ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -272 //自生していた、その/サフランは、もう/滅びていたよ。その//11





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





12日。午後7時。穆介から連絡があった。メール。場所の指示。連絡用。ふたり共有のそれ。自分たちの携帯はそれぞれの家に放棄していたから。桜木町。午後8時。高明。バイク。11月。穆介が、とはいえ、思うにたぶん椿の流れで用意したに違いないバイクで、高明。長者橋を越えた。うしろで、スピードに馴れない樹々はことさらに高明にしがみつく。尾上町通り、その馬車道ちかくのホテルをさがした。最初、わからなかった。だから高明は二回、周辺を往復した。大江橋のほうに進んでいたバイクは、自然ホテルの向かいに樹々をおろすしかなかった。樹々はかならずしも文句を言わない。…どうする?と、樹々。そこ、「携帯、さ」通りをわたろうした須臾に、「どうする?」

「って、なに?」

「どっち、持ってる?」安全。たとえば、客に襲われたときの。ひとつしかない携帯は、まったくその意味を持たない。「お前、持ってろよ」

「終わったら、どうする?」ない。見回して、どこか落ち合える店は。迷った。…ロビー?高明。「やだ」

「でも、」

「犯罪じゃね?完璧、うちら」…牛丼屋?…さ。そこ。樹々。ホテルの左手を指した。「なかった?なんか、向こうの方、さっき」

   ノイズ、が

「あったっけ?」

   四方に

「うどん屋?とか?なんか、そういうの」…いいよ。高明。「ここ。おれ、ここ、いるから」

   ノイズ、が

「ずっと?」

   さわやかに

「しか、…なくね?」高明は、バイクを降りて、そして腰を載せた。…いるから。「ここ。だから、行けよ。もう、」

「ありがと」極端な小声でささき、右を見、左を見、渡ろうした須臾、立ちどまった樹々は返り見た。駆けもどった。すがった。高明に、須臾。そして奪い取る口づけを、その

   微光を。いま

      つつみたい

高明に、…好き。「愛してる。

   せめて、きみに

      純度100パーセントの

信じて。

   微光を。いま

      やさしさで

高明だけ」言いきって、ことさらなその笑みに決然を高明が見止めきらないうちに、樹々。背を向けた。乱れた、駆けて、髪。行った。残像。ホテルに。その少女の不用意な飛び出しに、車が一台クラクションを鳴らした。ややあって高明はホテルを

   がんばれ。いっぱい

      見て。ほら

見あげた。樹々は

   しぼりとっちゃえ

      微光。ぼくらは

早足に、そして

   がんばれ。いっぱい

      見て。すでに

6階に部屋を俊敏に探す。謂く、

   微光。見て

   見なかったと同じ

   明晰な強度に

   微光。見て


   なにも。あとにはなにも残さなかったか、に

   去ったんだ

   雨は。雨が

   去ったんだ


   生きていてもいいですか?

   ここにいてもいいですか?

   恥辱。もはや留保なくただ屈辱的に

   恥辱にまみれてもいいですか?

#02

   微光。見て

   見なかったと同じ

   明晰な強度に

   微光。


   なにも。ためらいさえも感じなかったか、に

   去ったんだ

   雨は。雨が

   去ったんだ


   そして、ふと。息を

   とめてみたの、だ

   そこ。やや突飛な

   痙攣を、わたしは

#03

   微光。見て

   見なかったと同じ

   明晰な強度に

   微光。


   しかも記憶をすら残さなかったか、に

   去ったんだ

   め。わ。雨が

   去ったんだ


   ぶって。ぶちのめして

   殴って。壊して

   半殺しのままで

   生き延びつづけさせて

#04

   微光。見て

   見なかったと同じ

   明晰な強度に

   微光。


   なにも。可能性その萌芽でさえわずかにすらも感じ取りようがなかったか、に

   去ったんだ

   雨は。雨が

   去ったんだ


   ふるえたその、指

   さかさに曲がり、狂暴な

   なに?狂暴な

   落ちてくる。ほら。わたしたちに

#05

   微光。見て

   見なかったと同じ

   明晰な強度に

   微光。


   お願い死んで。うぜぇから死んで

   去ったんだ

   雨は。雨が

   去ったんだ


   いたぶっていて

   つっこんでいて

   いじりつづけて

   いじめつづ、…いっ


   微光。び。

   降り、せりあがり

   ぃあっ。い、

   さわぎ、ゆがみあい

#01'

   微光。見て

      自生していた、その

    微動。ゆれ

     網膜の、…だれの?

