ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -282 //とろけてしまったのだった/デンドロビュウム・ギンギアナム。…そこに//09





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





来るの?と、

   ささやきを

      いつでも。空は

12月。その

   やさしい吐息を

      空虚でしかない

10日。夭子。呼ばれ、返り見た夭子に、「来る?…ここ」椿。「だれ?」ビラ・ローザ。「高明。壬生」…って、と、あやうく笑いそうなった夭子は、「知らないんだよね。よく。ってか、まったく」

   唐突な、その

      あれ?いま

「英雄は?」

   舌打ち。その

      血液がはじけた

「原田くん?」そこに夭子は髪をかきあげ、ビラ・ローザ。10日。夭子。「どうでもよくない?」

   唐突な、その

      あれ?いま

「引きこもってるらしいけど、さ」

   まばたき。その

      細胞膜発情

「いんじゃん?べつに、青春の思い出?」

「引きこもりが?」笑った。むしろ夭子が。…と云いつつ、椿。笑み。赤裸々に、ただかぎりなくやさしい共感を素直にさらした、それ。

   どれ?

      これ?

         どれ?

夭子は、「とか云って、お前」

「なに?」感じた。ふいに唐突な胸騒ぎを、椿。その意外な微笑のふいうちがあまりにも蠱惑的にすぎて、「好きだったろ?」

「子供?原田くん?」

「じゃない?」…だね。と。そのまま認め、夭子。彼女は

   凝視

      筋肉の

ほほ笑んだ。もう、

   あやうく

      ざわめき

ずっとおなじほほ笑みに

   逸らしそうになる目の、

      不穏に

しずかに、椿を

   凝視

      発汗を

見つめていた気さえしていた。「いいんじゃない?」椿。そして「好きなら好きで。たとえ」頸。かしげ、いつくしむ眼に「まわりが犯罪って言おうとも、さ」いたぶる。夭子を。その癒しの気配の過剰な強烈を以て。…笑う。夭子。今日の椿さん、…と、「わたしも。うちら、いま、なんか笑えない?」邪気もない。夭子の笑みに添えて笑む椿の、その口もとには。唇には。頬には。まなざしには。すべてに。謂く、

   秘密にしておく

   きみの耳の

   やや奥のほう

   旋回。迂回を


   秘密にしておく

      さまざま風景を

    おぼえているの?

     すこしも、いまは

   きみの耳の

      たしかにわたしは

    肌。ふれあった

     破綻も、なにも

   やや奥のほう

      見たのだ。あなたと

    触感。いぶきも

     傷みもきざしもなにもないから

   旋回。迂回を

いのち、に。われわれはいつでもまみれていたのである。だから

   見逃しておく

   その蠅を

   一匹の、その

   接近。乖離を


   見逃しておく

      さまざまひびきっ。が

    思い出せないんだ

     なぜ?どうしようもな

   その蠅を

      たしかにっ。耳に

    肌。ただ寒さに

     いたたま。…唐突に

   一匹の、その

      聞き取らっ。れ、たのだ

    鳥肌をたてて

     笑い出したい。ふと、

   接近。乖離を

高明。雪。17日。

   暴力的な

雪。1月。ひとしきり

   発汗作用

樹々。彼女を傷めたあとで、

   笑って

      切実な

傷み。拳。また、

   だって

      傷み

左のつまさき。および、なぜか

   滑稽ですから

      切迫した

左あばらあたり。樹々。

   知ってますから

      傷み

雪。17日。午前。

   笑って

      真摯な

雪。11時。吐く。息を。切れていた。くちびるが。内側。やわらかな、どうでもいい。やわらかな、粘膜のなおりはやわらかな、早い。しみるかも。咥えたときに。だから、

   こすったときに?

      すすったときに?

         ぶちまかれたときに?

夜。「赦せねぇんだ、おれ」つぶやく。その「未来なくして、それで、」高明。樹々のあたまの「お前傷つけるしかできぇでいる」はるか上。樹々は「おれ。そんな」床に「現状。マジ」うつぶせ、もう「むかつく。マジ赦せねぇ」気力のつきたふりをしていた。…お願い。

   叫びなさい

      どんなとこでも

高明。「もう、おれのこと、

   喚きなさい

      わたしはたしかに

ジュージュ。おまえだけは

   絶望しなさい

      どんなと

傷つけないでよ。おれだって傷つくんじゃん?人間じゃん?やめて、もう」樹々は、「…傷つけないで」すでに泣きじゃくっていた。ずっと、もう、高明が泣き出したその直後から。ずっと、もう、樹々。叫んでいた。ずっと、もう、喉の奥で。樹々。わめいっと、もう、ていた。そこに壬生くんが、と、ね?ジュージュにはそれだけが、きみだけが未来で、きみがすべて、きみこそがそのすべて、そのぜんぶなんだよ。謂く、

