ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -270 //自生していた、その/サフランは、もう/滅びていたよ。その//09





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





郁子。3日。正午。原田郁子。11月。英雄の謹慎および保護者観察処分はすでに

   あっ。見ろ!

      いいよ。いまも

解けていた。すでに

   一般人だ!

      生きてても。…きみ

内申書はぼろぼろに違いない。もはやそんなことはどうでもいい。郁子。英雄は引きこもった。日中は部屋に。夜。夕方、学校がはねた時間帯から英雄の徘徊ははじまった。誰と付き合っているか知らなかった。無防備だった。郁子は、だれも情報を投げて寄越すものはいなかった。しかも、口と口はその感想を

   あっ。見ろ!

      終了ですか?

勝手に

   普通の人だ!

      発端ですか?

ささやきあっているに違いないくせに。義憤という、その言葉の意味と実態と切実を郁子は知った。ここから、と。郁子は思った。ここからはじめる、

   黄泉返る

と、這い上がる、

   わたしたちは

と、そして

   黄泉返る

琉偉。彼はすこしだけまえよりやさしくなった。ときに兄を、郁子になじりさえした。もちろん彼が部屋に籠ったままなのを、見回す両目に

   あっ。見ろ!

      だいじょうぶ。ケツは

確認したあきらかな

   たたの人だ!

      漏らしてないよ

彼の不在に、…もう、と。「放っといたほうがいいから」終わってるから「兄貴、もう、終わってっから」郁子は昼間シャワーを浴びた。夜、肌をさらすのがなぜか執拗に怖くなった。摺り硝子。ひかり。飛沫。肌に飛散るそれらが微妙にかくし、かつあばきたてる劣化。自分の肌の、加齢によるそれら。気づき、あさく失語した。自然照明はやはり暴力的なのだと、発見の新鮮に郁子は無知な他人たちの群れを侮蔑していた。謂く、

   ざわっ。わっ。き

   耳をふさいで

   静寂こそが

   わたしたちは、いま

勝利者かよ。勝利者づらかよ。

   ざわめき。ささやき

      だいじょうぶだ、と

    我々を、むしろ

     見ようよ

   聞こえる。いまだ

      それは知っている。だって

    見捨てもせずに、かつ

     わたし。きみ。きみ

   聞き取れはしない

      しあわせになれるんだ

    救わなかったひと

     固有の未来を

   声。ささやき

手を差し伸べ、和解?そん気はさらさらねぇ、ん、…だろ?

   ざわめき。ささやき

      心配ない、って

    我々を、むしろ

     行こうよ

   聞こえる。いまだ

      それは知っていらだちのまま

    やさしい憐憫で、かつ

     わたし。きみてんじゃねぇぞタコ

   聞き取れはしない

      掻き毟る前歯

    罵倒したひと

     固有の場所へ

   声。ささやき

勝ち組気取り?勝ち組のつもり?…かよ。

   ざわっ。わっ。き

   耳をふさいで

   静寂こそが

   わたしたちは、いま

7日。微光。あくまでも

   ふれる

      絶望という

横殴りに、

   その

      心的事象

微光。午前の、

   温度にさえも

      歓喜という

10月。10時すぎ、その

   あっ。あっ。あっ

      心的事象

7日。微光。ふいに、

   ふれる

      脱糞という

と。そして突然に、

   その

      心的事象

と。だから

   気配にさ

      失語という

まえぶれもなく病室の、…こっ。開けられたままの、…故意?それは。偶然?ドア。そこの翳りをくぐった壬生雅秀を見た瞬間、ふと、水葉は彼の名前を

   あまりにも多くの

      ちぢこまった

         だれ?

忘れていた。

   血が流された

      糾弾に、…ぼくらの

         なぜ?

彼。だから、

   あまりにも多くの

      空。ちぢこまったまま

         だれ?

彼、と、

   涙が流さ

      色褪せてしまう

         なぜ?