   見なかったと同じ

      サフランは、もう

    うごく。ゆれ

     あさいうちがわに

   明晰な強度に

      滅びていたよ。その

    微動。ゆれ

     咲きかけた、花

   微光。見て

そっと、そっと、ちょっと。もう、しのびよるかにそっと、そっと、ちょっと。もう、

   なにも。あとにはなにも残さなかったか、に

    微光。見て。その

   去ったんだ

    強度。明晰に

   雨は。雨が

    微光。見て

   去ったんだ

そっと、そっすでに。もう充分に、と、ちょっと。もうすでに、骨が傷むほどには、と。しのびよるかにもう。もう。もう冷気がわれわれをつつんでい、そっと、たの、と、そっと、だったの、ちょっと。だ。から、もう、

   なにも。あとにはなにも残さなかったか、に

   去ったんだ

   雨は。雨が

   去ったんだ


   なにも。あとにはな、な、な、

      淡いむらさきが。だから

    花々。はっ。それら

     色彩。花弁に

   なにもぅ。おぅ。う

      むらさきだ、ね?空は

    色褪せてほしい。やがて

     しのびこむかに。盗賊が

   な。あとには、な。残さ。な。な、

      むらさきだ、ね?海は

    雨に。おねが。い、い、

     その午後に、色彩

   去ったんだ


   生きていてもいいですか?

    み。ひら。み

   ここにいてもいいですか?

    見ひらいていた。眼を

   恥辱。もはや留保なくただ屈辱的に

    み。らひ。み

   呼吸をしてみてもい

見た。死者たちは、わたしを。死者たちを。わたしは、

   見ひらいていた。眼を

    微光。見て

   見なかったと同じ

    微光。…て

   明晰な強度に

    微光。見て

   見ひらいていた。眼を


   生きていてもいいですか?

   ここにいてもいいですか?

   恥辱。もはや留保なくただ屈辱的に

   恥辱にまみれてもいいですか?


   なにも。あとにはなにも残さなかったか、に

    むらさき色の

   去ったんだ

    幼虫が、むらさきの

   雨は。雨が

    生み落とした。蝶を

   去ったんだ

そっと、そっと、ちょっと。もう、しのびよるかにそっと、そっと、ちょっと。もう、あなたは肌をさらしているがいい。…ひとり、

   微光。見て

    わななくのだった。蝶、その

   見なかったと同じ

    羽根にむらさきは

   明晰な強度に

    微動。むらさきの

   微光。

#02'

   いっ。微光

      自生していた、その

    微動だに、もはや

     網膜の、そして

   やめっ。いっ。もう

      サフランは、だれが?

    びっ。微光にも

     表面にはにじみつづけたわたしの

   おねが。ぃえっ。もう

      だれが屠ったんだ!その

    微動だに、すでに

     涙が、…花よ、

   び。微光

そっと、そっと、ちょっと。もう、しのびよるかにそっと、そっと、ちょっと。もう、

   なにも。ためらいさえも感じなかったか、に

    微光。見て。そ

   去ったんだ

    やめて。もう

   雨は。雨が

    お願い。もう

   去ったんだ

そっと、もはや、もう。だれものそっと、ひたいに、かつ眉間にさえ、だれもちょっと。すでにしつこく、もう、雪。…が。しのびよるかに雪。…が。そっと降り、ふ。降りつづけそっと降り、り。降り散りつづ、ちょっと。散り舞いつ、つ、もう、

   なにも。ためらいさえも感じなかったか、に

   去ったんだ

   雨は。雨が

   去ったんだ


   なにも。ためらいさえも感じぃ。んがっ

      淡いむらさきが。だから

    花々。はっ。それら

     色彩。花弁に

   が。なにもため。ら。あ。らぁっ

      むらさきだ、ね?太陽は

    色褪せてほしい

     ほくそ笑んだのだ。盗賊も

   なにも。ためらいもん。んっ。が。

      むらさきだ、ね?月は

    雨に。おねが。い、い、

     その午後に、わたしも

   去ったんだ


   そして、ふと。息を

    ええ。あくまで唐突に

   とめてみたの、だ

    と、凝視していた眼が

   そこ。やや突飛な

    ええ。あえて鮮烈な

   痙攣を、わたしは

見た。死者たちは、わたしを。死者たちを。わたしは、

   凝視していた。眼が

    微光。見て

   見なかったと同じ

    微光。…て

   明晰な強度に

    微光。見て

   凝視していた。眼が


   そして、ふと。息を

   とめてみたの、だ

   そこ。やや突飛な

   痙攣を、わたしは


   なにも。ためらいさえも感じなかったか、に

    穢らわしい、それら

   去ったんだ

    サフラン。花々の

   雨は。雨が

    死屍は、だから、

   去ったんだ

そっと、そっと、ちょっと。もう、しのびよるかにそっと、そっと、ちょっと。もう、あなたはその剥き出しの肌、を。たとえばよく尖らされたボールペンの先ででも傷つけているがいい。…ひとり、

