ユキマヒチル、燦濫 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi // ほ。舞い散る。…ほ/ほ、ほ、ほ、ほ、/ほ。舞い散る。…ほ/ほ、ほ、ほ、ほ、//散文と詩;11





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





宇夢。7月。夏。喫茶店の窓が投げこんだよこなぐりの日射しに、左半分をさらした。眼の前にすわった高明の微笑はうつくしい。そして「彼女さんは、」高明。彼はそこに、

   混交。ひかりと

      肌は、きょうは

唐突に言葉を

   冷房の温度

      やさしいのだ。やや

うしなった。…元気なの?嫉妬。までは、高明。あやうく至らないあいまいな居心地わるさをその宇夢の目じりに「ジュージュ?」感じ取っていた。「…だっけ?横浜の、」

「桜木だよ」

「生きてる?」笑う。稀薄に

   違うよ。わたしは

      しあわせですか?

         いたずら。…じゃん

高明は。その、

   憎んでない。だって

      祈ります

         その目。ふと

宇夢の声には

   だって、もう

      しあわせですか?

         なんか、さ。ちょっと

かならずしも悪意が

   諦めてるから

      こころから

         笑える。なんで?

匂わない。莫迦っぽ、と。だから、その「生きてるよ」高明。…どうせ、さ。「なに?」

「虐められてるんじゃない?」

「樹々に?」

「高明に、」…まさか、と。「わたしみたいに」そうつぶやきかけた言葉を宇夢は、じぶんの喉の奧にだけ…なぜ?消費した。「寝てるよ。どうせ、いま」…もらって、と。やがてほんの数十分の逢瀬の最後。会計にたちあがるかけた高明に、

   待って

      ここに、ね?

宇夢はそっと

   待って

      いるよ。わたしは

5万円わたした。「なに?」

「すくないけど。困ってるんじゃない?わたしも、そんな、あれだからあんまり」

   そう。わたしは

      やさしい拒絶を

         温度。微光の

「いいよ」

   親切だ。きみに

      あげるよ。きみに

         あたたかな

「貰って。…いじめちゃだめだよ。あんま、かわいい彼女さん、」…って。笑う「見たことないくせに」高明に宇夢は突然の、ここちよさを感じた。「かわいいよ。どうせ」

   そう。きみは

      やさしい拒絶を

         温度。空気の

「なんで」

   繊細だ。わたしに

      あげるよ。きみに

         かわききっていた

「高明好きな子は、だって、たぶんみんなかわいいよ」…払って。ここ、だから、これで。そうつぶやいて、うわめに見た眼で宇夢はなけなしの金を握らせた。謂く、

   でも。でも。でもね?

   頑張れる、かな

   もっと。わたし、ね?

   可能性などなにもない地平で


   でも。でも。でもね?

    ラッキーだよ。だって

   で、で、で、も。…え?

    あなたを好きでいられる

   もっと。わたし、ね?

    じぶんさえ、好き

   え?え?え?…は?


   もっと。わたし、ね?

      刹那的、な。もう

    絶望だろうか?これ

     よかった。わたし好きでいられて

   可能性などなにもない地平で

      充実すっごいしあわせ

    愛するとは、そもそも。つまり

     すっごい鬱と躁やっばい

   未来など見えもしない場所で

      と。容赦ない不安

    求めるこ、なにを?…と。だったのか?

     屈辱的、な。なんか

   なおも、わたし。ね?


   え?え?え?…は?

    よかったよ。マジで

   もっと。わたし、ね?

    あなたに出逢えた軌跡に

   だ、だ、だ、あっ…え?

    感謝だ。好き

   だから、ら、さ。ね?


   未来など見えもしない場所で

   なおも、わたし。は、

   頑張れる、かな

   だから、だから、ね?

あんな目で、

   あどけないのだ

      聞こえる?

         ひび、

と。高明は

   ささやき。その

      聞こえてる?

         ひびき、

耳打ちした。「見ないで。ぼくのこと。もう、二度と」11歳。高明。その9月。参観日、5限目に振られ、だから母親と一緒に帰るしかなかった。その下駄箱で、外履きに履き替えた高明はそっと、もうたいして変わらない背丈の高子にやや顔をあげ、…ね?

   見て

      と、ふと

ん?

