ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -239 //なに?夏の/花。なに?花。たとえば/朝顔はかたむいた//18





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





高子。5日。8時。その

   夏である

20分過ぎ。

   夏であ

分かる。カーテン。そんなものを引きあけなくとも。外。決まっていた。晴れに。いまは夏。そしてここ何日か、ただ晴れてばかりいた。そうだった。だから。あお向けて、左手。その中指。と、人差し指。それら。そっとそこに

   ふれた

      わたしに

ふれた。高明の

   なつかしく

      歎かわしいほどの

残した体液は

   繊細な。きもち、が

      夢。猶も

今日は

   ふれた

      見せつづけていて

感じられない。もう干からびたのか、流れ出しきりしかも肌に狎れてしまったのか。指先。それ。自分のそのかたちをなぞり指先。それ。うるおいはなにもなく、指先。それ。ぶよぶよ。そこ。かさつく。そこ。汚らしく、高子は思った。指ざわり。かたち。それらそのものが。謂く、

   なにを?あなたは

      ふれあいつづけた

    むしろ、ようやく

     いつから?

   いま、どこに?

      かさなりあい

    目覚めた。たったいま、と。そんな

     捨て置くかに。…わたしが

   どこで?あなたは

      時にはへだたり

    まなざしをつくっ

     息づかいはじめたのは

   やがて、わたしに


   語り聞かすべき

    絶望を?まさか

   経験を。固有の

    それは、ただ。任意に

   忘れかけながらも

    仮定された極点にすぎない

   つぎからつぎに


   忘れないで

   せめて、断片でも

   聞かせて。ただ

   わたしの耳に

ふと。記憶喪失になった気がした。つまり、あなたのことに関することにだけ、

   なにを?あなたは

      ささえあいつづけた

    むしろ、ようやく

     いつから?

   いま、どこに?

      抱きしめあ、あ、あい

    気づいた。たったいま、と。そんな

     投げ出すかに。…わたしが、

   どこで?あなたは

      時には拒絶し

    動揺をつくっ

     息づかいはじめたのは

   やがて、わたしに


   笑みかけるべき

    救済を、など?まさか

   やわらかな頬を

    わたしは、ただ。希求された

   須臾に刹那に

    現状嫌悪の固着にすぎな

   こわばらせながら


   怖がらないで

   せめて、いつでも

   ほほ笑んで。ただ

   わたしの近くに

雨が、9日。雨。だから、雨。樹々。目の前に、自由が丘。高明。自由が丘の、駅間のファーストキッチンの2階。窓際。高明。

見つめた。樹々。その、むしろひたすら饒舌に思われた睫毛を、「好き、」と。無言。くちびる。その動きだけで、そこに、その山田樹々は、「きみが、すき、だ」と、無言。鮮明に、と、言った。声に、その、不意の吹き出し笑いのやまないまま、「いま、さ。まじ一生懸命、まじ、クッソまじめに、ね?さ、いま、」無言。その「きみ、だけ、が、」と、くちびるを「好きだ」高明は読んでいた。11時。土曜日。その曜日など、あくまで無意味なあくまでも土曜日。謂く、

   かかとが、さ

   濡れてない?きみに

   かかとが、さ

   いま局所的に

獰猛なんだよ。チンパンジーって。だから

   見ている。わたしは

      耳。硬直を

    やめて。指先を

     眠いんだ。なんか、さ

   眼の前。あなたが

      だから、冴えた

    ふるわせるの、や。そして

     どうしようもなく、さ。いま

   うつろわせていく

      窓の外。雨

    貧乏ゆすり。を、や。左だけ

     あくび、して、も。いい?

   表情。まどろむ

パンジーも。尿道に刺したそれ。獰猛なん

   かかとが、さ

   濡れてない?きみに

   かかとが、さ

   いま局所的に

楠。気おくれした。その

   唐突かつ高鮮度。その

      イソギンチャクが

9日。雨。…なんか、

   気おくれを

      飲み込む。空を

さ、と。「楠と会う時、いっつも天候不順じゃないすか?」樹々。気おくれ。午後6時。3時に原宿駅について、そこで待ち合わせの樹々を待ちながら、どうしても気おくれが

   唐突かつ高鮮度。その

      繊細なんだ

         イソギンチャクが

押さえられなかった。だれもが

   気おくれを

      いちばん。この世で

         吐き出した。空を

自分を笑っている気がした。初めてではなかった。表参道。6歳か何歳か、ともかく明治神宮には来たことがある筈だった。両親と一緒に。それ以外では初めてだった。駅前で、楠にはどこに神宮があって、表参道があるのかもわからない。眼の前、ややとおく。歩道橋のむこうの角ばったマンションと、ときにすぐ横、団地じみた地味なマンションを苛立ちながら見た。…だって、

   見た

      一瞬。すべての

さ、と。

   きみを

      一瞬が、いま

午後6時。「いっつも

   見ている

      燃え上がる。しかも

         ないよね。影が

なんか、髪、

   きみを

      激しく

         きみって、さ。

ばさばさっちゃうんだけどまじ?…やばっ」もう、楠は樹々に先導されながら、町のどこをどう歩いていたのかまったく把握できないでいた。謂く、

   なにも。記憶が

      匂い。町

    ふまないで

     あなたさえもが

   蒸発したかに?

