ユキマヒチル、燦濫 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi // ほ。舞い散る。…ほ/ほ、ほ、ほ、ほ、/ほ。舞い散る。…ほ/ほ、ほ、ほ、ほ、//散文と詩;03





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





覆いかぶさっていた。ユイ‐シュエンは、高明。最後の肉体。その、

   終わりに。夜の

      ひびいたはずの

ユイ‐シュエン。その

   燃えるだろう

      ざわめきさえも

髪の毛の

   朝日は。きっと

      聞き取れなくて

触感と匂いと煙りじみて捉えていた高明の感覚。うっとうしいともいとおしいとも考えられずに、高明。彼はくちびる。ひらきかけていたそれに侵入した髪の数本を

   そう。きみは

      ねぇ明日

         しみこんだ

味わう。

   愛したね。ぼくは

      行かない?見に

         陰湿な甘み

と、まばたきさえも、もう

   そう。きみは

      海を、ねぇ

         舌。右わきに

やめてしまった眼が雪、と。知った。見えた。右よこ。窓の、切り取られた昏い空の上空から、雪。降り散りはじめた色彩。ほのかな、雪。厖大な、色彩。それら、点在は慥かに雪、と。くちびるは、

   見て。あれは

      告げ口。…を、

喉は、

   雪。ほら

      す、す。る。す、よ

舌も。歯頚も。いまや

   あれが、…見て

      耳たぶに、きみの

雪、と。たぶん

   見て。あれが

      す、す。る。す、よ

まだ気づいていないはずの

   雪。ほら

      告げ口。…を、

あたたかなもの。それ。彼女。ユイ‐シュエンに、そっと教えてやろうと雪、雪、雪。渇ききった口蓋に高明はなんどもなんども息を

   やさしい、の

      なに?

         雪。あの

口もと、執拗に

   やさ

      なに?

         色彩

ひからびさせていた。謂く、

   雪。ゆき。ゆきは

   やさしいのだ。たぶん

   わたしたちには

   きみにも、だから


   そっと、だから

    雪。ゆき。ゆきは

   息をつき、ほっと

    やさしいのだ。きみに

   ささやきあうべきなのだ

    わたしたちにも

   だから、ふたりは


   そっと、だから

   息をつき、ほっと

   ささやきあうべきなのだ

   だから、ふたりは


   雪。ゆき。ゆきさえ

    見あげ、ななめに

   やさしいのだ。たぶん

    もたげた頸。顎に

   わたしたちには

    映えさせ、雪を

   きみにも、だから


   雪。ゆき。ゆきさえ

   やさしいのだ。たぶん

   わたしたちには

   きみにも、だから


   見あげさえ、ななめに

    雪。ゆき。ゆきは

   すれば、きみに

    やさしいのだ。きみに

   もたげた頸。顎に

    わたしたちにも

   映えただろう、雪は


   見あげさえ、ななめに

   すれば、きみに

   もたげた頸。顎に

   映えただろう、雪は


   雪。ゆき。ゆきは

      なに?それ、わ

    ほっと、だから

     気配ら。網膜にゆらめくそれら。の、綺羅ら

   やさしいのだ。たぶん

      いま、きみの

    息をつき、そして

     きみに、いま

   わたしたちには

      翳りら。網膜に綺羅らぐそれら。の、ゆれら

    ささやきあうべきなのだ

     なに?それ、わ

   きみにも、だから

桜木町。壬生高明をひとめ

   臭気が。錆びた

見、ほんの

   臭気が。褪せた

数度。まばたき、

   臭気が。陰鬱な

穆介。九鬼穆介。無駄のない顎。くちびるが、ふと唐突な失笑を漏らした。13歳。その

   なんですか?

      須臾。の、

         ひとびとは、いま

高明。彼は

   わたしは凶器

      失語。を、

         迂回する。ぼくらを

そのとき思わずいぶかっ…ん?

   不用意な

      ええ。わたしたちは

…なに?

   動揺だった

      活発であ

と。くちびるがささやく音声を知る前にはすでに、穆介は謎をあかしていた。つまり、…壬生くんて、と、さ。「なんか、むかつく顔してるよね」

   無邪気に、ね?

      影の、足もと

         あたたかな空気が

「むかつきます?」

   笑えているのだ

      縮み。足もと

         侵入していた

「なんか、さ。みんな莫迦で、結局は莫迦で、そういう馬鹿しかいないことに虐められてる自分がはがゆいって。…感じ。そういう、さ。なんか謂っちゃえば難解な顔、してるよね」笑った。かたらわらの山田樹々だけが、

   誰よりおれは

      売国奴です

         これは、ね?

