ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -304 //アガパンサスに、ふと/ふれかけた指。または/指先よ。…その//05
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
樹々。いとおしかった。高明が。…なぜ?不安だった。荒れた…なぜ?運転さえも。そもそも
敗残者のように
追いかけてくる
上手ではなかった。いつでも
からして、声を
きみが
あぶなかった。負傷。
ほざいているがいい
すべてが、きみの
動揺。
せいいっぱいの
追い越してゆく
激情。もう、
からして、声を
あせる、よ
すべてが車体をすさませるしかなかった。知る。いまさら知っ、あやうい、と。この男。彼はいまさらに知っ、もう。何度目にも、あやうい、と。知っ、急迫。いとしさが切迫し、肉迫。そしてもはや拒絶。いとしいという以外のすべての感情を排除し、煽る。高明を。だから樹々。その
ちげっ
眼が。自分を
ち、ち、ち、
咎めてるとしか見えない樹々。その
ちげぇから。ち、
双渺。冴えた
ち、ち、ち、
それ。見ひらいた
ちげっ
それ。見つめる
ち、ち、ち、
それ。煽る。運転を、より樹々こそが乱すと高明はかたわら、そこに怯えた。謂く、
残酷だった。ざんっ
きみは。ひたすら
残酷だった。ざんっ
容赦なく、きみは
残酷だった。ざんっ
なにが?望み
きみは。ひたすら
何ですか?望みは
残酷だった。ざんっ
なに見てぇんだよタコ
容赦なく、きみは
存在しなければよかったのだ。きみなど、
残酷だった。ざんっ
赦して。ぼくは
なにが?望み
ジュジュー。あいつみたく
きみは。ひたすら
なれないよ。つよく
死にてぇかよ望みは
泥まみれでも
残酷だった。ざんっ
きみみたいには
見てんじゃねぇタコ
笑っていよう、よ
容赦なく、きみは
水葉。雅秀が
ささやきかけて
と、ともに、影
トイレに立って、
しかも、唐突に
ゆらがせ
洗ってる?顔を。その
沈黙しないで
影。と、ともに
音。水。ノイズ。じゃぶじゃぶ。莫迦?水葉。椿はだれかに電話している。穆、と。そう高明たちが呼んでいた男?女?すくなくとも、高明を知っているだれか。借用書を、床。そのまま放置されていたそれ。拾った。でたらめな書式ということは、自分では借金をしたことがない水葉にもわかる。そもそも、文面はレシート裏に水葉が書いた。ボールペンが部屋にあったことが奇蹟だった。怯える高明の眼の前で、思いつきの雅秀に言われるままに。保証人欄。高子、
くちびるに
ぶっ。ぶ。さっ
と。最初高明は書いた。それが、
薔薇を。血まみれの
ぶっ刺。さっ
高明の母親ということは、名を見て理解した。しかも、書いてすぐさま、激昂の雅秀に側頭をはたかれながら高明は消した。あわて、ぐじゃぐじゃっと。黒く。椿。笑った。こいつ、と、椿。抹消のしかたも知らねぇ。
ぬりつぶせ
染まれ。おれ色に
しないで。お願い
そうなの?
ぬりこめろ
染めよ。きみ色に
後悔、なんて
と、水葉。思った。駄目なの?そのときに、これじゃ、と、書き込んだ名。…楠、と。駄目なん?抹消って、はたく。椿。側頭を、…クソが。雅秀は、そして「餓鬼じゃねぇか。クソ餓鬼の」あざけるかに、「餓鬼じゃねぇか。ただの、」樹々。その名。…を、微動。高明はややあって、指。逡巡と
だれに?いま
無慚だよ
言い訳と、微動。
いま、きみは
ぶざまだよ
言い逃れの矢継ぎ早の饒舌のあと、
謝ろうと?
こ穢ら
書いた。山田樹々、と。かわいそうな金づる。…ふたりも?水葉。思った。ふたりの女たち。笑いそうになった。莫迦、と。あの年で、あいつまさかあいつら3P?軽蔑。ひとめを惹く美少年に群がる餓えて莫迦な女たち。いやに丁寧な、はじめて文字を書くかにも慎重な高明の字。ない。女たちへの同情は。見た。その字を、ちかくで。しっかり。ただ、
いま、きみは
ひかり。その
しゃぶらせてんだろ?
高明がただ、
怯えてる?
