ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi；流波 rūpa -303 //アガパンサスに、ふと/ふれかけた指。または/指先よ。…その//04

以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。

…やべぇ、と。高明。打ち鳴らすガラス。窓。なぜか、運転席側の。開けろ、と？やべぇよ。聞こえない。声は。聞こえたかもしれない。声が。聴覚よりあきらかに、樹々は全身に

　　　妄想。わたしは

　　　　　　あ。あ。あ

　　　　　　　　　ええ。だから

高明のその

　　　聴力をなくした、と

　　　　　　あ。あ。あ

　　　　　　　　　ふるえる小鳥

言葉を知った。開けてやろうと、樹々。身をのりだしかけ、その時に高明はドアを開けた。自分で。あきらかな、熱狂を高明は顔、眼のみならず肉体すべてに

　　　妄想。きみが

　　　　　　はっ。はっ。はっ

　　　　　　　　　ええ。木陰に瀟洒な

さらした。周囲の

　　　倒壊する、と

　　　　　　はっ。はっ。はっ

　　　　　　　　　ふるえる小鳥

温度が、そもそも熱を帯びて思え、…なに？そうささやく間もなく高明は、「はめられた」

「って、」

　　　はじける、ぜ

　　　　　　爆裂

　　　　　　　　　世界を、今夜

「あいつら、マジ、滓」

　　　血潮が、さ

　　　　　　爆裂

　　　　　　　　　自爆させちゃう？

「なに？」

「クッソ、マジ」と、血。ハンドルを握った。そのために、スウェットの腹にくるみ、なぜか巻き込んでいた手を出すと、

　　　あざやかに？

　　　　　　いのちだよ

血。手の甲に。

　　　まさか

　　　　　　死にかけているよ

血。そう、

　　　きたならしく

　　　　　　細胞が、ふと

樹々がつぶやく間もなく高明は車を出した。なかった。動揺は。樹々には。なかった。予測していたわけでは。飽くまでも想定を超え、しかし樹々にはなにもなかった。驚きは。怯えていた。そこに、明らかに高明だけが。小坪のほうに

　　　痙攣。または

　　　　　　わなわな

　　　　　　　　　しょべっ

車を走らせながら、その

　　　痙攣的午後に

　　　　　　…と。まぶた

　　　　　　　　　しょべーしょべーしょべっ

腕も

　　　痙攣。または

　　　　　　がくがく

　　　　　　　　　しょべっ

指も

　　　痙攣的朝焼けに

　　　　　　…と。睫毛

　　　　　　　　　クッソしょ

震えた。ふるえのない太ももと胴体に、なぜか樹々はその部位の強靭を思った。止めた車。唐突な停車。やがて高明は云った、キレたのだ、と。いきなり雅秀が。それら、

　　　声。それら

　　　　　　泣かないで

散々聞かされた説教話がやや

　　　声。むらがり

　　　　　　愛が。あしたは

落ち着き、そして

　　　声。きみをも

　　　　　　ほほ笑むのだから

話がこれからの高明たちの生活に向きかけたその

　　　声。わたしをも

　　　　　　ののしらないで

一瞬に、いきなり

　　　声。ひりつかせ

　　　　　　愛が。あしたは

怒鳴った。そう耳には聞こえた。知っている。実際にはささやきの音量だったに違いない。知っている。高明は。ふざけるな。声。熱量、と。思った。ぶあつ熱量が、と、

　　　絶叫を

　　　　　　かなしくないよ

　　　　　　　　　黙れ！

いま、と、

　　　細胞が。ぼくの

　　　　　　きみがいるから

　　　　　　　　　黙ってろ！

思った。眼の前に、

　　　絶叫を

　　　　　　こわくはないよ

　　　　　　　　　黙れ！

と、脈動する、と。云った。雅秀は。どのつらさげて未来というのか。そんなものはない。お前には。みかじめ未納からはじまり、仕事のバックレ、セルシオ盗難、いったいどれだけの損害を与えたのか、おまえ、「返します」知っているか？「車、いますぐ、おれら、返します。いま」

