ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -287 //とろけてしまったのだった/デンドロビュウム・ギンギアナム。…そこに//14





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





午前9時。高明。31日。その

   目覚めよ

      ふるえてる。愛で、

1月の。傷み。拳はもう、傷みをは

   魂よ

      全身全霊の、ふ

残していない。むしろひだり脛に、傷み。なぜ?高明は耳にもはや気づかなかった。その

   莫迦やろう!

樹々。寝息。きのうは

   クソやろう!

ハードだったから。もう、信じられないくらいハードだったから。もう、いやになるくらそう、樹々は眠りに落ちる前にさんざん、

   唐突に、傷みが

      つっこんでいい?

語った。

   ほほ笑ませ、わたし

      鼻孔に、わたしんp

高明に。奇妙な

   唐突に、恐怖が

      繊細なこゆびを

充実感を、その

   ほほ笑ませ、わたし

      ぶちこ

まなざしに隠さず。携帯だけ、椿。山田椿。かれに渡された携帯をだけ、高明。ポケットに突っ込んだ。鍵束から部屋の鍵をのこした。樹々。その、やがての目覚めに気づくべき枕許、頭のうしろ。そこに。そのとき、横向きに樹々は背を見せていたから。鍵がゆびから

   踏むのさ

      うずくまっている

         希望よ

離れた瞬間、

   寝返りに

      翳り。その

         未来よ。そして

高明は

   後頭部

      容赦ない上で

         憧憬よ

感じた。いとしさ。また、いじらしさ。いたたまれなさ?樹々。そのすべてはもはや、高明だった。そう高慢もなく高明に、そこに明晰に知れた。踵を返すまえ、高明は憩いの見える樹々の眠りをさまたげないよう、こめかみに

   そっと

      いまだかつて

口づけた。

   きみは

      かなしみをなにも

外気。

   ぼくを裏切る

      知らないものたち

外。

   そっと

      いまだかつて

冷気。

   ぼくは

      さびしさをなにも

バイク。鎌倉に、高明は向かう。かならずしも遠くはない。謂く、

   生きた。わたしは

   生き、だから

   うつむく。わたしは

   生きる。あくまでも


   いま。いかなる

   場所。そこでも

   そこ。いかなる

   時。いまにあっても

いいかい?いいか。か。いいかぜ、が。いいかい?ふいてくい。いいか。か。ぜが。か

   生きた。わたしは

    速度。あえて

   生き、だから

    しなかった。感じよう、とは

   うつむく。わたしは

    慣れなかった。きみは

   生きる。あくまでも


   いま。いかなる

    最後まで。ただ

   場所。そこでも

    背後。わたしの

   そこ。いかなる

    しがみつき、速度に

   時。いまにあっても

いいかい?いい風が、ふいてくるん、だ。

   生きた。わたしは

      生きてく、気、な

    速度。あえて

     叩きつけるような

   生き、だから

      ないから。死んだみたく?

    しなかった。加速

     情熱。を、…枯渇

   うつむく。わたしは

      は?生きて気、ぜんっぜ

    これ以上の、…ぼくは

     たたきつける、ような

   生きる。あくまでも


   いま。いかなる

      くさっ。くさってゆく

    壁。風の。ただ

     叩きつけるような

   場所。そこでも

      ないから。老いさらばえてく

    顔面。わたしの

     情熱。を、…褪せた

   そこ。いかなる

      は?まなざし。この風景さえ

    しがみつく。速度に

     たたきつける、ような

   時。いまにあっても

1日。高子。雪の下、その

   ゆら、ゆ、ゆ

      微動を

         ゆ。ゆ、

竹の翳りに

   ゆら、ゆ、

      笹たちに

         ゆ。

雅秀を迎えた。秋子は例年通り、大晦日と新年を麻布台で過ごす。前日、泊まった、いまは不在の高明の部屋から起き出して雅秀は、リビングになまぐさい臭気を嗅いだ。くさみ。なに?須臾もなく、気づく。料理、と。音が、板壁のむこう、キッチンのほうから

   あいまいな

      鈍い

聞こえた。たしかに、

   背伸びを、あえて

      色彩が

朝だった。高子は

   しようとせずに

      圧倒的に

子供のころから、女たる女のやるべきことはなんでもやればやった。そういう子だった。強制も調教もだれにもなく。風雅。その放埓なまでに活動的な妻とは違って。香気、と。いま、鼻孔に、あまやいで拡がる香りのほうに顔を出した。可愛らしく思えたすこしの間の鈍重の須臾、遅れて高子は頸を

   擬態に似た

      完璧な

ねじった。

   女。その形象の

      雨がときには

笑んだ。

   恥じらいもない

      その完成度に

うつくしい。

   表現

      倦む

雅秀。そう思う。また、事実としてそうだった。思えば高子は水葉のすこし年上にすぎない。あまりに苛酷に、彼女に人生は加速した。そのあと、ゆるやかな鈍速に、高子を空間に放置して、知らない。その出産直後の高子は。その、

   悲痛?

あるいは

   失意?

叫喚は。さすがに

   傲慢?

