散文と旋律の無い複数の音声のための12の幻想的なフーガ ...for oedipus rex /b;...for oedipus rex #018



以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください



#11//知ってる?これら/花々は、やがて/燃えて仕舞うのだ/もう、かつて//

と、声を立てて波紋は笑った。あるいはそれはけもの。翼ある獅子の、蛇尾のけものにはあさい嘲笑とさえ聞こえたかも知れない。気づきさえしなかった。波紋は。かれを、傷つけたかもしれないみずからの野蛮には。だからよろめくように、突風?凶暴な、吹きはしなかった俊敏な風にうちまかされたかに、波紋。身を投げ出した。けものの肉体にあえて返り見もしないままみずからの、…肉体。柔和。脆弱。か細さそのもの。あきらかに女のそれを。まぼろし見た気が、ふと。し、…唐突に、ふと。不当にも、あり得ない奈落に堕ちるじぶんの肉体を、と。やがてひそかにテュポーンTȳphōnと名づけていた。波紋は、あの、とぐろを巻く蛇の下半身に燐光をいくえにもかさね、しかも強靭な翼の下に九十九の蛇の腕を誇ったけもの。かれに。やや、さらに遠ざかるみぎの背後のするどいななめに

   見て

      あれら、破滅的な

咆哮を、ひとり

   見て

      見えないの?

聞いていたから、


   投身?そう

   わたしはあなたに

   投げる。身を

   あずける。この


   肉体を

    見よ。投身を

   精神を

    叫んではいないよ

   放棄するかに

    見よ。口蓋は

   だから、餌。…と?


   疑似餌としてでも

    投身を?そう

     発火!突然の

   わたしはあなたに

    あなたに、わた

     容赦ない発光

   あたえるかに。身を

    投身を?そう

     発火!歯を咬め

   くれてやるかに。この


   肉体。やがて

      燃えあがりもせず

    しろい。あれら

     焔。そう

   焔のなかに

      破滅した。すでに

    青く、やや

     焔。見えな

   消滅。…そう

      精神は、もはや

    みどりをも散らす

     焔。そう

   滅びるのでしょう?


   どう?

    もっと、ちかくへ

   焔よ

    いい。しのびよるが

   そう?

    轟音とともに、

   焔よ


笑った。

   いとおしい、と

      見よ

声を立て、

   錯覚?それは

      見よ

そこに。…はっ

   錯覚?これは

      見よ

波紋。かの女は、あるいは声。その

   わらった

      いとしいと、いま

         焼ける?

声が、

   わたしは、むしろ

      あなたは、ね?

         髪が

声が、

   みぎ、ななめのほうに

      わたしに、そっと

         獣毛が

声が、

   かたむきかけて

      錯覚してていい

         ちかづきすぎた

がっ、かれには傲慢な嘲笑にこそ聞こえたのかもしれない。けもの。あの、翼ある獅子の蛇尾の悩ましい

   すべては!

      見える?

けものには。はっ

   ええ

      焔

波紋。かの女は、気づきさえ

   すべては!

      あるいはきみが

しなかっ、…その

   茶番にすぎない。ただ

      顎に咬み締めた

可能性。かれを、

   とるにたりない

      大気をさえも

傷つけたかもしれない、いたましい

   すべては!

      加熱しはじめた

可能性。だから

   ええ

      焔

ら。みずからのらっ。赦しがたいいっ、…ら。野蛮には、

   すべては!

      見えない?

すこしも。または

   糾弾にさえも

      虹彩に

愚鈍にも。

   値いしはしな

      すでにゆらめきつづけてやまない

わずかにも。

   ねぇ

      白濁として

凶暴にも、…ん。もう

   どう?

      移っているのに

なにも。だか

   そう

      突風?

         いいえ。なにも

ら。らっ、波紋。かの女はあえて

   ええ

      辛辣な

         花の綺羅めきも

返り見もしないままみずからの

   そう

      突風?

         揺れはしな

おっ。肉体を、おっ。あずけてやった。けものに。身を投げるかにあえてやや、…ん?うしろむきのままで。けもの。その

   精神。それは

      飛ぶがいいさ

肉体。そこにかれの

   す。さ、…ええ。まじい純度の

      飛ぶが!