　　　すすりあげるかの

　　　　　　結晶させよう

「あほか？いまさらか」

　　　声が。ほら

　　　　　　我等の叡智を

「ぜんぜん、傷とか、」

　　　すすりあげるかに

　　　　　　まさに、いま

「それで、これからどうする？」

　　　喉に。ほら

　　　　　　我等の滅びに

「考えます。これから」ああ！と、「全力で、おれら、」雅秀。ついに、「考えます」張りあげた。声を。ああ、と、その悲鳴じみた

　　　声

　　　　　　声

　　　　　　　　　声

声。にらんだ。むしろ値踏みするかに。そして、ようやくしずかな声で、「…おまえ、」云った。「出せ。指」

「ゆ、おれの？」

　　　マジ？

「指、」

　　　クッソクッソクッソ

「ゆ、おれ」

　　　マジ？

「いらんだろ？」あらがった。高明は。言葉もなく、身じろぎもできず、しかしあらがっている自分は、高明には鮮明だった。手、出せ、と。雅秀。床。高明。板張りの、…え？床。拡げた。手を。…え？あり得なかった。拡げたくなかった。ぜったいに…え？え？いやだった。なかった。従う以外の選択肢は。昂揚。高明は、血管が発熱するのを感じて、熱風。が、そこに。こめかみあたりの内部に「口、」あった。「あけろ」と。それらのやりとりのいつかに椿からそう耳打ちされたのを覚えている。忘れようがなかった。いまや、

　　　忘れないで

　　　　　　停滞

　　　　　　　　　もっとも、わたしには

椿は、雅秀をも押しのけ、

　　　ほほ笑みを、ぼくの

　　　　　　空気が

　　　　　　　　　記憶能力などな

ひとり前面に出ていた。もはや椿自身の固有の問題でこそあったかに。至近。近づけられた顔。息。肌。匂い。…口臭？なにか、椿が云った。ささやき。激情が、ほとばしらずに逆流し続け、高明。聞き取れなかった。…え？と。は？

　　　約８bitの知性だな？

その須臾、椿は

　　　約８メガのニューロンか？

高明を殴打した。「こいつ、

　　　激怒している

　　　　　　語れ。きみは、

抉っちゃおっか」

　　　まさに、いま

　　　　　　きみだけの、その

声。ふいに陽気な、

　　　わたしは

　　　　　　悲惨を語

声。椿。「内臓ごと、さ」だから、「あけろ。口」従う。高明は。いわれるまま手を後頭部に組み、「もっと」…って、「そんなにまでは、あけんくてもいい、」微笑を。「…かな？」椿。口蓋に、短刀の刃を差し込んだ。しかも「咬めよ」縦てに。「咬みついちゃえ」

　　　マジ？

「切れちゃうじゃん」高明。

　　　クッソクッソクッソ

わめく。喉の

　　　マジ？

奥でだけ。声になど。口蓋。それをそのまま静止しておきたかった。危機。その

　　　すてい！

　　　　　　破裂しちゃうぜ

圧倒的

　　　すてい！

　　　　　　爆裂ですよ

接近。

　　　すてい、うぃず、み

　　　　　　暴発しちゃ

身じろぎ。あらがうそれ。微動さえ、いやだった。高明は。恐怖。もう、と。「セルシオ、いらん。けど、くれん。くれてやらん。かしたる。ええか？」雅秀。思わず「わかるか？日本語」失笑を、なぜか雅秀は。その時には高明は

　　　もっとやさしく

　　　　　　稀薄な

　　　　　　　　　うずまいてるんだ

正座させられていた。手は

　　　時がながれたら

　　　　　　綺羅たち

　　　　　　　　　大気が。そっと

いまだ後頭部に組まれ、椿。彼は水葉に添い寝し、ただうしろからそのやや傷みのある髪をいじるにすぎない。水葉にあくまでもうざったがられながら。雅秀。「使ってええぞ。あれ。お前、かせがにゃならんけぇ。かせぐためにぁ、元手もいらぁ。な？…ええか？もう、面倒、見んよ。こんごいっさい、さ。こんりんざい、な。椿も。おれも。…な。自分でやれやタコ。…とりあえず、」と、1000万。最初そう云ったと、高明は樹々に云った。賠償金額を。泣きそうになった。高明は、その金額高騰の思いもよらなさに。比喩ではなくて、事実、

