小説。——櫻、三月の雪…散文。及び立原道造の詩の引用 /《‘In A Landscape’ ...John Cage,1948》Ⅱ 或る風景の中で。ジョン・ケージ、1948 ■32
以下、一部箇所に暴力的な描写が在ります。
ご了承の上お読み進めください。
又、歴史的記録として過去の政治スローガンの引用乃至模倣が使用されますが、
特にそれらを特に顕彰しようとする意図も在ません。
櫻、三月の雪
…散文。及び立原道造の詩の引用
三部作
《‘In A Landscape’ ...John Cage,1948》Ⅱ
或る風景の中で。ジョン・ケージ、1948——Ⅱ
Zaraθuštra, Zartošt, Ζωροάστρης
ゾロアスター
内庭。
反射した光線のなかで
繁った樹木と、木漏れ日の散乱。或は、樹木の葉が形成したざまざまなこまかな翳りの横溢、…と。
私たちは
美しい
どちらとして、その風景を見い出すべきだったのだろう?
いま、
日の降り注ぎ
空
ユエンの眼差しは顕かに歎いていた。なにを彼女が
無造作に木漏れ日を
うつくしい
歎いているのかは知らない。おそらくは、彼女自身さえ
葉々の翳りを
海
知っては居ない。眼を打つものの総てが、ただ、歎きをしか与えないとき、
投げ棄てて
だれが
時に、
明るい庭の
それを
人々はカルロ・クリヴェッリの絵の中の人々が曝した、そんな眼差しを匂わせる。
反射の中で
だれがそれを
神聖な風景。
私とフエは、その休日の午前に
見てゐたいものか!
数百年前の、
好き放題に
だれが
海の向こうの、或は
愛し合い
それを
あまりにも遠い陸つながりの何処か西の
戯れあって
海は
果ての、その時には、
かさなり合った肌の
美しい空
神聖だったはずの、いまや
温度と
浪は
イコン解析の対象でしかない色彩豊かな
質感と
うつくしい海
図像。
それぞれの鼻腔に嗅ぎ取られた
単調な
その女は庭の、花のない樹木の下で、百合の花を抱えていた。…潤。
それぞれの他者の匂いのうちに
どぎつい光の
と。
確認していた。咽喉に
海は
私は想い出す。…その、女。
笑い声をさえ時に
私は今こそ激しく生きねばならぬ
フリーリングの、余りに清潔で、欠陥をなど指摘する気にもならない部屋。潔癖で、優秀な泰隆のおかげで、すみずみまで配慮の行き届いた居住空間の中の、その、
私は
生きねばならぬ
明るく居心地の良い部屋。
今こそ
私は
その、日差しの中で、女の指は百合の潤った花弁にふれた。
憎むことを学ばねばならぬ
激しく
…日差し。
私は今こそ
憎むことを
おそれることなく、その、あまりにも繊細に過ぎる、貪欲な彷徨を撒き散らして昆虫を導き寄せて、時には彼等に固有の疾患を与えられて朽ちてしまう、そんな。
激しく
今こそ
儚い?…百合。
憎むことを
私は
花。引きちぎったそれを、チャンはその、自分の年齢を嘲笑うかのように、瑞々しい唇に加えた。
絢子に言われて
花々は
咀嚼。
私が清雪の、どぎつい所謂
喰い千切られる
歯が重ねあわされて、そして顎の骨格は無慈悲に
極右的言説に溢れ返った片仮名書きの
その為だけに
咀嚼する。…知って居る。…と。此の風景は…
Twitterを確認した時に
この世界に
知って居る、と、私は顕かに、私が始めて見い出すその風景の前に、
その、一般的な十九歳の少年としては
生まれてきて
戸惑うことも無く自失する。ほんの短い一瞬だけ。臭気。
顕かに多いフォロー者数に
そして
かすかに。
彼が、必ずしも
此処に
執拗に。
絢子が時に案じていたような
存在しているものなのだと
気にならない程度に…とはいえ。
虐められっこの類ではなくて
そんな確信を
あまりにも鮮明に。その臭気は、あるいは、
むしろ人気者の部類に入るらしいことを察して
花を喰い散らす
清楚な眼差しの向うで、唇を
不意に微笑み、且つ
花粉の黄彩に
黄色く汚した潤が垂れ流して仕舞っているのかも知れない糞尿のせいなのだろうか?
まるで自分が
口元を
それとも体臭?…と、わななく、
ひとり息子の身を案じる父親で在ったかのように
わずかに穢した
それら。
…安堵した
おだやかな潤の眼差しに
鶏たちの、
尤も、その言説への興味だけが集めた
其れ等の。——音響、
フォロー数に過ぎなったのかも知れない…
わななく翼。内庭に放し飼われていた、要するに食用の鶏たちが、必然的に立てる臭気だったのかも知れない。或は、と。
想う。人間たちが自分達の必然的な臭気に馴れて仕舞って、鈍磨して仕舞った嗅覚の向うで、例えば野犬たちは必ずしも嗅ぎ馴れることの無い他種生物の生存領域固有の無残な臭気を、他人にだけ鋭利な彼等の鼻腔のうちに嗅ぎ取って居るに違いない。
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