   微光。見て

    放置しておこう、よ

   見なかったと同じ

    サフラン。花々が

   明晰な強度に

    黄泉返らないよう、に

   微光。

#03'

   微光。び。

      自生していた、その

    微動。ゆれ

     網膜の、…だれも

   やめて。自分を

      サフランは、その

    うごく。ゆれ

     気づくはずもなかったのだった

   傷つけないで

      滅びに狂気した。その

    微動。ゆれ

     涙に。及び、花に

   微光。び。

そっと、そっと、ちょっと。もう、しのびよるかにそっと、そっと、ちょっと。もう、

   しかも記憶をすら残さなかったか、に

    微光。見て。…え?

   去ったんだ

    ゆあ。あ。めて。ゆあ。あ

   め。わ。雨が

    傷つけないでください。もう

   去ったんだ

そっとだから耐えられずに、もう、堪えらえずに、もうそっとあられもない号泣、を。ちょっとでも、そこに。ここに。どこに。。どこにでももう、しのびよるかにさらしてしまったなら、タコ。そっと、知れ。それがそっと、きみの最期の悲惨と、ちょっと。…なに?もう、

   しかも記憶をすら残さなかったか、に

   去ったんだ

   め。わ。雨が

   去ったんだ


   しかも記憶をす。ん?…すらぁっ

      淡いむらさきが。だから

    花々。はっ。それら

     色彩。花弁に

   記憶をっ。しか、ん?…をっ、し

      むらさきだ、ね?樹木は

    色褪せてほしい

     その痕跡に、狂気。…の

   しかもぅ。う。…おっ

      むらさきだ、ね?草葉は

    雨に。おねが。い、い、

     その午後に、名残りが

   去ったんだ


   ぶって。ぶちのめして

    あ。あかあうあ。あ

   殴って。壊して

    あけひろげ、口を

   半殺しのままで

    あ。あうかうあ。あ

   生きていることを、後悔させて

見た。死者たちは、わたしを。死者たちを。わたしは、

   あけひろげ、口を

    微光。見て

   見なかったと同じ

    微光。…て

   明晰な強度に

    微光。見て

   あけひろげ、口を


   ぶって。ぶちのめして

   殴って。壊して

   半殺しのままで

   生き延びつづけさせて


   しかも記憶をすら残さなかったか、に

    色彩。花弁に

   去ったんだ

    燃えるかの、あの

   雨は。雨が

    狂気よ。それらは

   去ったんだ

そっと、そっと、ちょっと。もう、しのびよるかにそっと、そっと、ちょっと。もう、失禁を?ほら。尿道をつらぬいてあなたをなぶった貫通の氷、さ。頭部に血潮。…ひとり

   微光。見て

    残像。しかも

   見なかったと同じ

    いまそこにあるかの、あの

   明晰な強度に

    色彩。花弁に

   微光。

#04'

   微光。

      自生していた、その

    微動だに、もはや

     網膜の、だからもう

   び。ぃいっ、微光

      サフラれだ。だれだ。だ、

    びっ。微光にも

     乾ききっていた。目は

   微光。び。

      間諜は?…クソ。その

    微動だに、すでに

     燃え上がるかに、花よ

   ぃいっ、微光

そっと、そっと、ちょっと。もう、しのびよるかにそっと、そっと、ちょっと。もう、

   なにも。可能性その萌芽でさえわずかにすらも感じ取りようがなかったか、に

    微光。見て。その

   去ったんだ

    微光。…て

   雨は。雨が

    微光。見て。その

   去ったんだ

そっと、だから、気づかないほどのそっと、繊細さでちょっと。やや、憂い顔でふと、もう、溶かしてください。しのびよるかにそっと、その、そっと、この、ちょっと。凍えたわたしのこころ、を。もう、

   なにも。可能性その萌芽でさえわずかにすらも感じ取りようがなかったか、に

   去ったんだ

   雨は。雨が

   去ったんだ


   なあっ。は。なあっ

      淡いむらさきが。だから

    花々。はっ。それら

     色彩。花弁に

   なにも可能性を感じられなかったか

      むらさきだ、ね?きみは

    色褪せてほしい

     裏切ったのはだれだ。盗賊が

   なあっ。は。なあっ

      むらさきだ、った、ね?わたしは

    雨に。おねが。い、い、

     その午後に、殲滅を

   去ったんだ


   ふるえたその、指

    なにを?…見ていますか?

