記録として過去の政治スローガンの引用乃至模倣が使用されますが、
特にそれらを特に顕彰しようとする意図も在ません。
櫻、三月の雪
…散文。及び立原道造の詩の引用
三部作
《‘In A Landscape’ ...John Cage,1948》Ⅱ
或る風景の中で。ジョン・ケージ、1948——Ⅱ
Zaraθuštra, Zartošt, Ζωροάστρης
ゾロアスター
なぜ、彼はそのたった一度しか私を強姦し無かったくせに、その時に限って、私を強姦したのだろう?
私は
大きな真昼に
知っていた。すでに、彼が嘘をついた時には。
醒めながら
彼が、自分の姉と肉体関係を持ってるなどと、
飛びながら
瞬く。見い出された風景は、
なほ高く
見い出されて在ったに他ならない。
なほ高く
瞬いた、私の眼差しに一気に日差しが直射した。終に、ユエンに拘束を解かれた私の眼差しの中に。
未来よ
私は声を立てて笑いながら、逃げ惑うユエンを
希望よ
追った。私たちの
あこがれよ
戯れ。
私の
あくまでも、固有の。
ちひさい翼をつつめ
息遣い。
そして私は
間違いもなく、
うたふだろう
私の、あるいは、私のそれと一致氏はしないにも拘らず、同じ空間の中に存在した、その
大きな真昼に
戯れ合う戯れ。
醒めながら
聴いた。私は、声を立てて笑うユエンの
飛びながら
邪気も無い声を。
なほ高く
息づかいを。
なほとほく
晴れた日。
木の枝の向うに
日差しはただ、明るくそして、
青い空の奥に
美しい。
なほ高く
広い家屋の中を、慌てふためいて
なほとほく
逃げ惑う、――嬌声。
耳に、やさしくむしろ、至近距離に聴こえた彼女の声。ユエンを、私はわざと、彼女を私の手のひらが、掴み拘束して仕舞わないで澄むように。汗ばんだ
家畜トハ
もう
二人の人間の肌が
只ト殺サル為ニノミ其ノ
逃げなくていい
匂った。空間の様々な場所に、
生ヲ得ルノデアル
好き放題に。閉じられていた木戸をユエンが体当たりするようにして一気に開いたときに、空間はあざやかな光の明るさに飲み込まれた。
肌を
あいすてっる
開け放たれた空間を、光は為すすべもなく
無言のうちに
Yễu
満たしてじかにふれた。
誇ろうとする
あいすぃてる
眩暈さえも感じない。もはや、
明確な
Yều
光の只中そのものの中に居るかのように、
意図も、謀みも無い儘に
あっすてる
私の皮膚は
その
光に触れていたから。
褐色の肌を
Yệu
一瞬、素足で庭に走り出すのをユエンは戸惑った。痛み?
翼はあくまでも
彼の
眼差しの其処に予感された、土の
私にはふれないのだった
異形の肉体が、鳥たちの
地面を踏みしめたときに感じられるべき足の裏の皮膚の、
一瞬たりとも
羽音に塗れながらも
あざやかで
好き放題に
美しい色彩をだけ
こやまかな
私の肉体を
咲き乱れた放埓な
痛みの密集への
無数の嘴に
ハイビスカスの花々は
躊躇。
ついばみながら
其処に
追い立てる私の手が彼女にふれそうになった瞬間には、彼女の足の裏は土を踏み詰っていた。
妊娠を彼女が告白した時
木魂しもしない音響の群れの散乱。
私は鮮明な
私たちの身体が立てた其れ等をも含めた、…轟音。
眩暈を感じながら
何処までもひたすらに発生し続け、満たされた、音響に飽和した空間の、それ、その
なぜ
轟音の世界。
微笑んだのだろう?
耳がふれる。
彼女を赦しもし無いうちに
私は
なぜ
声を立てて笑い、ユエンはすでに
ユエンに
笑っていた。私も。
微笑みかけ
すでに。鳴り響く細胞の怒号を
声を立てて
聴いていた。
彼女と私の幸福のために祝福したのだろう?
清い雪は、その
大袈裟なくらいに
腹に短刀を突き刺したときに、痛み、と、それがそう呼ばれるべきものをある事は知っていた。顕かに、私は、とはいえ、其処に感じられて居るものが、鮮烈に過ぎるあざやかで短い音響の無際限な連なりすぎないことからもはや、目をそらすことも出来ずに、俺は、と。
想う。俺は、いまもあくまで冷静なままだ、と、逃げ惑うユエンを、敢えて抱きかかえた。その、庭に繁った樹木の一本の木陰の下で。
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