ユキマヒチル、燦濫 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi // ほ。舞い散る。…ほ/ほ、ほ、ほ、ほ、/ほ。舞い散る。…ほ/ほ、ほ、ほ、ほ、//散文と詩；15

以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。

それ、と。夭子。「いま、」と。その

　　　あまやかな、…と

　　　　　　弾き損じた

６月。14歳の

　　　傷み、…と

　　　　　　E・サティ氏の

高明。窓のすり硝子の微光を背にしたあいまいな…ん？逆光。「なに？」返り見た高明に、夭子はふと深刻な失望を感じた。咬みつかれるかに。悔恨さえあたえたそれ。なぜ？夭子は息を

　　　そうなんだ。まだ

　　　　　　かたむけた

　　　　　　　　　いい。い、

あさく、

　　　わたしたちは

　　　　　　くびすじに

　　　　　　　　　突然、いま

吐く。表情は

　　　していた。呼吸を

　　　　　　翳り

　　　　　　　　　きみを、い

変えない。謂く、

　　　うつくしかった

　　　その一瞬、きみは

　　　ありえないほど

　　　完璧なほどに

　　　うつくしかった

　　　　　　いい。そう。きみは

　　　　さしつらっ。ら、ぬいた。ほら

　　　　　まるで、だから

　　　その一瞬、きみは

　　　　　　いいよ。そのままで

　　　　ささったのだった。傷み、が

　　　　　ほのめかすように

　　　ありえないほど

　　　　　　もてあましているがいい

　　　　ささり、さ、さ、

　　　　　ほほ笑むのだ、から、もう

　　　完璧なほどに

　　　きみはどこ？

　　　　　　そう。きみは

　　　　ささり、さ、さ、

　　　　　沈黙するのだ、から、もう

　　　さっきの、まるで

　　　　　　いいよ。いちどもきみは

　　　　傷みが、ささった

　　　　　泣き出すかのように

　　　取りつかれたかの

　　　　　　きみであるという実感を

　　　　さしつらぬ。ぬ、いた。ほら

　　　　　まるで、だから

　　　完璧なきみは

　　　きみはどこ？

　　　さっきの、まるで

　　　取りつかれたかの

　　　完璧なきみは

詩織。12月。桜木町の

　　　匂う。ただ

　　　　　　ええ。ぼくは

マンション。その

　　　陰湿な臭気

　　　　　　破廉恥です。もう

高層階の部屋は

　　　画材の。…と、

　　　　　　莫迦馬鹿しいほ

詩織のアトリエだった。となりの部屋には別に住居が、そしてそれらの元手はあくまでも両親の残した生命保険の金だった。ふたりそろって正面衝突されたトラック。不意のハンドリング・ミス。居眠り運転をそのドライバーは否定し、歩道を歩いていたふたりとちいさなひとりは吹っ飛ばされた。腕に抱いていた１歳児の母親は、…友人。父の、その

　　　なんですか？

　　　　　　え？

　　　　　　　　　聞こえない

娘。彼女は

　　　これは。いま

　　　　　　え？

　　　　　　　　　音響など

巨大な車体が視界を眼の前にふさぐかたわら、ただ、

　　　なにを見ますか？

　　　　　　え？

　　　　　　　　　すこしも、

言葉も意識を消し飛ばしているほかなかった。油絵。その絵具とオイルの匂いが籠る。嫌いだった。詩織は。だからことさらに窓をあけるのを拒絶していた。そこで、詩織はいつも高明を裸にひん剥いた。過剰な、過剰に恥ずかしいポージングで。そこ、その12月の

　　　ひらいて

　　　　　　傷いっ

雨の日、詩織は

　　　恥ずかしく、

　　　　　　網膜が

高明にブリッジの姿勢で口をあけ広げさせていた。そして、やがてはミネラルウォーターのやわらかなペット・ボトルをくわえさせ、そしてさらなるお決まりの過剰。過剰に過剰をかさねた罵倒。の、言葉を詩織は彼に「やばい。…」ささやきかけながら。「高明ってうんこ臭するね？」失笑。詩織。彼女だけがひとりで。日中、とおして強要されされつづける詩織のデッサン・モデルは、いつも

　　　ひらいて

　　　　　　ぼくですか？きみが

　　　　　　　　　苦しめて

恥辱と屈辱だけを

　　　恥ずかしく、

　　　　　　好きなのは

　　　　　　　　　傷つけて

高明にあたえた。最初の数回にとまどいがあったのは事実として、しかし、すぐ馴れた。いまや歎きに近い憐憫が、かつは憐憫に似た共感が、高明には目覚めきっていた。詩織は罵倒の言葉を好き放題、とはいえ、まずしい誤謬を繰り返すだけの

