ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -306 //アガパンサスに、ふと/ふれかけた指。または/指先よ。…その//07





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





6月。その

   だっ、

      くぉっ

         …え?

10日。明けて、

   だいじょぶだよ

      壊れないで

         無理

11日。午前

   きみは、ぜんぜん

      やめて

         息ができない

4時すぎ。降り出した

   だいじょうぶだから

      壊れないで

         無理

雨。気付かなかった。秋子は。それには。産婦人科。雨。雅秀も。雅秀は日付をまたごうとする頃に来た。椿は帰していた。病院のまえ。外で車ごと、いてほしくなかった。あくまでも神聖な空間だった。そうであるべきだった。そして瞬間だった、そしてそうであるべ…と。雅秀には明晰に

   存在してほしい

      世界よ

         死んだ方がいい

思われたから。同じ

   いまだけは、ただ

      やさしくして

         おれは、すさまじく

建物内の、空気さえ、あんな

   聖なる神が

      世界よ

         無力だ。おれなど

椿には。時間は4時15分、まだ名のない男子を高子は生んだ。十年以上隔てた第二子だった。麻布台からは誰も立ち会わなかった。出生の泣き声に、雅秀は立ち上がって顔色を失くした。まさに眼の前でだれかが殺されでもしたかに。秋子は顔を覆った。指の隙間に息がもれた。まるで失意のそれに似て、ただひたすら秋子は安堵した。謂く、

   なにを?いま

   感じたら?いま

   声に。いま

   なにも?いま

と、…絶句。

   なにを?いま

      勝利だよ。ほら

    知ってた。もう

     やめて。お願い

   感じたら?いま

      勝ち誇っていい

    わたしたちはしあわせになる

     泣き叫ばないで

   声に。いま

      きみだけは、そこで

    知りすぎてた

     壊れる。こころが

   なにも?いま

高明。6月。その

   傷み?

      風。風圧。圧

11日。午前

   まさか

      もっと

4時すぎ。…と、

   冴えきっています

      加速を

蹴りあげられ、撥ね墜ちる。急停止のバイクから、

   流せ

樹々。仕事終わりのその

   涙を

口答えに、激昂。殴った。傷み。拳に、その歯頚。骨。息を

   鬱を?

      いやなんだ

つめていた。

   まさか

      停滞。…て。やつ

樹々。高明は

   滾っています

      おれは

いくら激昂しても冷静さを最終的には失わない。事実、だれも周囲にいないことなら、路上。飛び降りたバイク。すでに知っている。謂く、

   隠れてる?ほら

   出てこいよ

   ほら、丸腰だよ

   貶めるんだろ?

もだれもだれもだれも、も。

   隠れてる?ほら

    と、…被害妄想?

   出てこいよ

    妄想。…と

   ほら、丸腰だよ

    勘づいてる。おれは

   貶めるんだろ?

もだれもだれもだれも、も。…悪くないんだ。

   隠れてる?ほら

      傷いんだ。知れ

    と、…騙されないから

     意外に、さ

   出てこいよ

      殴るこぶしが。この

    だれにも、おれにも

     泣きそうな、顔

   ほら、丸腰だよ

      おれのこころが

    知り尽くしてる。おれは

     かわいくね?お前

   貶めるんだろ?

樹々。6月。その

   吼えれば?

      ぷっ

         好きだ好きだ好きだ

11日。午前

   無能な喉に

      理不尽。…じゃん?

         いまも好きだ好

4時すぎ。冴えていく。殴ったあとで、で、…そして。醒めたあとで、で、…そして。泣いて高明がすがりつく彼の癖ならで、…そして。知っている。だから、冴えていく。もう、

   吼えれば?

      ぷっ

         好きだ好きだ好きだ

馴れるというよりただ、

   無能な舌に

      クッソ野郎。…じゃん?

         いまこそ好きだ好

冴えていく。謂く、

   ふれない。いま

   月。そのひかり

   きみをは、いま

   ビル影にうまり

すべて。すべて。すべて。…が。愛のせいならわたし。わたし。わたし。…は。結局は無罪にすぎない。なにをしようと

   ふれない。いま

      やれば?ってか

    傷み。はじけ、もう

     涙。こらえて

   月。そのひかり

      それ以外に、さ

    そのたびに、愛を

     受け止めてるよ

   きみをは、いま

      能ねぇじゃん、タコ

    叫びかけた喉が

     泣き出しちゃうかも

   ビル影にうまり

水葉。6月。その

   見てるよ。あっ

      …純粋だ

         もう、このままで

11日。午前

   朝まで。みっ

      わたし。…なんか、

         明けないで。むしろ

4時すぎ。椿。彼の熟睡を厭う。ひどいから。いびきが。だから、たった一本の発泡酒飲酒のせいで?水葉。寝返りを打つそのついでに、そっと、椿。その耳たぶを指にはじいて笑ってみ、

   ほら

      ちい、い、い。さな

かわいい。

   ひら

      しあ、あ、あ。あわせ

と、…すこしだけ。だれでも、寝れば男は例外もなく。謂く、

   裏切り者の

   そんなまなざしを

   きみに、わたしを

   ほほ笑ませていた

わたしのように、大気を。吸い込みますか?あなたは

   裏切り者の

    ね。知ってた?

