小説。——櫻、三月の雪…散文。及び立原道造の詩の引用 /《‘In A Landscape’ ...John Cage,1948》Ⅱ 或る風景の中で。ジョン・ケージ、1948 ■36



以下、一部箇所に暴力的な描写が在ります。

ご了承の上お読み進めください。

又、歴史的記録として過去の政治スローガンの引用乃至模倣が使用されますが、

特にそれらを特に顕彰しようとする意図も在ません。





櫻、三月の雪

…散文。及び立原道造の詩の引用


三部作

《‘In A Landscape’ ...John Cage,1948》Ⅱ

或る風景の中で。ジョン・ケージ、1948——Ⅱ


Zaraθuštra, Zartošt, Ζωροάστρης

ゾロアスター 



事実、潤は、そうするよりほかにてだてが無かった。なにか、次に、何かをしなければならない強制などどこにも存在しない儘に、彼女は次に何かをしなければならない鮮明な事実にだけ、強制されて、そこに停滞していた。

わたしは

見ていた

私たちは待っていた。

知る

ついばむ

ほんの数分に満たない時間があって、そして、潤が

わたしは

鳥たちの

立ち上がりかけたときには、私たちには

いま

羽撃きが好き放題に

もはや

知る

投げつけた無数の、さまざまな

なにもかもが顕かだった。潤は

その時に

翳りを

手首に

わたしは

私は

剃刀を当てるのであり、そして、私たちは

恍惚を知る

ハイビスカスの樹木に

加害者に他ならない。

白濁して

突き刺さって

なによりも、自分たちが加害した眼の前の、

冷静なままに

身を横たえて

傷付いて、

あまりにも

鳥たちが

壊れて行くしかない褐色の

澄み切って

弔う気もない儘に、或は

肌の、日差しに染まった美しい

熱狂した

誰の弔いの意志も無い儘に

色彩を曝した生き生きとした細胞の群れに対する、留保なき。

—―恍惚

乃至

その、

温度のない

弔いという言葉にさえ一切無縁の

息附く太陽の色彩の存在に、なにより

魂に

鳥たちの

辱められ、おびえさせられながら。…死ねよ、と。

静かに寄り添ったその

死ぬよ、…

幾たびか

想わず諭すように(——やさしく)口走ったユイ=雨を

俺。死ぬよ

かげは

もはや(とても、

…なんで?

忘れられた

ただ純粋に)私は(——やさしく)咎める気さえ

滅びたいから

林檎の花のにほふ

無かった。(…微笑みさえ、その

且つ

その空に夏と春の交代が慌しくはなかつたか

美しい彼は)なにも。

滅ぼしたいから

あなたのしずかな死は

ただ、背を向けた儘

いつ?

幾たびか

秘密事めかして剃刀を

当てゝみて

忘れられた

手首に当ゝて、そしてかすかに(且つ

パパだったら、…

見おぼえのない

鮮明に)引き裂いたに(更に、)違いない

判るんじゃん?ホントの

遠い

(…そっと。)潤の、…日差し。

パパだったらね。…て

星空の下で

ユイ=雨が(まるで、)戯れた儘に(強姦するかのように―—と)、

ことは…

夢のうちの

私にはそう想えた。)素肌を(声を立てて拒絶した潤を)曝させたその儘の

どっかで、あったこともない息子の

あなたの

色づいた背中の(裸に剝いて、)繊細な湾曲を

自殺を

しずかな病と

日差しの中に

…さ

死は

あわく

察知したおっさんがどっかに

見おぼえのない

煌かせながら

居るかもって

まぼろしとなつて

翳らせる、その

そういうことじゃん?

あなたのために

美しい女。…彼女(——潤。)が

違う?

あなたのしづかな

振り向いたとき、その(何故君の肌はそんなにもあざやかに

…ね

薔薇をささげ

褐色に染まって居たのだろう?)意識を(なぜ?)喪失した儘に

それってさ

かなしみさへ

目覚めて仕舞ったような

なんか

ゆるされてはゐない

茫然とした「…あ」

すごくない?

この

云った。

…やばっ

うちしほれた

潤は、

「笑っちゃう」…

この

「ごめん。」

かなしみさへゆるされてはゐない者の——

いまさら、自分の行為に気付いて

そう云った清雪は、その

しずかな

「…やっちゃった。ごめん」

スマートホンのちいさな画面の中で

乏しい薔薇

「傷付ける、そんな」

屈託の無い笑みを

その

「つもりなかった…信じて」

私にだけ

空に

「みんな」

くれた。まるで

幾たびか

「…トモダチだからね」

悪戯じみた

見おぼえのない

声を立てて笑う、私の

微笑んだ顔を

夏と春の交代が慌しくはなかつたか

唇の邪気もないゆがみに

私は、かすかに

嘗て

不意に眼差しを落とした、その

見惚れながら、…ね

幾たびか

ユイ=雨のまつげはその日も

「嘘でしょ」

遠い見知らぬ

…美しい。

「…残念」

星空の下で

「本気。…」

その、眼の前の存在に対して、何か言葉をかけてやらなければならない強制に、私は曝されて居た。

なにも、そんな言葉など聊かたりとも所有し無い儘に。私は彼を沈黙のうちに見つめてやるしかすべがない。







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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