ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -311 //ぃいんばんっ。…と/なんですか?名づけた。その/あやうい突起。…を//04
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
4日。沙羅樹院。宮島。沙門西光を、その宮島の寺に訪ねたのは、雅秀にとっては暇つぶしの余興にすぎなかった。もっとも、西光に感謝するそのこころに一切噓はない。あるいは、思い乱れた高子の命を救った張本人こそ彼だった。だから、あの
波。それら
去ったんだ
ほら
6月の失踪。
ひびき。それらも
もう。雨は
ほら
宮島。秋子に
ほほ笑みを
沸騰した
ほら
添われ、高子は
告げていた
苛烈な豪雨は
ほ
平穏だった。年の暮れ。秋子と高子に慈しまれ、いま、まさよし、と。…正義。そう書いてまさよしと読ませるかつての未熟児は、乳児らしくころころと肥えた。今年前半はとかく、焦燥と憂慮に暮れた。暮れはじめていま振り返れば、結果的には充足するにたる一年だった。実り多く、雅秀は留保なく満足していた。高子と秋子に、自分の栄達と言えば栄達に違いない現状を告げたときに、そのまま普通に居座る自然な雅秀の自然にいつか、ふたりはせわしない居心地悪さを見せるようになった。正義を抱き、あそぶその一時間未満のなかに、と、知れた。ふたりの企みは、だから、自分には秘密にと小難し気なふたりを気づかって、午後いっぱい沙羅樹院に遊ぶとはっきり云ってから家を出た。たくらみ。祝いの。そのふたりのこころがただ愛おしい。また、出産前にすこしふとって、いまだそのままの高子のすこやかがいじらしい。西光は、離れの日本間に雅秀を連れこんだ。訪ねればそれが、いつものことだった。…もう、と、いいだろうね?標準語しか話せない西光は、やや土地の抑揚を模倣しながら雅秀に「もう、」笑んだ。「落ち着いたでしょう?」
「高子が?」
「も、そうだし、あなたも」笑う。いつでも西光は、なぜか香水の匂いをしのばせる。法衣に。最初はそれを恠しんだものだった。「いたって、…おかげ様。平穏無事」
「あれ、ね。最初。謂わなかったでしょ?失踪。入水の次第。その件」
「その節は住職に、」
「詳細、ほら。あんたにドスつきつけられながら」
「また、そういう」
「首根っこつかまれながら、こう」
「ありもせん、」
「土下座させられて、」
「…なんでよ?」
「から、謂わんかったんだけど、あれ、まだ時期じゃないと、ね?高子さん。そっとしといてくれ、と。そうしてやってくれ、と」
「そう云うてられたね、あの時。いや、…わしが三つ指ついて感謝云うてたときに、よ?」笑った。西光は。やがて、「あれ、あの件の3日前かな。だから、失踪当日、…かな?かね?詳細。時系列。あの、例の件の、…と謂ってちょっとわたしも曖昧だけれども、あれ、いきなり、夜、来られてね。あの子、高子ちゃん、ほら。お兄さん。でしょ?あなたの、雅文さん。彼、ご存命の時、ときどき顔、出してくれてたから。高子ちゃん、…かわいらしかったわな。さすが、こう、垢ぬけて、ここに、…兄貴の、あなたの兄貴、な?彼と、…ね?風雅さんはあれだけども、秀則さんはこっちの出身だから、ま、高子さんも知らないでもないからな。土地を。島を。それで、知ってはいたんだけれども。わたしも。お互い、顔と存在は、な?で、いきなり尼にしてくれと」
「尼?」
