カミーユ・C、留保なき絶望とその絶望的なまでの強度 ...for Jean-Baptiste Camille Corot /a;...for oedipus rex #096
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
#02//風化してゆく/われわれは。もう/みずみずしくも/息づいたままの//
2021年。その
ほら!
ふさいでいる
9月9日の、
開け放て
目を
予定がなにもなく、
放て!
きみは
予定しようもない封鎖都市の朝には真魚も
突風を。そして
わすれている
波紋も
導き入れたら
呼吸を
もう
窒息。…ん?
わたしは
馴れていた。したしみさえ感じられていたほどには。渡越当初、真魚が杉沢夕理の紹介で引き合わされた安達芳江。その、当時60をとっくに越えたと…もう、自嘲した「もう、そんな」
いいとこよ?
ら。あら
おさかな?…ん、
女。だから「未来の
すてきよ?
らら。あ
お野菜が、ね。とっ
あてなんかなにもないおばあちゃんなのよ?
声。執拗に
かすれ
わたし」いまは
つややかな
やや
70歳超の?
そして
唾液の多い
いやに枯れない彼女に明日までと聞いた封鎖。偶然に、日本料理屋かスーパーでしか顔をあわせることのなかった彼女たちが、思えばすでになつかしい。おなじ年頃にはちがいない夫のほうは無口のうえに警戒心が過剰で?…猜疑心にちかいまでに。一度も
そう。あなたは
名乗らなかった。
口がないのね
芳江も
翳りに、そして
凍結させようよ!
名前では
消尽しようとして
叫び。うぃっ…を
呼ばなかった。だから
いっ
絶叫。おぅ…を
彼をは真魚は、名を以て
いっ。る
すべての
想起するすべがなにも
かに、きみは
どうだろう?
ない。部屋に、真魚はその素肌をさらしたまま、歎き?…に、
歎きを
ふれて。そして
るるっ
近い
赤裸々な
壊して。やや
ひかりの粒子が
茫然。あと
ため息を
傍若無人な、この
すべったね?
2年で50歳を迎えなければならない真魚は、彼女自身の眼なら決して見逃さない衰弱のいつくものを、みずからの肉体に
見て
風さえ
ことさらな
まばゆいほどに
雲の
際立ちとして
見て。すべて
綺羅めき
見、時に
衰退してゆく
翳りさえ
醒めたままに気をとおくする。壁。窓というものがない部屋の、その
と。だから
窓がないことをいいことに
ここは
壁一面に
部屋と呼ばれるべき
立てかけられたただ一枚の
空間なの?
油彩。≪シーレーノスSīlēnosの行進≫それを、贋作。…唯一、無理やり日本から持ってきた、…正確には他人たちにはこばせた、
まがいものだろう?
綺麗?まだ
途絶。一瞬の
ルーベンス。真魚は
すべては
わたし
まばたきの鋭利に
みにくすぎて、一瞬たりとも好きになれなかった。気に入ったのは波紋と春雨だった。もっとも、その春雨はもういない。春雨にひきずられるかに波紋もいつかその絵を、いまだ最初に抱いた嫌悪をなまなましく保持したまま、あるいは「これって、さ」愛し「どう思う?」はじ「いったい、…さ。ね?なにを」
ことさらに、そう。失望を
くさい?
「きたなくない?」
ひけらかしたかの
くさった?
「どう?言いたいんだろう、」ふとした…ね?沈黙。そして言い直す。その「なにを」まだ「見てるんだろう、」二十代なかばだった…ね?波紋。「つまり、この画家は、さ」真魚は年々、じぶんの衰退を
と、鮮明な
だん。だ
昏さ。それは
知るに比例して
衰弱はいまも
だ
色彩。それは
いよいよ嫌悪のみを
ひたいのうえで
だだっ
昏み。それは
増す。じぶんにも、
だん、だ。柔和な
ダンス好き?
色めき。それは
ルーベンス、…の、その
ダンス。だっ
んだっ。だ
昏む、われわれに
巧妙らしい贋作にも。部屋の中で、この絵が存在しないかのいつわりの視線をつくることに、真魚だけがひとり馴れ切っていた。ダナン市の海辺の住宅を紹介した夕理は小学生のときの同級生だった。2012年、それは思えば動乱の一年だった気がする。1月、まず春雨が
傷い。きみが
絶望だったら
自殺した。朝、
傷い。記憶さえ、ふいの
裸のかかとに
気づかれた唐突な
想起さえ、…え?
へばりついたまま
不在。春雨が
傷い。と、
放屁していたが
めずらしく外泊したものだと思っていた。波紋も。なにかと連作にする癖のある画家は、その時、花をモティーフにした描きかけのキャンバスを二日の放置にしっかり乾かせ終わっていた。気づいたのは
って、花。あれ
うるおい
結局さ
波紋だった。
らっ。薔薇とか?…生きてるの?
るるっ
おれたちって、さ
ポータルサイトの
死に得な…ららっ。い、の?
ときめき
ね?知らないままなん
目立たない記事に。だから、
切り花っ…どう?てさ
ききっ
花。その
波紋が
いわば屠殺じゃ…どう?ん。しかも
はなやきっ。ぎ
精密な定義を
やや茫然として見える興奮を
あん…どう?なにも
ぎっ
実は、さ
体皮の
あざや…どう?どう?かに
せつなぎっ。さ
だからいまだに、だよ?
あさい深みにさわがせ、…春雨
え?
と。「なに?」
聞かないでください
讃えよ!
「あいつ、」
わたしの声を
見蕩れよ!
