ユキマヒチル、燦濫 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi // ほ。舞い散る。…ほ/ほ、ほ、ほ、ほ、/ほ。舞い散る。…ほ/ほ、ほ、ほ、ほ、//散文と詩;29





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





詩織。7月。…やばっ。と。「高明、

   ことばが

      疾走

めっちゃ、

   わたしの

      あるいは

うんこ臭いね」立ったまま

   うしなわれてゆく

      失踪

振り向き見させた、その姿勢のままにもう二時間超ばかり高明をひとりいじめぬきながら、ふと。ありふれたいつもの罵倒句を。ふと。つぶやいた瞬間、ふと。思わず詩織は

   陥没に

      なぜだろう?いま

         放つ。ひかりを

涙を流した。

   落ちた

      せつない。すべてが

         穿つ。ひかりを

押さえていた感情が、…まさか。または耐えがたかった昂揚が…まさか。あったわけでは

   ことばが

      失踪

なかった。

   わたしに

      あるいは

唐突だった。あふれれば、

   うしなわれてゆく

      なに?

詩織。彼女は上半身を痙攣じみてふるわせ、そこにひとり泣きじゃくるしかなかった。高明の肌はもう、半分以上墨の色に染まった。謂く、

   わら、ら、わたしは

   ときどき、すこし

   笑いそうになり

   咬み締めた。歯が


   あさい傷みに

   咬まれていたかに

   吹き出しそう、で

   耐えらなく、て


   わら、ら、わたしは

      笑いたいのだ

    ひょっとして、さ

     かたくなってる?

   だって、それ。肌に

      わたしは。なにも

    いけてるつもり?

     ほら。乳首。その

   色彩。無造作に

      おかしくなくとも

    いきってる?やや

     タトゥーのしたで

   わななかせた。胸が


   息づかうたびに

      好きなのだ。わたしは

    あくまでも、さ

     やわらかい?まだ

   いらだたしいくらい

      あかるい部屋が

    かんちがいじゃん?

     ほら。いい?いじって、も

   吹き出しそう、で

      清潔な漏れ日も

    ばっちくね?やや

     笑いそうだから

   耐えらなく、て


   笑いそうに、な

   咬み締めた。歯が

   吹き出しそう、で

   耐えらなく、て

「じゅすい?」と。その、かろうじて聞き取った正則の発話をそのまま模倣し、…って、高明。「なに?」

「入水だよ。ようするに、海。とか?川?とか、そういう水辺に、」

「それって自殺みたいな?というか、未遂?まだ生きてんでしょ?」…入水。もういちど正則は

   知らない。ぼくは

      流れだせ

そっと口にして、そして

   罵倒の言葉

      すみやかに。そして

息をふかく

   きたない言葉、は

      よどみなく

吸い込み、なにか言いかけた瞬間に高明は、「にゅうすいしたってことか」

「その意図があったとは思えない。雅秀さんも、」…あいつが?高明。思う。あいつが、と、「秋子さんも、おれは」うろついてるの?「だから、おれも。もちろん」嗅ぎまわってる?「いま、あいつが完璧に、こう」仕掛けてる?「しあわせなの?って。そう謂われれば、」なにを?あいつが「ただ、」

「どの面さげて?」云った、高明。思わず、口をついたその言葉に、…だれ?「わかるよ。おれ、というか、」と。疑う。「おれにはそういう、…なに?」高明。だれ?「親子関係?お前らの、複雑な」だれのつら?「反抗期だし。ただ、」

「どのつら下げて叔父さんいまさらそんな親族じみた顔さらせてんの?」笑った。高明は、口走ったじぶんの

   吐く。おれは

      見えた?これが

言葉の、あるいは

   吐き、出す

      おれだよ。…ね?

明晰さに。実際、考えて見れば謂うべきはその一言だけだった気がする。事実、

   なぜ?

      なにが?

         なぜ?

そうだった。正則はふと、沈黙した。見た。高明を。表情は、言葉が途切れたその寸前の、そのまま凍り付くともなく持続する嗜虐、と。そんな気もなく、自虐?と。口さえ半開きの正則に、高明はなにか切っ掛けを与えたかった。だからそっと、「結局、」やさしい「叔父さんに、」声で「とって、」追い打ちを「ぼくらは所詮どうでもいい存在でしょ?もう、最初にあなたはぼくたちを見捨てましたよね?きれいさっぱり、と」

「違う。それは、」

   降ればいい。ただ

      ささやいて

         え?消えた

「なにが?違うの?なにが?」

「わからないんだよ。まだ、」

   われわれにだけ

      きみの、そして

         あ。頭痛が

「餓鬼だから?」

「とは、云ってな」

   雨が。どしゃぶりの

      ぼくの、いつかは

         え?あいまいな

「クソ餓鬼ですか?いま」

「まだ、だからお前が」

   雨が。ただ

      ささやくべき、その

         あ。ひたいに

「あなたにとって、この」

「知らないことだって」

「おれって。でも」…聞けよ!と。高明。思わず激昂して彼は叫んでしまった。と、周囲の眼に高明は上手な笑顔をつくって、なんでもないです。そ、すみません。そんな、正則。ただ、彼は眼の前の世慣れた少年に失語する。高明の眼には顔色を変えた、臆病な卑怯ものの卑劣が見える。もはや「この期におよんで、さ。マジ…」高明は意図的に鮮明な嘲笑を、これみよがしに彼に投げつけてやるしか「ある意味、」ない。「最終的にあんたが全部こわしたんじゃないんですか?おれも、母親も、なにもかも。ぜんぶ」金は、無理やり高明が払った。謂く、

   ない。むしろ

   いまさら、だから

   あなたに、なにも

   軽蔑、とか?まさか


   自由に、ぼくは

      なじった。と、

    ののしらないで。せめて

     匂った気がしていた。ふと

   吸い込む。息を

      言い訳のように

    わたしに。あなたは

     あり得ない、…の?

   吐き出す。くちびるに

      言葉。くちびるに

    与えるべきだ。安逸を

     そこ。口臭を、じぶんの

   なじませた。なにも


   ない。むしろ

   いまさら、だから

   あなたに、なにも

   軽蔑、とか?まさか


   自由に、ぼくは

      おちょくった。と、

    興奮しないで。そばで

     気づく。ふと、ぼくは

   吸い込む。息を

      なまいきを。ことさらに

    あげないで。不用意な

     なぜ?…不当じゃない?

   吐き出す。息を

      言葉。鼻先に

    声を。…不快だ。ただ、

     そこ、後悔を。なんに?

   なじませた。大気に


   ほら。ぼくら

   消していった

   滅ぼしていった

   声をも。それら









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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