「尼。…尼に。もう、生きてくのは堪えがたいと。それで、いや、取り乱してるから。泣いて、すがって。…これ、あのとき謂うたら、あなた、正気じゃなかったはずよ。ばたついて、ね。取り乱し、思い悩み、…な?あんたたちがしっかりしなきゃならんのに」そうでもない。そう、雅秀は思うものの、といえども沙門西光への謝意がゆらぐわけでもない。むしろ、その考えすぎた手落ちを可愛らしくも「まあ、」思えた。「いったん落ち着けと。それで、泊めてやったの、な。…ほんの数日、修行じみたこと?なに、写経して掃除するだけよ。なんかさせんと、させんわけにはいかん。納得しなでしょ?本人、…なんぼなんでもいきなり髪削いでそれで尼ですというわけにはならないよ、と。云ってね、…謂わなかったの。だれにも。あなたがたには。どこでどうなるかわからなかった。ま、そういう意味じゃ、軟禁してたんよな。わたしが」
「それは言葉悪いよ。違うじゃない?それは」
「…みたいな、もん。あれ、でも、そっちも捜索願、出してたんでしょ?東京…神奈川、か?あっちで。見つかってたら有罪よ。とまれ、さ。それで、まあやや落ち着いたんかなと思ったら、いきなりよね。朝。抜け出して、…ほら。朝、起きてこない。定刻すぎて、ね。こっちは朝ご飯の心配なんかしてやってるのに、とは、謂え、ど、さ。しかし女のひとでしょ?しかも妙齢の、な。まあ、体調もなにもあろうし、ちょっとは放っとく、けれど放ってはおけん。放っときっぱなしには、で、泊まってる部屋に、ほら。こう、そうっと見たら見あたらないじゃない。書き置きもない。まして遺書もない。さがしたよ。あれは。山の向こうまで、そしたら、ほら、あれ、檀家の原田さんというひと。あのおばあさんがなんか、色っぽい自殺未遂、しかも神社に、よ。鳥居の下あたり。生きたまま浮かんでたらしいと云うて」思わず、雅秀は「羽衣なくした天女が」笑った。「全裸で鳥居の下で捕獲されたよ、と。それはもう、別嬪上品の、な」
「言うてた?」
「なに?」
「そのときに、あの子。いや、正気づいて住職にすがりついたときに、入水の」
「理由?」と。そして沙門西光はふと、深い目をする。雅秀はむしろ、邪気もなにもなくその眼を心地よく、かつ親しく思ってそこに見つめた。西光はかならずしも不快でもない。謂く、
そう。あなたは
そんな、色褪せた
目をしているがいい
亡き兄にこそ似
そう。あなたは
知っている。やさしい目
そんな、色褪せた
やさしいこころで、故に
目をしているがいい
破壊する。留保なく
亡き兄に似
明るい、と。まあ、滅びは。と、そうしたもの。
そう。あなたは
衰微。いまだ
気配。やさしい
強引にも、やや
そんな、色褪せた
見えているはずの
凶暴。意図もない
見ているはずの
そんな、醒め切った
かたくなに、きみは
気配。やさしい
衰微。あきらかな
そう。あなたは
よろしいんじゃない?滅び。衰えも。なにもかにも、もう、
その目に似
破壊する。留保なく
どこか、あやうい
やさしいこころで、故に
そんな、醒め切った
知っている。やさしい目
そう。あなたは
その目に似
どこか、あやうい
そんな、醒め切った
そう。あなたは
3日。電話。穆。高明は、
空気が
あやういね
見て。わたしの
12月。迷うことなく
ゆれて
あやういね
瀟洒なまばたき
電話を取った。「壬生くん?」
「なんですか?」と、不審。いきなり鼻に、穆が笑い声を立てたことに高明は不安にかたむく不審を感じ、…なに?「良かった。べつに」
「なんですか?」
吐いた。息
ノイズとして
「いや。べつになんでもないよな、とは、さ。そうは思ったけど」
「って」
息を。吐き
ノイズを耳は
「無事だったらいい。山田も、いる?」
「だから、なに?」…サイト、出てる。云った。穆は、殊更に声をひそめて、その探し人サイト。見つけたら、もう半殺しにした上引き渡せくらいの勢いじゃん、と、
え?…と
聞いて。わたしは
声。穆。その
は?…と
瀟洒に息を
声。むしろ、冷淡なほどに冷静な、声。「なにそれ?」
「一応さ、忠告。あれ、たぶん椿さんの客じゃない?」
「叔父貴、…」と。そこに高明はただ瞋恚を咬む。激怒。滾る。謂く、
囲い込む。なに?
大気にも似
ひかり。翳り
それらにも似
囲い込む。なに?