肉体。その

   美。で、あっ

      顎を引いたまま

すこやかさ、

   美。で、あっ

      飛ぶがいいさ

あっ!肉体。その

   精神。それは

      飛ぶが!

お。たくましさ、

   おそるべき強度の

      舌を出したまま

あっ!肉体。その

   美。で、あっ

      飛ぶがい

ええ。明瞭なと謂うべきまでにも確実な辛辣さに比べれば、…え?虚弱、と?そう、あえて謂うにすら及ばない波紋。か

   肉体

      沈黙を、ええ。なぜ

         しなりあう

あ。かの女の脆弱。こころ細く、

   みなぎる

      血液さえ、…え?もが

         肉体

か細い、…あ!女の

   肉体

      守っ…ええ。て、いるのか?

         はじきあう

肉体。けものの、

   ほとばしる

      失語を、あっ。なぜ

         肉体

の?肉の

   いやらしい?

そのしなやかな息吹きに埋もれ、…なに?かすかに、…ええ。体液の…汗?

   いやらしい?

匂う、肉体の

   いやらしい?

に、…そう。筋肉のしなり。と、あり得ない奈落に堕ちるじぶんの肉体がふと、

   すいこまれるかに!

      やめて。すくわ

あり得なくも

   際限もなく

      わ。わっ

見えた気がした。まぼろしのように、

   救わないでいて

      花。もう

         色彩

しかも

   きみは、この

      ね?わたし、さ

         悲劇的

いやに鮮明すぎて信じ難いだけのまぼろしのよ、…もう。確信しかない鮮明さを以て。やがて

   わたしをも

      吐きそうなんだ。もう

         色彩

波紋。かの女

   だから

      花に大量に

         凄惨な

わっ!は、ひそかにそっと、あの

   たやすく救い得る

      なぶられすぎて

         色彩。かつ

けもの。翼ある、

   なにものをも。もう

      花。そう

         無害にすぎない

蛇の下半身にとぐろを巻かせた屈辱的なけものに名づけた。エキドナEchidnaと。やや、

   糾弾を

      俊敏な、そう

さらにとおい、…至近?ひだりの

   われわれに

      微風は、ふたりを

背後の…接近!

   弾劾を

      とり残したね?

するどいななめに咆哮を、

   われわれに

      無垢なまま、猶も

…その。もう、たくまれた女声の啼き声を、波紋は両耳に慥かに聞き取って仕舞っていたか


   ら ;contrapinctus à 4

   ら

   ら。し、


   知ってる?これら

    い、

   花々は、やがて

    いっ

   燃えて仕舞うのだ

    いいっ

   もう、かつて


   え

    知っ

     い、

   え

    ええ。もう

     知っ

   え。す、


   すべて燃えあがり

   燃えて燃え尽き

   風化しきって仕舞ったものたちだ

   花々は、すでに


   どう?

      わたしたちには

    悔恨を、きみは

     野蛮であっ…そう

   どう?

      ややかすれていった鬱のため息も

    さら、ら。…すつもりか

     わたしたちには

   どう?

      凶暴であっ

    いまさら、この焦土に

     限界以上に瀟洒な、…そう。笑みをも

   どう?


   知ってる?これら ;canon à 4;01

   花々が、やがて

   燃えて、燃えあがり

   もう、燃え尽きて…え?


   仕舞うものだ、と

    花々が。知っ、…れら

   知ってる?もう

    燃えあがり、やがて

   花々は、かつて

    もう、燃え尽きて…え?

   燃えて、燃えあがり


   燃えて燃え尽き、

    焔を

     知っ、花々が、これら

   そう。すべて

    焔を

     燃えあが、…知ったんだ!

   そう、…え?

    圧倒的な

     知っ…燃え尽きて

   そう、


   そ。風化しき、

      知っ、花々が。これ

    焔に、…ら。燃えて

     知っていましたか?もう

   風化しきって仕舞ったものたち

      ら

    燃え尽き、そう

     花々は、…ら。かつて

   だっ

      ら

    すべて、燃え。…そう

     燃えて、燃えあがり

   だっ


   だった、ということを

      燃えあが…やがて。り、

    それはたしかに

     そう。すべて

   花は。花々は、すでに

      燃え尽きて…え?もう

    風化しきって

     そう、…え?

