ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -267 //自生していた、その/サフランは、もう/滅びていたよ。その//06





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





10日。高明。夜。樹々。9時。夜。おれ、と、…ね?

   夜は、ふと

      雲のうえで

高明は、「抱きたい」

   唐突に

      月に照らされた

ささやく。返り見た、

   ぼくらを

      獏の影。…だね、

そこ。遊びには行かない。金ももう少なかった。しかも前日の飲みの疲労もあった。だから、部屋。髪を乾かす樹々に、「…から、さ」高明。「やらせろ。今日」まじ?笑った。唖然の

   は、は、は、

      翳れ。いまこそ

須臾が醒めたあと、「てか、」

   葉、葉、葉、

      月翳に

樹々は、「やばっ」その

   歯、歯、歯、

      揺れる葉々、だ。…よ

声。笑う声。もはや嘲笑じみるのを押さえられもせず、「壬生くん、いきなりストレート?…すっご」羞恥など高明にはなかった。知っていた。女たちはたとえおれが屁を鼻先にぶちまけったって、それを魅力と

   たとえば、さ

      …じゃん?しょせん

          罪なんだ

こじつけるに

   げろ。ぶはっ、て

      違ぇの?女

         おれ。存在自体が

違いない。事実、いつも

   わかる?おれ

      …さ。どいつも、基本

         罪なんだ

そうだったから。女たちはみんな、自分に焦がれた。あの高子のように。あるいはあの高子さえもが。その高明に馴れたふいの全能感が、いつもにおなじく自虐的な軽蔑を、

   だれ?

      壊れてゆくんだ

高明の

   耳たぶ。に、わたしの

      雨のなか

視野のすべてに

   ささやきかけたの

      桔梗の花。花が

そこで、撒き散らす。…そういう、と、「おれ、そういう奴」お前、「…じゃん?」と、好きじゃん?そういう、おれが、言いかけ、…さ。知った。高明。唐突な激情を、…え?喉の奥に。その、無防備な樹々が愛おしかった。樹々は結局は自分のためにその未来を捨てた。それが事実だった。まさか樹々も家出につきあうものとは、最初、高明は思っていなかった。唐突な高明の真摯に、樹々がその真摯の存在に気づくのにすでに、

   …は?

      してれば?絶句

数秒かかった。いまさらに、

   …え?

      声もなく

樹々は高明を

   …は?

      してれば?失語

見た。昼間、高明たちと行った東急ストアで買ったドライヤーはもう膝に置かれた。…なに?樹々。「なんで?」

「欲しいから。お前が。ずっと、おれ、

   捧げた

      理解できる?

         ほしい?

欲しかったから。お前が。

   きみに、この

      おれのこと

         いのちが

お前以外、

   いのちを

      無理だよ。おれは

         ぼくの

おれ、もう絶対

   きみに、この

      絶対理解不能で超絶的スペシャル

         ほしい?

抱かないから」…ね?足元にひざまづいた高明はたしかに、すでに高子の体の記憶さえ飛ばした。眼の前の肉体。その、自分がまだ知らない新鮮味がたまらなく高明の骨髄を…て、咬む。…てか、樹々。それは、と、「嬉しい。けど、さ。若干、」吹いた。ふと「重いかも」なにか見慣れた滑稽を、そこにいまさら眼に入れたかに。謂く、

   もっと、きみは

   いいよ。もっと

   きみは、更にも

   撒き散らしても


   もっとも、きみは

    いいんだ。きみは

   更にもきみは

    うつくしいんだ

   もっとも、きみは

    きみは、いっ

   更にもきみは

ふたりの、旅。旅に、…もうすぐ冬だね。

   きみはその

      知っていた。わたしは

    笑っちゃう。なんか

     夢は将来の

   なに?いま

      旅立ちがわたしの

    笑えね?あんた

     あくまで、も。さ

   傲慢を。いまも

      転落だということを

    カス?むしろ

     幸福なんで

   ささやきかけた


   声。いま

      不可解な心境

    笑うしかなくね。なんか

     ふつう、が、さ

   うぬぼれを。猶も

      感情的なそれ。しかも

    くっさくね?あんた

     意外といちばん

   だれ?いま

      からっぽのままの

    莫迦?むしろ

     よかったりしね?

