ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -323 //いいですか?耳を/ふさいでも。ないし/聞こえないふり、とか?//07





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





5日。小田智和に説得されるまま、

   ね?…と

      さとすように

樹々。午前。

   なんどでも。ただ

      おしつけがましく

自由が丘に、その

   みじかい音声

      はげますように

11時。帰った。途中まで車で智和が送ってくれた。ごめん、おれ、と、「ここらへん、道ぜんぜん分からんくて」笑う。知ってたら、むしろ教えて。やさしい。そのやさしさを、樹々はかなしいほどにいとおしく

   ややびっち

      傷むよ

思った。

   かわいく、わたしは

      きみの

樹々。ここで、と、

   ややびっち

      やさしさに

いい。決意。家の見え始める近くで車を「がんばって」降りた。「わかってくれるよ。みんな」ささやく。智和。だから智和はやさしい。もういちど、樹々。抱きつきたい。衝動。笑った。無理やり樹々は、故意に「ジュージュ、」至近に。「がんばる」

「連絡して。なんかあったら、」

   いいよね、なんか

「オッ、」

   こゆの、い

「なくても」

   いいよね、なんか

「オッケー」視線。背中。智和の。やがて家。樹々。彼女はそっと呼び鈴を鳴らした。そっと。とはいえその音響はゆびさきのニュアンスを考慮しない。ドア。ひらかれ、妹。唖然。驚愕。…お姉ちゃん、と。思わずひまづいて、

   受け入れざるを得ない

      おののきを

         ゆれかけたんだ

樹々。その妹に

   かれら。そんなもの、だ、が。

      睫毛

         ゆれか

樹々はすがった。謂く、

   赦していた。もう

   赦されるまえに

   探していた。その

   見つけた。居場所を

いい、よね。こゆの。ここ。いい、よね。なんか、こゆの。こ

   赦していた。もう

      見ない。おなじ

    ここだったんだよ

     孤立。違和をむしろ

   赦されるまえに

      風景を。以前と

    ここにあったんだ

     まなざしは。きみは

   探していた。その

      依然と。隔絶。むしろ

    なにも変わってはいなかったんだよ

     違う。きみとは

   見つけた。居場所を

5日。午前9時。桜木町。大岡川。その

   終わりだよ。これが

蒔田公園ちかくの

   きみの

山王橋から、コンクリ舗装の川のふち。そこに

   あおむけに

      なに?色彩は

         いない

ようやくすがって

   水面に

      空の。…ねぇ

         ない

浮かんでいるように、すくなくとも

   ゆらら

      色彩は、なに?

         いない

そう見えた女の肉体が発見された。当初、意識はかろうじてあった。救急隊が引き上げた時には白目を向いていた。水からあげてはじめて、その時にようやく少女がおびただしい出血をしているらしいことに彼等の

   はっと

      イノチを

         ぎょっ

まなざしは

   はっ

      きみにも

         ぎょっと

気づかされた。謂く、

   なぜ?いったい

      惨殺。してよ

    混濁を。猶も

     救われたんだ

   なにが?なに?

      いいじゃん。もう

    さらさないという苛酷を

     みなも。掬われ

   なぜ?だれが?

      もう、も。じゅうぶんだったんじゃね?もう、

    意識。わたしに

     掬いあげられ

   ここに、圧倒的な

なぜ、ぼくらはこうして破壊しあうんだ?…莫迦だから?

   滅び。わたしに

      も。も。も。じゅうぶんだったんじゃね?も、

    明晰を。猶も

     巣食われていた

   だれに?滅び

      いいじゃん。いますぐ、さ

    あたえたという苛烈を

     いまさら。はっきりと

   わたしが滅び

      惨殺。してよ

    意識。わたしに

     恐怖。わたしは

   なぜ?ここに

ママ。11時。樹々。ママ、

   ひびき

      抱きしめなさい

         割れる。罅

と。大声を立てた

   ママ。と、その

      わたしを

         ひび割れ

妹。その声に、

   音響

      好きなだけ

         罅。裂ける

ママ、と。顔をあげたその頬を山田小枝子はひっぱたいた。激怒の眼をさらした。2秒。茫然。樹々は。ママ。なきくずれた小枝子に妹ごとすがられて、樹々は思った、正しかったと。智和の云うことはいつでも正しい。だから、いまもたしかに正しかった。赦されないと思っていた。死亡届けすら出されていると。自分は家族にとってもう、失われた過去の記憶だと。智和は正しかった。樹々はそのとき、はじめて自分をやっと赦せた気がしさえした。謂く、

   傷み。炸裂する

   そこ。物理的な

   傷み。わななく

   それ。ゆびさきが

ふれる。そして、わたしはこの、わたし自身に

   抉るように

      ごめんね。わたしは

    知らないのだ。あなたたちは

     大人になったんだ

   抉るように

      いっぱい、いっぱい

    わたしほど。糾弾したものなど

     すこしは、すこし

   抉るように

      傷ついたんだ

    わたしを。知ろうとさえしな

     ごめんね。わたしは

   抉るように

ふれる。そして、わたしはこの、わたし自身に

   抉られるように

   抉るように

   抉られるように

   抉るように

5日。その

   抉るような

午前、

   ひかり。…朝の

高明。7時すぎ。楠。鳴った電話を、

   起きたら、起き

      用意はいい?

