ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -265 //自生していた、その/サフランは、もう/滅びていたよ。その//04





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





11日。樹々。生駒優美香に、…しあわせだよ。午後。その6時。ファッキン。耳打ちを、「たぶん、さ」そっと。「ジュージュは、さ。しあわせ」

「そ、」と、「なの?」優美香は、「しぶといんだ。意外に、ジュージュは。だから」目線を流す。その「しあわせ。いまも、」樹々から「100パー」笑った。唐突に、優美香は。気づかない。樹々は。すくなくともむしろ、そこに優美香が

   変えたの?

      んだっ。大声で

眼の前、

   え?

      なぜ、いま

そこ。吹いた事実さえ眼にふれなかったかに、

   ネイル

      叫べそうなんだっ

優美香。思っていた。…すっげぇ、と。うちら、冷淡。そのこころに兆す思いが自分を吹き出させたのだと、優美香はただそう解釈してみた。樹々はまばたく。優美香はかしげる。その頸を。謂く、

   笑えてますか?

   きみは、いま

   きみも、いま

   はしゃいでますか?

強靭なのだ。わたしたちは、思っているよりも

   笑えてますか?

    思うよ。きみを

   きみは、いま

    どんなに、遠く

   きみも、いま

    離れても、たとえ

   はしゃいでますか?

狂人なのだ。わたしたちは、思っているよりも

   笑えてますか?

      気づかいを

    思うよ。いまも

     もっとやさしい

   きみは、いま

      そっと。かさねてあわせて

    あまりに、遠く

     味覚が、舌に

   きみも、いま

      なるの?大人に

    もはや無縁でも

     ひろがってほし、し、し、

   はしゃいでますか?

「いいよ」と、「シユウで」穆介。そこに、「おれ、先輩後輩、とか?年上年下、とか?そういうの、そういう」噓でしょ?「うぜぇの、」知ってる。あんたはいま、「うぜぇほうだから」噓を。笑った。高明。声もなく、その

   もっと。おれたちは

      透明な

返り見ざまの

   だれよりももっと

      つめたい水を

穆介に、高明はきれいな

   疾走すべき、と

      飲みたいん

微笑をふとくれてやっていた。9日。午後。桜木町。6時。午後。ぴおシティの前で待ち合わせた。椿はここまで姿をあらわしはしない。樹々は迅速だった。すこし左手に過ぎたところ、止まったタクシーから、降り立った小柄な穆介がめざとくふたりを見つけ、そしてほんの数言ことばを交わしただけでもう、迅速。かつ俊敏に、そのあまりにも上手なやさしさに高明は、迅速。かつ俊敏に、樹々は馴れ切っていた。すくなとくも、そこに、たしかに自分をそう表現していて、…一応、

   いい匂い

      見ないで

と、「穆さんって呼びます」

   なんか、…なに?

      ぼく、もう

「なんで?」

   いい匂い

      泣いちゃいま、

「おれ、そういうの、意外、ちゃんとしたいほうなんで」待たせたタクシー。その後部にふたり、高明。樹々。そして前に乗った穆介は、振り向けた頸をそのままに

   いい匂い

      ここらへん、やっぱ

笑んだ。「いいね。…さすが。骨あるやつ、ひさしぶり」

   吐きそうです。…なんか

      若干、ちょっと

「いや、べつに、おれは」

   いい匂い

      さびれてますね

「さすが、」と「椿さん」笑った。そして、思わず笑う。高明が。赦した。穆介はそこに不用意な、あまりに子供の高明を、「教育できてんじゃん。あのひと、結構がちだからね。」だから、「…やばっ」添うた。丁寧に、高明。その子供の笑みに、自分もおなじく、いたいけないほど素直な笑みを。謂く、

   意外に、ね

      ちがうけど、ね

    脱いじゃえば

     おまえが見るべき

   かわいらしくて

      たぶん、おれは

    みすぼらしいかも

     風景を、たしかに

   ほどほど、ね

      愛せないけど

    いんじゃないの?

     見出してみろ

   すれてる感じで

こどもたち。…の、世界。

   やややや、ね

      ちがうよ、ね

    黒髪で。ほら

     おまえが行くべき

   清純チックで

      もはや、世界観

    くすぐられたら

     場所を、たしかに

   ほどほど、ね

      間違ってんじゃね?