だれ?笑む。赦した。メールなら執着を感じさせて頻繁に、赦した。だれ?赦しろ。むしろ唐突な赦した。親愛。その無防備なまでにあたたか気持ちにつつまれて思わず水葉はしあわせ。思った。しあわせ、と、そう、そこに水葉はもはやなんの根拠もなく、…遅ぇよ。声。それ。喉のなかば以上を「今日、」のぼらなかった、「さ。」声。「わたし、退院なんだけど」

「知ってる」

   きみのために

「知ってんの?」

   ぼくのために

「だから、」と、迎えに来た。ひさしぶり見る水葉。彼女。その、かすかなしかし

   暴力的な、

      飛び出せ

鮮明な

   くらい、に。やさしい雨が

      自由だ!

からだ全体のやつれに、ただ

   降る朝に、雨が

      叫べ

雅秀は

   煽情的な、

      解放だ!

失語している以外の自分の可能性をすべて破壊されていた。ただ、いたましく思った。もう、言葉もなにもきざさない謂わば

   終了、です

焦土。そこに

   終焉、です

ふたりは取り残されていた。あるいはいきなり、たたきだされた。救いはなかった。絶望さえなかった。いま、もう

   あたまたしか?

      穢れた海に

膝間づき、そして

   おかしくなった?

      死んだ無数の

その両足に

   だいじょうぶ?

      イルカたち

しがみついて雅秀は泣き伏したかった。叫びたかった。わめきたかった。水葉は、まだ

   漏れるよ!

ベッドに

   漏らすよ!

横たわっているままだった。つれ帰った部屋。海辺の、だから、

   聞いた?

      こわれそうな

水葉の。「くさくない?」

   鼓動。ぼくの

      こころに、そっと

羞恥。雅秀。まるで自分の、あるいは移したかもしれない体臭が?匂う?臭気。匂う?その「なんか、さ。

   くさっ

やっぱ」敏感な「つかっ。

   くくく、

つかってないと」水葉の

   くさっ

鼻孔に。「くさくない?」笑った。そこ。その水葉の笑みの無邪気に雅秀はいきなり無距離でふれあう救済を感じた。部屋で、雅秀に

   きみはうつくしい

      薔薇を

腹部を見せた。そこに、

   生きて!

      踏め

水葉。雅秀に

   生き続けて!

      薔薇を

むしろ乞われたままに。云う。だから、あるいは彼が望んでいるかもしれないSっけのある、ありったけのいたぶりを擬態し、声。舐めてよ。と、声。そして、癒してよ。と、「ね?」声。「知ってる?

   たわむれに

あくまでも、」…よ。あんたの

   わたしは

せい、だ、

   たわむれ

その、

   わたしも

よ。頬を、

   たわむれに

両手のひらにつかんでやった。水葉は。思い切って「お、」侮辱的に。「おれは、…ただ、お、」

「さ。わたし、さ。あんたのせいだって、さ。そう思うことに、さ。した。ぜんぶ、さ、…ね?責任とってよ」

「って、なに?」焦燥。雅秀は「わっ」ただ「わし、もう、じゃけんど」ただ焦燥を、「わし、いま」唐突に「お前ぇに」もてあまし、「なにしたら、ええん?な、」苛立つ。「なにしちゃったら、」すがる。「ええん?」眼が。だれ?

   ささやくの

      愛の天使が

水葉は

   だれ?

      ふれていたから

朧げな言葉のひびきの残響らしきものを、そこに「ね?」なんとか探り当てようと、そして「あんた、さ」つかみ取ろうと、「しあわせにして。わたしを」

   マジ?

      まごころ、を

         そうなんだ

ささやく。

   嘘。…

      喰らえ!

         そうだったんだ

自分の言葉の

   違くない?

      しんじつ、を

         わたしってば

意味をも思わず水葉は取りのがし、嗜虐。自虐的な笑みをだけ雅秀にくれた。謂く、

   なすりつけるように

      動揺を。わたしは

    返り見れば

     やっぱ、さ。な

   愛してごらん

      吐いた、じぶんが

    海は。空

     ひさしぶりで、さ。な

   わたしを。わたしに

      言葉に。それらに

    そのしたに、いまも

     なんか懐かしくない?

   ぶざまな感情を

あえて、わたしは海をは見ず、に。

   感情のぶざまに

      懐疑を。わたしは

    綺羅めきを?

     やっぱ。さ。な

   ひとりで、きみは

      見出した、じぶんが

    海は。空

     てか、さ。なんか、さ

   おののいてごらん

      風景。そのものに

    光射すまま

     おいしいもん食べない?

   追い詰められたかに










Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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