   きみはその

ふたりの、旅。旅に、…やがては春だよ。

   もっとも、きみは

    いいんだ。ぼくらはそして

   更にもきみは

    うつくしいんだ

   もっとも、きみは

    ぼくらは、いっ

   更にもきみは


   もっと、きみは

   いいよ。もっと

   きみは、更にも

   撒き散らしても

高子。雨。あさい

   かたむく

      聞け

深夜。だから

   なにが?

      いぶきを

4日。その

   葉翳りに

      いぶき?

12時すぎ。高明。だから

   毛虫。その

      すこやかな

高子の寝室に、いつものように高明は、いつもよりはやや早めに忍び込んだ。微妙に、と。

   疲労。…を

高明。

   だから爪の

疲れてる、

   つけ根に

おれは、

   疲労。…が

と。高明。と、

   だから骨髄の

今日、おれは、

   ふかくに

と、今日の、

   疲労。…を

と、高明、

   だから眼球の

今日は。だからやって終わったらすぐに部屋に帰るつもりだった。横向き。高子。その

   前から?

      懐疑。この

横向きのからだを

   ななめから?

      渇望は、謂わば

後ろから抱くように

   うしろから?

      惰性なのではないかと

身を

   うえとか?

      浅い依存症?

滑り込ませた高明に、高子。ふと、おどろく。高明。その、今日の

   特別な

高子の

   特殊な

寝たふりのなさに。高明に、

   特異な

まるで肉体が餓えて飢餓に餓え切っていたかの積極性を、惑い。と、と惑い。なぜ?そう、疑う暇もなく高子はやがてその高明を見つめ、

   下で

      見えないよ

ささやいた。…ママ、

   すこしもたげて?

      なにも

と、

   胸元を

      きみさえも

ね?「できたの」顔。見えない。昏いから。当然として、しかしたしかに高子の眼はそこに驚愕の高明の顔を見た気がした。なんら、錯覚の気配がきざす隙もなく、…って、と、「なに?」高明。思わず吹いて笑いそうになった。高明は。すべてもう

   真摯なこころが

分かっていた。明快で、

   真摯なまなざしに

明確で、

   真摯な風景を

明晰で、

   真摯に咬んで

問い返す必要などなにも

   なぜだろう?

      記憶。たしか

なかった。「こども」

   見えている気が、その

      6歳?はじめて

高子がそう、

   挙動。あなたの

      雪を見た。と

言い終わらないうちに高明は、その

   微細を、さえ

      ふたしかな記憶

口をさぐった。ゆびさき。あやうく瞼に、または鼻孔に差し込みそうになって、手のひら。それが口を、あるいはようするに顔面ぜんぶをただ押しつぶしそうとしているかに押さえつけてい、…だまっ。「黙れ」

   え?

高明。喉に、

   マジ?

うるっ。「う」

   え?

うるっ。「せ。うるせぇ、から、お前」黙れ、そして高明は喉にひろがるあたたかな違和をひたすらもてあましているしかなかった。…ごめん。高子はそこに、もう何度も繰り返し高明に詫びつづけ、だからどうしようもなく誠実な一途で。悔恨?惑いさえ、なにもきざさない冴えた、いまだ知らなかった激情がただ、名前のないまま瞼を昏ませる。謂く、

   奔流であれ

   わたしは。まさに

   激流であれ

   いつも、世界

が。こころが。ちぢこま、ほらほら。

   奔流であれ。ただ

    やさしさを、お願い

   奔流であれ。ただ

    わたしに、せめて

   奔流であれ。ただ

    わたしにだけ

   すべて。世界は

暴力的存在。…で、あろう、か?わたしは

   奔流だから

      ついにその。感情にその

    見るがいい。見て

     狂気でしか。は?

   苛酷。冷酷な

      名を与えられもしない以上

    わたしの涙を

     しょせん、知性とは、…え?

   激流だから

      語られ得るものはなにもな、な、

    流されなかったそれを

     破綻でしか。は?

   容赦もないまま

犯罪的存在。…で、あろう、か?まさに

   奔流であれ。ただ

    醒めたこころが、なぜ?

   奔流であれ。ただ

    醒めきったまま

   奔流であれ。ただ

    みだれ、すべて、もう

   わたしさえもが

ら。ら。ほら。こころが。ちぢこまっていま

   奔流であれ

   わたしは。まさに

   激流であれ

   いつも、世界









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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