    喜ぶかもね

     探し当ててみろ

   エロい気もして

叫びそうだっ、た。秀則は。叫びそうだっ、た。朋子は、そしてふと、返り見てまばたく。謂く、

   おだやかな、…ほら

   一日に、その

   おわりかけ、その

   ゆるやかな、…ほら


   微笑、を。ふと

   思わせ、凝固した

   口もと。あなたは

   なにを?いま

だから3日。11月の、午後17時過ぎにその

   微笑、を。ふと

      こころ。いかに

    廃人とは、しかし

     荒れまくろう、と

   思わせ、ふと。凝固し、その

      すさんでいよう、と

    かくも、かくまでも

     臭みをおびよう、と

   口もと。あなたは

      もだえていよう、と

    清潔なのだ。…と

     肉体。すでに

   なにを?いま

聞く。11月。その

   ささやきを

      ふるえ。空気の

3日。高子。だから

   こころは

      無言の

2003年。壬生高子。

   かさねつづけ、

      ふるえ。気配の

雨。午後8時。知っている。高明。彼が自室に籠っていることは。知っている。云わない。いまさら秋子は、なにも。高子には。小言さえ。まして未来への不安など。むしろ、そんな秋子の方が決然としていると、高子。思う。ただ、頼もしく。秋子。自分を守ったのは彼女だった。だから、高明をも守りつづけた。その

   ぼくたちは

      ありがと

腕は、こころに

   思ってるより

      きみが

どんなに、と。

   強いのだから

      いてくれて、ほんと

傷かっただろう?ときに、と。

   ぼくたちに

      こころから、わたし

どんなに苦しく

   道は、あまりに

      良かった。ほんと

つらかったかっただろう、と。それでも

   けわしいのだから

      ありがと

こんな冷酷な雪の下でさえ、と。

   ぼくたちは

      ほんとに、きみが

わたしたちは、と、…結構、さ。秋子。「あいつ、…」唐突に、ダイニング。テーブル。その、ここと向こう。そして、「才能あったりして」ミルク・ティー。「高明?」

「聞いた?」

「なに?」…音楽、と。云って思わず、まなざし。その

   え?

虹彩。その

   は?

表現する感情がいったいなんだったのかわからないしかし、明晰なまでに明るいそれ、を、急につくって、…ん。「おん、」と、…ん。「音源?」…って、笑う。秋子だけ、「音源。あいつが、造ってるの」

   ショパン、好き?

      むしろナイーブな

「パソコンで?」

   ファラオ・サンダース、好き?

      シュニトケで

「なんか、癒し系。…みたいな?好きなんだって。ああいうの。ヌジャベスっていう外人の?バンド?グループ?ああいうのが、なんか、踊る方のクラブでやってるんでしょ。…知らない。あくまで、高明情報。わたしはさ、もちろん疎いから」と、…そう。過失。そう、と相槌をただ秋子のためにうちながら、過失。あるいは母親失格だろうか?思った。高明の、彼が見ている風景などほとんど、

   侮辱だ!

見ようとさえ

   恥辱だ!

しなかった。

   屈辱だ!

悔恨。高子にふいに、そのあまりにあざやかに感じられた悔恨は、自嘲のある秋子の笑みにすぐさまに掻き消された。…いんだよ、と、…ね?笑う。「なんか、よくわかんけど、」秋子。「おしゃれなカフェとか?表参道とか。ああいうので、好まれそうな感じ。こんな、鎌倉なんかで、」高子。秋子の「さ。…」そばで、声もなく笑んだ。謂く、

   わたしたち

   あえて、いま

   その風景に

   微笑。ほら

飲まれてしまったのだ。ほら、風景に、きみは。

   わたしと、きみが

    見送るのだろう

   見たこともなかった

    やがて、わたしは

   その風景に

    きみのかたわらで

   彼。微笑のまま

飲まれてしまったのだ。ほら、風景に、まきぞえに、わたしをも、きみは。

   わたしたち

      彼が、すでに

    影を、影で

     不思議。もう

   その未知

      立ち去ったあとで

    昏ませあって

     一生分生きた

   その風景に

      そこでも、猶も

    生きてきたよね?

     そんな気、しない?

   微笑を

枯れた。枯渇した。ひからび、乾ききり、渇き

   わたしと、きみが

    忘れるのだろう

   吹かれはしなかった

    やがて、彼は

   その風に

    わたしをは

   彼。微笑のまま

風景に、わたしは。まばたき、風景に

   わたしたち

      彼が、すでに

    影を、影に

     もうすぐ、きっと

   その未知

      見捨てたあとで

    踏ませあって

     もう。ひとつ、人生が

   その風に

      そこでも、猶も

    生きてきたよね?

     はじまりさえする

   微笑を

飲まれてしまっ、…え?

   わたしたち

   あえて、いま

   その風に

   微笑。ほら










Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

0コメント

  • 1000 / 1000