雅秀は、麻布台も雪の下も憚られたから。再会の20歳の高子は、すでにいやされてむしろすこやかで、しかも自己犠牲を厭わない慈母じみた、そんな平穏を血なまぐさいほど切実に、雅秀に…もう、伝え、も。た。もう、

   花翳り

      我々は決して

と。高子。

   いくつもの

      完全な絶望には

雅秀が、いまさらの

   花翳り

      安住できない

詫び言を入れかけた須臾、

   かぞうべくもない

      ついに我々は

利発なその高子はすでに…き。心を知ってい…きに、た。だから、雅秀のき。唇がひらかないうちに「気にしないでください」と。笑み。「わたし、いま、しあわせですよ」

   記憶。ひたすらに

      仮構された

         翳っていなさい

由比が浜。その

   更新され続け

      花は、やがて

         あかしなさい

さざ波のおとさえ、高子。その

   現在にただ

      仮構された

         色彩を。その

周囲にだけは

   孤立させるもの

      翳りを、やがて

         花よ。花、

浄化されて見えた。そこに、…ね、雅秀には。「あけましておめでとうって、ね?…おじさん。きのう、わたし言った?」

「初詣のとき?」笑った。その高子は笑い声に、赤裸々なあざけりをかくさない。雅秀はふいの、邪気もきざさない嘲笑に素直にまどう。感情は脈動し、しかも実体をは持とうとしない。「…ちがう」高子。無言。

   咬む

      呼吸さえ

須臾。

   舌さきを

      忘れよ

雅秀は、「あれ、除夜の鐘でしょ?お寺に初詣には行かないでしょ?」と、「…もう」癒される、と、「おじさん、」と、「って、さ。こどもみたい」雅秀は「ちがう。…ね?」高子。彼女が「こども以下」ただ、いじらしい。「いや、さ。おれは」

   笑っちゃいそう。…ね、

「なに?知ってるでしょ?年中行事。日本の人?」

   笑っちゃ

「お祈りしたから」

「なに?」噓ではなかった。事実、高子と寺、ひらかれた本堂の

   ざわめき

      臭気。冬

仏前に手を

   散乱

      冴えて、凍った

合わせながら、雅秀は

   ひといきれ

      臭気。夜

高子のために…ね?祈った。「なに?なに、お祈りしたの?」

「生むの?」言った。雅秀は。高子。よじられた頸。しかも女の、もはや

   目覚めてゆく

      洪水

         ええ。わたしたちは

女以上の、猶もただ

   芽生えてゆく

      色彩たち。その

         あざやかな午後に

女にすぎない

   鮮度。たしかに

      瀑布

         ええ。時の果てまで

表情。頬。眼。顔。その肌にさえ。だから、母を、決断したいきものの?笑みを、すこしも変えずに高子は見つめた。だから、小柄で華奢な、そのやわらかなうわ眼に。ことばはなかった。かつ、とめどもない饒舌を

   死んでいい?

感じた。雅秀。その

   …いま

耳に。ふれた。雅秀は、高子。雅秀は肱をすこしもたげ、右手。手のひら。ふくらみを、腹部。もう、誇るかに眼に気づかせはじめたその腹部に。謂く、

   しあわせを、なにも

   祈りなど。その

   しあわせ、そんな

   ことばのひびきは


   思いつかなった

   あくまで、わたしは

   祈った。もう

   泣かない、しずかな


   時間。凡庸に

   流れてほしい

   時間。稀薄に

   過ぎ去ってほしい

ね?そうだね。そうだろ?そうなんだ、よ。ね?

   しあわせを、なにも

    過剰。…な、までに

   祈りなど。その

    翳る。なぜ?

   しあわせ、そんな

    こころが、ふと

   ことばのひびきは


   思いつかなった

    やさ。さ、やさしいままで

   あくまで、わたしは

    翳る。なぜ?

   祈った。もう

    あた。た、あたたかなままで

   泣かない、しずかな


   時間。凡庸に

    過剰。…な、までに

   流れてほしい

    かたむいた。なぜ?

   時間。稀薄に

    こころが、ふと

   過ぎ去ってほしい

と、しかし、なにを?和解、と謂ってとりたててなにを?いっさい、なにも、わずかにも争われた痕跡さえないというのに?…と、

   しあわせを、なにも

   祈りなど。その

   しあわせ、そんな

   ことばのひびきは


   思いつかなった

   あくまで、わたしは

   祈った。もう

   泣かなくてよい、しずかな


   時間。凡庸に

   流れてほしい

   時間。稀薄に

   過ぎ去ってほしい

ね?そうだね。そうだろ?そうなんだ、よ。ね?

   しあわせを、なにも

      ためらい。そうとしか

    過剰。…な、までに

     ゆびさきも。いま

   祈りなど。その

      名づけようのない

    翳る。なぜ?

     手のひらも。いま

   しあわせ、そんな

      感傷?の、ような

    こころが、ふと

     わたしはかなしい

   ことばのひびきは


   思いつかなった

      おびえ。そうとでも

    やさしいままで

     かなしみは、すでに

   あくまで、わたしは

      名づけてしまうしか?

    翳る。なぜ?

     きざすまえから色褪せてしまっ

   祈った。もう

      動揺を、猶も

    あたたかなままで

     なまなましいまま

   泣かない、しずかな


   時間。凡庸に

      満たされた。そうとしか

    過剰。…な、までに

     かなしい。わたしは

   流れてほしい

      名づけようのない

    かたむいた。なぜ?

     いぶきさえ、いま

   時間。稀薄に

      悔恨?の、ような

    こころが、ふと

     爪痕をのこす。いま

   過ぎ去ってほしい









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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