散文と旋律の無い複数の音声のための12の幻想的なフーガ ...for oedipus rex /b;...for oedipus rex #019
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください
#12//咬もうと、花を/したのだった。花を/か、/か、…え?//
まばたきもせずに、けものは見ていた。あの、翼ある獅子の蛇尾のけものは。彼女、決してじぶんに名をあかさなかった、あるいは明かすすべをもたなかった人型の肉体がいまや完璧な精密さを以てこと切れ、だから、死滅。そのせめてもの不穏な証明。くちびる。やや、うすくひらいた昏みの切れ込みから澄んだ血。青い血の、澄んで、…血。青い冴えた白いまでに青い色彩の筋を無数に垂らしているのをけものは見
ん?…と
ささや
見、
ささやかれかけた
や。…かな
見、あの、巨大な
その
ささや
太陽に魅了され、すべて血の筋はひたすら空にいくつも青い線を描いてゆく。花々はなおもかぞうべくもなくふりそそぎ、舞い落ちるまま空の底へと消えてゆくしかない。けものは、あえて女型の目を閉じてやろうともしなかった。名状し難く、名づけようもないその表情をけものは如何にしても解し得はない。ゆえに、その赤裸々な異形の無防備な異彩は花々におわれてゆくのみに、…と。奈落。あの、ふと、…陥没。あの。深刻な、やがて太陽がさらしはじめるにちがいない恥ずかしい
ん?
汚点。
ん?
名状すべきではない、故に
汚点
名づけ得はしない
ん?
落ち込みを、波紋。そしてかの女はひそかにタルタロスTartarosと名づけた。遥かにとおい、やがての背後にその咆哮を、すでにその耳は明晰に聞いていたか
汚点
恥ずかしい?
ええ、
ら。
花々に、きみは
きみも、そう
与えてあげておいたのだ
ね?…屈辱を
ええ、
花には、え?花。花
屈辱だけが、…あっ
花。似合うのだか
ら
はっ
ら、
繭にすぎな
発火しながら
知っ…る?あれらは
ら、
いっ。巧妙な
孵化してゆくのだ
擬態されていた
ら、
じゃない?
花々は、すべて
蛹にすぎ
ら、
見、
いいえ!
いっ。…だから、
いいえ!
まばたきもせずにけものは
そっと
喰う?
見ていた。あの、翼ある獅子。しかも蛇尾の
見ていた
喰える?
けものは。その、
息をもひそ
しゃぶる?
決してじぶんに名をあかさなかっ…どの?
見よ。花々は
沈黙?
しゃくりあげながら
た、あるいは
わたしたちを、ただ
まるで
かたむいているばかりではなかっ
明かすすべを、なんら
食用としてのみ
放棄したかの
かっ
もたなかった人型の、その
知っていたから
沈黙?
ったか!…あ、
肉体がいまや完璧な精密さを以てこときれ、だからその明確な破綻のせめてもの証明に、
あっ
くちびる。やや、
血
れら。そっ
うすくひらいた
と、赤裸々な
発光するかの
昏みの切れ込みから
血
れらっ。そ
澄んだ、
と、敏感な
光沢を。ええ
声を
血。青い血の、
きみは
そう。…え?
ふるわせたっ…れらっ。て、いいん
血。澄んで、冴えきった青白いまでに青い
敏感な笑みを
ええ
れらっ。声を
血。色彩の
くずすものだから
どう?
揺るがせたっ…そ。て、いいん
筋を
生きれ、れ、そう?
ほそく無数にそれぞれ垂らしているのを。あの、
られらっ。そう
傷めないでいて
太陽に、巨大な
られらっ。どう?
きみは。その
閃光に魅了され、すべて
生まれられそう?
眉毛を
血の筋はひたすら
られらっ。そう
執拗なまでの
空に
どう?
