ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -263 //自生していた、その/サフランは、もう/滅びていたよ。その//02





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





11月。その

   はげしく。もっと

      匂うよね?

11日。雨。

   すべて、濁流に

      くさいよね?

聞かない。かならずしも、

   洗うほどにも

      雨の日に。この

すくなくとも

   はげしく。もっと

      世界はまさに

そこ、窓の向こうに響いていた雨の音をは、穆介。聞いていなかった。その九鬼穆介は。横浜迎賓館。その裏手。アパート。そこ。201号室が壬生高明と山田樹々に振った、彼等の当座の

   愛され、やさしく

      ふるえているんだ

         ここ、だよ

拠点だった。9時。

   見た。夢を

      わたしは、きみの

         ここ、だ

午前。だから

   やさしく愛される

      そば。あえて

         ここ、だよ

午前9時。

   夢を、やさしく

      抱きしめられもせず

         ここ、なんだ

聞く。高明は、息遣い。聞く。ただ、ほかに耳にやさしいものがなかったから。かならずしも樹々は明確な音をたてるでもない。まして声帯の音声など。息遣い。そして肌と肌。その、あるはベッドにシーツのこすれる微音。すでに高明にはいたましく

   なぜ?

      洗いたい

聞こえた。

   わたしは

      雨で

澄ますというわけでもない耳が、すさまじい

   なぜ?

      きみの顔面を

轟音のそれに集中させた。眼は逸らさない。ふたりから。むしろ見つめた。ベッドの上。その下だけ脱いだ穆介、そして、全裸の樹々。…いいじゃん。と、終わったあとに穆介は「…いいじゃん」ささやく。小柄な「思ったより、さ」男。ふとそのくちびるに気づかいのある

   だれに?

      地下水沸騰

         こぼれんばかりの

失笑。年下の

   あなたは

      地下熱発光

         ほほ笑みを

高明。彼よりもさらに小柄な穆介は、ゴムをつけたまま高明のとなりに座り込むと、「悪くねんじゃね?」23歳。…くらい。20歳ではない。25とも思えない。だから間を取って、そのくらいと昨日、樹々が

   じゃない?

      雨が、きっと

ふんだ。高明は、

   じゃ、じゃ、

      あしたは硝酸の

耳元で

   じゃない?

      雨が、きっと

笑った息とともに、それ。ささやかれたそれを鵜呑みしてい、…てか、穆介。お前。「まだ」返り見、「終わってねぇじゃん」樹々に。向こう。あえてこちらに背を向けた樹々は、猶も穆介を

   見ないで

      穢れちゃいました

         圧倒的な

見返さない。

   見つめて

      きれい?いま

         歓喜。と

わかる。「…山田」高明には、

   見つめないで

      ぼろぼろです

         圧倒的な

樹々の、その

   見て

      かわいい?まだ

         苦悩。と

気持ちが、「って、…山田」傷いほどに。「聞こえてる?」あららげなかった。声を、それ以上穆介は。むしろいかにも親しみやすく、なじみやすく、ことさらにやさしい声を、穆介。いままで生きて、彼は一度も叫んだことがないに違いない、と、高明。いきなり投げつけられた印象。そして、樹々にさえも。あるいは、

   あ。いま

      やっぱさ女って

その須臾、ふと

   やさしさに

      守られたいじゃん、的な

樹々は暴力の、または加虐の

   ふれていた

      ざわめく感興

きざしを感じたのかも知れない。望む望まないにかかわらず、ある感傷的な余韻にあったには違いない樹々が、いきなり機敏に上体をもたげた。ひねった。下向きに、樹々は怯えて

   つらぬけ

      愛それ故に

         ひかりよ

穆介を

   ひかりよ

      泣き叫ぶけもの

         おれを

見ていた。…って、と、「まだ?」樹々。もっかい、…と。すんの?甘えを、…もっか、故意に。樹々。笑った。穆介。あくまでもやさしく励ますように、…もっ、笑った。穆介。あく…残念。「おれ、ロリじゃないのね。だから基本、お前に、おれ、実際は、ほぼほぼ無害な感じかな?」…って、「年増好きだから」笑い声。「…むしろ。」耳に、高明は

   ひとは、ね?

      怒号だぜ

感情。あやうい、

   みんな、やさしさを

      雨は、または

忿怒でもない、

   もちよって、必死に

      豪雨は

自虐でもない、

   生きてゆくのです

      罵声だぜ

攻撃的でしかも

   ひとは、ね?

      雨は、または

陰惨な感覚を、ひとり噎せ返らせつづけていた。醒めた、冷酷な昂揚が喉に、血管に泳ぐ。ほんの数秒、穆介はいわゆるおばさん風俗の話をしかけ、「って、」まばたいた。「ごめん。違う。ほら、」指。穆介。股をひらき、自分の薄ピンクの尖端を指した。「さぼっちゃ、駄目さ。お掃除。手抜きは、駄目さ」

   えー…え?