ひとり。「それ、むしろ」

   苦しんだのだから!

      非国民です

         よろこび。ぼくらの

その「穆さんのほうこそめっちゃ難解すぎてません?」2歳年上の樹々。彼女がこれみよがしに大人び、大人の穆の相手をする矜持を高明は至近で厭うた。あるいは

   不快な、きみの

      やめておけよ

穆介の謂うことは

   体臭を、…ね?

      おれの軟骨が

どこか、

   撒き散らすなよ

      咬みつく、ぞ

結局はただしく言い当てているかにも想われた。高明は、たしかに周囲に愚鈍愚劣な加害者をしか見止められなかった。はじめてはっきりそう思えた。穆介。25歳。山田椿に比べてさえ年上の彼は、姿。ようするに基本、端正で造作の

   そっと、背後

優秀を

   に、耳うちするか、

見せつけながらも

   に。そっと

高明の眼に、衰微。…を、もう、どこにもかしこにも細部にも全体的にも輝きと、瑞々しさとを失った衰退をのみあかしつづけて見えていた。

   しかも、耳

      あなたに明日

樹々。ことさらに

   に、ささやくか、

      雨が降るんだね?

高明に身を

   に。しかも

      ささくれだった飛沫

ふれ、お互いそれぞれの所有権保有を、だれに謂うともなく誇りつづけ、笑い声。ときに。饒舌な喉。固有の、やや

   錆びた、よう、な

      なめらかに

         やめて。それは

甲高い音声を

   いらつく、よう、な

      笑えていた。…ね?

         なまなましいから

樹々はさわがせつづけてやまない。謂く、

   吐き出すのだろう

   息をわたしは

   さわや、…え?すがすがしくて!

   吸いこむのだろう


   感じていた。の、は

   臭気。それは

   なぜ?なにが?

   とは、思いつけない


   臭気。それは

    錆びた、よう、な

   感じていた。の、は

    変に、しかも執拗に

   なぜ?なにが?

    その。なまなましい、

   とは、思いつかせない


   臭気。感じていた

      息をわたしは

    錆びた、よう、な

     吐き出すのだろう

   臭気。それ

      すがすがしくて!

    変に、しかも執拗に

     さわやかす、す、す、

   なぜ?

      吸いこむのだろう

    その。なまなましい、

     深呼吸。…だねっ

   なにが?…と、


   臭気。あきらかな

   いまも、ぼくらに

   滞留し、きみは

   気づかない。…猶も


   臭気が、あ

    錆びた、か、か。の

   あきらかな、が。…ぼくらに

    変に、やや。やや執拗に

   滞留し、きみは

    それ。なまなましい、

   気づかな、な。…猶も


   臭気。あきらかな

      ノイズが。だから

    錆びた、よう、な

     あやうく想えた

   臭気が、ここに

      耳は、わたしの。都市のひびきを

    変に、しかも執拗に

     なぜ?ここにいるという

   滞留し、

      聞き取ったのだ。騒音として

    その。なまなましい、

     事実自体がややあや

   気づかない。きみは


    あやうく想えた。なぜ?


    すべてが。ノイズが


    聞き取った。耳は


    都市のひびきを、騒音として


高明。おさない頃には天使のような、

   あかぬけてない?

      らし、し、し、

と。ようするにそんな

   あかぬ、ぬ、

      かわいらしい、ね?

常套句に囃されるまま、おとなたちの嬌声を卑劣な媚びと見、笑った。ものごころつき、容姿がもはや稀有なうつくしさをさらすにしたがい人々は、それら、そのそれぞれの眼に不吉を知った。長生などできはしないだろう、と。じゅうぶん大人になる前に、たとえばなにか残酷で理不尽な破滅が彼を破壊してしまうのだろう、

   灼熱の!…の

      翳った?と

         ささやき声を

と。だから非業の、

   豪雨が!…が

      見あげれば。ふと

         聞いた気がした

…って、と。

   大量の!…の

      雲が。清潔に

         ささやく声を

って。こういう子って、と、「大人になったら、意外に、さ。かすんじゃうんだよ。…むかし」その「美少年。やがて地味な」不用意な「だめ人間」失言。壬生正則。兄たる彼の、本人的にはあくまでも無邪気で親密な放言を、高子。壬生高子はそのまま聞き流してしまった。ひさしぶりに、正則が訪ねた雪の下。その笹翳りの庭に。足もと。フローリングに高子と正則を交互に見上げた6歳。その