傷めないでいて
いくつもの
あっ
あっ
あっ
青い線を描く。花々は猶もかぞうべくもなくふりそそぎ、空の
あっ
あっ
あっ
底へと
生滅、し
消えて行った。けものは、
しな。なっ
あえて女型の目を
がら
閉じてやろうともしなかった。名状し難く、
ら
名づけようもない表情を、けものは如何にしても解し得はない。ゆえに、
生滅、し
とっくに、…そう
その
しな。なっ
花々たちなら
赤裸々な
がら
絶滅したではな、…きのうだ!
異形の無防備な
ら
共喰いに依って
異彩は、花々にのみおわれてゆくものの
あっ
あっ
あっ
…え?
咬もうと、花を ;contrapinctus à 4
したのだった。花を
か、
あ、
あ、
か、…え?
咬もう、と?
花を、
咬もうと。花を
唾液を、…この
したのだっ
うつしさえして
あ、
だっ
口に。ふと
あ、
あ、
あっ
あっ
夢見られていた
あ、
あ。…え?なたの
くちづけに
あ、
あ、
夢を見たよ。と
そう。…え?
嘘をついていい?
ええ、あるいは
え?…そう、
あいまいな沈黙
花のせい?
あいま
そう、
咬もうと、花を
色彩に。この
不鮮明に、花々は
したのだった。花を
綺羅めきに、この
さらしつづけたみずからの色彩に
散らさ。さ。…れてしかも
翳りにも、ええ
窒息。不透明な
踏みにじられて、そう
仕舞うのが
不鮮明な恍惚
鮮血を、どう…あ。せ
あ、
あ、
あ、
嫌で
この、ななめにゆがんだ
飛散らしておこうと、きみたちは
嫌で、…やっ
恍惚。不透明な
画策するのだね?
赦して
花を?
咬む。花を
ちぎっ
やっ!
花を、か
いっ。咬み
やっ!
あ、…ええ
つき、ち
あ、
あ、
あ、
咬もうとさえも
したのだっ
い
花々は、ええ。花たちそれぞれは
しずかに
花を。唾液の
いっ
褪せさせて、…色彩を?
し!
匂いを、…この
ちぎ
急速に
しずかに!
うつしこみなが
ら、
ら、
ら、
色彩に。花の
ぎ
あ、
綺羅めきに、この
ぎ
あ、
あ、
翳りにも。…と
ぎ
あっ
鈍重な恍惚
黙れ!黙れ!黙れ! ;responsorium à 3;01
そう、われわれは
知らないものたちだ
め、そうだね。おまえの
むごたらしくも
ら。饒舌以外に
鼻を舐めたから
花びらも、だ。蕊も、
だから!
だ。嘲笑したの…ん?
だっ
ん?
黙れ!黙れ!黙れ! ;02
そう、われわれは
知られないものたちだ
ちぶっ。…ね?おまえの
あつかましくも
ら。われら以外に
ケツにぶちこ
花びらも、蕊も
だから!
ええ。踏みにじったの…ん?
だっ
ん?
黙れ!黙れ!黙れ! ;03
そう、われわれは
知りようのな、な、
いっ。そうだね。おまえの
無邪気にも
ナメクジのふいの放屁以外には
あっ。耳孔に…そう、失禁
花びらも、あっ。蕊も
だから!
だいなしにあっ。あっ。したの…ん?
だっ
ん?
黙れ!黙れ!黙れ! ;04
そう、われわれは
知ろうとしな、…あっ
ええ。そう、おまえの
あさましくも
体腔に開口してゆくひまわり
めん!ごめん!ごめ
花びらも、蕊も
だから!
致命傷をおわ、…ん?
だっ
ん?
黙れ!黙れ!黙れ! ;05
そう、われわれは
知っ、どう?あなたは
そうだね。おまえの
むっ。…無垢?
快晴ですか?
頭頂に日の出を
花びらも、蕊も
だから!
黄泉返らせたの…ん?
だっ
でしょ?
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