ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -257 //曼殊沙華を。ふと/踏みかけて、そこ/かかとの先。その//10





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





3日。正確には

   なに?

      見よ!

         え?

4日。午前零時すぎ。高明。…知ってる?と。あるいは

   なに?

      どこから来たか?

秋子が、雅秀とつながっているとしか思えない。秋子はそもそも壬生に敵意しかないはずだった。壬生に捨てられた。いま、壬生に捨てられた雪の下で、壬生に捨てられた高子たちに寄生した。雅秀も捨てられた。他ならない、あの麻布台の壬生たちに。なら、所詮

   なに?

      だれなのか?

敵をおなじくするもの同士、つながりあっておかしいことはなにもなかった。知っている、と、だから集金未納の件も。だったら、と。思う。あるいは雪の下を捨てなくとも良かった。逆に雅秀が秋子と示談するに違いなかった。騒いでいるのはあくまでも椿ひとりの

   なに?

      どこへ行くのか?

カマかけか見せしめに違いない。…もう、と、実は、おれたちは救われているのだろう、と、そして高明は、執拗に背けられた頸、その顎を厭いながら鎖骨を舐めた。謂く、

   知ってる?ぼくは

   いま、唐突に

   歓喜。感じた

   容赦なく歓喜


   うえ。顔の

    厖大な、ほら

   そそいだ。その

    可能性。それら

   息さえ。きみの、

    恥ずかしいほどに

   感じられていますか?その


   顔のうえ

      感じる?

    あした、わたしは

     解き放たれ

   そそぎ、そこ

      あなたは

    鳥にさえなり

     埋もれてあげる

   息。その

      自由なわたしを

    落ちてしまうのだろうか?空に

     きみの過剰な独占欲に

   きみ。いま

讃えられるべき世界、が。わたしに嘆願した、ので。

   そば。顔の

    厖大な、ほら

   ふりかかり、その

    全方位進行可能

   きみの声さえ

    絶望的なまでに

   感じられていますか?その


   顔のそば

      感じる?

    あした、わたしは

     自在に。ぼくは

   かかり、そこ

      あなたは

    蝶にさえなり

     与えてあげよう。…ね?

   声。その

      解放。わたしの

    してしまうのだろうか?自然発火、とか?

     きみ。恍惚を

   きみ。いま

讃えられるべきわたし、が。世界に嘆願した、ので。

   知ってる?ぼくは

   いま、唐突に

   歓喜。感じた

   容赦なく歓喜

午後。その、

   ひかりよ

      餓えている

4日。いきなり、

   赤裸々に

      植物。その

その、輝き出した

   わたしの肌に

      光合成。不遜

午後。綾子。と、「ひさしぶり、じゃ、」唐突な「ない?」その綾子の声に郁実は返り見た。かるい、

   …え?

      あ、あ、あっ

驚きとともに。機嫌、いいんだね、と、「なに?」

   …え?

      あ、あ、あっ

ささやいた。郁子は、思わず、そこ。リビング。午後2時。郁子は、だから掃除機をすでにとめていた。って、と、さ。「だってさ、」綾子。「晴れるの、」ひぁっ「ひさしぶりじゃない?」

「そ、だっけ?」

   …ひぁっ

      あ、あ、あっ

「だって、昨日、」

「晴れてたでしょ」いきなり唖然をさらした郁子を綾子は笑った。言わなかった。もう、なにも。綾子にはたしかに昨日自室で見上げた空が白濁していた記憶の確実があった。でも、綾子。さ。「晴れっていいよね。あかるくなるよね。すがすがしいよね」無理を、と。郁子。いま、

   力づくで

      晴れ渡る

娘は無理をしていると

   見て。わたし

      空に。ふたりは

母親はそこに

   ほほ笑んであげた

      落ちて行かない?

いぶかり、なぜ?まばたく。綾子は、なぜ?もはやすべて、自分をふくめた他人のすべてをしあわせにしたかった。だから、もちろんそこには郁子も含まれていた。素直になれない自分がただ、もどかしかった。これみよがしのあからさまさで、そして、ふと、綾子。吹き出して笑ってしまって、そして、ふと、

   我々はむしろ

      孤立。そこに

綾子。吹き出して

   あわい目舞いに

      それぞれに

笑ってしまって、…なに?郁子。あわい戸惑い。あわい歓喜。あわい関心。あわい心配。郁子。「ちがう」

「なに?」

「なんでもない」

「ちがうから」…もう、その郁子はそう、そこに故意に舌打ちさえして綾子の眼の前で笑ってやった。心地よかった。もっと、はじめからこんなふうになればよかった。もっと、

   行かないで

      まばたき。ふと

すればよかった。もっと、

   過ぎ去らないで

      ためらい。しかも

所詮、ひとは心地よさを求めるもので、だからひとの環境はここちよくしかありえないのだった。そうでしか、

   消え去らないで

      無造作に

ないのだった。あした、と、「なに?」

「行ける?あした。学校」ふいうち。その声。郁子の。故意とまでは、まして周到と言えるはずもないしかし、あきらかな企みを綾子はそっと

   いま、きみは

      かさなりあって

郁子のために

   唾を飲んだね?

      瞼が

赦した。ささやいた。「いいよ」ふと、手を後ろにまわして腰をいちど、「行く」振る。「心配なんでしょ?あくまで、ママは」答えない。郁子は、ただ、赦しのある笑みを綾子に送った。…休憩。綾子。「休憩。ママも。だから、」と、「ココアのみたい」キッチンに消えて行く娘の陽気が、しかも郁子にけなげに思えた。なぜ?

   わたしたちは

      すべて、もはや

と、郁子はいま、

   なぜ?

      幸福をだけ

こんなにも

   傷つけあうの?