「わたし?」

   はー…は?

「他、誰いる?」…お前、やんの?ささやいて、高明の耳もとにふと、冴えた笑い声を、

   ひびきあうのだ

      か。かっ

立てた。声。

   こころとこころが

      いたがゆい感じ

孤立。なぜ、

   距離感ゼロで

      べたっ。て、し

そんなことをするのか高明は理解できなかった。その樹々。たちあがりもせずに、いちいちベッドから手をつき、そのッ振り、い。リング。降り、膝をつき、い。ング。そして

   まず4!

      いつわりの微笑を

四つん這いに

   つぎ2!

      剥ぎ取ってくれ

フローリングを

   さいご3!

      おれの

這う。ふろ、ロッ、媚び?と、降伏?と、なに?察せない。高明は。振り回される尻。高明。唐突な性欲を堪えがたく、「わたし?」なぜ?かさねて穆介に確認する樹々は、ただかたわらの男に赤裸々な共感をだけさらした。嫉妬。無防備なほどに明晰に、高明。嫉妬。見つめた。高明は、

   嫉妬。ふいの

      生きていて

         ここ、だ

樹々。ひらいた

   にぶく、にがい

      いいですか?

         ここ、が

穆介の股に

   若干の、かつ

      呼吸をしても

         ぼくたち、の

差し込むように

   よろこび?

      いいですか?

         ここ、だ

手をつき、

   クソだね

      ぼくのこころは

         ここ、が

共鳴。…と、思う。高明。共鳴を、ふたりは、いま、と、「そ。取って。これ。うぜぇじゃん」…いっつもつけてんの?ふと、「ゴム」穆介。高明に、「お前ら。だから、やりまくるとき」

「ちがうから」樹々。なにが?と、

   さかりのついた

      ケツから侵入

無言。あくまでも

   けものらしく

      つめたい雨が

高明は、…なにが?

   吼えているのさ

      口から失禁

怒りと性衝動が、高明に歯茎を傷くした。やがて指先。華奢。ネイルなし。上手に女らしく照れながら外してやると、樹々の指から、穆介。それを取る。そして、「背筋、伸ばせ」快活。その声。まるで善良な小学校教師じみ、「もっと。で、額、うえ」笑った。眼を

   ははは

      洗脳だろ?

閉じて、…こう?

   ははは

      洗脳だろ?

声。媚びる、その樹々。ひたいから穆介はそれを垂らした。…や、と。くっさ。樹々はしかし、あえて微動のたえまないそのまま、からだを逸らしたりは…いっぱいだよ。しない。と、穆介。いっぱい、と。笑んだ。高明に。他人の臭気がただ、痛みと屈辱と不可解な恍惚を高明に与え、「やってねぇかんな、…最近。おれ。ぜんぜん、出してなかったも」…わかる?

   もてないの。おれ

      うそだよ。それは

殊更に

   いけてねぇの。おれ

      まじで?それ

やさしく、「お前、」と。「これからいっぱい、たっくさん。浴びようぜ。いっぱい、めっちゃ、搾り取ろうぜ。いっぱい、全身、めっちゃくちゃ浴びまくっちゃおうぜ」…お口も、中も、さ。ささやく。耳もと。樹々。ひたいから眉と側頭にながれ、それはすでに髪にもからんだ。樹々。微笑。謂く、

   きみ、ただ

   容赦ないびっ

   微笑。ほら

   いくらでも、びっ


   下等なものは

   下等。永遠に

   下等であるしか

   下等。きみたち


   きみ、ただ

    糧。生きていく

   容赦ないびっ

    勇気。生きていく

   微笑。ほら

    強さ。生きていく

   いくらでも、びっ

きれいだよ。泥水、を、さ。すする勇気って

   下等なものは

    まさか。軽蔑?

   下等。永遠に

    すこしも、侮辱?

   下等であるしか

    まったく。侮蔑?

   下等。きみたち

すてきだよ。泥水、を、さ。すする生きざまっ。まっ

   きみ、ただ

      下等な体液を

    わたしは、いまだ

     嫌いじゃない。嫌いじゃ、

   容赦ないびっ

      垂らしてごらん

    傷ついたことも

     やばっ。いっちゃってもいいですか?

   微笑。ほら

      その悪臭を

    悩んだこともない

     きみも。だれも。基本、

   いくらでも、びっ

ち。くそびっ。びっ、

   下等なものは

      あえいでごらん

    さ。で、さ。女の子たちは

     たぶん好きだよ

   下等。永遠に

      女子みたく

    いつも明るくさ。で、

     やばっ。きもちよすぎ

   下等であるしか

      いっちゃえば?タコ

    さ。で、さ。楽しいのだか

     きみも。だれも

   下等。きみたち









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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