   そんなまなざしを

    目って、音が

   きみに、わたしを

    聞こえないだよ

   ほほ笑ませていた

あなたは。吸い込みますか?大気を。わたしのように、

   裏切り者の

      ゆび。そっと

    ね。いま、なんか

     かたち。あえて

   そんなまなざしを

      なぜた。鼻梁

    すっげ、すっげ、すっげぇリアルに

     瞳孔をひらき

   きみに、わたしを

      そこ。に、さらされてあり

    それ感じちゃってさ

     ぼかしきり、焦点を

   ほほ笑ませていた

もはや傷みなど。6月。その

   あっ

      …ん?

11日。午前

   っ

      …ん、

4時15分すぎ。あ、と。高子。あ、とだけ、あ、と。その声。瞬間、高子はあ、と。それしか、思えなかった。謂く、

   なにを?いま

   声に。なにを?

   いま。声は

   なにを?いま

と、と、と、と、と。

   なにを?いま

    聞いている

   声に。なにを?

    ひびく。だから

   いま。声は

    聞いている

   なにを?いま

と、…絶句。

   なにを?いま

      知っていた。たしかに

    聞いている

     失神しかけて

   声に。なにを?

      あのときも。その

    ひびく。だから

     喜びさえ、まだ

   いま。声は

      声を。あやうく

    聞いている

     吹き出さない数秒

   なにを?いま

いまだ名づけられない、みずから名乗りさえもしない彼は、6月。その

   背すじを、さ

      叫ばない

25日。午前

   ね?…やおら

      空気は

4時すぎ。その

   背すじを、さ

      すこしも

女の頸を最後に絞めた。匂う。血の匂い。あるいは、ただおびただしい湿気が匂わせるにすぎない臭気。気づかない。彼は、鼻がわるいから。下半身は軽かった。もう、空っぽだったから。その推定18と、彼が値踏みした女の体を踏んで、あやうく転びそうになりながら、舌打ち。激怒。蹴っ飛ばす。卑怯な女。自分だけ助かりたいと?籠っていた。ベッドの下に。埃りにまみれて。引きずり出した。無言。

   見る

      ゆらいでる

         微妙。…に

凝視。

   見つめ

      瞳孔が

         微細。…に

極度の

   見る

      ふるえるかにも

         微弱。…に

柔順。両親の亡骸をリビングの隅に片付けさせることにさえも、あくまでも柔順。率先。しかも不可解な動作緩慢。クソだ、と。醒めた頭で彼は思った。階段。さかさまに転がった少女。推定14歳。いちばん彼の好みにあった。2度。なぜか、3度目への挑戦を思いついた彼に不意の

   微光。ほら

      あびろよ

抵抗。ほんとうは、

   感じられる?

      絶望を

最後まで活かしておく気だった。台所。冷蔵庫。物色。アイス・クリーム。しかもこの季節に?「誰だよ」と、彼は

   こわすよ

      破壊欲?

思わずつぶやき、

   お腹

      ちがう。むしろ

邪気もなく

   びちょびちょさ

      愛。…かも

笑った。謂く、

   嫌悪。わたしは

   くさいから。だって

   血。体液。それら

   嫌悪。わたしは

歓喜。突然に

   壊れやすい。かつ

      やれよ。おれを

    性衝動?…いいえ

     悪意。それ

   壊れにくい。かつ

      生きろよ。きみは

    違います。ぼくは

     悪意のある、それら

   傷つきやすい。かつ

      いいよ。やってよ

    変質者などでは

     ななめの日射しが

   見逃しにくい。…から


   嫌悪。わたしは

   くさいから。だって

   血。体液。それら

   嫌悪。わたしは

失意。突然に

   いいんだ。べつに、…いっ

      家畜のように

    息づかい、を

     もうすぐ。きみを

   怖がらなくて。ぼくは

      あなたは。…ねぇ

    あなたがそこにひびかせているから

     ななめに、ぼくも

   生きたいだけ。…だから

      家禽のように

    聞いちゃう。どうしても

     日射しが、やがて

   黄泉がえれ!きみは


   嫌悪。わたしは

   くさいから。だって

   血。体液。それら

   嫌悪。わたしは









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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