ユキマヒチル、燦濫 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi // ほ。舞い散る。…ほ/ほ、ほ、ほ、ほ、/ほ。舞い散る。…ほ/ほ、ほ、ほ、ほ、//散文と詩;02
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
ノック。
そっと。やや
渇きが
…え?
二度だけの。
撫ぜつけるかに
なぜ?
ちがうよ。わたしは
ひびき。まるで、
そっと。やや
喉に
しあわせですから
耳鳴りの残響を聞いたかに、ユイ‐シュエン。その耳は、渋谷。道玄坂沿いの古いマンション。高層階。その瞬間のユイ‐シュエンは部屋にひとりでいた。いきなり腹が減ったと言いだした高明。彼が、ファースト・フードだかコンビニだかで、彼のためだけの食料を
なんで?お前、
ベッド。で
買い込みに
さ。なんで、そんな
シーツを、指
…微笑。その。
小食なの?
もてあそんでみ
出て行ったばかりだったから。山田椿にあてがわれたふたりの拠点。そこ、深夜のノックはユイ‐シュエンになぜか唐突な異物にすぎなく想えた。だから、ユイ‐シュエン。…と、いびつな印象を返り見、そして息を
世界が、いま
ひそめた。兄たちとは
壊れ去るんだ
想えなかった。高明?帰ってきた?それ以外には考えられない。不審だった。不穏だった。不安だった。高明に、そばにいてほしかった。あてどない迷いの稀薄の数秒、いざ、
感じている
聞きたいな
つけておこうか?
開けてみればドアの向こう、
鳥肌がたつ
きれいで、清楚な
きみのために
無人の通路だけがさらされていたにちがいなくさえ
感じている
ピアノ曲
照明を
感じられていた。想った。やがて帰って来たほんとうの高明にすがり、じぶんはこんな数秒の恐怖をしゃべりたてるだろう、と。聞いた。そのじぶんの喉に立つ笑い声をさえも。だからそこに
ね、ね、ね、
たら、た、
ユイ‐シュエンは、ほんの
は。は。は。
わたしったら、ね?
数分あとのしあわせなユイ‐シュエンを、
ね、ね、ね、
ら、ら、た
それ以外をは考えられない。かつ、その明確なじぶんの姿を信じられもしない。やがて開けたドア、…の、つっかりのある重量。こんなに、と。
重力が。今日は
隠れてしまっ
ゆびさきが
重かったっけ?ひらくのに
発狂したようだ
月さえも
傷いよ。すこし
苦労し、肩でドアを…どけて、押しながら、…お願い、と。「どけてよ。高明。無理だよ。重いよ」そう、なんどもつぶやくじぶんの声を、ユイ‐シュエンはひとりだけ体内に聞いていた。咬み締めた顎が、口蓋に唾液を溜めていく。息をつめた。無理やり押し開け、抱きしめた。ドアにようやく身を預けて立つ高明を、それ。腕のなかに
おかえり
咬んだのだ。この
倒壊するかに
ここは
胃の底に、わたしは
倒れ込んだ肉体。もう、
あなたの場所
悲鳴を。じぶんで
じぶんの足では歩けない。高明は。あるいは過失だった。ようやくベッドに運んだ高明の背にささっていたナイフ。それを引き抜いて仕舞ったことは。覚えのある手ざわり。ナイフ。血が吹き出す。あたりまえだった。血。勢いよく、血流。まさに、解き放たれて歓喜したかに。冷えてゆく、と。ふれあう高明のその肌の温度が悲しくて
感じなかった
滅びだ
に、きみに。あたたかな
ユイ‐シュエンは
肌は、その肌に
破滅だ
吐息が。わたしの
その着衣を
ざらつき以外は
滅びだ
に、の。ふれればいいのに
脱がせた。昏がりにも見えた気がする。着衣の、血にまみれはじめた圧倒的な穢らしさが。せめて最後には彼はユイ‐シュエンの、やさしい素肌にだけただ、あたたかく癒され憩うべきだった。だから
おかえり
凍えてるんだね?
かさねた。
ここが
骨髄さえもが
肌を。しめりけが
あなたの場所
わななきかけて
あった。ふれあう肌。どこにもすべてに汗?血?なに?いずれにせよ体液。高明の。廃棄されてゆく厖大な水分。そのべたつき。あたたかい?…と。想う。ユイ‐シュエンは、ほら、と。こんなにも、と、
もっ。もっと
月が、あかるく
こんなにも、こ
わたしたちは、と、
て。せめて
かがやかしく
だ。愛しあったん
こんなにも、と。
もっと。もっ
ふりまけば。…ひかり
わたしたち、は
あたたかい。その言葉。喉の奥深く。言葉。それら。の、群れ。聞き取られるすべはない。高明に、耳。彼の。それはあらく息づかう女の喉の音響をざわめく騒音としてのみ聞く。鼓膜。いたぶられるかに、至近。ごくごく、ちかくに
時は、もう
尽きる?燃え、もう
燃え尽き、月は
照らすんだ。ぼくを
雲のうえで
なぜ?こんなにも
終わろうとしている
ちかく。ちかく。そして
その、空の
よるはくらいまま
ぼくらは。そして
なにもわからなくなってゆく。すべて
どこかで。夜の
あかるかったっけ?なぜ?
