ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -296 //とろけてしまったのだった/デンドロビュウム・ギンギアナム。…そこに//23





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





そ、…と。椿。16日。穆。バックレ。その

   きみの眼の前でだけ

      笑えよ

報告。「すみません」その

   死にたくなります

      おれを

声に思わず、椿は「お、」言葉に「おれの、…てか、」詰まった。「完璧、管理ミスですよね」穆。電話をつかんだ椿の手が、思わず力んだ。そして

   激情だ

      と。牙。の、ような

         いやだ

ふるえた。言った。必死に、

   なつかしく

      と。傷み。無数に

         いやだよ

声を「お前、」

   いとおしい

      と。耐えがたく、…あっ

         いやだ

しぼりだして。「やばっ。」と、「穆、おまっ。どこまでおまっ。クッソまじ、まっ。おまっ。いい奴なん?おまっ。やばっ。おれ、いまさおまっ」

   わかんねぇだろ?

      タコくそボケ

「でも、事実」

   わかるなよ

      タコくそボケ

「いまさ、おれ」

   まごころなんだよ

      タコくそボケ

「椿さんから託された、」

   わかってたま

      タコくそボケ

「さ。マジ。まっ。くっそ泣きそう。クッソ。クソやばい。クッソ。クソすっげぇ、クッソいま」と、「まっ。エモすぎてマジ死ぬ」もはや「マジくそ」椿は「クッソ、」しゃくりあげる息を押さえなかった。…られ、も、しなかった。椿。ただ、男泣きに泣きくずれた。胸を張った直立のままに。体内のすべてが熱かった。全身全霊の感動だった。謂く、

   死ね。きみは

   おれを見つめ

   見つめたままで

   俺に抱かれ


   死ね。きみは

    なにを?もはや

   おれを見つめ

    無力。言葉など

   見つめたままで

    ただその空疎を

   俺に抱かれ

魂の、…さ。おれら、…さ。サバイバー、じゃん?

   死ね。きみは

   おれを見つめ

   見つめたままで

   俺に抱かれ


   死ね。きみは

      こわいよ。お前が

    なにを?もはや

     ありがと。きみが

   おれを見つめ

      うつくしすぎて。もう

    恐れるものなど

     生まれてくれて。そして

   見つめたままで

      傷いよ。まごころ

    ただその誠実を

     生きていてくれて

   俺に抱かれ

無表情。その2秒。そしていきなりの、

   ほころびよ!

      沈黙。その

素直な

   蕾たち

      睫毛が、わずかに

笑み。樹々。「いいよ」

「ごめん」

「いいよ。べつに」…おれ、さ。「まだお前になんにも」その「…してやれてさえ」言葉は「いねぇ」高明。彼の耳の内にしかひびかない。「おれ、まじ、クソ」渋谷。道玄坂上。16日。午後7時。「でも、さ」樹々。「ゴム、大量に買ってよ」

   クソかよクッ

      人間ってさ!

         ラブじゃんラッ

「いいよ。それ、そんなの」

   クッ。く、クソ

      なんでさ!こんな!

         マジ胸はって

「ってか、いきなり、生強制とか?だ、」

   クソかよクッ

      こんっ。マジくそ

         叫ぶさラッ

「あたりまえじゃん」

   クッ。く、クソ

      うつくしんだよ!

         ラブじゃんラッ

「たったら、マジ、

   すきだ、よ

股間

   ずっと、いっ

蹴り上げる。ジュー

   いっしょ、よ?

ジュ。そんな

   すきだ、よ

おっさん」…赦さねぇって、「おれだって」高明。いわゆる立ちんぼには立ち会わない自分の事実をそこにあっさり忘れていた。ただ真摯な憤慨を、高明の。樹々は

   知らないのだ

      微動?

いとしく

   花は。たとえば

      微動、だ、に。あっ

また、信頼をよせ、

   芙蓉の花は

      街路樹。風

だいじょうぶ、

   かなしみなんか

      微動。葉

と。こいつとなら、

   知らないのだ

      微動?

と。謂く、

   だれかに?だれに?

   ジュジュー。会う?

   だれかに?だれに?

   見かけられちゃう?


   だれかに?だれに?

      親友だから。さ

    たぶんね。肌

     ふれあうとは

   ジュジュー。会う?

      ぜんぶ、きみには

    意外に、こころも

     赦しあうことと

   だれかに?だれに?