   きみの頸筋に

      仕舞っ

    風化しおわったものたちだ

     そう、

   蔦を、だから伸ばしたにひとしいの


   だっ

      あ、

    花々は、すでに

     風化したのだ

   が、…どう?

      あ、

    ね?きみの頸筋を

     きみは!きみは!ひとりで

   だっ

      あ、どう?

    悩ませていた

     懊悩するがいい

   が、…どう?


   どう?

      あの日、あのとき、あの瞬間、きみに

    ね?

     頸筋は、きみの

   どう?

      ささげたわたしのほほ笑みは

    ね?

     傷だら、ら、らっ。けだが…いま

   どう?

      風になりおおせて仕舞った?

    ね?

     ひかりはそれでも

   どう?


   知っ


   知ってる?これら ;02

      いま、どこに?

    壊滅。その

     赤裸々な直射

   花々が、やがて

      風は

    曠野に、ん?…そう。花

     を、

   燃えて、燃えひろがり

      もう

    花たちはすでに

     を、

   もう、燃え尽きて…え?


   仕舞うものだ、と

      鉄の強度を以て

    知っ、花々が、これら

     どう?

   知ってる?もう

      ええ、わたしの鼻孔に

    燃えあがり、やがて

     どう?

   花々は、かつて

      膨張してゆく

    もう、燃え尽きて…え?

     どう?

   燃えて、燃えあがり


   燃えて燃え尽き、

      尿道に

    焔を

     知っ、花々が、これら

   そう。すべて

      ひらいてゆく

    焔を

     燃えひろが、知っ

   そう、…え?

      翳りに

    留保なき

     知ってる?燃え尽きて

   そう、


   そ。破滅しき、

      知っ、花々が!らららっ

    焔に、燃えて

     知っていましたか?もう

   破滅しきって仕舞ったものたち

      ら

    燃え尽き、そう

     花々は、かつて

   だっ

      ら

    すべ、…ええ。そう

     燃えて、燃えさか

   だっ


   だった、ということを

      燃えひろがり、やがて

    それは、たしかに

     そう。すべて

   花々は、すでに

      もう、燃え尽きて…え?

    破滅しきって

     そう、…え?

   きみの頸筋に

      仕舞っ

    破滅しおわったものたちだ

     そう、

   棘をからめたにひとしいの


   だっ

      あ、

    花々は、すでに

     破滅したのだ。ええ、

   が、…どう?

      あ、

    ね?きみの頸筋を

     きみはひとりで

   だっ

      あ、きみは!きみは!どう?

    苦しめていた

     戦慄するがいい

   が、…どう?


   どう?

      あの日、あのとき、あの慎重なきみに

    ね?

     耳たぶは、きみの

   どう?

      なげかけた淡い疑問は

    ね?

     傷をさらすが、…まっ

   どう?

      雨のしずくになりおおせましたか?

    ね?

     ひかりはそれでも

   どう?


   知っ


   知ってる?これら ;03

      いま、どこに?

    殲滅。その

     はっ。無防備な発光

   花々が、やがて

      飛沫は

    焦土を、…そう。ひか

     を、

   燃えて、…り。燃えさかり

      もう

    り。ひかっ…ん?り。が満たし

     を、

   もう、燃え尽きて…え?


   仕舞うものだ、と

      ダイヤモンドの強度を以て

    知っ、花々が、これら

     どう?

   知ってる?もう

      ええ、わたしの口蓋に

    燃えさかり、やがて

     どう?

   花々は、口蓋に?かつて

      増殖してゆく

    もう、燃え尽きて…え?

     どう?

   燃えて、燃えあがり


   燃えて燃えひろがっ。尽き、

      膣孔に

    焔を

     知っ、知っ、知っ、花々が。これら

   そう。すべて

      微動しつづけた

    焔を

     燃えさかり、知っ

   そう、…え?

      翳りに

    赤裸々な

     知ってる?燃え尽きて

   そう、


   そ。腐敗す、…ん?

      知っ、花々が、知っ。これら

    焔に、燃えて

     知っていましたか?もう

   腐敗すらせず消えたものたち

      ら

    燃え尽き、…ん?