   さかさに曲がり、狂暴な

    ささやき得さえ、もう

   なに?狂暴な

    あなたは、…だれ?なにを?

   落ちてくる。ほら。わたしたちに

見た。死者たちは、わたしを。死者たちを。わたしは、

   ささやき得さえ、もう

    微光。見て

   見なかったと同じ

    微光。…て

   明晰な強度に

    微光。見て

   ささやき得さえ、もう


   ふるえたその、指

   さかさに曲がり、狂暴な

   なに?狂暴な

   落ちてくる。ほら。わたしたちに


   なにも。可能性その萌芽でさえわずかにすらも感じ取りようがなかったか、に

    花よ。花よ

   去ったんだ

    眼球が、ひりっ、と

   雨は。雨が

    破れ飛び、そうだ

   去ったんだ

そっと、そっと、ちょっと。もう、しのびよるかにそっと、そっと、ちょっと。もう、空中に凍りつく頭部、ややあやうい血煙りの結晶は、それは何月のいつの花であったか。ひろげよ。鼻孔を。…ひとり、

   微光。見て

    花よ。わたしを、ほら

   見なかったと同じ

    惨殺、だよ。ほら

   明晰な強度に

    屠殺。花よ、ほら

   微光。

#05'

   微光。び。微光

      自生していた、その

    微動。ゆれ

     網膜の、…だれが?

   降り、せりあがり

      サフラ、ら、ら、もう

    うごく。ゆれ

     たくらみかけるのか。ほら

   さわぎ、ゆがみあい

      滅びは水分の枯渇でもあった。その

    微動。ゆれ

     燃やそうと、…花よ

   微光。び。微光

そっと、そっと、ちょっと。もう、しのびよるかにそっと、そっと、ちょっと。もう、

   お願い死んで。うぜぇから死ん

    微光。見て。そ

   去ったんだ

    降り、り。せり

   雨は。雨が

    さわ、わ。ゆがわ

   去ったんだ

そっと、唐突なすさまじい悔恨が、…なぜ?そっと、もう、燃え上がるかに、も。もうちょっと砕け散るかに、も。もう、骨のみならず細胞またはその微細かつ巧妙な素粒子をさえも砕け散ら、爆発?しのびよるかにそっと、その容赦なかった悔恨などそっと忘れ、すでにわれわれは、ちょっと。笑みを。もう、

   お願い死んで。うぜぇから死ん

   去ったんだ

   雨は。雨が

   去ったんだ


   お願い死んぁっ。あっ。あっ

      淡いむらさきが。だから

    花々。はっ。それら

     色彩。花弁に

   お願いんぬあっ。あっ

      むらさきだ、った、ね?肌は

    色褪せてほしい

     その残像にさえ渇きが

   おんぬあっ。あっ。あっ

      むらさきだ、った、ね?体液は

    雨に。おねが。い、い、

     その午後に、乾燥の

   去ったんだ


   いたぶっ、…いっ

    み。ひら。

   つっこんで

    見ひらいた。眼を

   いじりつづけて

    え。えひ。

   いじめつづ、…いっ

見た。死者たちは、わたしを。死者たちを。わたしは、

   見ひらいた。眼を

    微光。見て

   見なかったと同じ

    微光。…て

   明晰な強度に

    微光。見て

   見ひらいた。眼を


   いたぶっていて

   つっこんでいて

   いじりつづけて

   いじめつづ、…いっ


   お願い死んで。うぜぇから死ん

    あざけりあうのだろうか?

   去ったんだ

    日射し。その朝

   雨は。雨が

    すべて表皮は、むらさきの焔を

   去ったんだ

そっと、そっと、ちょっと。もう、しのびよるかにそっと、そっと、ちょっと。もう、だれもが。なにもが。滅びていたね?…ひとり、

   微光。び。

    花よ。花よ

   降り、せりあがり

    花よ。花よ

   さわぎ、ゆがみあい

    花よ。花よ

   微光。び。

#06

   び。微光

   び









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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