      臭気。すこし

    足元。ほら

     ふいうちじみて

   なかったかに?

      町。きみ

    あさいその水たまり。そこに

     匂う。なに?

   最初からなにも

ここは、だれの場所?だれのための場所?ここは、

   なかったかに?

   蒸発したかに?

   なにも。記憶が

   最初からなにも


   なにも。感情が

      匂い。人

    いいよ。すべて

     くちびるさえ、その

   停滞したかに?

      なに?。すこし

    おまえは、さ。すこしだけ

     見せて、たくらみを

   なかったかに?

      人。きみ

    かわいんだからめだっ。め。だって

     匂う。なに?

   最初からなにも

きみは、だれのひと?だれのためのひと?きみは、

   なかったかに?

   停滞したかに?

   なにも。感情が

   最初からなにも


   笑っていられる

      頬も。あるいは

    つまづかないで

     ゆびさきさえ、その

   ふつうのきみが

      額。粉っぽい、なぜ?

    頭上。なぜ?ほら

     ほのめかすかに

   見えた。おとなに

      化粧。微妙な

    散っ、なに?…飛沫が

     匂う。なに?

   ふいの横目に

いまは、だれの時間?だれのための時間?いまは、

   微笑。だ。き

   きみは。そこ

   微笑。だ。き

   きみは。そこ


   なにも。意識が

      匂い。食物

    よそ見を、しないで

     あなたさえもが

   稀薄化したかに?

      臭気。なにこれ?

    かたわら。ほら

     まばたくたびに

   なかったかに?

      食物。こんなキモかった、…っけ?

    返り見たおっさん

     匂う。なに?

   最初からなにも

怖れてはいないのだった。わたしは。なにも

   なかったかに?

   稀薄化したかに?

   なにも。意識が

   最初からなにも

夭子。25日。予約はすべて断わった。そんな気になれなんかった。追い返しもした。一件、連絡がつかなかった

   オッケ

      あなたの幸福を

女客を。勘。いわゆる、

   オッケだよ

      お祈りします

女の?夭子が

   オッケ

      死なないように、ね?

殴られているはずもなかった。ドアをすこし開けただけで詫びる夭子に、その女。たしかに匂いを、DV、の?それを嗅ぎ取ったのだと

   わたしたちの

      だって、だってさ

思った。夭子は。その

   理想は、殴らない

      うちらのケツは、さ

怯え、そして嘲笑の

   そんなひと。または

      蹴っ飛ばされるために、さ

または共感の

   すこししか殴らない

      たわわってんの

同居。…消えて

   そんなひと。ま

      わかる?莫迦

思った。そこに、夭子。あんたマジ、と、うざい。激怒。ふたたび、いきなり開けひろげられたドアに。英雄。激怒。部屋はどこも荒れ放題だった。もう、見えた。英雄には。英雄の肉体はすでにもう、満足していた。もう、入ってすぐの仕事場。後ろから。やがて、ベッド・ルーム。いきなり、ふたたび羽交い絞め。覆いかぶさりやがて、ベッド・ルーム。マットレスの上、夭子の口をくちびるに塞いだ。さらにその舌と歯で。別れたいとは言わせない。すべて英雄は、なかったことにした。そして、なかったことにしようと画策しつづけた。謂く、

   冷めてゆく

      感じる。愛

    情熱。と、でも?

     破滅してゆく

   あなたの、なぜ?

      きみの滑稽な

    腹立たしいほど

     もっと、素直に

   髪が。褪めて

      懊悩に。ほら

    わたしに、ひたすら

     笑ってくれたら

   冴えてゆく

しみこんで。しみこみ、しみんでゆく。ように、と。そんな

   冷めてゆく

   わたしの、なぜ?

   冷めてゆく

   あなたの、なぜ?

たとえば。蛾。鱗粉を、羽根ごと風化させ色彩を喪失してゆく、蛾。

   冷めてゆく

      感じて。愛

    激情。と、でも?

     破壊してゆく

   わたしの、なぜ?

      ぼくの暴力的な

    いたいたしいほど

     ただ、無防備に

   指が。醒めて

      焦燥に。ほら

    わたしに、ひたすら

     もてあそんでくれたら

   冴えてゆく








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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