詩的言語の技法、第4巻;八木重吉≪空とひかり≫を主題とする無旋律の音声のための変奏 -02
Ⅱ)fuga
きざまれたる ;thema
空よ
ひかりよ
朝は、あなたは ;canon à 4 #01
ね?ね?ね?
そう。ものういのだね?
朝は。いまきみは
ふっ、…え?ふっ
ええ。おまえは
ふりそ、
どう?ものういのだね?
きみは。朝だ、と。謂うのに
まばたきをさえ
ん?降ってくるのだ
見て
朝は、あなたは
降ってたんだ。もう
まばたきにさえ
ふりそそ、…ええ。もう
ものういのだね?
窒息を、ん?さえも。わたしたちだけが
空は。朝には
見よ。うめつくしていた
ね?ね?ね?だから
密集!…え?ひかりらの
空。あれらでさえもが
朝は。…あなたは ;antiphona #01
死んだふり?やめて
ものういんだね?
望みはしな、…そう
ね?だから、そこで
きみの壊れてゆくすがたなど
あいまいな、ゆるいまばたきをさえ
見せないで。だから
まばたきかけさえ
あえてわたしは
しな、…ほら
あなたのその野蛮な
見て。窓越しに
下半身に見蕩れた
そう。降ってくるのだ。そう
言ったね?好きだって
空は。朝には
やや、ひだりななめに
もう。まばたきにさえ
うつむいたわたしに
わたしには、…もう
見蕩れたふりをして
空。もう、あれらでさえもが
見せて。好きだ!
朝は。あなたは
と、わたしが。わたしこそが
あれらでさえもが
と、体毛のむれを。だから
ものう、…ほら
愛しておくよ
教えて
いまは、この
存在してる?ここに
手ざわりの野蛮を
わたしは
ね?
朝は、あなたは ;organum à 4 #01
ものういの?
そう?朝さえ、こんな
いくつだろう。…嘘
ものういのだね?
きみだけが、ね?
まばたきを、いまだ。まばたきをさえも
ささやかれ、…嘘。わたしが
ね?ね?ね?だから
さらしたのだ。上体を、その
まばたきはじめさえしないままだっ
嘘。きみにささやいた、
ん?まばたきをさえ
そう。降りそそいできて仕舞うのだから
ね?凶暴な、いまや
朝にさえ、…もう
総数は?嘘の
ええ、まばたきにさえ
ね?きみに、剥き出しにされまたは誇示されつづけた
空は。ささやかな
そう、嘘の。いまさらきみは
空は。朝には
繊毛。下半身の
開口をおしひろげてさえゆくのだが、
嘘。返り見る
空。あれらさえもが
わたしたちは ;aria
いいんだ。いまは
いまも、いまさえも
ゆびと、ゆびとを
かさねあっても
空よ
ひかりよ
きざみ込まれた
空よ
ひかりたちなら
散らされていたよ
空よ
ひかりよ
空よ
ひかりよ
わたしたちは ;contrapunctus à 4;01
いいんだ。いまは
空よ
ひかりよ
知ってる?あなたは
いまも、いまさえも
ひかりよ
空よ
やっぱり、ね?
ゆびと、ゆびとを
そ、…おっ
空にひかりを
うつくしいのだ
かさねあっても
空よ
破滅
雪崩れさってゆく
色彩に、きみの
ひかりよ
ね?ひだり目を、ね?
妄想に。そんな
空よ
きざみ込まれた
右手で。おおいかく
屈辱に駆られた
ひかりよ
空よ
ひかりたちなら
空よ
どこだろう?
ひかりよ
散らされていたよ
ひかりを
ひかりたちの
きざみ込まれた
空よ
埋葬した気だね?
滞留の、その。場所は
空よ
ひかりよ
空よ
ひか、
え?ひかりよ
だから、きざみつけられた ;sonata à 4;01
空よ
ひかりよ
だれを?
あるいは、拒絶したのか
なにを?
色彩を
ぼくたちは
さえを、も
ささやきかけよう
なま殺しにした
空よ
悲鳴のような
ささやかな微香
ひかりよ
ため息を。せめてやさしく
空よ
われわれは
聞かせてほしい
ひかりよ
異議を
きざみつけられたわれわれは
空よ
ひかりよ
眼をもひらくのだ
が、
空よ
裏切ってはならないよ
あっ
と、唐突な
ひかりよ
わたしを。生きとし生けるものたちすべ
あっ
失意。ふりそそいだかの
空よ
ひかりよ
空よ
見棄てないでください
なにものもかつて
あっ
ひかりよ。この
空よ
わずかな狂気にすらも
あっ
異議を
ひかりよ
ふれられなかったと謂うのなら、ば
あっ
あっ
激怒を。すべては
ひかりよ
ひか、
空よ
ら。ひか、
わたしに返した
可能なら、もしも ;canon à 4 #02
まだやわらかな。ええ、
うてば?ねがえりを
あたたかな、まだ
翳りは床に
みぎ側面をも、いま
可能なら、もしも
そのひだり側面にも
昏みを、なめらかな
うらぎりすてたら
きざみ込まれた
ら、できることな。ら、
可能なら、もしも
きざみ込まれているしかなかった
空よ
おまえには、いまこそ
うてば?ねがえりを…この
空よ
ひかりよ
そうだ!ほほ笑んでいてほしい
わたしをさえも
ひかりよ
あなたにふれよ
そう、
可能なら、もしも ;contrapunctus à 3 #02
見限ったかにも
なか、
ねがえりをうてば?
の、やや
なにも。なかったね?
みぎ側面をも。その
あいまいな挙動で
な、わたしたちに
うらぎりすてたら
見限ったならば
傷つけたよね?きみは
できないことは
もてあまし、または
沈黙を、猶も
不可能なことは
忌み、やがて
辛辣にさえ思えたほどにたもちつづけて
悩むべきなのは
願うなら、滅びを
きざみ込まれた
見限ったかにも
それは世界そのもののほうであっ
空よ
の、やや
頭頂を。…ぼくらの
ひかりよ
あいまいな視線で
直射を。ね?朝日が
あなたにふれよ
そう、
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