カミーユ・C、留保なき絶望とその絶望的なまでの強度 ...for Jean-Baptiste Camille Corot /a;...for oedipus rex #099



以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



(承前)

海は、すなおにうつくしくかつ、

   精神?この

      単に過剰な

飽きやすい。更に、

   精神?この

      もてあまされた

吐くから。

   精神?この

      あしもとの残骸

沙羅ゝが。極端に敏感で、敏感すぎる嗅覚は沙羅ゝからことごとく行動の自由を

   こんな子だった?

      ら、ら、

         沙羅ゝ?

うばっていた。空港に

   こん…だったかな?

      ら、る、

         おれたちの

出迎えたとき、両親に

   こんな子だった?

      ら、ら、

         沙羅ゝ?

ひさしぶりの肉体的対面を果たしたよろこびを、沙羅ゝ。吹きこぼすどころかむしろ沈痛なしかめつらに苦悩しているばかりの娘に最初に違和を知ったのは

   だれ?

      あっ。ゆがまない

波紋だった。真魚は、

   わたしは

      で!…反射光たち

娘の

   だれ?

      あっ。ひんまがらな

さらすあまりにもの孤立

   孤絶?

の、気配にみずからの罪を見止めつづけていそがしかったから。タクシー、沙羅ゝひとりに苦悩はひたすらふかまる。空腹を察し、どちらともない気遣いのうちに入った日本人経営のピザ屋。真魚は水をしか飲まない娘にいぶかりを

   ようやく、いま

      元気?

         いま、いきなり

感じはじめた。その

   わたしたちの時が

      ええ。元気

         叫んでいいですか?

後も、現地料理など

   うごきだす、ね?

      元気?

         耳もとで。あなたの

一切喰えない。吐いて仕舞うから。席を立つにも耐えられなかった嘔吐の発作に、向けられた

   吐瀉

      匂うよ。…だ!

白い

   ぼしゃっ、…と

      きみのつまさき

目と罵倒句に波紋は

   吐瀉

      サンダルにも…だ!

だれかに、すがたのない

   ぶしゃっ、…と

      わななく臭気

だれかにひたすらな激怒を咬んだ。たしかに、しかしわるいのはじぶんたちだった。水。とにかく水。真魚の手料理であったとしても、

   偏食、すごくない?…ねぇ

      沙羅ゝ?

         沈黙。われわれは

水であらったご飯と、…つまり、

   異常じゃない?だって

      沙羅ゝ?

         饒舌。やがては

焚き上がりを

   吐いたの。フライドチキンでも、

      沙羅ゝ?

         沈黙。われわれは

洗浄するのだ。または鶏むね肉。水で執拗に洗浄し、蒸して、更に流水でよく冷されたもの。水に充分さらした、加熱しないもやし。おなじく玉ねぎ。卵。加熱したものは駄目。あくまでも生の、白身だけ。また、水だけで煮た白魚。内臓が残っていてはならない。ときに、空腹に耐えられなければ沙羅ゝは、舌に舐めてしめらせた指さきに塩を

   味、濃いから。意外に

      きたっ…お前

しゃぶった。花の

   現地料理。結局

      なっ!やれよ。じぶんで

匂いがするたびに

   からだには

      きたっ!…なにやっ

嘔吐か、嘔吐しそうになって

   いいのかもよ?

      なっ!なにやってん

走り出す。嗅覚の過剰の故と気づいたのは、いやがる沙羅ゝにわがままを感じた真魚があえて、3人で早朝の海辺に連れ出した時だった。…海。ちかずつくたびにうつむき、…海。100メートル以上さきの

   溺れてもいいよ?

湾岸道路。さらにその、さらにさらにさきのココナッツ並木と砂の白光のむこうに、

   教育って

      あっ

         失敗の過程では

海。ようやく

   ね?気づいちゃっ

      やだっ

         失敗作または

見えたにすぎないその

   なんか、いつでも

      あっ

         失敗的事象以外には

それら

   似てない?

      やっ。やっ

         うまれ得な

その

   虐待に

      あっ

         失敗の過程では

綺羅めきを見取った須臾に、

   え?

吐瀉。立ちつくした沙羅ゝはそのまま

   え?

吐いた。直立の、口蓋から新生児の嘔吐にも似て

   なっかしい!

垂れながれ、腹に

   どしゃっ、…と

      発光。わたしは

飛び散ったなぜか

   ね?吐瀉

      いま。まさに

ベージュに近い

   ぐしゃっ、…と

      発光。わたしも

吐瀉物。…の、匂いに波紋が顔をしかめたかたわらで沙羅ゝは不遜なまでにとおい目をする。












Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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