ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -301 //アガパンサスに、ふと/ふれかけた指。または/指先よ。…その//02





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





5月、その10日。高明たちがふと鎌倉に帰ったことに、あるいは取り立てて意味などなかった。樹々は意外に律儀だった。毎日渋谷で客を取り続けた。およそだれるということがない。倦怠を、飽和させたのは一方的に高明の方だった。だから、

   繊細。やばっ

      引き攣、ひっ

云った。樹々に、

   きみは。すっげぇ

      声。ひきっ

…ちょっと、

   繊細。やばっ

      引き攣、ひっ

さ。「なに?」

「旅行しない?」

   どこ?

「旅行?どこ?」あてもなく、

   海の果て?

だから、かならずしも

   どこ?

行きたい場所の

   地の果て?

明確があるわけでもなくて高明は、「お前さ、」思わず、「おれの、地元、見たくない?」

「って、めっちゃ行ったよね?わたしら。鎌倉。しかも、そこで逢ったよね?うちら」忘れていた。高明はもうそれらのことなど。あまりにも時間が

   空気が、さ

      走れ。鳥たち

すぎて思えた。ごまかすすべを

   意外に、さ

      滑走。その

さがし、笑み、そして

   おいしんだよね

      鳥影のしたを

笑み。樹々の。すでに、樹々にじぶんのこころの大切ななにかがごまかされはじめているのを見たと、高明。彼。ふと、あやしいこころのあやしさを見るかに「里心?」思った。ひとりで。「ついちゃった?」樹々。「…ちがう?」うわ目に、「逢いたい人、」…え?「いる?」

   舌さきに

      沈黙の

         行こうぜ!

「おれ?」

   あいまいな傷みを

      須臾にも

         かなしみの果てに、

「だれ?」

   たぶらかしさえ

      饒舌を

         全力疾走

「べつに」と、…そっか。樹々。独り言散、そして高明にふたたび…ね?返り見、「行きたい。わたし。ひさしぶに。鎌倉。で、ほら。まだじゃん」

   絶望的だ

      ひかりにおれは

「なに?」

   うぶ毛。その

      血まみれだ

「高明ママに、挨拶しときたい。…と、友達たち、とか?元カノたち、とか?」微笑。ささやき、陰湿と誠実のない、さぐりのあるまなざしを高明に向け、樹々は。それが

   いつ?

4日の朝だった。

   しあわせになれるの?

9日。ふと、

   どこ?

高明。あるいは、すでにあきらかに10日。思い出す。彼は、6時。自分たちで決めたリミットの、午前6時。道玄坂上。樹々を拾い、ネット・カフェ。そこに向かうまえの朝食、マック、…行く?高明。「お前」

   無慈悲であった

      と、唐突な

「どこ?」

   睫毛。その

      空腹感。もはや

「鎌倉」…って、笑う。樹々。「してた。うちら、たしかに、してたわ。うちら。そんな話。まじで」失笑。「行く?」

   鋭利であった

      懐疑。かさなりあう

「高明は?」

   こめかみ。…に、毛

      無数の。もは…って

「お前は?行きたい?」…って、樹々。なぜか、唐突に思いあぐね、樹々。…って、と、「忙しいしな。いま」

   煽情的でさえ、…けっ

      あせってね?お前

「休もうぜ」

   そこの毛。毛

      なんか。なんで?もは

「でもさ」オッケー。高明はささやき、ふと「これから、」表情を失う。「…行こうぜ」

   かつ一般的だ、…っけ?

      って、おれ?あせってんの、

「無理」

   どこの毛?毛

      おれ?マジ?もは

「決めたから。おれが」笑った。高明は、まるで樹々に嗜虐を感じているかに、故意に残酷に、笑った。「行く」高明は。「おれら、」

「待って」樹々。…いっかい、と、「体、洗いたい。めっちゃ、さ。自分的に、さ。いま、さ。匂うから」そして樹々は上目に高明を、そしてその眼がにぶく咎めだてする。なにを?謂く、

   奪いたい。きみは

   あくまでも、縛り

   囲い込みたい

   きみ。いまだに


   奪いたい

    息を、はっ

   縛りあげ

    吐き、吸う

   囲い込み

    うっ。息を

   きみ。猶も

焦土と化していたら、いいかも、ねっ。むしろ

   拘束を。わたしに

      笑える。もはや

    息を、はっなぜ?

