ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -322 //いいですか?耳を/ふさいでも。ないし/聞こえないふり、とか?//06





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





高山翔次。23歳。3日。午後5時。上中里団地。南から入った中央マートの手前あたり。左ガードレール。それが電柱前あたりから彎曲し、…事故?気づく。その先。右手ガードレールに突っ込んで停車したセルシオ。ひとは、立ちつくしてひとり。車体。後部の方。そして電話をかけていた。女。40代。翔次は軽トラを女のかたわらにつけた。…どう、「されました?」ふいの翔次に女は驚き、返り見、あわてて電話を「ひと。…ひとが」切った。「いま、来られたから。」…事故?と。翔次はやがて暮れて行くはずの稀薄な大気のなかに、身を出した。馴れた車高を気にもせず足はアスファルトを踏む。

   これ、なんですか?

   わから、ら、ら、と

   なにもわたしはわから

   ら、ら、な、ら、と

笑ってしまいそうなほどの、あなたは無能を。

   これ、なんですか?

      かけられっぱなしの

    怯え。の、せいで

     事故ですか?やっぱ

   わから、ら、ら、と

      エンジンが。ノイズ

    あまりにも稀薄な

     もう、死んでます?

   なにもわたしはわから

      そして臭気、を

    茫然を。そして

     警察は?救急は?

   ら、ら、な、ら、と

穆に、

   熟考

      息。しゃくりあげた、

3日。午前

   3秒も

      息。残響。息

8時。電話を入れた。…そっちに、さ。椿。「高明、行くから」

「やっぱり?」笑った。穆。その「来ちゃいます?」邪気もない「だ、と、」声。「思った。」椿は笑む。「…で、どうします?」

「好きにしちゃっていいんじゃない?彼、もう役目終わったから」

   好きだよ。いつも

      どした?

「じゃ、」

   あかるい声が

      今日は、若干

「おれらのペット、的な」

「じゃ、ないでしょ。ないですよ。椿さんだけのでしょ?おれ、ぜんぜん、一応」失笑。「かれ、」穆。「人間扱いしてやってますもん」

「うっそ。…てか、なんか」

   いくつもの季節に

      狎れあいじゃなくて

「あ。聞きました?」

「なに?」

   きみと、過ごした

      ごっこ?友達ごっ

「いまさっき、電話あって。山田。女のほう」

「あの子?そこ、いるの?」

   過ぎ行く季節に

      あつっくるしい、クソなやつじゃ

「じゃない。逃げたらしいよ」椿は声を立てて笑った。…それ、もう「知ってる」

「と、思った」

「水葉から。それから、マーシー…壬生さん、ね?彼からもメール…は、なんか高明のことだけか。なんか、水葉に連絡してやれみたいな。ともかく、さ。あそんじゃう?」

「なに?」

   クッソ餓鬼。さ

      笑え

「あいついま、ひとりっしょ?」

「じゃないですか?」

   クッソ。クソにさ

      笑えね?

「とりあえず山田さん?その子。女、差しだせって言っとけ。女ひとりで借金帳消し。…な?」

「それ、うける」

   まみれちゃえ。クソ

      笑え

「あいつ、さ」

「椿さん。マジ、性格悪いね。ここぞってとき」笑う。そして椿はじぶんの眉をなぞった。その、

   ええ。わたし孤高の

      バレてた?

         野獣だぜ。やや

右の、

   ヒット・マンです

      知ってた?

         がおっ。やや

それ。謂く、

   そう。きみは

   女の子は、さ

   いいんじゃないかな?

   もう、安らいで

だいじょうぶ?きみは、いま

   そう。きみは

      傷つけない。あえて

    いっぱい、さ。じゃん、見てきた

     ささやけよ。ほら

   女の子は、さ

      わたしは。それら

    風景たち。ほら

     勇気だぜ。鏡

   いいんじゃないかな?

      傷ついたものたちを

    微笑を。さ、やがて

     うつくしい、と。わたしは

   もう、安らいで

高山翔次。23歳。3日。午後6時すぎ。助手席に少年を乗せた。少年。十三、四。名乗った名は山田椿。ガードレールに突っ込んだセルシオの中でひとり、桜木町に行くと言っていた。どこから、と。来たのかは聞かないで、と。不審。逗子のほうから「殺される。…おれ」来たとか?それにしても「詰められるから、おれ」あまりに道が「やべぇから、おれ。」ちがいすぎないか。泣きじゃくる。少年は。女。

   事故ですか?

      やべぇね

目撃者、

   事故ですか?

      クッソ派手に

の。彼女は

   事故ですか?

