小説。——櫻、三月の雪…散文。及び立原道造の詩の引用 /《‘In A Landscape’ ...John Cage,1948》Ⅱ 或る風景の中で。ジョン・ケージ、1948 ■34



以下、一部箇所に暴力的な描写が在ります。

ご了承の上お読み進めください。

又、歴史的記録として過去の政治スローガンの引用乃至模倣が使用されますが、

特にそれらを特に顕彰しようとする意図も在ません。





櫻、三月の雪

…散文。及び立原道造の詩の引用


三部作

《‘In A Landscape’ ...John Cage,1948》Ⅱ

或る風景の中で。ジョン・ケージ、1948——Ⅱ


Zaraθuštra, Zartošt, Ζωροάστρης

ゾロアスター 



ユイ=雨の微笑みに、嘗て彼がふしだらなほどに晒した美しさは最早無かった。微笑んで居るのか、嘆いて居るのか、絶望しているのか、怒号さえ発し獲ないほどに想い詰められた怒りに、怒りさえ最早曝し獲なくなって居たのか。何も明示しないユイ=雨の無残に衰えた微笑は、

…それ、と。

「何処の銃なの?」

国産?…と、不意に、意図もなく言って仕舞った私には言葉もかけずに、そして、或は嗚咽さえ漏らさずに、滂沱の涙を流し続ける私の額に、ユイ=雨は引き金を引いた。

…夢

もう

「羽撃く。」

いくつもの

傷付きたいわけじゃない

「…ん、」

夢、…

と、囁く

「鳥たち。鳥たちの」

ね?

潤は、そっと

「羽ばたいた、」

「傷付きたいわけじゃないんだけど」

「そんな。」

見るの

目を伏せて

「音響。」

いっつも

なんで?…

「聴こえる。ずっと。ず、」

おき

「…ぅう…っと。けど、」

っき

私は、敢えて、「ね、」

「それに対して、必ずしも」

起きてる、…

なんでなんだろう?…

「不快感なんて」

さ。起きてる

「もう、…」

「無い。」

ときにも、時々

傷付いちゃうの。わたしね

「なんだけど、…もう。」

白昼夢的な?

敢えて私は耳を澄まさない

「なんか、もう、」

すうっげー

なにしても、…

「…哀しいんだよ。」

病んでるぜ

「云うに言われず、」

自分の死体みてんの

「傷付いちゃう。」

「さ。」

病んでない?

…潤が

「無慈悲なくらいに。」

…やばいよね

彼女が見詰めた私にだけ

「絶望的なくらいに。」

ハイビスカスの木

言葉を発していながらも

「荒れ果てた、」

荒野に

必ずしも

「…とか。そんな」

その

私に聴いて欲しいと思っては居ない

「感じ」

てっぺんに

そんなことにはすでに

「じゃない。なにもかも、ああ、」

突き刺されて

「息、吸っても」

「そうなんだなって。」

食われてる

「傷付いちゃうの。」

「理解して、」

ちいちいちいちい

「なんで?」

「認めて、」

「みんな、」

「容認して、」

羽ばたいてる

「なにも、」

「そうしてあげるしかない、」

わさわさわさわさ

「悪くないよ。」

「…さ。そういう」

うるせえよ

…ときどき悪いけどね、と

「風景が。」

まじで

潤はささやく。「けど」

「…拡がってる。」

うるせえって

「なにもかもが、」

「眼の前に。」

わさわさわさわさ

「…ね?」

「荒野。樹木が、」

…病んでる

「きずつけるの」

「一本だけあって。それ、」

中国人だからかな?

「…わたしを」

「…花。」

頭おかしいからかな?

「わたしだけを」

「花盛り。」

事実おかしいけど

「…ねぇ」

「花まみれ。」

日本人のせいじゃない?

「だれのせいなのかな?」

「紫色がかった真っ赤な…」

むしろお前のせいだよ

「だれがわるいのかな?」

「ハイビスカスの樹。」

…って、ことで

「わたし、わるいのかな?」

「…在り獲ないんだけど。」

「死んだほうがいいかな?」

「妄想としても、」

見るんだよ

「ここにいちゃいけないかな?」

「普通に。」

ずっと

「うまれないほうがよかった?」

「笑っちゃうけど、」

物心ついた時から

「うまれちゃいけなかったかな?」

「一杯に、赤と、」

ずっと

「なんで?」

「白と…」

発狂寸前の

「なんで、」

「紫色のハイビスカスの花、」

憐れな

「傷附くの?」

「咲いてんの。死体、」

俺を憐れんでくれ、ねぇ

「わたしばっかりが、」

「ぶら下がってて。樹木の」

トモダチ、…

「なんで?」…と

「てっぺんに。」

だろ?

死んじゃえよ

「…、ま。」

せめてお前だけは

と、

「それ、」

所詮偽りのダチとはいえ

そう言った

「俺なんだけどね。鳥たちが、」

所謂トモダチたる以上

わたしの言葉には潤は

「俺の」

滂沱の涙をながしつつさ

耳を

「死体ヲ、」

壊れていく

かさずに

「…さ。ついばむわけ、」

「痛い。」

「…なに?」

人生終りかけの糞の俺を

…なにもかも

「鳥葬、的な?」

憐れめ

「痛い。」…失笑。不意の

「そういう」

…これ

ユイ=雨の壁際の失笑を

「…ね?」

定言命令

私の耳は

「夢。」

…と

捉え

「…見るんだよ。」と

ユイ=雨は言って

…られ、…て?

囁く耳元の私の声を聴きながら、いつものリスト・カットに興じるお決まりの潤は、彼女が愛する男の腕の中で失血していく。







Seno-Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Seno-Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキス、北一輝、など。 三島由紀夫もちょっと好き。そんな感じ。

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