     できはしないのだ。理解しあうことなど、

   がんじがらめに

      貪欲が。あなたの

    吐き、なぜ、きみは。吸う

     ついに。絶対に

   独占を。わたしを

      つぶさないで。おれを

    うっ。なぜ?息を

     分かり合うことな

   はがいじめにし

更地と化していたら、いいかも、ねっ。しかも

   奪いたい

    息を、ようやく?

   縛りあげ

    吐き、はっ吸う。すっ

   囲い込み

    自然に?息を

   きみ。猶も


   奪いたい。きみは

   あくまでも、縛り

   囲い込みたい

   きみ。いまだに

10日。だから、その

   波を、踏め

      綺羅ら

         耳を。ぼくが

午後3時。高明は車を

   踏め。飛沫さえ

      綺羅ら

         ふさいでいるから

由比が浜につけた。左手に海が、そして右手に水葉のマンションが見えた。椿に電話を入れた。…いま、と、「どこですか?」

   やや、スモーキーな

      とは、ノイズである

         おれら、なんとか

「お前は?」

   やや、ブルージーな

      る。波。その色彩とは

         なんとかです

「おれ、地元です」…って、「鎌倉なの?」笑った。高明は、声を立てて、耳。思い切りなんの遠慮もなく、その、耳。乱れた笑い息のノイズを耳に、高明。彼は聞いていた。…で、椿の。「どこ?」

「由比が浜」

   あやういよ、ね

      ゆびさきを

「の、どこ?」

「いま、椿さん、どこ、います?」

   失神しそう

      咥えていろ

「渋谷。けど、明日行くよ。そっちに。お前、さ」

「なに?」

   飛びながら、鳥

      つまさきを

「こっち来れない?」

「だから、いま」

   あやういよ、ね

      咬んでいろ

「お前さ、マーシーに挨拶しないの?」

「一緒なの?」

   飛びながら、鳥

      はなさきを

「いま、そっちじゃない?」声。椿。わらい声。いま、なにもかもが、手当たり次第に椿にはただ、

   ははは

      べべべ

         ひひら

おもしろいのだった。そうとしか

   ぼぼぼ

      へへへ

         びびば

高明には思えなかった。…と、いうことは、と、「水葉さんとこ?」

「か、お前の家じゃね?」

「おれの?」

   孤児さ。世界の

      華麗なる

「知らね。明日行く。おれは。…お前は?」

「いろって言われたら、いますよ」

   おれは。すでに

      旋回を

「なら」と、「いろ」そして、椿はふたたびそこに笑い転げた。樹々にさえ聞こえた。高明。ふと返り見たその眼から、ふいに目。そらした。樹々。だから

   ええ。すでに

      凍死。かつ

         生きろ。おれ

高明に

   殲滅。きみだけ

      憤死。猶も

         死ぬな。おれ

すれちがう、せまい窓。セルシオの。その向こう。空。あくまでも、空。樹々。謂く、

   海。…を。海

      病んでる?うちら

    高い、そして

     きれいだよ。やっぱ

   海。…を。海

      病みかけ?なんか

    基本、なんか暴力的な?

     思わず。わたしは

   海。…を。海

      だいじょぶだよね?まだ

    捨て鉢な?波

     そうつぶやきかけ

   海。…を。海


   海。…を。海

    もう、なにも。もう

   記憶。いくつかの

    あとかたもなく。もう

   海。…を。海

    忘れた。もう

   どこ?あの日

わたしに見られている風景はただわたし以外には見られなかったと、謂う、いわば発狂の予感。その、

   すれちがったひと

    もう、なにか、もう

   海。…を。海

    思いだそうとする対象の明確さをさえ。もう

   記憶。いくつもの

    なにも。もう

   海。…を。海


   海。…を。海

      だいじょぶだよね?まだ

    轟音。そして

     いいよね。ここ。やっぱ

   海。…を。海

      病みかけ?なんか

    やや鬱っぽくない?これ

     と。なぜ?わたしは

   海。…を。海

      病んでる?うちら

    ひびあう。波

     吹き出して笑った

   海。…を。海









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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