     花々は、かつて

   だっ

      ら

    すべて、ら。…え?

     燃えて、燃えあがらんっ。り

   だっ


   だった、ということを

      燃えさかり、やがて

    それは、たしかに

     そう。すべて

   花々は、すでに

      もう、ひっ。燃え尽きて…え?

    腐敗すらもせず

     そう、…え?

   きみの頸筋に

      仕舞っ

    消えうせたものたちだ

     そう、

   棘を沈めたにひとしいの


   だっ

      あ、

    花々は、すでに

     腐敗すらしな、…ん?

   が、…どう?

      あ、

    ね?きみの…あ。頸筋を

     きみはひと…あ。りで

   だっ

      あ、どう?

    傷ませていた

     逡巡するが…あ。いい

   が、…どう?


   どう?

      あの日、あのとき、あの風景のなかのきみに

    ね?

     まぶたさえ、きみの

   どう?

      より添わせたせめてもの

    ね?

     血を垂れなが、…いま

   どう?

      ため息は、そう。朝の霞に?

    ね?

     ひかりは…ん?それでも

   どう?


   知っ


   知ってる?これら ;04

      いま、どこに?

    絶滅。その

     破廉恥な!乱反射

   花々が、らんっ。やがて

      霞は

    曠野に、…そう。花

     を、

   燃えて、燃えあがり

      もう

    花たちは孤立し、そう

     を、

   もう、燃え尽きて…え?


   仕舞うものだ、と

      いわば大気の強度を以て

    知っ、花々が、これら

     どう?

   知ってる?もう

      ええ、わたしの肛門に

    燃えあが…やめてくだ。り、やがて

     どう?

   花々は、かつて

      肥大化してゆく

    もう、燃え尽きて…え?

     どう?

   燃えて、燃えあがり


   燃えてひっ。燃え尽き、

      陰嚢に

    焔を

     知っ、花々が、これら

   そう。すべて

      と、隆起してゆく

    焔を

     燃えあがっ、知ってた?

   そう、…え?

      翳りに

    容赦なき

     知っ…燃え尽きて

   そう、


   そ。え?残酷で、さ。あっ!

      知っ、花々が、これ

    焔に、…ら。ら。燃えて

     知っ…どうですか?きみは

   残酷でさえない残像ですらもないものたち

      ら

    燃え尽き、そ

     花々は、かつて

   だっ

      ら

    おっ

     燃えて、もう。燃えあっ

   だっ


   だった、ということを

      燃えあっ。あっ。…ええ、

    たしかにそれらは。あっ、

     そう。すべて

   花々は、…え?すでに

      もう、燃え尽きて…ええ

    残酷でさえな

     そう、…え?

   頸筋を。きみの

      仕舞っ

    もはや残像ですらもないものたち

     そう、

   窒息させたにひしいの


   だっ

      あ、

    花々は、だっ。すでに

     残酷でさえ。…え?

   が、…どう?だ!

      あ、

    ね?きみの…だ!頸筋を

     きみはひとりで

   だっ

      あ、どう?

    だいなしにした

     だ!気絶するがいい

   が、…どう?


   どう?

      あの日、あのとき、あの…嘘?きみに

    ね?

     爪と肉との間でさえも

   どう?

      気づかれないままに終わっ

    ね?

     傷にまみれた、…が

   どう?

      ことば。ささやかないまま

    ね?

     ひかりはひかっ。ひかっ。それでも

   どう?


   知ってる?これら

      花々は、かつて

    どう?

     知ってる?やがて

   花々は、やがて

      燃えて仕舞っ

    知ってる?これら

     燃えて仕舞っ

   仕舞っ。燃えひろがっ…吼えるかに

      知ってる?これら

    花々は、がっ。やがて

     もう、かつて

   もう、か


   え?


   かっ!やがて燃えあがり

      風化。ええ、すでに

    知っ…すみやかに

     すべて、知っ。燃えあがり

   燃えて燃えひろ

      すべて、がっ。知っ

    花々は、やがて

     知ってる?燃えて

   風化しきって仕舞うものたちだ

      花々は、ええ。かつて

    燃えて仕舞うの

     燃え…だ!尽き

   花々は。…ね?


   じゃない?








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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