終わってしまうのだ
ちかく。ちかく。やがて
さなかにも
時は、もう
あまりにも。いま
尽きる?燃え、もう
容赦ない正確さ、で
燃え尽き、月は
明晰さで。ぼくらは
照らすんだ。きみを
雲のうえで
果てようとしている
その、空の
ぼくらは。そして
どこかで。夜の
つき果ててしまうのだ
さなかにも
容赦ない、ほら
正確さで。もう、
圧倒的な、ほら
明晰さで、いま
時は、もう
なぜ?ひかりたち
いま、あまりにも
とおく。とおく。そして
尽きる?燃え、もう
いやになるくらい
容赦ない正確さ、で
あきらかになってゆく。すべて
時は、もう
あかるくない?なぜ?
明晰さで、ぼくらは
とおく。とおく。やがて
尽きる?燃え、もう
雲のうえで
その、空の
どこかで。夜の
さなかにも
雲のうえで
月は
その、空の
月さえも
どこかで。夜の
月が
さなかにも
壊れてゆく、と。廃棄されてゆく、と。うしなわれてゆく、と。その疲れ果てた高明を仰向けにして、癒すことをのみ、むしろその命の維持そのものにも優先させた結果になったじぶんの須臾の錯乱を、
殺したのだ
喪失
ひびきつづける
ユイ‐シュエン。彼女が
わたしが
永遠の、
残響。波の
悔いるのは彼の息が止まったさらなる数日後にすぎない。謂く、
悔恨を。そして
追憶と。だから
現在と過去は
未来さえもが
なくして、意味を
すでに、時間は
滑稽な、だから
ほほ笑む。わたしは
悔恨を。そして
放尿の瞬間に
見た。夢を
生きているのか?
追憶と。だから
匂い。ふと
みぎの、ちいさな
わたしは。猶も
現在と過去は
思い出しちゃった。きみを
こゆびの爪に
可能なのか?それは
未来さえもが
なくして、意味を
かたむく夕日に
裂けたその、爪に
自傷を?自死を?
すでに、時間は
なぜ?唐突な
色彩のあいまいな
赦さない空が
滑稽な、だから
襲われちゃっ、…恐怖に
花が芽吹いた
ひかりを落とす。猶も
ほほ笑む。わたしは
悔恨を。そして
なくした。意味を
追憶と。だから
時間は滑稽な、…もはや
現在と過去は
笑みを。ふと
未来さえもが
なくした
すでに、
滑稽な、…と、
笑みが。わたしは
高明。想えば、その最後の数分、なんどもあさい眠りから醒めたものだった。すくなくとも、高明自身にはそう
見て。もっと
孔。まるで
行かないで
想われた。だから
その虹彩の
深刻な、孔
ひとりにしないで
みじかい昏睡と
溶解までに
孔。そこで
行かな
覚醒の連続。…と、違和。あくまで、慥かにそれらふたつはもはや同一にさえ思えた。色彩のない白濁。と、覚醒に見えた唐突な昏がり。冴え、意識。その、冴え、醒めて醒めゆくそのたびにいま、偽りだ、と。じぶんが見ている風景は、と。この。偽り、と、これ。だからおれは、と、いま。この絶望的な虚偽をなまぬるく見出している、やさしいフェルト生地の襞に無際限につつまれたかに。高明。根拠のない懐疑にもてあそばれ、しかもかならずしも焦燥はない。そのこころの微妙な動揺の、必然などなにも想いあたれないまま
ちがうよね?ちが
違うだろう?いま
本当の世界は
苛酷なままでしょ?
剥ぎ取れ。もう
その見かけを
わたしは、すこしも
必要としない
渇いた。ぼくを
沈めてくれ。だから
雪降る海にでも
渇く。ぼくだけが
ちがうよね?ちが
ね?…信じられる?
息ができない、と
渇いた。ぼくに
違うだろう?いま
きょうの夜。夜は
どこかでおれが
散らばった。唐突に
本当の世界は
妙に、あかるい
あせっている、ぜ
それら、痛点が
苛酷なままでしょ?
渇いた。ぼくを
沈めてくれ
雪降る海に
渇く。ぼくだけが
剥ぎ取れ。もう
ね?…世界の破滅?
もちこたえられない、と
渇いた。ぼくを
その見かけを
きょうの夜。夜は
どこかでおれが
沈めてくれ。だから
わたしは、すこしも
妙に、あかるい
あわてている、ぜ
降るの?海にも、雪は
必要としない
渇いた。ぼくを
沈めて、く
海に。雪降る、
渇き。…が、
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