   違和感。すさまじい

   それが。情熱に

   飲まれつづけた

   須臾。そのすべてに

ずっと、もう、…猶も。

   違和感

      冷酷に、なんら

    見て。こゆび

     ななめに、巨大な

   情熱に

      共感もなくあなたの

    つめたくなったまま

     綺羅めきに、…ひかり

   飲まれつづけた

      待つ。激情その沈静化を

    痙攣するんだ

     横殴りのひかっ。きみは

   須臾に


   既視感。圧倒的

   覚醒感。情熱に

   翻弄された

   須臾。そのすべてに

ずっと、もう、…猶も。

   既視感

      実感がある

    見て。くちびる

     ななめに、執拗な

   情熱に

      見殺しにしている、と。あなたを

    わななきかけたまま

     翳り。微動。…ひかり

   翻弄された

      待つ。激情その沈静化を

    脱力するんだ

     横殴りのひかっ。きみは

   須臾に

董紫釉、…ドン・シ‐ユ。兄。だからユイ‐シュエンはその道玄坂。降りかけの一瞬に立ち止まると、…なに?背後、目をあげた。シ‐ユ。その

   ええ。わたしは

      失笑。おもわず

背中。…なに?

   しかし悲しい

      馬鹿げてんじゃん?

一秒未満、遅れ返り見たシ‐ユはユイ‐シュエンのほほ笑みを見た。不用意なそれ。知らない。ユイ‐シュエン。彼女はじぶんがなぜ、笑むのかは。だから、19日。1月の。午前7時。町には、通常の騒音。謂く、

   なぜ、だろう?

   ね?わたしたち、が

   生まれてきた、その

   理由、…は?

たぶらかす。騒音は、いま

   知ってる?

      なろうとしたのだ。きみと

    ないよ。なにも

     見ないで。そして

   知ってる?

      ふたりで、…だからこの

    不安も。さびしさも

     見かけもしないで。厖大な

   知ってる?

      世界の捨て子に

    ないよ。なにも

     他人たち。…群れ

   知ってる?

静寂を擬態し、たぶらか

   理由、…は?

   生まれてきた、その

   ね?わたしたち、が

   なぜ、だろう?

晶子。高倉晶子。1月。19日。もはや午前の雨は痕跡さえのこさない。夕方、職員会議を欠席し鶴岡文庫の裏手に行った。壬生。高子。その

   こんちっ

      見よ!

住居。…お断りします、

   おこんちぃ

      笑顔さ。とびきりの

と。高子。その、

   こんちっ

      見よ!

探し人のビラ配布の提案。そもそも学生たちは不安がっていた。壬生高明の身柄の問題以前に、もうとっくになにかをすべきリミットを越えた。手遅れの自覚ゆえに必死の晶子を高子は猶も相手にしない。保護者にしかも、強い態度には出られない。あるいは彼女は「刺戟しないほう、が。」犠牲者だから。「…いいと思うので」

「事件の可能性も」そう云いかけて晶子は口を

   見捨てたの?

      領土確保

         ゆってわ駄目だよ

閉ざした。前例が

   見捨てていたの?

      領域措定

         ゆわなくていぃよ

あった。同僚の失敗。沢井綾子。その母親に事件の二文字を言ったときに彼はどなり散らされ、罵倒され、ある須臾いきなり殴りかかられた。すさまじい、激昂。女の。すさまじい、激、稀れに見るそれ。高子。その、なんでもない

   崩壊?

      きみに

おとなしさが、晶子に

   あまりにやさしく

      怒りの

家庭の問題を

   瓦礫のなかで

      拳をくれたい

感じさせた。謂く、

   うつくしさ。その

   はかなさ。その

   こころもとなさ

   たしかに、あなたは


   うつくしい。その

   気配さえ。その

   須臾さえひたすら

   たしかに、あなたは

犯罪者。加害者。あなたがすべてを破壊した。死ね。

   うつくしさ。その

      少女じみていたそれら

    すでにひとつの

     たぶん、いま

   はかなさ。その

      挙動。不似合いな、

    老いさらばえている

     わたし。が、眼の前で

   こころもとなさ

      ものごし。身のこなし

    人生。終わったかに

     悲惨。爆死したとしても?

   たしかに、あなたは


   うつくしい。その

      怪物だ、と。…ね?

    すでにとっくに

     たぶん、いま

   気配さえ。その

      知っていますか?いま

    放棄してさえいる

     わたし。が、眼の前で

   須臾さえひたすら

      群れを。かげ口の、

    人生。生きられたかに

     猫。屠殺したとしても?

   たしかに、あなたは








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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