　　　壊れるよ

　　　　　　きみとぼくを

　　　　　　　　　さらせ。大気は

肉体。喉は、

　　　沸騰だよ

　　　　　　隔て、綺羅が

　　　　　　　　　倒壊を、おれに

涙も声もなくそこにしゃくりあげつづけていた。すがった。わびた。無理やり土下座した。もちろん両手はそのままに。額を、これみよがしに床に叩きつけ、交渉。ながい、

　　　見えてる？

　　　　　　マジ？

ながい、

　　　わたし、まだ

　　　　　　クッソクッソクッソ

無意味にながい、

　　　見えてる？

　　　　　　マ

哄笑。椿が。水葉が。ただ、真摯でいるのは自分と雅秀だけと知った。と、唐突に共感が。雅秀。まさに、彼。彼だけに。理解しあった、しかも无距離で。そんな歓喜が、高明に

　　　語りかけてる

　　　　　　ひかりだよ

破裂した。「100万」と、

　　　そのまなざしがいま

　　　　　　救いのひか

ついに、雅秀がようやく折れた時、高明は歓喜しそこに泣いた。ほんとうに、

　　　見たか！

　　　　　　咆哮

　　　　　　　　　これこそ、これが

肉体。顔は。

　　　涙だ！

　　　　　　魂の

　　　　　　　　　これこれこれこれ

喉は。全身で

　　　見たか！

　　　　　　絶叫

　　　　　　　　　これこそ、これは

泣く自分に高明は感動していた。血が止まらなかった。車中、仕方なく樹々は服を脱がせ、それで止血した。弾き裂けなかった。だから、手はハンドルを握りようもない膨張を見せ、いつ、どこで手の甲が傷ついたのか、高明にその記憶さえなかった。樹々。彼のひたいに手を当て、樹々。測った。熱を。なぜ、

　　　熱いっ。いっ

　　　　　　沈黙を

　　　　　　　　　燃えてるぜ

そうするのか、自分でも

　　　いっ。熱いっ

　　　　　　肌は、その

　　　　　　　　　滾ってんだよ

意味がわからなかった。ひたいはあくまで平熱だった。謂く、

　　　しかも、アナログな

　　　　　　見せなかった

　　　　改竄。記憶の

　　　　　ずっと。出逢って

　　　フィードバッ、の

　　　　　　見せられなかった

　　　　知ってる。きみは

　　　　　いままで、うちらは

　　　ク。のいず。…を

　　　　　　見せもしなかった

　　　　怯え顔しか、わたしに

　　　　　見つめあっ、あっ、あ！てた

　　　は？やばいの？

たぶんねでもねぜんぶねぜんぶ、…ね？

　　　しかも、アナログな

　　　　　　見せなかった

　　　　改竄。記憶の

　　　　　ささえあってた。…から

　　　フィードバッ、の

　　　　　　見せられなかった

　　　　意図なしの。きみは

　　　　　これからも。だから

　　　ク。のいず。…を

　　　　　　見せもしなかった

　　　　おののき顔しか、わたしに

　　　　　いられるかな？一緒で

　　　は？いたいの？

たぶんねでもねぜんきみのせい、じゃね？

　　　しかも、アナログな

　　　　　　見せなかった

　　　　改竄。記憶の

　　　　　いら、ら、ら。られるね？一緒に

　　　フィードバッ、の

　　　　　　見せられなかった

　　　　知ってる。きみは

　　　　　一緒だね。ずっと

　　　ク。のいず。…を

　　　　　　見せもしなかった

　　　　怖れ顔しか、わたしに

　　　　　ずっと、ずっとだね？

　　　は？クソなの？

椿。怯える、と。怯えるいう

　　　残像のように

表情。しかも

　　　残像として

全身の。その

　　　残像にすぎない

過剰なまでにもあくまで自然な表現。怯える、と。高明。彼がさらしていたそれを、椿はいまだ閉まったドアに

　　　花々よ

　　　　　　ベゴニア。または

見ていた。だからひとつの

　　　叫べ

　　　　　　恥じらいのブルボン

残像として。ふと、笑った。その声を水葉は不遜に感じた。こんな時にまで、と、水葉。軽蔑。あさい、それ。高明が出て行った、慌て切った挙動とドアの開閉、衣擦れ、それら、

