小説《堕ちる天使》イ短調のプレリュード、モーリス・ラヴェル。連作:Ⅳ…世界の果ての恋愛小説(完全版)
この短い小説は、もう一つの《堕ちる天使》の続編、というよりは、そのまま続いている同じ物語です。
物語の内容としては、人種的にはフィリピン人なのだが、日本生まれの日本育ちというある女性がいて、そして風俗街と薬物に身を持ち崩していくのだが、そんな女性を愛してしまった《私》が見い出す風景とは…と、言った感じのものです。
最初に言っておくと、破天荒なストーリー展開などはありません。
ただただしずかで、壊れそうに危うい心象風景が続いて、見あげられた空はいつか夕焼けて紅蓮に染まっていた、というだけの物語です。
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これから何かが始まる物語ではなくて、すべてが終った後、すくなくとも、それを見つめる人にとっては、自分はもう終ってしまった人間だと認識されて以降の、その、いわば《最期の風景》を描こうとしたものだからです。
そう言う意味では、これらの連作《雨の中の風景》は、基本的には末期の眼差しが見た風景を、ただ、せめて美しく描こうとしたもの、なのかも知れません。
読んでいただければ、うれしいです。
2018.11.10 Seno-Le Ma
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