ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -283 //とろけてしまったのだった/デンドロビュウム・ギンギアナム。…そこに//10





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





24日。水葉。12月。椿に、

   やわらかに

      え?嫉妬

水葉。2003年。水葉はむしろ

   あ。べちゃ

      なぜ?

椿にそのあけすけな故意の笑みを投げ、

   匂いたち

      触感に、ふと

指先。24日。生クリーム。すくいとった、「人殺したちでも、」媚び。その「メリー・クリスマスとか、」笑みに媚びを「すんだ。…って」感じた。…なんか、さ。そこに「笑える。」雅秀は。「おまえだってやりまんじゃね?」椿。ひとさし指。水葉の生クリームを雅秀は舐めた。だから、雅秀が買って来てやったそのケーキの、その、…それは、さ。「あんたには言われたくないけど」笑った。水葉が。一方的に、そこに椿はあえて

   見つめ合って

      滾れ。ほとばし

         いまだ

笑わない。由比が浜。その

   滅びてみないか?

      海よ。ほとばし

         時は、

海の見える立地の部屋に海は見えない。午後9時。夜だったから。どこにも出かけたくないと言った。水葉。雅秀は馴れていた。もう。むずがる癖が水葉についた。いつから?基本的には最初から?可愛かった。時にいつから?もてあまし、もう、そろそろ時期が来つつあることを雅秀はひとり明確に気づいていた。つまり、もうすぐ自分は

   沸騰してみよ

      さよなら

水葉を

   波よ。無造作に

      ベイビー

捨てるだろうと。椿と…捨てられる?終わったあと、…せめて、持ち込みの…捨てられる前に、シャンパンを捨ててしまえ。飲んでから、やがて水葉はつぎに身構える。2度目。いまだに衰えのない雅秀のそれに。水葉。その体力をやがていつものように喉の奧ふかくにだけあざ笑う。謂く、

   感じるままに

   求めるままに

   たとえ、噓でも

   あえぎ散らしたい


   感じるまま

    うずく。骨髄に

   求めるまま

    背骨。腰骨

   噓でも

    あやういふかくに

   あえぎ散らしたい

いたぶっていたぶっいたぶっていたぶっいたぶって、…ぶっ

   衝動。なぜ?

      忘我のきわみ、を

    ほしい。どうしようもなく

     聞きたい。あ。声が

   生理前?…じゃなく

      無造作に感じる

    歓喜を。ただ

     喉が、あ。そして

   発情もなにも

      見たい。わたしを

    透明な歓喜を

     声をあ。あげたい

   すこしも、しかも

透明なやや微熱的恍惚が。われわれをそしていきなりの。覚醒をさせるの。で、あ

   感じるまま

    うずく。容赦なく

   求めるまま

    しかも、あくまでも

   噓でも

    いたい。冷淡で、

   あえぎ散らしたい


   感じるままに

   求めるままに

   たとえ、噓でも

   あえぎ散らしたい

英雄。25日。琉偉は、

   ひからびてゆく

      だから、さ。おれの

1月。日曜日。琉偉は

   枯渇してゆく

      暴力衝動

英雄のひきこもりの部屋を開けた。午前10時。見た。英雄。唐突にひらいたドア。そこ。無口な琉偉。感情をさらさない陰鬱な顔。いつもの。笑いそうになった。その殊更にひかれた顎に、

   破壊しかしなかった

      慟哭

         雷鳴のしたに

皴。頸。その

   われわれホモ・サピエ

      あられもなく

         生まれたよ。きっと

感情のすさまじくあいまいな鮮烈な凝視。…お前、と、さ。「ノックくらいすんじゃね?餓鬼なん?」英雄。庸輔に「クソなん?」メールをしていた。一方的な恋愛相談。同学年の田畑結衣が好きだった。庸輔が。無言を、琉偉。そこに、琉偉。なにも云わずに英雄を、琉偉。

   あっ。ぼくに

      魂よ

見つめた。眼を、

   唐突に失、あっ

      叫べ

英雄は逸らした。「誰とつるんでんの?」唐突に琉偉のその声が聞こえた。英雄。もはや「また、」返り見ない。「えらぶってんの?」琉偉。知れた。琉偉に。英雄の過剰な思い上がり。「やめてくんない?」琉偉。その「たかが女ひとり、さ」感情をだせない声の臆病を「結局やれもせんかっただけじゃね?」羞じた。英雄は。「莫迦?」ささやき、

   やさしくひびく

      微風。またぐらを

         忿怒の

立ち上がり、英雄は

   地声。わたしの

      かけぬけるそれ

         微動

琉偉の頭をはたいた。あらがわない。琉偉は。頬をはたいた。おなじく、直立。琉偉は。側頭を?どこを?つぎの展開を、英雄は頭にも感情にも思いつかなかった。突然、飽きた。われに返り、英雄はもといたベッドに身を投げ、ばああん。と。琉偉。両方の指先で

   ば、ば、

      どどきゅーん

銃を造って、そして

   ばばっ。ばっ

      どど

撃った。琉偉。…ばああん。英雄は

   ば、ば、

      どどきゅーん

眉をひそめた。…うっ、と、「うっそぉ…」その…うざっ。琉偉の声は無視した。知っているはずはなかった。琉偉が。椿からの連絡を待っていた。うすうす、用意できないのだと悟りかけていた。思ったよりも、椿は力がない。暴力的でもない。衝動的でもない。むかしのキレッキレの椿は知らない。いまはややキレッキレの丸い。銃は椿にはキレッキ手に入れられない。待った。指示を。椿の着信かメールを、まさか。自分からは、まさか。椿に求めてつながりたくはない。謂く、

   渇いてゆく

   渇き、しかも

   乾いてゆく

   乾き、ここ


   渇く…あ

    きらいではない、ん、だ

   渇き…え?