      わたしにさらした

しあわせなのに。満ち足りたのに。ほがらかなのに。窓。カーテンを、風はゆらさい。室内。エアコンに冷やされ、窓。ひかり。だからあくまでも安定しきった、ふるえもゆらぎもなにもない

   ゆれる

      つめたい

ひかり。ん、

   ゆれつづけ

      人工の送風が

だ、と、

   ゆれる、その

      つめたく

わかりあえんるんだ。

   微動

      人工の

思った。郁子は。ついに、結局は如何なる状況におちいろうとも、あきらめなければついに

   最後まで

      叫ばないで

         真実

心は

   最後には

      耳もとで

         現実

寄り添えあえる、

   最後さえ

      わめき散ら

         真実

と。…ね?声。「ね?」綾子。不穏。微動。声。ふるえ。「ね?」不穏。…傷いよ。声。返り見た。悲鳴はない。そこに綾子は自分のひだり腕に、包丁を横にすべらしつづけていた。ヴァイオリンを弾くかにも。そのたびに裂けた、血が散った。「傷い。ママ。傷い。…なんで?」悲鳴はない。驚愕。それだけが綾子の顔面を支配した。…やめな。郁子は、「やめな。莫迦。やめな」そこに

   や、や

      っ。あっ。あ

直立のまま、

   や、や

      っ。あっ。あ

綾子に

   や、や

      っ。あっ。あ

怒鳴りつづけた。綾子は、ただ、眼を

   なに、それ

      傷み

         は?…これ、

見ひらく。そこに。謂く、

   傷み。ふと

      驚愕を。だ

    いっ。…え?

     ちがう。わたしじゃ

   なつかしささえ

      から。傷みにわ

    わたしはたしかに

     ある意味、わたしじゃ

   傷み。その

      たしは驚愕

    生きていっ。…え?

     なっ。ちがうよ

   わたしさえ

見つめられるまま、視野を、ひらく。

   驚愕を。だから

    なぜ?きみは

   傷みに、わたしは

    眼の前。わたしの

   戦慄を。いまや

    怯えているの?

   不可解。すべては

見つめられるまま、視野に、ひらかれ、

   傷み。ふと

      戦慄を。いっ

    なんら、いまさらの

     てんじゃねぇよ

   なつかしささえ

      まや。不可解。す

    おどろきもない、ただ

     ぇんだ。見世物じゃ

   傷み。その

      べては戦慄

    時間を。凡庸な

     見てんじゃ

   わたしさえ

午後。9月。16時半。5日。午後。椿。匂った。中学校の校門を入りながら、思春期の、あるいは

   いま、おれは

      降れ。すべて

性徴期の、とまれ

   動揺している

      万人。かれらの

固有の子供たちの匂いを鼻に

   いま、おれは

      雨。汚物の

嗅ぎ出そうとし、所詮

   疲弊している

      頭部に、もはや

自然的臭気以外ほぼ完全無臭にひとり吹き出す。立ち止まった。もうすぐ来ると、予感がした。だから校門を出てそのコンクリートに、

   ほら

よかった。

   莫迦ちゃん

ふいうちだった。校門を出た背後、椿の「おまた」声を、楠。聞いたときには。「股じゃねぇぞ

   わたしはそして

      無臭の、しかも

         近くへ

タコ。股ひろげんな

   身をもたげ

      ややざらついた、…なぜ?

         接近を

よタコ。勘違いすんなよ」咄嗟に、

   わたしはそして

      大気。しかも

         近くへ

走り出した楠を椿は

   笑えねぇ

      虚構の雨を

後ろから

   クソ笑え、え、…え?

      虚構の花に

押し倒した。「逃げらんねぇよタコ。死ね」もはや

   笑えねぇ

      降らすがいいさ

楠は抵抗しない。ふと、椿は顔をねじって背後、立ち止まった中学生数人にやさしく「お前ら」ささやいた。「関係ないから。なにも見てないから。そもそも口ないから。目ないから。わかる?日本語。しゃべれるよね?

   あー

      はい。わたしは

         微動

日本語」立ち上がって、

   ゆー

      やがてけなげな

         虹彩

楠。その

   じゃっぷ?

      下等民です

         微震

顔を踏んだ。踏みにじり、…来いよ。由比が浜。その、海辺のカフェに歩き出しながら、じぶんに従う楠をはもはや背後に確認しもしない。と、「ちょ、まっ」椿。たちどまり、「ちょ、」ふと、踵をかえした。校門まえ。まぶたが引き攣る中学生の、左はしから2番目。こづくりな女生徒に、「おめぇ、てか、おめっ」笑った。椿は、もう「眼いっぱいぱいぱい発育いいじゃん」歓喜の極みに、「…らぶっ」笑い転げ、謂く、

   善意の、まさに

   家畜たち。も、いま

   匂い。まなざしに

   悲惨。あるいは


   苛酷の、その

   匂いに、も。ふと

   他人と自分との

   感じた。乖離を

赤裸々に、ほら。きみに、きみの青春の日々。そのあやういひび割れ。

   善意の、まさに

      こわがらないで

    見上げれば、そっと

     やさしくありたい

   家畜たち。いま

      きみじゃない。まだ

    見出すはずだった。その

     必要以上に

   匂い。まなざしに

      ぶっ壊されるのは

    あざやかな雲を

     ぼくは、きみにも

   悲惨。あるいは


   苛酷の、その

      おそれを知らない

    見上げれば、そっと

     ひらいた口蓋

   匂いに、ふと

      勇敢な少女よ

    感じたりもするは、は、…え?

     だいじょぶ?口臭

   他人と自分との

      ほほ笑んでごらん

    背骨にややなまぬるい傷みを

     くさくね?やばい?

   感じた。乖離を









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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