「ハル、いまどこにいるの?」いまさら言葉をうしなった波紋に、…連絡、ハーにあったの?「死んだ」そうみじかく知らされた最初の須臾、おもわず真魚は声を立てて笑って仕舞いさえ
ははっ
…ってん。な
あ
した。
波紋。はっ
なな。な
激痛
自殺。
ははっ
なにいっ
え?
飛び降り
波紋。はっ
いっ
あ
自殺。または、
ははっ
…ってん。な
悲痛
轢死。表参道の、当時存在した神宮前の歩道橋から飛び降り、ちょうどとおりすがった車両に轢き飛ばされたのだった。即死。気鋭の新進アーティストととして海外でも著名である、
え?
ええ。だれですか?
と。その、
え?
ええ。これは
春雨の名など知るはずもない大多数の日本人向けに、記事は簡単に略歴を纏めていた。管轄と思われる代々木警察署に連絡を入れた。もう、親族が
関係者?…って
ついっ。い、さいっ
怠慢?いや
遺体を
そう言われても
つきな
殺人ってそういう
引取って仕舞ったようだった。検死を
あちら、もう
な。おちつき
根拠、あるの?…なんか
受ける必要はない。目撃も数件あった。死因は明らかだった。自殺か事故死か、そしてただふたつだけ見つかった記事は自殺をも匂わせていたが、要するに他殺でないことはいちいちメスに聞くまでもない。涙をもこぼせず、
なんですか?
真魚。声をふるわせることさえ出来ず
この見たこともない
に
色彩は
ただ、冷静にささやきつづけるしかない彼女の「あなた、本当に」
発熱
逃げて
声に、もう「関係者?」
涙腺の
わたしから
記事になってるんじゃない?
考えられないふかみに
逃げ出してください。わたしの
知らない?あそこ、
発熱。かつ
瓦解を
手摺りに腰かけてられてて、…ね?
発煙の痕跡
見ないですむよう
それで、まあ、下に落ちて仕舞われたよう「…それだ」だよ。「それだけ?」
違うんだ。いま
がっ
破壊衝動
「ん?」
わたしが見るべき
あ!
殺意
「それだけですか?」
風景は
がっ
発作的動揺
「あなたが見られたっていうその記事にもなってて、そこにもちゃんと書かれてるとは思うけど、こっちでいま」
「それだけなの?」…あなたにはかなしいって謂う感情さえないんですか?
刺さった!
が
思わず
なにが?
見よ。この
そのときにだけいつでもささやくしかない声を、
微弱なひかりが
頑強を
かすかに
頭頂に、この
が
あららげた真魚の、言ってみれば完璧な純度のとばっちりに波紋は、ただ、真魚と春雨へのいたましさをのみ感じていた。知っていた。たしかに書いてあった。目撃証言。そのひとつ。いきなり目撃者を返り見、ほほ笑み、手を振りそうな気配を見せた直後、突風にふかれたかに前のめりに春雨は座り込んだ姿勢そのまま落下していっ
なぜ?
た、と。真魚と波紋は、その
なぜ、きみは
一夜明けた次の日に春雨の家屋中を、遺書かそれらしきものを探して徒労にくれた。前兆はなにも
散る。る
なぜ?
って、さ。涙
なかった。または、
ように
なぜ、おれは
って、さ。出てきてほしいときには
気づかなかった。真魚は
落ちるのだ
なぜ?
って、さ。出ないのに、ね?
間歇的で、…ね?完治しそうでしな…ね?い執拗な鬱の発作のただなかだっ…ね?たし、波紋は
ね?なんでだろう
落ちる
春雨を気にするどころではなかった。瓜生はもう
ね?視界が
る。らっ
逃げていた。前年の
ね?溶けていくん
あっ。散るように
12月末に。逃げて
ね?だっ。だから
いっ
知ったふたりの会社の
ね?わたしは
るらっ。ち、落ちる
給与未払いと
ね?黙っていよう、と
る。らっ
負債の巨額はなすすべもなかった。瓜生はあえて取締役の役職を持とうとは「これはさ、あくまで」しなかったから「壬生の、お前の会社だからね?」かならずしも責任をすべてひっかぶる必要はないはずだった。失踪の理由が思いつかなかった。ひとり波紋は不渡りの一回目が落ちるのを見、3月末には二度目がやってくるはずだった。不安と、
失敗するため
激怒と、
生まれた、ぼくたちは
目舞いと、
失敗作でさることにさえも
体温の
失敗するたび
感じられない昂揚とまるで意味のない全能感とに、…だから波紋はただ焦燥していた。なにがどうなろうと、考えて見れば破産宣告すればいいだけではあった。思いつかなかった。その当然に。3月はじめ、波紋と真魚はベトナムへ
嗅覚が、わたし
糜爛。らんっ
逃亡した。
するどい。のだ
していく
夕理が、もう
ひかりを放って
感覚。喉ごしの
10年もまえに
放ちやまないひかりのほうへ
腐乱。らんっ
結婚していた現地人男性と戸建て購入のうえ定住する
嗅覚が、わたし
してい
そこ。日本にはいられないと、それは波紋と真魚には決定的な事実だった。沙羅ゝを厳島の壬生夫婦に託した。夕理の「シー」夫が、その「わたし、シー」やや
だいじょうぶか?
踵には
ごめんね
癖のある
お前、外国なんか
弾劾の、息吹き
頼むよ。この
日本語。
帰ってくれば、い
踏む。断崖に
この子だけでも
何年か「日本人、したしみやすい。わたしの」日本で働いていたことがある。新聞の「名前。わたしは」配達業務。「武士だから」シーがつまり士だと謂わんとしていることに気づかないままとりなしの微笑にすぎた出逢いの日、サイゴンの空港で真魚はじぶんの強さを知った。
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