沈鬱な、やや
クソまみれのけもの
かわいそうだった。謂く、
知らない。わたしは
あなたが、そこに
風景?見ていた
それをは、わたしは
知らない。わたしは
願っていた。この
あなたが、そこに
クソたちの、クソの
風景?見ていた
クソ茶番がすぐさま
それをは、わたしは
醒めてゆく。褪せるかに、わたし。醒めてゆき、まるでかつてほんのさっきまで、あやうい情熱に咬まれていたかに、
知らない。わたしは
憎しみ、と。そう呼び
かたづくように
祈るかに。たぶん、失った
あなたが、そこに
そう呼ぶべき、その
クソの。クソ以下の
わたしのきみの、その
風景?見ていた
切迫も、なくて
願っていた。この
他人の幸福を
それをは、わたしは
椿を水葉の部屋に残した。雅秀。トヨタ・クラウン。何度目かにも気づく。意外に運転に馴れていない自分に。発車のたびの通例として。思えば、いつも誰かに運転させていた。向かった。高子の家に。せまい道を思い切り塞いだ玄関に、呼び出しベルを鳴らすと秋子が出てきた。上手な微笑。まさに無邪気という、その見本のような。その
あ。…いま
おだやかな
いま。…あ
雰囲気で、いちいち
忘れた。すべてのかなし
退屈な日々を
すべての傷み、は
靴を確認せずともそこに
あ。…いま
約束したよ
いま。…あ
高明。彼が逃げ込んでいないことは知れた。怖かった。雅秀は、高明がそこに逃げ込んでさわぐのが。また、怖かった。安静であるべき高子の平穏が、椿の追い込みのせいで乱されてしまう可能性が。リビング。高子。やわらかな顔。笑みを、
しずかに
…いて
にじませるように
そっと
そのままで
浮かばせかける
ここちよく
…いて
顔。うつくしい。造形というよりも、その、表情?気配?こころ?なに?すべて。必死に雅秀は、とりとめなく無駄にすぎない雑談を、そこに
すべてを
つくろうとした。その
あなたに
必死さを、高子には知られていないことがただ本当にしあわせだった。賢しい秋子にはバレている気がする。告げ口はしないに違いない。抜け目ない秋子。共謀感が、いつか一方的に雅秀に芽生えていた。あやうかった。こわれそうだった。だから、大切にしなければならない焦燥と終わりようもない不安に雅秀はかられつづけしかも、須臾にも、倦みはしなかった。同席の
ありがと
しあわせ。だけ、を
ありがと
秋子は、あくまで
ありがと
幸福の無限。だけ、を
ありがと
じょうずに笑いの声を入れた。茶化す。意図的に。こ莫迦にし、ここぞと雅秀はおどけ、感謝。秋子への。切実な、と、男だな、と。あどけない高子の顔つきに雅秀はひとり納得していた。謂く、
生きる。わたしは
生きている。永遠に
守るため。ここに
幸福を。あなたに
教えよう。あなたに、ひとはだれもがただしあわせであるためだけに生まれてきたの、だよ。
生きる。わたしは
やさしい日射しが
信じられない
鳴る。かすかに
生きている。永遠に
やさしい温度が
あなたという存在が
鳴る。笹が
守るため。ここに
清潔な大気が
在ることが。ここに
鳴る。かさなって
幸福を。あなたに
止血。…病院、「なに?」
「いいよ。も、」
ささやいて
ふるえるよ
きみが
「やばい。化膿する」
「ねぇよ。も、」
やさしい声で
世界が
ささやけば
「だって」
「も、おれらにもう可能性ねぇから」高明。止血だけ。逃亡。高明。桜木町に。穆に、樹々。彼女所持の電源を切られつづけていた携帯から、
あのう
ほほ笑みを
…え?
穆に。…おれら、
そのう
きみに
…は?
と、高明が。「おれら。もう、って、…穆さん?」
「だれ?」
猶も、ぼくらは
まぶしいよ
「これ、穆さんっすか?」
「…って、おまえ、」
うつくしい
まぶしす
「壬生です」
「山田さんも?」…助けて。泣いた。思わず高明は、だから「おれら、もう」あふれた。激情。「もう、駄目。おれら」あふれかえった。激情。「救って。穆さん」たぎりたった。激情?なに?その、「おれら、」実体をさらさない、しかしすさまじい
傾斜角度
ため息じみて
…いいよ
激情。ただ純粋な、
百合。その
ささやいて
わたしは、王
感情。からっぽな?
