小説 op.5-(intermezzo)《brown suger》⑥…君に、無限の幸福を。
今回は、薬物と、社会からはみ出ざるを得なかった少年たちの乱れた性と、母親への思い出、が、描かれます。
予備知識なしで読んでいただくには、かなり刺激が強いので、修正版でアップしておきます。
あとでアップする完全版で、それでも読んでみたいという方がいらっしゃたら、読んでみてください。
よく、僕の作品には反社会的な人物だとか反道徳的な人物だとかが出てきますが’、反社会的な人物や絶望的な状況を、反社会的かつ絶望的に描いて、それが目的である、というわけではありません。
そういう、似非ニヒリズムは基本的に嫌いなのです。
ネット小説って、そう言う感性に基づいている事が多いんですけどね。残念ながら。
僕の小説は、既存の倫理や、形骸化した道徳が一切通用しなくなった、いわば焦土で、自分たちの倫理を必死になって構築しようとしている人々、或いは、人々がそんな焦土にまで追い込まれて、そこで必死に倫理的であろうとする姿、を描こうとしています。
そう言う意味で、これらは本質的には倫理小説なのです。
今回、シンニード・オコナーの曲が出てきます。
有名な曲なので、ご存知かも知れませが、一応、貼り付けておきます。
2018.06.23 Seno-Le Ma
brown suger
#4
その女…あるいは少女を連れてきたのは、Cảnh だった。Cảnh は色白の美青年だったから、女に不自由などしないはずだったが、その女は体を売っている女だった。
女を買った Cảnh に、ついてきたのだった。マリアと並べれば、明らかにマリアは子どもに過ぎなかった。その、Hạnh ハン という名の16歳の少女は、**********。
Cảnh の部屋につれてきたその時に、
夜が明けますよ
戯れるように暑がって、***********
夕暮れるように
*********、綺麗に濃い化粧で書かれた顔を、
朝焼けて
大袈裟にしかめて見せた。Duy が口笛を立ててはやしたて、
夜が壊れていきますよ
ときに、
すでにもう、その色彩さえも
卑猥な言葉であるかのようにかわるがわる少年たちが口にする Xin đẹp, đẹp、その言葉が、
壊されて
綺麗、という意味だということは、マリアでも知っている。
誘いに応じるように女は服を脱ぎ捨てて、シャワールームに入って行った。Hạnh が********************、***匂いがたった。
Cảnh が******顔を曝し、Duy が自分も服を脱ぎ始め、派手に立つ水音を聞きながら、あの匂いをさえ、と。…水は洗い流す事ができるのだろうか?、そう、Thanh は想った。
ロフトで、Duy がまず****。
It's been seven hours and fifteen days
Since you took your love away
7時間と15日
あなたが愛を捨て去ってから
Thanh は暇で仕方がないはずのマリアのために、パソコンから音楽をかけてやる。ママの、…
I go out every night and sleep all day
Since you took your love away
毎晩でかけて、昼間眠ったわ
あなたが去って仕舞ってから
ママの好きだった歌だ、と、そう言ったに違いない。その時、Ma… Ma… Ma… なんども無数のMaが、二つセットでつぶやかれたから。
ママ、
まま、
ママ、
まま。
Since you've been gone I can do whatever I want
I can see whomever I choose
まま、
ママ、
あなたが出て行ってから、好き放題やってるわ
好きなやつと遊んで
マリアがゲームを始め、ときに、わざと派手に立てる Duy の声に、不意に声を立てて笑う。
I can eat my dinner in a fancy restaurant
But nothing
I said nothing can take away these blues
ファンシーなレストランでおしゃれなディナー、けど
どうして?心はブルーなまま
Canh はビールを開けて、Dan にまわしてやった。
Thanhは、想う。美しい、…
Cause nothing compares
Nothing compares to you
だって、…
あなたの代わりは、どこにもいない
美しい曲だ、と、けれども、そして**剤は、スプーンの上で、もう完全に液体になっていた。
…悲しすぎないかな?
It's been so lonely without you here
Like a bird without a song
あなたがここにいないことが寂しくて仕方ないの
歌を忘れた鳥のように
すこし、…いや、とても。
感じて、自分でも腰をでたらめに動かす Hạnh は、同時に
感じた振りをしながら、ヒキガエルのように
喉を鳴らし続けた。
Nothing can stop these lonely tears from falling
Tell me, baby, where did I go wrong
なにものも孤独な涙をとめることができずに、…ねぇ
わたしはどこで間違ってしまったの?
日差しにまだたく。**********を、マリアは Thanh に覆いかぶさるようにして見詰めた。
I could put my arms around every boy I see
But they'd only remind me of you
誰をも抱きしめる事ができるわたしの腕が、ただ
あなたをだけ想いだす
針の先を、斜めの日差しだ細かく照らして、Duyは
まだ*****。Duyのからだを
溶かした***が、いま、
I went to the doctor and guess what he told me
Guess what he told me
医者に行ったわ、…ねぇ、なんて言ったと想う?
あいつ、なんて言ったと?
彼に**********を与え、自分の理性ごと、Hạnh を
ぶち壊す。***************。
He said, "Girl, you better try to have fun no matter what you do."