    けれども、って、これ

   乾く…うっ

    なんなんですか?

   乾き…あ

さわんじゃねぇよ。はじけっち、まう、ぜタコ

   たるみ。ケツ

      あるいは鮮明に

    なぜ?もうきみを

     暴力衝動?

   劣化。まぶた

      すでに芽生えた喪失感を

    思い出せない。すくなくとも

     ねぇよ。いまさら

   圧倒的な不似合い感

      狡猾。自嘲するその

    みずみずしくは、もう

     破壊欲?

   ぬれない。なかなか

ちかよんじゃねぇよ。ふっと、ん、ぢ。まうぜタコ

   渇く…あ

    あきたとか?って、ゆう

   渇き…え?

    そうゆうん、じゃ、さ

   乾く…うっ

    あくまでなく、て。さ

   乾き…あ


   渇いてゆく

   渇き、しかも

   乾いてゆく

   乾き、ここ

壬生正則は、

   芳香とは

      奔流のなかで

         決して

16日。1月の、

   決して

      我々はすさまじい

         後悔なんか

その、

   臭気とは

      名づけ得なさの

         決して

2004年。匂い。正則は高子が至近に立てた匂いに敏感になっていた。なぜ?そこ、どこ?そこ。雪の下のちいさなカフェで。…場所、と、わ。高子。「わかったんだ」

   きみのすべてに

      新鮮な

「忘れてはいないから」

   ただ既視感が

      未知の

「覚えてても、ないでしょ」…言えてる。ややあって、正則はそうささやく。唇。舌。じぶんの言葉の触感を感じた気がした。たしかに、馴れた心地よさがあった。正則に、高子は。そうにちがいなく、正則に、そうでしかなく、とまれ、そうであるしかすべがなかった。午前10時。めったに使わないカフェ。麻布台についてはあえてふれない。高子は。また息子についても、

   話そうよ

      いつでも我々は

あえて、

   未来を

      沈黙のままで

正則は。まなざし。正面から見て、もはや恥じることがない。高子は、まなざし。カフェのなか。薄暗いから、外の冴えた冬のあかるさに苦しめられない。その正則は。謂く、

   なぜ?鮮明な

   ひかり。色彩

   怯える。わたしは

   傷む。ひそかに


   なぜ?鮮明な

      むしろあまりにも多くの

    あ、…と

     知ってる?…あっ

   ひかり。色彩

      沈黙。失語

    きみ。ささやきかけて

     これ。わたしの好きだった

   怯える。わたしは

      それらこそを以て

    思わず、わたしは

     イーノ。ブライアン氏

   傷む。ひそかに

退屈だったら、そう云っていいよ。わたしも、もう、すでに、そうだから。

   やわらかな、そして

   やさしげな、そこで

   翳りのなかで

   ほほ笑んでいたい


   やわらかな、そして

      むしろあまりにも多くの

    ん、…と

     きみが頸を

   やさしげな、そこで

      停滞。滞留

    ふと。くちばしりかけて

     かしげ、…きれい

   翳りのなかで

      それらこそを以て

    思わず、きみが

     退屈。…でも、と

   ほほ笑んでいたい

水葉。8日。1月。音声で電話。かつてつるんだ女。いまだ歌舞伎町の水城優華。本名は知らない。…成功者じゃん、と、「だれ?」

「ミーが、」その「さ」優華の声に「じゃない?」水葉は笑った。「なにそれ?」

「水揚げされてさ。いま、壬生コーポだっけ?なんか昼間のすっげぇ会社なんじゃん?そこの」

「しょぼいよ」笑う。水葉。「ぜんぜん、しょぼい」そしてふいに背後の椿を返り見た。由比が浜。マンション。床にあおむけに、腹に手を組んで連絡を待っていた。そこに、椿は。ひだり耳のよこに携帯を置いたまま、眼は「まじで、」閉じない。「クッソしょぼいから」笑う。殊更にかさねて、水葉は。謂く、

   きはく、に、ね?

   ぼくの声。その

   笑う、声

   ふりかかれ

屈辱で。しか、なくとも。本人に。記憶は。その。伝説で、も。他人に。あり得てしま。う、という、

   やさしく、ね?

    だいじょうぶ?今日は

   ぼくの声。その

    いきなり、思い切り

   笑う、声

    思い詰めないの?

   ふりかかれ

好きだよ。きみは能なしだか、ら。ぶす

   あいまい、に、ね?

      肌を。理由は?

    だいじょうぶ?今日は

     唐突な、失笑

   ぼくの声。その

      ほぼ愛撫しない

    なぜだが、ふいに

     わたしはただ、そこ

   笑う、声

      理由は?肌を

    不安になんない?

     感情。ふたしかなそれを持て余し

   ふりかかれ










Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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