小説《紫色のブルレスケ》イ短調のプレリュード、モーリス・ラヴェル。連作:Ⅶ…世界の果ての恋愛小説(完全版・中間部)
紫色のブルレスケ
…散文
Burlesque màu tím
《イ短調のプレリュード》、モーリス・ラヴェル。連作
Prelude in A mainor, 1913, Joseph-Maurice Ravel
Oἰδίπoυς τύραννoς
オイディプス王
この小説は、《私》の妻である《フエ》という女性を中心にした物語なのですが、
とくにこの中間部では、その従姉妹にあたる《トゥイ》という知的障害をかかえた女性にも焦点が当てられています。
それに伴って、文章自体も非常におおきなゆがみを持つことになります。
もっとも、《フエ》の物語に寄り添うようになると、すぐに普通に戻るんですが。
個人的には、ずーっと《ゆがんだ文体》だけで書いてみたい気もします。
↓ 下のリンクから、お願いします。
《ただ喚き散らすだけのわたしの声など、だれも聴かない。》
ベトナム、熱帯の町ダナン。
ブーゲンビリアの花が咲き乱れる家の庭には、ある知的障害を抱えた女《トゥイ》の声が響く。
褐色の肌の少女はその弟の愛に答え、見出される死者たちの姿に自分たちの未来を見た。
そして、少女は《トゥイ》と、だれにも告げずに海を見に行くのだが…
白濁した空の下で、雨に打たれる少女が見つめたさまざまな世界の断片。
かつての戦争の痕跡と、再開発のはざまにゆらめく海辺の町の、異国の思春期の物語。
そして転生と愛が夢と現実の中に目醒めていく…。
ベトナム中部の町、ダナン市を舞台にした、痛みと官能の長編小説。
時間が錯綜し、転生と存在の秘密の中に彷徨いこみます。
転生とギリシャ神話をモティーフに、生と死を見つめようとする連作の中核。その第二篇。
三分冊の第二巻。
思い切りエロティックで、限りもなく繊細で
どうしようもなく純で切なく、救いようもなく残酷で、にもかかわらず美しい。
そんな作品を目指しました。
…読んでいただければ、うれしいです。
次の《後半》で、物語は一気に奇妙な破滅を迎えます。
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