　　　いいんだ。きみって

　　　　　　壁から壁に

　　　　　　　　　の。見るがいい。そ

それ。喉に

　　　育ちが。意外に

　　　　　　ひびく。絶望が

　　　　　　　　　を。莫迦づら、

吐き散らしながら、まばたき。ひとり自虐と恥辱に懊悩し、過剰なまばたき。または、詩織。じぶんのなまぬるい陶酔に倦む。謂く、

　　　知っている。わたしは

　　　莫迦馬鹿しい。だって

　　　きみの存在自体が、

　　　だって茶番だったから

　　　知っている。わたしは

　　　　ね？言葉が、ね

　　　莫迦馬鹿しい。だって

　　　　眼の前で、きみの

　　　きみの存在自体が、

　　　　毒を吐いてゆく

　　　だって茶番だったから

　　　知っている。わたしは

　　　　　　なってしまいたい。むしろ

　　　　ね？わたしが、ね

　　　　　約束できるかも、と

　　　莫迦馬鹿しい。だって

　　　　　　あなたの、屈辱的な

　　　　すれすれで、きみの

　　　　　未来を。きみと、と。こんな

　　　きみの存在自体が、

　　　　　　柔順な家畜に

　　　　毒を帯びてゆく

　　　　　歓喜の唐突

　　　だって茶番だったから

花屋。支払う指先に、その釣りの受け取り。と、高明は…なにが？気になって香耶の手をつかんでやった。…な、添えられただけの親指。そしてあくまでも

　　　なにが？ぼ

　　　　　　見ないで

やさしい

　　　ぶくらを、な

　　　　　　きみだけは

人差し指で。しろい、

　　　追い詰めているの？

　　　　　　未来など

ちいさい肉付きのいい手に、瘦せた褐色に薔薇と蔦の色彩がかさなった。香耶は須臾、はっとして、すぐに笑みをつくりなおした。なにか言いかけ、しかしなにも思いつかなった。だから、

　　　かわいい？

　　　　　　見て

　　　　　　　　　唐突に、しろい

言葉。喉をふるわすべき

　　　やばい？

　　　　　　見て

　　　　　　　　　発熱を見た

言葉をなど。高明はそのまま、あくまでも戯れに６秒まで数え、その間、女。その瞳孔になにか確信じみた強固さがうまれ、ふと、胸が誇示するかに張られた。女にだけ、留保ないここちよさが漲りかけて想えた瞬間、「ありがとうございます」つぶやき、「すっげぇ、綺麗」ささやいて

　　　見つめていた

　　　　　　あったか

高明は

　　　きみを

　　　　　　あったか、…なんだ

香耶の手を

　　　あなたを

　　　　　　あっ

自由にした。あくまでそのまま、空中のそこで、しろい手はただ停滞した。見たくなかった。高明は、そのかたちの一瞬が崩れるのを。

　　　いま、綺羅めきが

　　　　　　あっ

　　　　　　　　　愛さない

なぜ？ふと、

　　　恥じらいもなく

　　　　　　あったか、…なんだ

　　　　　　　　　きみを

踵を返して立ち去りながら、高明。彼は女を

　　　射せばいい、のに

　　　　　　あったか

　　　　　　　　　愛せない

赦してやってもいい気がした。もっとも、電車に乗る頃にはきれいに忘れ去られた感覚であったにはしても。その、花屋に見かけた女の存在ごと。車両内、ひととひとびとの眼とまなざしがいたたまれないほど高明をふたたび苦しませた。謂く、

　　　感じた。そして

　　　見た。ゆびさき

　　　そして、爪に

　　　かすかな傷つき

　　　知ってる？じぶんの

　　　　かさついた。その

　　　見て。あまかわに

　　　　肌が。手の

　　　その、傷み

　　　　甲の。きみの

　　　うすさ。血色の

　　　悩んでる？きっと

　　　　　　不安だよ。すっご

　　　　かさついた。その

　　　　　笑えてる？ときどき

　　　違う？かなしい

　　　　　　すっごく。わたしは

　　　　肌が。手の

　　　　　いたたまれないんだ。なぜ？

　　　たぶん、つめたい

　　　　　　しあわせですか？ときに

　　　　甲の。きみの

　　　　　守ってあげたい。きみを

　　　ひとびと。だれかが。きみに

　　　できますか？あなたは

　　　しあわせに。わたしを

　　　したいですか？あなたは

　　　しあわせに。わた