      やべぇね

見かけたことのない顔だと云った。女の眼の前で駐車場前のガードレールに突っ込んだらしかった。運転席で、いま、運転手は泣いてばかりいる、と。埒があかず、なにも女には理解できなかった。だから宮崎の母親に電話をかけた。夫と友人3人はたまたまつながらなかった。とまれ、母親も自分以上に無能に過ぎない。翔次。事実、覗き込めば少年は泣きじゃくっていた。なぜかその身を助手席のほうに移動させていた。大破。変形し押し寄せる運転席が…おれ、居心地悪かったから?と、…おれ、「なに?」助けて。おれ、「なに?」追われてる。おれ、「だれに?」みんながおれを、「だれ?」云った。桜木町に行けば、守ってくれる奴らが「…信じれる?」いる、と。少年。「やつら、」

「なに?」

「信じれるかな?」

「だれ?」

「だから桜木の奴ら」

   莫迦かよ!

切実だった。

   聞いてんの?

翔次。彼にその

   ひとの話し聞い

少年の目の

   莫迦かよ!

訴えは。…乗れよ。云った。翔次。彼は。「連れてってやるよ」翔次はそれ以外にその時、なすべきことを思いつかなかった。すでに今日の現場はハネていた。自由だった。翔次は少年に手をさしのべる。謂く、

   いない。信じては

   話は。その、しかし

   あり得ない。いま

   見捨ててしまうのは

事件だろ?だって、クソ餓鬼ですよ。彼、

   いない。信じては

      聞こえていたのだ

    彼が、たとえ。犯罪者であっても

     切迫、が

   話は。その、しかし

      少年。の、絶望の

    無罪だった。法的には

     せめてもの、…希求

   あり得ない。いま

      誠実さ、が。ひびき

    わたしは。確実に

     救いを求めあがく魂。その、

   見捨ててしまうのは

楠。メール。樹々を、と。…助けて。山田樹々から。莫迦。思った。莫迦、と。あたりまえじゃん。そんなこと。楠はそっと、ゆびさきに返信を打つ。謂く、

   やや、やや、やや、

   うっとうしい、かな?

   また、また、また、

   巻き込まれちゃう、かな?

クズはクズだから、断ち切ったほうがいいよ。たとえ、それがあいつであっても。

   やや、やや、やや、

      いい。もう、放棄したほうが

    やさしん、だ。すべて

     親友がカスで

   うっとうしい、かな

      手遅れなときは

    きみ。その願いのまま、に

     クズなときには

   また、また、また、

      親友だからこそ

    やさしん、だ。猶も

     いい。切り捨てたほう、が

   巻き込まれちゃう?

3日。午後。駅に、高明。翔次に乗せてもらい、磯子駅に、高明。歩道橋の手前。その

   ほら。きみは

      すべて、ぼくには

午後8時。

   歩め。きみの

      苛酷だった

昏い。もう、

   道を。きみだけの

      ぼくには、すべて

すでに。…なんか、と。翔次。故意に、笑った。「おれにできるの、このくらいだけど」

「マジ、」高明。「いや、マジ、」笑う。「ありがたいっす」…大丈夫?翔次。ふと、声を

   処分するかに

      感情のない

ひそめた。

   きみは、わたしを

      澄んだ水面に

見た。うわ目に、

   放擲しるのだ

      溺れてみたい

あきらかに、なんらかのかたちで虐待され、追い詰められ、出口なしの状態に怯えている少年。おれは、と。翔次。こうしてきみを、

   わたしはきみの

いま、

   救済であった

見捨てるのだろうか?思う。まなざしに、

   見捨てた

      救いようのない

         阿鼻叫喚。…さ

高明はむしろ

   たぶん。ぼくも

      共感があふれ

         ひとり。わたしは

か弱さのみを

   あなたを

      傷いよ。こころが

         地獄に、生まれた

さらす。笑み。返り見た、その顔。高明。あるいはひらきなおったその、唐突な「なんでも」不遜。「ない。…す、ね」

「ほんと?」

   だってさ、おっち

「いや、冷静になると、…車ん中。おれ、勝手に自分追い込んじゃってね?って、そういう。だから、基本、おれ、もう、」

   この世界の

「大丈夫?」

   寵児、だも

「じゃ、ないっ、す、」笑った。「か?」本当に、素直に高明は、

   見て。きみの

      焔…が!

そこに。自分自身にたいしてすら素直に、

   つま先の先にだけ

      危機。…だよ

高明。そこに、

   昏い孔がある

      焔…が!