   見て

      墜落。と、

ね、と。そう目で高子にそっと呼び掛け、耳。やや傾いたそれに、「やめて、…」つぶやいていた。やがて、…わかった?と。ささやき終わって、高明が置きざりに歩き出し、と、ふいに高子はわれに返った。ようやくと惑いを、数歩前。そこに高明が立ち止まって、1秒。いきなり返り見た。…帰るよ。立ちつくしていた高子に。「高子ママ、

   衝動的に

      いで。しな

         ないよ。あなたに

ほんと、ときどき

   ぼくは虐める

      気にしな、な

         悪意など。むしろ

とろくさい」やがて

   突発的に

      いで。しな

         憐れみ、に、ちかい

追いついた小走りのかたわら、笑った邪気もない高明の素直が、むしろ高子を焦らせた。高明。いちども授業中、背後に母親をなど返り見なかった。知っていた。高明は。そうにちがいない。いつでも高子がさらしていたあれ。あの、熱のある目で、そこ。

   まどいのある眼で

      くどっ

返り見なかった

   うるみのある眼で

      くさっ

そこ。じぶんを盗み見るかに見つめていたに違いない。高明のひとことで、誰彼ともなく讃えられた高明の利発への昂揚が、褪めた頭に高子はそっと、今日も昏い風景を見る日だ、と。思わずかるい歎きに染まる。謂く、

   ふる。ふ。穢い

   石が。小石が

   雨。あら、れ、ほら

   ふ。ふる。ふ。熱い


   石が。小石が

    やや、すこしだけ

   石たちが。牙が

    鬱を咬むのだ。喉。だから

   生えた石。が

    わたしは、歯茎も

   石が。小石が


   石が

      稀薄。褪せた

    やや、すこしだけ

     くちびるを乾かしま、渇く?

   石たちが

      発熱が。…微妙な、

    鬱をにじますのだ。口蓋。だから

     あざやかな。と、ふたしかな

   牙が生えた

      そう。苦悩させていまし、まぶたを

    粘膜にも

     懊悩が。執拗な

   小石が

11月。…み、

   至近に、耳

      ええ。ぼくたちは

         好き?

と。14歳。その

   に、耳うちさ

      孤立に。ふたりの

         いて。そばに

高明。…壬生くん、

   れ、た、かに

      籠りきろうと

         好き?

と。声。その声に返り見たとき、由比が浜。稲村が崎の数百メートル手前あたり。高明はそれに顔をだれとも思いつかなかった。返り見て、

   思い出せない

      ぼくに突然の

ようやく神林祐也と

   なにも。いとしい

      きざす、のだ

戸田光輝を

   過去さえ、も

      嘲笑が。…だけが

見止めた。どちらの声とも思いつかないままに。「ひさしぶりじゃん、」と。こともなげに笑った高明に…見た。ふたりは違和をのみ、「やばっ」と、…見た。とりあえず無意味に話しかけていた高明の声を断ち切り…いき、「生きてたんだ」ささやいた。光輝は。だから、かれら。小学校の同級生たち。「おれ?」

   おまえだ!

      なんか、さ。やや

         ひかりたち

「なんか、さ。すっげぇ」

   おまえこそ

      影、さ。やや

         よ。ひかりたち

「生きてるよ。死んだって?」

   おまえだ!

      うすくなっ、やや

         ひかりたち

「やられちゃったりしてんじゃね?って」と。失笑。無邪気。かつじぶんの口走った言葉その不用意に祐也は思わず焦燥、

   不穏な

      ぬぐえ。その

と。羞恥、

   いやしがたい

      涙を。きみは

と。自己嫌悪、

   不快な

      うつくしい

と。を、「おれが?」感じた。「いるじゃん?東京の、」光輝。「すっげぇの」

「椿さん、か。…」そして、

   ささやきを

      駄目だ!だ

高明は連れた樹々にふたりを

   かさね、て。かつ

      クソだ。おれは

紹介してやった。ふたりにとって、

   ささやきで

      死んだほうがい

樹々はあまりに華美でけばけばしく見えたに違いない。それが高明にはおもしろい。そして樹々。彼女はつつましく姉貴風を三人に吹かす。学校ではもう伝説の男だと、高明のことをふたりは囃した。謂く、

   しないで。心配、は

   もう、充分わたしは

   苦悩していた。すでに

   こんなはずではなかったのだから


   しないで。心配は

    そう。ね、たしかに

   ないよ。心配

    しあわせだ。わたし

   わたしはもう

    視野があかるい

   苦悶そのもの


   ひかり、さえ、も

      見える?見たい?

    現在がかがやく

     じょうずに、いま

   やや恥ずかしい。かつ

      見ている、わたしが

    すてきだ。生きるって

     笑えてたり、する?

   ほら、笑い声をも

      風景が、この

    視野があかるい

     すてきに、さ。わたし

   そこら。明るさも


   しないで。嘲笑は

    現在がかがやく

   意味ない。そんな

    恵まれてる。わたし

   わたし自身が

    そう。ね、たしかに

   せせら笑いを


   しないで。嘲笑、は

   他人ごと。しょせんは

   救わないだろう。すでに

   手遅れだと見放すことさえ










Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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