小説。——櫻、三月の雪…散文。及び立原道造の詩の引用 /《‘In A Landscape’ ...John Cage,1948》Ⅱ 或る風景の中で。ジョン・ケージ、1948 ■24



以下、一部箇所に暴力的な描写が在ります。

ご了承の上お読み進めください。

又、歴史的記録として過去の政治スローガンの引用乃至模倣が使用されますが、

特にそれらを特に顕彰しようとする意図も在ません。





櫻、三月の雪

…散文。及び立原道造の詩の引用


三部作

《‘In A Landscape’ ...John Cage,1948》Ⅱ

或る風景の中で。ジョン・ケージ、1948——Ⅱ


Zaraθuštra, Zartošt, Ζωροάστρης

ゾロアスター 



…それ、と

「やばくない?」相槌交じりに云った和章は、すでに、自分が吐いた言葉など忘れて仕舞っている。綾子の家の、彼女の部屋の中。

日曜日の午前、日差しは冬の、清冽で、清純な大気。…光。

ふれたものすべてに、いまや光は触れていた。部屋の中に、和章の笑い声が立った。綾子の口蓋と、舌と、咽喉が立てる、べたつく濁音の故意の唾液の音響が、耳に触れ続けていることには気付いていた。…ね?

憩ふ

それが

私ハ貴方ノ家畜ナノヨ

いま僕たちは

何かの

わざと。かならずしも、信吾も

憩ふ

おまへは

知ッテタ?

おまへの裡に

それが何かの

私も、和章も、誰も望んだわけでもなくて、ただ

外に

しるしのやうに

ケツノ■デモ、突キ出シテアゲマショウカ?

泉の上に

おまへはそれが

彼女自身が望むままに、…だってさ、

光が

それが何かのしるしのやうに

想ヰ切リ

充ち溢れてゐるが

名を知らない

と。

それにもまして

何かの

家畜且ツ奴隷且ツ賤民ノ下賤且ツ卑賤且ツ

かがやいてゐる

しるしのようにおまへは

邪気も無くささやく信吾の手のひらが、綾子の頭を、ただ

ちひさい波らは

名を知らない花

愚劣窮○

ふるへてやまない…

知らない花ばかりの

涙ぐましいほどに

僕たちの

何かの

ケツノ■ヲ?

手にとらへられた

しるしのやうにおまへは

やさしくなぜた。微笑を、彼が見詰めた私にだけ

ささやいて

また

ケ津乃アナヲ?

過ぎる

名を知らない花ばかりの

投げてくれながら。「…イラクとか?」

ふたりして持つ

花束を

パレスティナとか、やばそうじゃない?

光のために

花ばかりの

戯れに、囁く和章は、あまりにも繊細すぎて、ふれれば壊れて仕舞うに違いない、そんな微笑みの、残骸じみた気配のうちに私を、見つめさせた。…違うよ。

ユイ=雨の、かすかに

「他人の戦争じゃなくてさ」…と。

神経質そうな眉を、彼に

くそじゃない?…他人の何て、…

覆い被さるようにして

「…やっぱさ。」

潤は唇に

信吾は云った。彼が、





7.ふるえて已まない僕たちは、



見つめるべきものなど、そこに、私しか居ないかのように彼の眼差しは、

「自衛隊とか?」

云って笑った和章の声を、信吾は聴いた。…いやぁ…ー……

「やっぱ、とりあえず内戦?」

ぶっぱなす的な?

…銃撃上等

「やばくない?」

ざわつくよね

原爆水爆NGな

「市街戦的な?」

はげしー感じで

戦争感無くない?

「…とりあえず、東京占領して吹っ飛ばそうよ。」…くだらない。「戦争でもないと、やっぱ。…」ね?「人間、駄目になると想う。」

「なにが、不満なの?」と、不意に云った私を、そして、ややあって信吾は眼をそらした。「…不満って?」

だってさ…ね

正規軍だよな

「何が、厭なの?」

事実、俺ら

やっぱ

「現状の?」

ただの糞じゃん?

ゲリラ、軍服無いじゃん奴等

「知らねぇよ。」…云えよ。

平和すぎて

基本

お互いに重なりあう声は

脳みそに虫飼って

てか、軍部クーデター■皇刺殺?

「んー…」空間の中の、それぞれに違う場所に存在して、かならずしも「…じゃ、なくて」かさなりあいはしない。

「なんか違うんだよね。俺の言ってることと。」

「なに?」

「壊したいんじゃないんだよ。今の政府とか。要するにお父さんお母さん先生伯父さん馬鹿な大人たち、とか、さ。ただ、」と、そして、信吾が再び私を見い出したときに、

「戦争自体がしたいだけ。」

さゝやく。まるで、空間には最初から、私たちしか居なかったかのように。綾子は

どうして

「戦争ってさ、…でも、」

生きながらへてゐられるのだらうか

ひざまづいて、わざと

海は

「考えてみろよ。だって、あれ」

浪は

自分の尻を突き出して、誰にと云うでもなく

単調などぎつい

「人、殺すんだぜ。…ね?」

どうして生きながらへて

見せ付けながら

ゐられるのだらうか

「良くない?」

美しい

唇が耳障りな騒音にすぎない音を立てる。

「お前、」

うつくしい

ただ単に、むしろ

「ある?」

だれが

滑稽な

どうして生きながらへてゐられるのだらうか

「人、殺したこと。…例えばさ、」…殺したい奴、居るの?私は云った。とは言え、

死ぬのが

「誰か、殺すじゃん。」彼が「…いま。」それを若し、望んだとするならば、

ただ

「例えば、お前な、」…と。指を差された和章は

私には

「カスくんを殺してあげるよ。でも」

ただ

彼は誰に云われるまでもなく、あざやかで、「…それって」明確で、否定しようの無い衝動として、

死ぬのが

「顕かに戦争じゃないじゃん。ちゃんと」

どうして

その人間を

美しい空

「理由在るでしょ?例えばさ、…」

うつくしい

殺して仕舞うに違いない。例えば、「…こいつ。」戦意など許から無く「綾子な。こいつ、」

打ち付けらた公衆トイレのコンクリートの壁に

だれが

「いま、俺の咬み切ったとしようよ。なんでよ。」

それを

前歯をへし折った茂史の

だれが

「俺を憎んでんからじゃん?」

見てゐたいものか!

完全にもはや

だれが

「正当じゃん?」

どうして

意志のかけらさえ「…正しいと想う。むしろ」残っては居ない血に汚れた顔に「たゞの犯罪者って、必ずしも何にも間違いなんて犯してねぇよ。たゞ、俺らに容認されなかっただけよ。実際、こいつ、いま、俺のに咬み附いたらこいつマジぶっ殺すからね、俺。普通に。」

…制裁処罰粛清状態だよ。

これ見よがしに唾を吐いて、「…違う?けど」掌に

「戦争ってさ。」

とった彼の小指を

「ぜんぜん正当性なくない?」






Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

0コメント

  • 1000 / 1000