ジュリアン・O、浸蝕。そして青の浸蝕 ...for Julian Onderdonk /b;...for oedipus rex #082
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
#03//追放された、…ええ/有罪者たちは、…え?/あえて、唐突に/赦されるべきだ//
16歳。波紋は母親の財布から、その時あるだけあった現金…一万円札が3枚と、千円札数枚。ひっつかみもせず大切に折りたたんで
玄関で。まだ
記憶。そう
あ
しかし、
そとにでないまま
記憶。これらは
蹴っ
握りしめ、家を
息に、ふと
記憶。猶も、いま
すこしだけ
出た。
とぐろを巻かせて
鮮明な?…記憶
傷み
早朝。ほぼ一番最初の便にちかいフェリー。ようやく海は
にっ。綺羅めき
引いて行こうとする。潮風を
綺羅めきに
波紋は
にっ。翳り
フェリーの
翳りに
尖端。せめてもいちばん、あり得るかぎり島のもっとも遠くにその生き生きとした肉体を立ちつくさせたまま接近をやめない本土をだけ
いたましい
疲れた?
と、ええ。ひかり
見つめ続けた。なぜか
まなざしであっ
そうだね
あ。波に
充溢している活力が
それは
遠い。まだ、ちょっと
と、ええ。明滅
不穏だった。島を波紋は絶対に返り見ない。見れば勇気がくじけると知ってた。違和。消えない、夢への
なぜ?
違和。夢に、
なにが、この
父も母も猿のような
なぜ?
仮面を
わたしたちを
つけてけむくじゃだった。ひとりだけ、つるつるですべすべで素顔をすなおにさらす波紋をひとりぼっちにして。聚景荘。そんな名の
耳を、執拗に
知っ
旅館。小高い
わたしはひとりで
知り尽くすほど、もう
高台に
澄ましているが
知っ
神社と海とを見渡す。すぐ下の家屋が壬生雅孝が賃貸した家だった。もともとは、上の旅館の経営者家族が住む、その間借りにすぎなかったが、上京するとか独立するとかで居住者が減っていき、また島に於く信頼すべき名教師として、時とともに親しむ親たちがふえ、または親しんだ教え子たちさえ親になっていくにつれ、いつか島のひとびとはその簡素な家屋を壬生の実家としてすら錯覚するようになっていた。かつて背後に
手のひら。らっ
風には
ね
遠ざかったはずの
ふれ、れっ。そして
ね?あ…
え?
島を、正面に
じぶんごしに
匂いが
ええ
接近して来る風景として
きみに、いっ。ふれて
ね?ある…
ね
見つめる。波紋。波止場。右手に神社。道を忘れるはずもない。だから神社を、妊婦の緩慢なあゆみに迷いなくとおりぬけ、しかしいたたまれず清盛神社に寄り道し、坂をあがりかけ、さ迷いはないままに停滞してゆく
なぜでしょう?
かなっ
両足。腹が
いま、鮮明に
わたしはわたしは
重いのも
拒絶。わたしは
かなしくはない
事実だった。しかし
視野から
つらっ
肉体はあくまでも
わたしを
わたしはわたしは
すこやかだった。冗談のようにここちよい外気に晴れやかなまでに。なかった。自信が。心配をかけた。それはそうだった。両親ふたりの懊悩と、絶望にはついにいたり得ない
だって、あな
声
どこ?
とめどもない
あなたのせい?
無数の
どこに行っ
懐疑。
わたし?
声
無理でしょ?
さまざまな、
だれが?
声を
生きられる?
すさまじい感情の、
追い詰め、だれが
声
どこ?
感情的な相克の
まるで
取りなす隙もない
どこでいま
みだれあう感情のすさまじさは
追放するかのように
声
なにができるん
もう、
なぜ?
声を
だって、たった
どれほどだったろう?…と。しかも、裏切りと言えば事実、裏切り以外のなにものでもない。赦してもらえるとは
燃え尽きた
思えなかった。同時に
焦土だ。ここは
顔を見せれば
そう。むしろ
すぐすさまに笑いかけてくれるに違いないなぜか圧倒的な確信も
感情のない
駄目だよ
あった。それら
明晰すぎる
無理だよ。もう
赦しがたい
事実として
すべて、圧倒的に
共存の不可解がことさらに波紋の歩みを緩慢にした。風景。なつかしいとも思えない、だから奇妙にすべての感情を干からびさせ、風化して仕舞う視野のすべてが新鮮に、あざやかに波紋の網膜にだけ色彩を
陽光
温度です
むりむりむり
冴えさせた。
あくまでも
ね?
りむりむりむ
陽光。
ないよね?ひかりには
これら、あたたかな
むりむりむり
ここちよく、
かなしみも。…陽光
温度です
りむりむり、ねむ
ここちよすぎるくらいに、
ただ、目舞いさえする
ね?
り、に。いますべては
陽光。
あかるさの充溢
これら、うるわしい
落ちていったね?
坂をあがり、あがりきらない微妙な中途、立ち止まった波紋が顔を、ななめにあげさえすればもうとっくに聚景荘は見えている。だから、両親がいるはずの、
あっ
…はずの?家屋も。見えているはずだったのが、たしかに、
わかりますか?
ひかり
そう、かつて。追放
と。気づく。
わたしの生まれた
感じるかな?
わたしはわたしを
いまさらに、
場所ですよ。きみは
ひかり
追放したん…完璧な
いまも、
わかりますか?
この、すがすがしい
有罪者として
そこに雅孝と庸子が暮らしているという必然はない。所詮、島の小学校に赴任したにすぎない一教員だった。いまも猶ふたりにおなじ生活が営まれていなければならない確実はない。あしもとのコンクリート舗装。反射光。思わず目を
あっ
昏みかけて顎をあげ、左手によれて見た瞬間に、
ん?
ええ
彼。
そう
んんっ
男。
ええ、
ん、
すでにじぶんに
慥かに
んっ
気づいていたらしいひとの、庭先に植栽の手入れをする立ち姿を
こんにちは
見た。左手に
と、
ホース。シャワーノズルが
絶句
つけられた
ご機嫌は?
それ。吹き出されるままにまかされた水。飛沫。無造作。樹木。幹を、水びたしにされて綺羅を散らしつづけるそれは椿の木。寒椿。だから、9月のいまは花など「…おとうさん」
あれだよ
見える?
ない。「ね?」
きみの
あれが
と。…おとうさんだよね?つぶやきかけた波紋は、つぶやきがほんとうに声帯をふるわせはじめるまえにはすでに泣きじゃくっていた。だから、
そう
ええ、
そう
あられもな
ら、
なく。
追放された、…ええ ;contrapunctus à 4
そう、
有罪者たちは、…え?
追放された
あえて、唐突に
有罪者たちは
赦されるべきだ
と、…なぜ?
あえて、唐突に
そう、
そう思われたのかな?
完璧に赦されて
追放さ、…ら。れた
ふと、息を
唐突な、だから
有罪者たちは
吸い込んだ須臾に
あふれかえった
そう、
癒しにふれて
いつか、涙に
みずみずしすぎた
追放さ、あっ。れた
あふれてわれをわっ
埋もれながら
鮮度が、大気の
有罪者たちは
わすれて歓喜したのものなの
見あげるの、だっ。…空を
健康を教えた
のだ、が
涙など拭われていいものだろうか?…と、 ;recitativo
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