笑った。声。これみよがしな声で。「たいしたことないっすよ」考えてみろ、と。高明。おれがいままで生きて来た苛酷を。あまりに冷淡だった親族。見捨てた。見捨てられた。強姦の被害者だった母。その、子供。だから被害者だったに他ならない子供をも、親族。見捨てた。見捨てられた。発情。好色な母親。実の息子に、辱め。虐め。肌の色。大人たち。子供たち。すべて。常に、冷酷。だれもかれもが。生きてきた。だから、ひとりで。裏切られ、裏切られ続け、猶も裏切りをかさねられてしかし、

   ふりそそげ

      おれほどに

         誇れ。胸をはれ

生き残ってきた。これ以上

   傷だからけの肉体に

      純粋に生きた

         埃り?

苛酷な運命に抗い、しかも

   せめて、曙光は

      男はいない

         誇れ。胸をは

戦い続けて生き残った事実を、自分はもっと正当に評価するべきだ、「でも、」と、「おれ、翔さんにだけ、マジ、感謝っす」云った。手を振った。そして高明は駅の入口に、道をそのまま渡ってゆく。そのななめ後ろ姿を記憶しておくべく、翔次は凝視した。バラバラ死体被害者、とか?あるいはその犯人とか?いずれにせよなんらかのかたちで、その

   闘争であった

      ええ。やや

顔と挙動を

   我が生涯は

      仮眠です

証言するだろう、と。確信。腕時計に時間を見た。そこに、あくまでも真摯に椿という名の少年を案じながら。翔次。謂く、

   時間。三度

   繰り返した挙動

   見て、しかも

   時間を認識しなかっ

アリバイ、必要?

   時間。三度

      最善だよ。いま

    あるいは、荷担?

     生き急いで、きみは

   繰り返した挙動

      わたしができる最高のその

    犯罪的事象って、やつ。それに

     なぜ?きみは

   見て、しかも

      パフォーマンス。ちがう?

    遠巻きの。…おれ?

     焦って、そんなに

   時間をもう認識しなかっ

董紫釉、ドン・シ‐ユ。15歳。しぃっ、

   し、し

      ささやき

と。3日。

   しぃっ、し

      ささやくかに

午後。その

   し、し

      ささやきのように

唐麗孝、タン・リ‐キョウ。そして、その7時すぎ。姚朱亞、イャォ・シュ‐ア。嬌声。ふたりの、

   しぃっ、し

嬌声、

   ぃっ、い

まで、

   しぃっ、し

には、

   ぃっ、い

いたらない、

   しぃっ、し

みだら。息遣い。そのみだら。愛し合う、だからつつましく切実なだけの

   し、し

      ささやき

みだら。しぃっ、

   しぃっ、し

      ささやくかに

と。その

   し、し

      ささやきのよ

声に、「もし。もし」シ‐ユ。彼はかならずしも、日本語が得意ではない。基本、日本国以外を知らないくせに。「シユウ?」椿。その声。安堵。あかるい。だから「…はい」ふと、笑みに口元だけをくずして。「いまなにやってる?」

「なに?」

「いま、シユウ。お前は、なに、やってる?」

「暇」かわろうか、と。ゲイの唐麗孝、タン・リ‐キョウがその挙動で示す。つまり、不穏に自分の胸元にゆらがす左手で。いい、と。シ‐ユ。おれは自分でできるから。いちいち「おれ、なに、」挙動には「する?」示さない。「お前、さ。こっち来て」

   安心して

      凶はとっても

「なに?」

   聞き取ってるよ

      ご期限ですね

「お前、さ。って、そこ、ひとり?ユイシュエンは?」双子。の、…妹。すくなくとも、そう聞いた。シ‐ユとは顔もかたちも似ても似つかない。「なに?」いない、と、その答えをシ‐ユは省略した。…ま。そして「いっか」椿。笑った。「穆、わかる?」

「穆さん。わかる」

   し、し

      ささやき

「ここ、来て」

「穆さん、行く?」

   しぃっ、し

      ささやくかに

「来る」

「行く」

   し、し

      ささや

「すぐ、な。みんなで」そして、いまやシュ‐アの女にゆびを刺しはじめた笑い顔のリ‐キョウ。その後頭部を殴った。その拳。しかも、渾身の一撃。謂く、

   そう。わたしたちは

   そう。手を、いつでも

   嗅ぐ。いつも

   穢れていたから

生まれてこなければ、などと。思ったことは一度もなかった。

   そう。わたしたちは

      恋。…ええ。もう

    利用すればいい。あなた自身を

     しあわせになれるでしょう?

   そう。手を、いつでも

      気づいています

    好きなだけ。…好きだよ

     妹は。彼女だけ、は、

   嗅ぐ。いつも

      しかし、あえて。ぼくは

    わたしは。その傲慢も

     あえて、だから。ぼくは

   穢れていたから









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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