　　　ざっ、ぅ

　　　　　　ぞ。ぞ。ぞ

　　　　　　　　　いっ。ぅ。じっ

騒音。耳に、水葉は思い返した。あやうく自分も笑いそうになった、唐突で発作的な須臾。水葉。「って、」椿。「…さ」椿。雅秀は、いまや自分を振り返り見ていた椿に顔を「憐憫って、」上げた。「もん、あんた、さ」破顔。かつ「ないの？」失笑。「知ってんじゃん。」と、水葉は、「椿。難しい言葉…」失笑。…莫迦。と、「おれ、」椿は、「意外に成績優秀。小学校ん時、な。IQだけ無駄に高いから。200はあんじゃね？」

「憐憫って、おまっ」

「…ねぇか」

「お前が、」雅秀。「一方的にひとり脅しかけてたっていう、」その「それだけでしょ？」ななめに見あげた眼が、ふと、歎きに翳るのを見た。椿は。いやにもの思わしげな、ふかい

　　　残像のように

目だった。それを

　　　残像として

椿は、ふと

　　　残像にすぎない

場違いに思「どっちが？」椿。「あんた、結構、」

　　　なまぬるいんだ

　　　　　　見て。ほら

　　　　　　　　　かゆっ

「ない。あれは、」水葉。「ない。」笑う。その「あんな、」鼻息にだけ。「あんなん、」

　　　なんで？

　　　　　　塵たち

　　　　　　　　　やや、デリケートな

「マーシー、さ」椿。「なに？」

　　　皮下脂肪。その

　　　　　　雪崩れる大気に

　　　　　　　　　禁止区域

「いま、金こまってる？」

　　　あやうい気配が

　　　　　　綺羅

　　　　　　　　　かゆっ

「なんで？」

　　　なんか、さ。やけに

　　　　　　雪崩れます

　　　　　　　　　やや、デリケートに

「100万なんて、さ」そしてもう、椿はいまさらに笑いをこらえることができなかった。「必要なの？しかも、セルシオ放置でしょ？」

　　　なまぬるいんだ

　　　　　　見て。ほら

　　　　　　　　　おおまたびらき

「あいつ、高子のこと云うたろ？」

　　　なんで？

　　　　　　塵たち

　　　　　　　　　がっかり？

「いつ？」

　　　うしろ首回りの皴っぽい

　　　　　　雪崩れる大気に

　　　　　　　　　かゆっ

「あいつの、」と。雅秀。ふと、「それが」と。「赦せんかった」ベッドに背をもたれた。水葉は至近、上体だけもたげ、ねじった頸はドアちかく、立ったままの椿を見ていた。謂く、

　　　影を。ながい

　　　投げかける影を

　　　見ない。猶も

　　　あえて、眸を

逸らすがいい。眼を。

　　　翳りを。しろい

　　　綺羅めくそれを

　　　見ない。猶も

　　　あえて、その

　　　影を。ながい

　　　　　　散乱。気配

　　　　暴力は、深刻な身体的破壊を

　　　　　やや、頭部

　　　投げかける影を

　　　　　　べつべつの風景を

　　　　そこに可視化しないかぎり

　　　　　ひたい。微熱。なぜ？

　　　見ない。猶も

　　　　　　おなじ時空に

　　　　かならず滑稽じみて

　　　　　最近は。なにも、

　　　あえて、眸を

逸らしているがいい。眼を。

　　　翳りを。しろい

　　　　　　拡散。吐息

　　　　見える。いくつもの、わたしの

　　　　　ふいうちの寒気も

　　　綺羅めくそれを

　　　　　　ふと、唐突な

　　　　すべての体験事例を鑑みれば

　　　　　ぜんぜん、最近は

　　　見ない。猶も

　　　　　　倦怠が、喉に

　　　　って、それ色目？わたしの

　　　　　ひたい。かすか。なぜ？

　　　あえて、その