楠。あやしんだ。

   さ。おれの魂が

      叫びますよ

未登録。

   ふ。怯えてやがった

      肛門に

シカト。つづけて、もういちど。

   ふ。とぐろ巻いて、さ

      舌。…つきさして

だれ?「楠?」と、出たすぐさま、耳に「おれ。楠?」声。高明の。むしろ、…楠?

   消えろよ

傲慢なほどに…楠?

   消えろよ

押しつけがましいその「楠だろ?」

   消え

声を

   ふる。あざやかだったぜ

      血まみれだ

         終われ

「答えろタコ」

   ふるっ。傷みが、さ

      全世界が。いま

         終わっちゃえ

聞いた。「おれだよ」

「楠じゃん」哄笑。おおげさにすぎる「やっぱ」それ。「クソ楠じゃん」…おれ、「クッソ、クッ」さ。ささやいた。やがて高明は「死ぬわ」ふいに、「…って、」

「おれ、もう、さ」

「なに?」…勝手にしくされば?思わずそう

   死。ふるえる

      これだよ

         駄目。もう

こぼれかけた声を、

   死が、おれを

      ここに、ほら

         きみは。じゅうぶん

笑い声。沸きあがった、

   死。ふるえる

      ささやきかけそうな、そんな

         傷ついたじゃん。もう

自分の。声。楠は

   見つめていたのだ

      これだよ

         駄目。死ねば?

押しつぶした。「また?」

「また、じゃねぇよ」

   朝イチで。だから

      不快だった

「死ねよ。だっら」

「おれ、もう、さ」

   ひねくれまくってた

      赦せなかった

「マジ、いますぐ」

「見切ったから。もう」

   おれの、それ

      なぜ?…って、きみは

「死んで。いまさら」

「だから、人生?」

   魂ってやつ。それ

      聞きたいの?

「なに?すっげぇ」

「ってか、この」

   ぶちのめしたから

      理由。聞き

「知ってる?お前」

「世界?うざっ」

   半殺しだから

      そう。…ね

「マジ、うざいよ」

「マジ、くそ」

   朝イチで。だから

      だってあなたは

「やばいくらい」

「冷酷すぎ。やっぱ」

   あまったれてた

      夢中さ。わたしに

「マジ、うざすぎて」

「残酷すぎて、さ」

   おれの、それ

      不快だった

「マジやばっ」

「生き延びれる奴の方が、さ」

   魂ってやつ。それ

      だから、…返り血

「てか、さ」

「狂ってんじゃん?」

   いたぶっちゃったから

      というか、じゃなくてさ

「どこ?いま」

「秘密」

   吼えづらかかしたから

      世界はまさに世界それ自体の血をながし

「言え。タコ」

「知りたい?」

   死んじゃってた。…ぜ、

      さらしてるべきなのに

「じゃ、もう」

「稲村が崎」

   だから朝イチで。その

      さらしてるべきなのに

「いい。って」

「来る?」

   朝イチで、おれの

      血まみれ世界。その

「すぐそこじゃん」

「遅い。もう」

   魂ってやつが

      悲惨を、さ

「てか、お前」

「お前、いまさら、さ」

   魂のやつが

      じゃね?

「最後の最後まで」

「ここ来ても」

   吼えてたよ

      不快なんだよ

「さ、お前」

「遅せぇから。おれ」

   吼えてるよ

      むかついてんだよ

「迷惑。すっげぇ」

「こっから、さ」

   まだ吼えてんだよ

      不愉快なん

「存在自体がもう」

「飛び降りる。マジ、」

   朝イチで。だから

      クソだろ?

「迷惑すぎて」

「グッバイ。世界」

   腐りかけてた

      なんでてめぇら笑ってられんの?

「吐く。マジ」

「グッバイ。みんな」

   おれの、その

      なんでてめぇら笑ってられんの?

「笑う。クソ」

「グッバイ。クソども」

   魂ってやつ。それ

      滅ぼす。マジ

「いい加減、さ」

「マジ、クソだった」

   踏みつぶしたから

      キレた。マジ

「お前、気づけよ」

「残酷そして冷酷さだけ」

   食わしてやったから

      ぶちキ

「お前、存在自体が」

「大量にありがと」

   朝イチで。だから

      なんでてめぇらすこやかなんだよ?

「恥ずくね?」

「大量にグッバイ」

   滅びちゃってた

      なんでてめぇらすこやかなんだよ?