   かたむけた顎に

      稀薄、な

高明。その、

   ひかりが。ななめに

      幸福、を

冴えた知性の新鮮な実在をはふたりはあやうい上空に気づかない。あるいは正則こそが高明。おとなの愚鈍を知った最初でもあった。やがて、12歳をすぎたころには時に極端な不遜。極端な臆病。極端にやさしく、極端に冷酷、と。時々さまざまに矛盾する印象を投げ与え、と惑わせ、めざましい容姿はむしろひとの目に傷ましかった。なにかの疾患か、障害かの存在を案じさせるほどにうすい、…彼。不安な眉。しなやかな身体能力。あざやかな褐色の肌。やや堀のふかく、しかもふかすぎない造形。特有の、癖をまなざしに残す挙動。それらひとつひとつの鋭利。俊敏。瘦せた、しかし充分に張りのある肉体を、華奢すぎたうなじあたりにさえしずかに誇った。みずみずしい飢餓のある優美なけもの、と。平凡な目が、その思いつきの凡庸を羞じながら云い、しかも、それ以外には形容のしようがない。恋を知るのは誰よりも遅かった。とまれ、知られるのだけは誰より早く、かつ知られかたは辛辣だった。いつでもすでに、

   なまなましい、ね?

      く、く、

情熱。さまざまな、しかし

   なまめかしい、ね?

      く、く、く、

最終的には恋と謂うひとことで片付けてる以外にない情熱のさまざまを、女たち。さらし、見せつけ、ほのめかし、訴え、無言に、咬みつぶし、それら、高明への恋に飽きない女たち。周囲、氾濫した無数のまなざしの表情のなかに、高明は

   くさっ

      あ。唐突な

         なまなま、…ね?

いつでも

   く、く、く、

      この世の果てだ

         なまめか、…ね?

息づかっていた。彼のまわりだけ、女たちは華やぎ、恍惚にふれ、勝手に歓喜し、歓喜の自分勝手にも倦み、基本、

   嗅ぐがいい、ぜ

      青よ。その

あるいは

   臭気を。花の

      氾濫せよ。色彩は

自虐した。謂く、

   花。たとえば

   ブルボン。青の

   その花。花弁を

   見た。強靭、と


   好きだな。す

   ぼく。は、…好き

   す。好きだ、な

   な。ぼく、わ


   花。花は、たとえば

    咲いてはいないよ

   ブルボン。青の

    あなたのためには

   その花。花弁を

    咲きはしなかった

   強靭と、見た


   好きだな。す

   ぼく。は、…好き

   す。好きだ、な

   な。ぼく、わ


   花は、たとえば

      おぅ。そうだ

    咲いてはいないよ

     れい、き。き、

   ブルボン

      暴力的な増殖で、その

    あなたのためには

     危機?きれい、だ

   青の花弁を

      埋めよ。地平を

    咲きはしなかった

     れい、き。き、

   強靭と見、


   好きだな。す

    咲いてはいないよ

   ぼく。は、…好き

    あなたのためには

   す。好きだ、な

    咲きはしなかった

   な。花。な、見、


   疑え。むしろ

      恍惚と軽蔑と、を

    なすすべもなく。だから

     傷めていいよ。そっと

   なぜ?なぜ?なぜ?

      いられなかったんだ。もう

    容赦なく、わたしは

     自虐に、自傷するかに

   うつむかないでいられたのだ?…と

      感じずには。ぼくは

    失語してしまう

     花翳り。で、きみは

   その自重に。なぜ?


   不穏でさえあ、なぜ?

      不安と嘲笑と、を

    きみの。きみた、ちのまなざしが。だから

     傷めていいよ。そっと

   もてあましかつ苦悩するかに、…と

      いられなかったんだ。もう

    容赦なく、わたしを

     自虐に、自傷するかに

   なぜ?なぜ?なぜ?

      窒息せずには。ぼくは

    失語させている

     花翳り。に、きみは

   見蕩れたの?きみは


   おれを。ぬすみ見た

    存在しないよ

   頬を。その。くちびるを

    あなたのためには

   ブルボン。青の

    存在しはしなかった

   花を見た、かの


   おれを。ぬすみ見た

   頬を。それ。くちびるは

   ブルボン。青の

   花を擬態し、おれは


   花。たとえば

   ブルボン。青の

   その花。花弁を

   見た。強靭、と


   好きだな。す

    咲いてはいないよ

   ぼく。は、…好き

    あなたのためには

   す。好きだ、な

    咲きはしな

   な。ぼく、わ


   へし折れ、は

   しないよ。自重に

   ブルボン、が

   まだ









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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