花弁にふとした
ゆびに
屈辱と恥辱の
…って、「逃げて、こじらせたの、むしろお前じゃない?」無言。高明。その「しかも」すすり泣き。「詫びのひとこともないんでしょう?いま」意外だった。高明は。もう何度も高明はすすり泣き、そこに泣きじゃくり、そうしてそうしつづけながら土下座さえして謝りつづけていた。まさに、卑屈のうえに卑劣を塗りたくったかに。それが高明の、圧倒的な
見て。ぼくは
帝国。…屈辱と
真実だった。その真実さえ
傷み
恥辱の、…ここは
シカトされ、
好きにして
踏みにじら、
もっとして
あざ笑わ、
ぼろぼろにし
れるのだった。信じられなかった。赦せなかった。穆が?違う。むしろこの…赦せない。冷酷で残酷な世界の存立そのものが、覚醒。赦せない。…いいよ。と、「帰って来て。どこ?いま、」
「桜木町」
「って、」笑った。穆。「もう、」やさしく。「帰ってきてんじゃん。てか、聞いてる。実は、もう、」
いじめて
まばたきは
「椿さん?」
わたしを
いま
「の、」
吐息で
描いた。悲痛を
「赦して!」叫ぶ。高明は。お願い、と、「赦して。秘密に、」いっ、「だから言わな」いいっ、「いでください。守っ」いっ、「て。お願」
なぶって
ささやきは
「だから、」
わたしを
いま
「捨てない」いいっ、「で。お」いっ、「れら、」
吐息で
苦痛の歌を
「…さ。から、さ。椿さん。彼から、じゃないよ。直じゃない。の、舎弟。みたいな?…から。あのひと、…椿さん。彼、マジギレしてるときおれには直電絶対入れないひとだからさ。絶対、決して、いちども、ね。…おれには、さ。彼、見せたくないんじゃん?そういう、さ。たぶん、じぶん?そういう、」…いいよ、と。穆。「とりあえず、いまは。おれも彼、裏切れないから。でも、お前ら売るとか?お前が云ってる、そういうの。それは、しないどく。ただ、頃合い見て。いちおう、…って、やっぱ、おれ的には筋とおしたいじゃん。あくまで、
男じゃん
おれ、椿さんの
クソ熱いじゃん
下だから。下にいるやつだから。あくまでも、
男じゃん
な」やさしさ。「わかる?」声に。しかも「わかれ」もはやその、「…わかる、」存在そのものが「よね?」恩寵であったかに高明は思った。穆。彼のすべてが
クッソいとしいよ
スカトロ?
クッソまじ
なつかしかった。すがりつき、
クッソせつないよ
脱糞?
クッソやば
泣きたかった。胸に。せめて頭を撫ぜてほしかった。そういえば父親がいなかった。自分がこうなったのはそのせいだと高明はたしかに確信した。自分はあまりにも苛酷な命だった。凄絶だった。容赦なかった。すべては必然で、そして必然に抗う闘士であることのみ強制する苛酷はたしかに卑劣だった。いとおしかった。…なにが?息。穆。やさしい、微笑じみた息。
雨を、そっと
の、
降らせてよ
ノイズ。…でも、と、「さ。3、7な?…わかる?おれ7。お前、3。ウリ、な。…大丈夫。山田にはそれなりのことするつもりだから。彼女には、…だって」と、「かわいそうじゃん?」その「…あいつ。」樹々は
いいんだ、ね?
魂は
高明を見つめながら
生きてても
泣き叫ぶ
助手席、涙。滂沱の涙を流しつづけて、樹々。そうだった。高明は、
これさ
なにも
これだったさ
失っていなかった。そう
これさ
思った。歓喜。それがすさまじい鮮度でひたいの奧に拡がり、樹々。樹々がいた。世界、その終わりの日まで彼女がじぶんを捨てるはずがなかった、と、覚醒。に、似た気づき。と、しての、
これさ
終焉であった
白熱。その日、穆と
これこそさ
愛こそ。そして
逢ったあと、
これさ
きみこそ、おれの
転がり込んだもとの棲み処に、高明は激情のまま樹々を抱いた。ひさしぶりだった。もののみごとに早かった。最中、朝までなんども繰り返すにちがいないと
すっぽし、…ね?
思った。底なしでしか
ばっくり、…ね?
あり得ないと
ずっどん、…ね?
思った。醒めた。一度で、高明は。すっと。冴えた頭で、すがる樹々を
引くように
どこへ?
べたつくよ
かるく厭いながら、ふと
潮。水面が
どこへ?
肌が、べた
思った。未来を。自分にはいま樹々だけがあって、そしてそこから形作られるべき可能性の領野。考えるべきことは、すさまじくあった。謂く、
強靭な、そして
凶暴なおれたち
ひかりたち。…に
色を褪せさせ
強靭な
可能性。が、あらゆる
凶暴な
むしろ、わたしに
ひかりたちに
横溢してい、
色。褪せ
与えよ。
滅びてゆくだけ
…の、やつらに
彼等に見えない
風景が。つかめ
滅びてゆく
未来が。厖大な
風景が
むしろ、わたしを
見えない
責めさいなんでい、
風景が
与えよ、おれのためにおれの生き延びるすべ。またその領野。またその歓喜および充実および充足しかも幸福をも、
見えているんだ
女たち。猶も
生きるよ。おれは
孤独でありたい
見えていたんだ
わたしに、肌を
絶望?まさか
加速しつづけたい
見えたままなんだ
なすりつけ、猶も
その果ての先に
孤立そのものであ
見えているんだ
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