      もう、話したね

    肌。かさなるままに

     知った。わたしは

   見かけられちゃ

恋って、ね?女子たちをきれいにかわいくするために、恋って、ね?この宇宙。かたすみに恋って、ね?ちょこんっと、存在したの、です。

   なに?それが

   わたしは、いま

   わたし固有の

   風景を、生きた


   なに?それが

      親友だから。さ

    やっぱね。ひと

     赦しあうとは

   わたしは、いま

      きみは、それでも

    意外に、だれもが

     尊重しあうことと

   わたし固有の

      笑ってくれたね

    ひとり。…だけじゃ生きてられずに

     知った。わたしは

   風景を、生きた

3月3日。麻布台に秋子はいた。ひな祭りだった。瑞穂の好み。ひなまつりの酒宴。そもそも、それは高子が生まれたときに始まった。親族がつどう。だから、雅秀も。秋子はあえて雅秀とことばを交わさない。高子はそこにももう呼ばれない。雪の下に追いやられて、それから、いちども。ずっと。「兄貴」と、素直に風雅が雅秀に声をかけたのが、正則には奇異に思えた。まだ切られていないというだけで、好まれてなどいないことはすでに本人含め周知のはずだったから。…お、と。だからそこに、思わず雅秀は声をうしなう。返すべき言葉が、おもいつけない。兄らしい、せめてものそれを。「世話んなっとるね。…あれが。高子が」いぶかり。雅秀は、その笑む風雅がなにを企んで、と、いぶかり。そんな。「いっかい、礼くらい言わにゃ思うとったから。わしも」

「なに言うてる?」ささやく。「わしら」

「ありがと」

「兄弟で。わしら」ことさらに、「なんも」声。ひとり、ひそめて。笑った。風雅は。「飲んでぇ」と。そこに酌をしかけた風雅の手を雅秀は押さえた。「いけんで」雅秀。「いけん。自分でするが」雪解け。そう思った。雅秀は。年を取ったということか。弟も。ついには、兄を兄と知ったか。弟は。雅秀。そこにしずかに、心にさわやかな感覚が拡がるのを好ましく思った。心地よかった。風雅はただ機嫌が良かった。瑞穂。今日の機嫌なら、ウジ虫相手でも酌をするに違いないと、瑞穂にはなにも不審はない。風雅はそして、兄の肩を叩く。やさしく、二度。信頼をじっと確かめ合うに見えて。秋子だけが、そっと見つめた。謂く、

   滑稽なものだ

   いつも、こころは

   ついには、ただ

   真実。それだけを


   滑稽を

      匂いますよ、と

    着付け。その

     赦し。…と

   こころは

      ん?…くちもと

    微妙。着ぐるしさ

     なにを?わたしは

   ついには

      なに?お酒

    微細に、その

     赦したの、だろう?

   真実だけを


   さらすものだ

   いつも、こころは

   ついには、ただ

   ぶざまを。それだけを


   さらけだし

      匂いますよ、と

    肌ざわり。その

     猫背。…その

   こころは

      ん?…ちょっと、と

    なじむ。なじまれた

     かさなりあう、そこ

   ついには

      なに?飲み過ぎた?

    官能性。その

     赦し。ふたりに

   ぶざまを


   見せつけるものだ

   いつも、まなざしは

   まばたき、ただ

   ふるえ、微動だけを


   見出し

      匂いますよ、と

    形姿を。その

     和解すべき、もう

   こころは

      ん?…微笑を

    たたずまい。ふるまい

     そんなすべもなく

   ついには

      なに?あなたに

    艶美であれ、と

     唐突に、わたしたちは

   微動だけを


   おののいたかに

   いつも、こころは

   ついには、ただ

   滑稽。それだけを


   おののくかにも

      匂いますよ、と

    いまさら?だれも

     赦し。…を?

   こころは

      ん?…うかべるわたしも

    返り見さえも

     なにを?わたしは

   わたしは

      なに?世慣れたひと?もう

    矜持。その孤立

     赦しかけたのだろう?

   滑稽をだけ

3日。樹々。3月。放尿。まだ、

   春だよ

      ときに、突然

云わない。高明にも。そこに、

   春。はっ

      幸福感。あくまで

はがゆい

   春だよ

      不可解な、それ

浅い、やや

   春。はっ

      狂気?ときに

傷みにも似かよいかける、或る痒みが、刺戟。その、あるたびに刺戟。執拗に、さわぎたつことは言わない。高明にも。そこに、

だからはがゆい、

   不安だ、よ

      芽吹く

         気づいた?

痒み。放尿とともに、

   ふあっ。ふあっと。ふわっと

      目覚める

         気づかなかったよ

性病?と、

   不安だ、よ

      息吹く

         気づいていないよ

なに?午前。その10時。代々木公園にトイレを使った。車はわきに路駐した。車にかえっても、高明には言わない。高明にも言わない。そこに、樹々は。掻きむしりたい。樹々は。歯を咬む。あさく。樹々。謂く、

   しっ、し

   きづ。づ

   か。かんっ

   わかっ。か

気づかないということは、知らないということだ。…まだ、

   知っている

      だって、なにもかも

    ふいに、さ

     すべては。ぜんぶは

   気づいている

      うつくしいのだから

    ね?泣きそう

     在り、在るがまま

   勘づいている

      しあわせだったのだ

    なんで、さ

     それら、いじらしく

   分かりきっている

知らないということは、存在しないということだ。…まだ、

   しっ、し

   きづ。づ

   か。かんっ

   わかっ。か









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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