「恥ずすぎてね?」

「永遠にグッ」

   おれの、その

      あり得ねぇから

「クッソ」

「え?」

   魂ってやつ。それ

      赦さねぇから

「は?」

「なに?」

   黄泉返りやがった

      シカトしてんじゃねぇ

「お前、クソ」言って、

   クソにまみれて

      他人のふりかよ

楠。切った。苛立ち。そして

   クソにまみれて

      目。そらしてん

楠は自転車で稲村ケ崎に向かった。謂く、

   憂鬱。かるい

   それ。いたい

   瞼が。あせり

   かつ。自虐的


   な、おれ。走る

   から、おれ。黙る

   吐く。息。あえぐ

   われを忘れかけ


   憂鬱。かるい

    見せてみろ。せめて

   それ。いたい

    最後のおまえの

   瞼が。あせり

    最終的ぶざまその最終的形態

   かつ。自虐的


   な、おれ。走る

      早いよ。まだ

    見せてみろ。やがて

     安心して。邪魔しない

   から、おれ。黙る

      絶望するには

    唾を吐くにもあたいしない

     逸らすよ。…目。きみが

   吐く。息。あえぐ

      若すぎる。ぼくら。彼等はたしかに

    死屍を。せめて

     飛び降りた瞬間に

   われを忘れかけ

ドン・シ‐ユ。午前、

   ほら。残忍に

      朝露を

6時前。その

   笑えば、ほら

      踏め

5日。ほくそ笑んだ。公園。桜の木のした。首都高。その高架下。見上げればゆるやかな傾斜。肉体。肩に、タン・リ‐キョウ。その肩に、女。肉体。いちばんの力持ちはリ‐キョウだったから力仕事は彼が請け負った。笑った。その、返り見たシ‐ユの笑みに。女たち。つまり、董雨萱、…ドン・ユイ‐シュエン。彼女。そしてイャォ・シュ‐アの出番はない。シュ‐アは、こころは男だったとしても、いずれにしてもその肉体の女は女にすぎない。樹々をさんざんいたぶったのは、暴力。むしろ…言葉。シュ‐アそのひとだったとしても。「くさいね」

   肉体。そして

      つばさは、さ

         言葉そのもの

と。リ‐キョウ。「日本人、

   暴力とは

      ただすみやかな屠殺のために

         飛べ!鳥たちよ!

くさい」ハーフだろ?シ‐ユ。たぶん、と、

   言葉。そして

      くちばしは、さ

         肉体そのもの

お前も。きざしかけた、そのリ‐キョウへのせせら笑いはあえて咬み殺した。リ‐キョウ。ハーフ。だから日本語がうまい。ユイ‐シュエンとおなじくらいに。その6時前。まだ、

   消臭を!

      晴れたら、今日は

かろうじて日昇をは

   消臭を!

      素敵ないちにち

だれもが見ない。謂く、

   生きたふりを

      鬱にした。柔順

    さ。もうすぐ

     つつめ。そして

   生きているから

      そのけなげさが

    朝さ。さっ

     あばきたてろよ

   死んだふりを

      唐突に。幾度も

    さ。やがて

     ひかりよ。朝には

   死んでないから

まさか殺しちゃう、とは、ね。でも消しちゃうしか、ない、けど、ね。

   朝さ。さっ

      叫べば?…そう

    生きたふりを

     失笑。そして

   もうすぐ、さ

      沈黙を。きみは

    やや、けなげに

     莫迦馬鹿しささえ

   朝さ。さっ

      抗えば?…そう

    死んだふりを

     わたしには。すでに

   やがては、さ

雅秀に、

   聞くがいい

      情熱さ

         叫ぶのだ

高明。その

   咆哮。最後の

      熱情さ

         魂が。おれの

午前8時。「おれ、と」

「だれ?」

   さようなら。わたしが

      ささげる

「死にます」

「お前か。…お前、」

   愛した世界

      この身を

「いろいろお世話になりました」言って、一方的に切った電話を投げ捨てて思わず高明は泣いた。もう、

   撥ねる

      砂。土に

泣いてばかりいる。そう

   跳ね

      草。葉。やわらかな

思った。事実

   撥ねる

      枝。石に

そうだった。

   さよなら。ぼくが

   全身全霊。ただ

   愛した世界

   さよなら。だから


   さよなら。ぼくが

   冷酷非道。ただ

   愛されなかった世界

   さよなら。だから


   さよなら。ぼくが

    聞こえてないんだ。もう

   全身全霊。ただ

    ぼくには波も

   愛した世界

    そのざわめきも

   さよなら。だから

たとえ、世界が決してわたしの居場所を認めはしなかったにしても

   さよなら。ぼくが

      自由に。せめて

    も。聞こえてないんだ。もう、も

     シカトかよ。この

   冷酷非道。ただ

      鳥のように、と

    ぼくには背後の

     激情。その

   愛されたかった世界

      かつておれは願いさえ

    と。とおい騒音も、と

     真摯をさえ、…きみら

   さよなら。だから










Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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