But he's a fool
「なんでもいいから、エンジョイして!」
ただの馬鹿でしょ?
Nothing compares…
Nothing compares to you
マリアに*ってやるとき、マリアはいつものように、*********
*から眼をそらして、鼻から息を吐く。目を、
All the flowers that you planted, mama in the back yard
All died when you went away
ママが裏庭に植えた木も、みんな枯れてしまったわ
あなたが出て行った日に
ゆっくりと、閉じ始めながら。いつも、
と、想う。Thanhは。心配しないで。君が、
I know that living with you, baby, was sometimes hard
But I'm willing to give it another try
あなたと生きていくのって、時にはハード、でも
もう一度、トライしてみたい
針の先に怯える君が自分で*てないときには、いつも僕が*ってあげるから。
Nothing compares…
Nothing compares to you
あなたに替われるものなど、どこにもいない
どこにも
Nothing compares…
Nothing compares to you
蝶。
ちょう。
蝶、
蝶。
ちょう、ちょ。
蝶ちょ。
ちょう、蝶。
蝶
蝶
蝶蝶
蝶蝶蝶
蝶蝶■蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶■■蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶□蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶■蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶■蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶□蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶□□蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶□蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶■■蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶□蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶□蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶□■蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶
蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶蝶■蝶
…なにも、見えているわけではない。視界は、形態を、そして色彩をも確実に捉えながら。
蝶など見えてもいないが、マリアの脳裏にひらめいたその音響が、無数の蝶の群れの重なり合わない羽撃きをみせた気がした。
だれも、眠りはしなかった。**剤が、眠りなど、まだ、許さない。時間は持て余された。Duy がへたくそなダンスを踊ろうとして、壁にぶつかった。
一人だけ*っていなかったThanh は、時に声を立てながら、彼らを笑い、*ちたくなかったのではない。
*ってやったマリアが、すぐに倒れ掛かって、Thanh のひざの上を占領し、次の**を準備する自由を奪ったからだった。
Thanh は、自分にからだを預けて、甘えるように胸に顔をうずめたマリアの頭を撫ぜ続けた。
まだ、マリアの体臭は変わらない、あの日本人の男のような、あるいは、Cảnh のようなにおいはしない。
その覚醒剤塗れの身体は。
Hạnh が*********の Đân を押しのけて、鼻水を拭いた。
自分の胸の上、乳房が盛り上がりかけたところの、目立つほくろの近くを穢したそれ。
Hạnh は笑っていた。Thanh を見て。まだ誰も知らない、子どもの、美しい純白のThanh。
少女を胸に抱え、大事そうに。妹を守る勇敢なお兄さんのように。世界中が、…
Thanh の手が震える。一瞬、マリアの頭を支え続けるそれが。
敵に回っても、僕は君を守るよ。…ねぇ、そうでしょう?
そう言ってるんでしょう?
Thanh は知っている。素っ裸の女が、**********さえしながら、ロフトのはしごをよろめきながら下り、Hạnh は想う。
それは、わたしでしょう?
あなたが腕に抱いているのは
Thanh にゆっくりと、*******歩み寄るたびに、そして床を、
…ねぇ
********が汚した。
わたし。
あなたが、腕に抱いてる、…わたし。
Hạnh は Thanh に口付けながらマリアの頭を撫ぜる。
蝶。
ちょう、蝶。
マリアが Hạnh の指を舐めた。壁にずらして、優しく Thanh の身体をマリアごと倒せば、Hạnh はすぐに、
聴き取られた蝶の、
その。
ずらした短パンの中から、Thanh の********を探し出す。**が、目を覚ますのは容易だった。
音?
無数のその
羽の、
蝶の。
羽音
Thanh の唇が Hạnh の唇に塞がれて、**************無防備な Hạnh の唾液が唇を、
音さえたてずに
触れ合う舌を、口の中を濡らす。
匂う。
感じた。
Hạnh の唾液の匂い。頭を撫ぜた。胸に抱いたままのマリアの頭を、
…わたしでしょう?
なぜて。
Hạnh ***が、初めての Thanh ***に痛みを与えた。こすれるような、こまかな、無数の、際限のない痛み。
はがゆい快感のようなものを感じないでもなく、いつか、それが快感に違いないことに気付く。
マリアの髪の毛が匂う。馬乗りの Hạnh に押しつぶされそうになりながら、頭を撫ぜるたびに、あられもない Hạnh の乳房が ************、マリアは感じた。
その、やわらかく、温度を持った、その、大きな、たっぷりの、それ。
乳房。
Thanh がいま、Hạnh と************。
Hạnh が息遣っている、そしてその、どこかの女が立てる、喉の奥の、ヒキガエルのような押しつぶした、
蝶。
乳房。
ママの。
想いだした。
マリアは、自分のからだごと振動させる*****動きをからだに感じながら、ついには壊れて、廃人になって、ベランダから転落死してしまったその。
ママ。
乳房。
愛してた?
顔をうずめたもの。
…たぶん、ね。
かつて、そう、いつか感じたに違いない、その。
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