ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -259 //曼殊沙華を。ふと/踏みかけて、そこ/かかとの先。その//12





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





夏、…と。福田ひろ子。5日。午前。幼馴染み。深い午前。既婚。妊娠中を、押して見舞いに来てくれたひろ子に柴田香月はただ、

   あっ

      やつれた?

失語した。なにか

   心は

      足りてる?血液

言いかけてはすぐ、そこ。

   感情に

      死にそう?

言葉が

   あっ

      足りてる?酸素

干からび、そして網膜がひたすら

   ふれかけ、

      やばそう?

うるんだ。もう、と、「夏」

   終わらない。ふたり

      まだ、まだ、まだ、

         あなたにだけ

「夏?」

   永遠の夏に

      まだ、まだ、まだ

         季節はめぐっ

「も、」と、「終わり。かな?」ひろ子。ゆっくりと窓際、こちらを向きながら、がんっ。微笑。頑張ろうよ。と、「一緒に」香月に。その眼は。その右手は腹を慰撫し、どちらに?どちらでもよかった。そして唐突な思いつき。…ね?香月。「なに?」

「わたし、生まれ変わったら、ひろの子どもがいいな」

「え?」笑った、その寸前の、顔面の浅い「かーちんが?」ゆがみ。「だめ?」そしてふたりは吹き出してわらった。福田ひろ子は小指にサッシュをなぞってみる。謂く、

   かさね、やさしさ

    だって、ね?

   やさしさを、そこに

    はじめて気づくものって

   かさね、すぐさま

    あるじゃん。いま

   飽和を、瞼に

稀薄な、外光に。つつまれてよっ…か。

   ほほ笑みを

      苦しくないよ

    失神しそうな

     やめて。すこしも

   目じりに

      べつに、なにも

    しあわせを。せめて

     なにも、気にしな

   ほほ笑みを

      もう。わたしは

    感じさせてあげたい

     きみのしあわせが

   口もとに

稀薄な、外光に。たわむれてよっ…か。

   かさね、やさしさ

    だって、ね?

   やさしさを、そこに

    つよい子だったじゃん

   かさね、やわらかな

    わたしって、いつも

   鬱を、瞼に

夭子は、6日。午前5時。椿。夭子は、

   え?

      微笑

ささやいた。その返り見ざま、「まだなの?」

   え?

      失笑

「おれ?」椿。「さっき、」

   え?

      苦笑

「いったじゃん、おれ」

   ほほ笑んでいても

      豪雨がいつか

「ちげぇよ莫迦。原口くん。釈放、まだ?起訴とかないんでしょ?」

   いいですか?

      降る寸前に

「むずかしい、」ほくそ笑んで「…のよ」椿はベッドにふちに足をかけたその腹筋運動を「少年、」途切らせ「犯罪、」ない。「じゃん?」

「だから、罪、かるいんじゃね?」

「うるせぇの。だから、」椿は「う、」そこに「うっせぇやつ、うっさく、」笑った。ただ「うっせく、さ、してぇ、やつ。さ、そ、」素直に「そゆの。いっぱい、いっぱ、いる、から、さ」

「なんとかしてよ」

   え?

      爆笑

         マジ?

「してほしいの?おばさん」そこに、ちょうどおそらく1000回目の腹筋を終えた脱力の、椿は完璧な充実感とともにつぶやいた。「かわいそうじゃない?」

   ゆびさきが

      翳りのなかで

「なにが?」

   あっ

      きみ。翳りさえない

「なんか、だからあれでしょ?結局、」

   やや、冷えた

      翳りのなかで

「てか、お前、」と、…勘違いしてね?ささやきかける椿は、拒否。しかも、その拒否。その夭子は「違う。ちがうよ」頸。振り、はげしく焦燥にはげしい声をはげしくあららげ、「原口くんとは」あららげつづけ、「そういうの、」あららげつつ、「ない。あくまでストーカーじゃん。あいつ。クッソ」くっ「クソ餓鬼の、」くっ「あいつ、いくつ?15、6のさ、おかしくない?でも、という、それはそうだったり、り。なんだけど、」ふいに、「さ。…ど、さ」椿。彼はすさまじい幸福感につつまれた。そして

   ためらいがちな

      色彩は、ただ

         うつくしいよ

おなじく、おなじ

   きみの焦慮に

      無防備に、その

         知ってた?きみは

強度の全能感が、…そう。ささやいた。故意に、糾弾の顔を、夭子に、「知ってるか?痴情の

   年増じゃん?

もつれってやつ?でも、

   朽ちかけじゃん?

刺したの、

   腐りか

事実じゃん。その

   年増じゃん?

事実、消えねぇよね」

   恋占は

      求め、ない。もう

「から、さ。だから、」

   やがて赤裸々な

      わたし、愛

「犯罪者だから。しかも童貞喰いされたんだろ?クソばばあに」

   どしゃぶり

      愛なんか、わた

「ちげぇ。喰ってねぇ」

   しかも更には

      信じたく、な

「一緒じゃね?」と。そこに「つんだ。やつの人生」椿は夭子の「おわっ。…」動揺をただ「おわり。終了」いつくしんでいた。「しゅうー…、」謂く、

   かなしい?なにが

   きみには、なにも

   奪われてい、まだ

   なにも。すこしも


   かなしい?なにが

    見ていろよ

   きみには、なにも

    あなたがかつて

   奪われてい、まだ

    すがった、おれの

   なにも。すこしも

肉体は。いつも翳りにあやうくふれあいかけていた。

   かなしい?なにが

      過去は、いっさい

    見ていろよ

     信じてる。やがて

   きみには、なにも

      束縛しない。もう

    肉体を。または

     お前は、ひとりで

   奪われてい、まだ

      ぼくたちのいまを

    求めた、おれの

     しあわせになるよ

   なにも。すこしも








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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