ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -266 //自生していた、その/サフランは、もう/滅びていたよ。その//05





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





11日。7時半。午前。高明にゆり起こされ、ふと

   楽園。ここは

      さわやかな

樹々は

   わたしち。その

      微笑を。せめて

不機嫌になった。椿に

   楽園であるべき

      切実な

9日。鎌倉で渡されたその、ふたりでひとつの携帯電話を手に、

   楽園。ここは

      微光を。せめて

不機嫌。確認された時間があきらかな不機嫌をさらさせ、もうためらいもない。「なに?」

「穆さん、来るから。忘れた?起きろよ」

   いつでも朝は

      冴えてゆく

         血が

「8時じゃん。あれ」

「顔くらい洗うんじゃね?お前、女?」

   くさいんだ、朝は

      息が

         褪せてゆく

「そういういまさらの差別的表現昭和のおっさんじゃね?やめてうざいから」

「死ね」と。思わず高明は声を立てて笑った。柔順だった。樹々。高明に、あるいは、穆介がもうすぐ迎賓館ちかく、ふたりにあてがわれた最初の部屋に来ることに関して、最低限ないし最高レベルの身支度をすべきその樹々の必然に。…意外に、と、すぐ、起き上がれるもんじゃん。

   すこやかに

      翳り。その

驚いていた。

   わたしはひとり

      やわらかな。きみの

例外的な、朝の

   すこやかになる

      翳り。…に、あえて

俊敏な自分の肉体に。樹々はもう上半身を起こしていた。「なに?」樹々。「って、」と、「なに?」高明。見つめ合い、そしてふとふたりは互いにさらした失語を、ふとしたかるい軽蔑を以て

   かわっ。…ぃあっ

      床に、ながい

         微笑を

見ていた。そこに

   いま、きみは

      影を、そっと

         そこ。やや

その、他人の

   かわっ。…ぃあっ

      足音さえなく

         唐突な

凡庸と愚鈍がふいにさらされた事実に。し、

   え?

と、ご。

   え。…え?

そして、

   え?

と。樹々。「仕事」樹々は、高明への憐れみしかない微笑を彼に、せいいっぱいのやさしさで「穆の、」くれた。「今日、穆、仕事って、」

   びっ。び、

「やめろ。呼び捨て。それ」

   びっ。び、

「なに?紹介してくれんじゃん?うちらの。仕事。…って」高明。その目じりの不快に樹々はおびえていた。いきなりキレて、キレてしまえば高明にはなんら容赦が「なに?」なかった。「ゆってよ」

「ビッチはいってんじゃん。お前、」

   莫迦なの?

      びっ。び、

「じゃ、」

   クソなの?

      びっ。び、

「そういう」

「じゃなくて、仕事。椿さんの。あれって、なに?」高明。そこ。唐突にことばをつまらせ、逡巡。須臾の。そしてもはや、高明は笑うしかなかった。おなじそこに。ささやいた。「ウリ」笑い、高明は、「ウリ?」樹々。笑いかけ、「ウリ。デリ。店系じゃねぇから。3・7だから。おれら、7。破格。…ちょろまかせるよ。もっと。おれがあとで纏めて納金するんで、だから、結局売り上げ管理すんのおれらじゃん?だから」

   びっ。び、

      え?

         莫迦にしてる?

「ウリ?って、」樹々。「ウリ?」

   びっ。び、

      は?

         てか、マジで

「ウリ」

「頭、」と、「おかしい?」樹々は思わず声を笑った。謂く、

   おびえてる?なぜ

   きみのほうが

   きみだけが

   そこで、ひとりで

惨劇だよね。きみとの出会いって

   怖がってる?なぜ

    裏切り?あるいは

   きみのほうが

    あまりに辛辣な

   きみだけが

    わたしに、苛酷に

   そこで、ひとりで

悲惨だよね。全身全霊で

   言いかけてる?なぜ

      くずれるように

    拒否権は?あるいは

     どうして、ふたり

   きみのほうが

      こころさえ、もう

    殴るとか?また

     出逢ったのかな?ここで

   きみだけが

      くずれさす、笑み

    わたし。ぶちのめす?

     どんな思いを、ふたり

   そこで、ひとりで

11日。優美香。山田樹々に、…いいな。午後。その「てか、」6時。「尊敬する」ファッキン。笑った。樹々は、…って、「なに?いきなり。なんか」

「だって、さ」

   足の下

      知っています

「変なクサ、」

「だっ、」

   椅子の影

      マスタード・ソースにも

「喰ってる?ユウ。まじ?」

「…って、さ。もう、樹々はさ、なんか、自由じゃん。ジュージュ。やばっ。すげぇよ。さすがジュージュだよ。やっぱ。うち、できない。って」

   なんか、いっつも

      微生物はいます

「家出?」

「でも、って」

   くさくない?

      知っています

「やっちゃえば?」

「べつに実際、現状、実はうち、そんな、べつに嫌じゃないだよね。基本。かならずしも。普通に、ま、いっか。的な?」

   ね。なんで?

      我が頭頂にも

「変わんないよ。だって、どこもさ。だって、さ。だから基本ジュージュもそうじゃん。基本、ジュージュいい子じゃん」

「でもやらかしたじゃん」…って、さ。思うふと、そこに「それは、力。…基本、愛の、さ」楠。なつかしく、その「愛のパワー・オブ・ラブ的な?」楠を。じゅじゅうっ、と。「やっぱ、さ」ふいに「ピュアな感じのラブ上等じゃん。うちら」優美香は吹いて、「あんたマジ、くさすぎなんだけど。笑う」まなざしにふと、11月に健気な蠅を、樹々の肩のひだり上に追った。謂く、

   感じているのは

   切実な稀薄さ

   咬みつかれたのは

   充実した空虚

嘘だよ。わたしたちは、赤裸々に。すでに、

   感じているのは

    不在は。きみの

   切実な稀薄さ

    あるいは、おそらく

   咬みつかれたのは

    幸福。きみの

   充実した空虚

欺瞞だよ。むしろ、赤裸々に。すでに、

   感じているのは

      こころは真摯に

    祈るよ。きみが

     泥まみれのまま

   切実な稀薄さ

      ひたすら、せつなく

    しあわせであること

     握りつぶされる

   咬みつかれたのは

      切実に、ただ

    どうせ無理だけど

     花。花ですか?

   充実した空虚









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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