望みは?あなたが
あえて、動揺
軽蔑を、猶も
大気にも似
あなたたちが、ただ
そんなものなど
喉が。見下された
ひかり。翳り
執拗に見たいと思っているはずの
わかりきっていた
地面の底でも
それらにも似
裏切りものたち
たくらむものたち
穢れたものたち
容赦ない悪意が
しかも、あなたはまだ、さわやかな声だ。
裏切りものたち
風景は?あなたは
いまさら、動揺
知ればいい。猶も
たくらむものたち
あなたたちは、ただ
すこしも。なにも
無力を。無能を
穢れたものたち
ついに叫ばせはしない。わたしを、は
そんな奴らだった
自分たちその下限なき愚劣
容赦ない悪意が
あれは、…と、な?西光。4日。「父親」午後。その「父親よ」二時すぎ。「正義の」そして、西光は眼をそらさないまま、雅秀のあぐらに添えた左手をそっと取ってやる。「あんたも、ご存じでしょう?」
「聞きましたよ。それは。あれは、もう、高子ちゃん。妊娠して、そのときすぐ」
「腹立ったろ?」
「いまは、そんなことないよ」
「てめぇ勝手な、と」
「もうない。いまは、」…それよ。西光。「まあ、どこまでけなげなと、ね?思うよ。いや、高子さん。彼氏のほうがじゃなくて。…いや、わるいひとじゃないじゃない?彼氏くんも、かならずしも。…な?わたしが生きていてはあのひとに悪い。足枷になる。だからもう、世を捨てる。背く。いなくなる。どうか本懐とげさせてくれ。あえて、壬生にはなにも告げ口せんでくれ。…と。そもそもわたしは壬生の本家すじに付き合いないけどな。…鎌倉でしょ?高子さんが、いらっしゃったの、は。あそこ。そこも古いところだから、いくらでも寺なんかいくらなんでもあろうに、さ。こんなとこまで、…云っちゃえば墜ち延びてきたんは、それよ。それでしょ?知られたくない、と。もう本当に、綺麗に消えてなくなりたい、と。そういう、思い。な?すこしでも遠く、だから切なる、…ね?わからんでもない。事情を聞けば。しかし、子供は殺したくない。から、生んだ。秋子さん、雅秀さん、そういう、恥を忍んで託すせる人なら、いる。もういる。もう安心、と。そういうこと。…衝動的にやったんだろな。入水は。あくまで魔が差したのよ。楽になろうって…思い詰めるだけ思い詰めて、行くとこまで行って、…いや。考えようとしては、結果、よかったんじゃないの?逆にいま、こころ、しずかでしょ」
「それは、力よ。住職の」
「あんたよ。…と、秋子。あのひと。ふたりの。それから、」と、沙門西光は「あの子…」殊更に「正義」笑んだ。「ええ名前よ。あれ、高子さんの命名でしょ?正義くんの、無垢なあどけなさ。生きる活力。この子のために、…ね?」そして、感に堪えかねた雅秀からあえて目をそらしてやり、「頼むよ。あんた。これからいろいろあるだろうけれども。あんた、支えて。支えてやって。支えになって。それから、昇進、…じゃないか。なんか、西日本の。社長?会長?CEOとか謂うんか?いまは。あれ、…な、」ついに、雅秀は「おめでとう」顔を覆った。高子と秋子の気づかいの周到細微がただひたすらにいじらしく、ありがとうを何度も喉の奥の方に繰り返す。謂く、
見ている。翳り
畳に。無数に
繊維に添って
無数に。こまかに
見ている。翳り
わたしは稀薄になってゆく
畳に。無数に
信じられないくらいに
繊維に添って
稀薄に、すべて
無数に。こまかに
泣く、とは。あたたかみに埋もれきってしまうことだ。たぶん、
見ている。翳り
赦す、とは
風景が稀薄になってゆく
断ち切られていた
畳に。無数に
ついに彼をも
莫迦馬鹿しいくらいに
怒りも、軽蔑も
繊維に添って
赦す、とは
あざやかな、稀薄を
継続。…と、連鎖
無数に。こまかに
3日。午後5時。終わった。と、「もう
マジかよ
殺される」
マ、マ、
樹々。起きて、高明に血圧の低いまどろみにようやく笑みかけようとしたときに、「おれ、
マジかよ
なぜ?
もう、」早口。
マ、マ、
こんな日が?
その「死んだよ」ささやき声。高明は
ささやきが。その
気配
または、突発的暴力的事象のまえぶれ、の
ひとりそこに
ささやきが。そこ
破綻の
気配。または、
追い詰められていた。だから剥き出しの切迫。切迫の肉迫。樹々。ふと、彼女は怯えはじめている自分を赤裸々に見るしかない。怖い。その、
やさしくしてください
高明。その
てかげんしてく
激情。泣きそうな顔が。また、…怖い。殴られるに違いない。彼にしかわからないその切っ掛けの、いつかに。謂く、
いいよ。と
好きにして、と
凶暴でなければ
生きられないから
あなたは。あるいは
わたしは、あるいは
ささげる。犠牲を
あげる。わたしを
はじける、音。血管がはじける、音。を、聞いた気が
いいよ。と
脆弱で、ただ
好きにして、と
脆弱でしかない
凶暴でなければ
脆弱だった。きみは
生きられないから
あなたは。あるいは
やめて。もう
脆弱で、ただ
息づかう。わたしは
わたしは、あるいは
折れるよ。前歯が
脆弱でしかない
つかまないで。髪
ささげる。犠牲を
傷いよ。きみも
脆弱だった。きみは
ぶたないで。もう
あげる。わたしを
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