ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -237 //なに?夏の/花。なに?花。たとえば/朝顔はかたむいた//16
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
目を、五時。高明はふと、覚ます。目を。眼。高子。知ってる。眼。見た。片方だけ。見えない。右眼。昏い。夜。高子。それ。自分がしがみついているもの。肉体。背を向けた
形態
匂い。おしつけた
ふたりを、夜が
横向きの
触感
鼻孔。後頭部。その
祝福するから
劣化。水葉にも
存在
匂い。陰湿な髪
ふたりを、朝は
あきらかだった。女たち。樹々にくらべればくらぶべくもない鮮明な劣化。目覚めた。欲望が。ひどくいじけて。しかも高慢に。高明。高子。その尻をつかんだ。あやうく高子は息をつまらせかけ、唐突な目覚めにわれをうしなって目覚め?まさに混濁に違いない、
絶叫。に、
ささやかないで
目覚め?まさに意識喪失にほかならない
ちかい鋭利さ。で、
つぶやかないで
目覚め?たしかに、醒めた目に
沈黙。を、しかも
きみは、ましてや
興奮。狂乱。錯乱。息。高子は、そこに侵入をこころみる指さきの存在にまだ気づかない。謂く、
ここ?そこ
どこ?ここ
あそこ?どこ?
ここ。わたしは
いけないこと、でしょうね?
ここ?そこ
馴れてゆく
血管。あなたの
猶も、いまだうつくしいもの
どこ?ここ
ゆびは。ゆびに
そこにも、体液は
それらは、いつかは
あそこ?どこ?
容赦なく
青褪めたの?いまは、
纏うだろう。残酷を
ここ。わたしは
どこに?いま
どこに?きみは
どこに?いま
どこに?わたしは
いけないこと、でしょうか?
どこに?いま
過失。たしかに
ここで、目覚め
過失にすぎない
どこに?きみは
きみも、わたしも
ここで、息づき
ここ?そこ
どこ?ここ
あそこ?どこ?
ここ。わたしは
いけないこと、その明確な線引きまたはその根拠の妥当を明示せよ。…さて、
ここ?そこ
麻痺を、やがて
眉間。あなたの
猶も、いまだうつくしいもの
どこ?ここ
鼻孔は。たしかに
眉じりにさえも失神は
すでに。だから、否応なく
あそこ?どこ?
体臭を。きみの、
あざやかだった?いまも
ただの悲惨にすぎないだろう
ここ。わたしは
いけないこと、なのだ。
どこに?やがては
失敗。たしかに
ここで、はじまり
失敗にすぎない
どこに?ふたりは
わたしも、きみも
ここで、息吹いて
いけないもの、なのだ。
たどりつくの?
自己憐憫?
ここ。どこ?
咬んで。むしろ
おしながされるの?
恍惚。陶酔
ここ?そこ
あなたが求めるそのまま、せめて
みちびかれるの?
なに?どよめきは
どこ?ここ
傷めて。むしろ
おちこんでゆくの?
笑う樹々を、楠。思う。はじめて素直にかわいい、と。そして鮮明にいとおしいと、楠。そこに。バイク。それは椿が貸してくれたものだった。楠にとって、もはや
風が歌ったぜ
椿は
罵詈雑言だぜ。ほぼ
尊敬と親愛の対象に他ならなかった。椿のような大人になりたかった。樹々の至近、あやうく樹々に、轢かれそうな怖れをいだかせながら、
聞こえていた。もう
だれのもの?
後退。俊敏。その、
きみの笑う
きみの
二歩。樹々は。眼の前に
声が
その、情熱は
横付けした。楠は。…やべっ。と、フル・フェイスを取るのも忘れ、「道、ぜんっぜん、
風が歌ったぜ
楽勝、です
大気の壁に
わかんね」
罵詈雑言だぜ。ほぼ
辛勝、です
ぶちあたれ小僧
笑っていた。二時には鎌倉を出たのだと楠は言った。待ち受けから時刻をつげると、むしろまだそんな時間だったことに楠は驚いた。一時が最初のメールだった。今から行く。会えない?それから、十分起きに、だから樹々は一睡もできなかった。立ったままでも眠れそうで、同時に冴え切った歓喜が、肉体に
きみの元気が
鋭利に。…ほら
張った。雨は
あかるくした。夜を
ひかり。あしもと
降っていなかった。鎌倉を出るときは、
きみの元気が
執拗に。…ほら
雨だったとその
消し去った。雨を
翳り。つまさき
楠は言った。謂われてみれば、午前中には自由が丘にも雨が降っていた、そんな気が樹々に、それとなくした。バイクに腰かけ、楠。立ったままの樹々。その前に楠は、楠。息を吐く。…だいじょうぶ?ささやく。そっと、楠。彼はほほ笑んで。大人び、
肉体とは?
樹々は年下の少年をそこに唐突な、
精神とは?
大人。見た。「結構、あれ、殴られたじゃん。椿さんに」
「ひどっ」殊更な憤慨。その、それが自分をだけはすみやかに迂回していたのを楠は、当然として見過ごした。「あいつら、いっつもああなん?やばっ。つかまるからね。そのうち」
「早稲田のやつみたく?やばっ。でも、
飛び越えるよ
強靭。さらなる
さ。椿さんマジ、
ぼくらは。きっと
強烈。さらなる
やばいから。あのひと」
「こわっ。関係なくない?」…良かった。言った。樹々に、いきなり楠は。その独り語散る言葉に樹々は耳を澄まし、もう、なにも、ひびき終わったあと。なにかも、ひびき終わっ「結構、おれ心配だったからね。おれ。はじめて。…って、こういうの。気持ち。こういう、…なんか」
「前も?いっぱいやってんの?やったの?ああいうの、」無視。
わたしだけでしょ?
肉体とは
5秒。楠は、
きみは。すくなくとも
咆哮であっ
…はじめてだよ。無言。を、やぶった楠の「心配だった」声がやさしく樹々の耳にふれた。「すっげぇ、でも、さ。でも、と、いうか、なんか、」
「うざっ。なに?」笑う。邪気もない樹々。その、
繊細すぎる
大気。なぜだろう?
細胞が、さ
目。楠は、
そうなんだ。きみは
ふるえ。ただ
やや45度ばかり傾いて
いきなり
ひ弱すぎるんだ
その周囲だけ
細胞が、さ
見とがめる目を樹々にくれた。「大丈夫。って、それだけ。お前、完璧、いまも大丈夫だからね」なにが?そう言いかけた樹々のくちびるを楠は奪った。頭をおさえつけた両手に、最初の須臾の身構えの抵抗はすでに
いま、わたしたちは
いとしさ
解けた。溶けるように、
傷みを。または
執拗に
樹々。くちびるを
快感を、赤裸々な
後頭部あたりに
赦した。もっと、と。楠。ながく。もっと、切実に。伝説的なレヴェルで、すっげぇやばくて暑っ苦しいやつを。楠。二十一秒、楠は数えた。キスのあと、楠は「お前、」
肉体とは?
ささやいた。「もう、
精神とは?
傷つかなくていいから。おれが、お前は、おれが、まもってやるから」樹々。ほほ笑むことをさえ思いつかずに、ひたすら沈んだ昏い目でただ、楠を見つめた。謂く、
あのとき、ふたりは
ふるえていたね?
剥き出しの苛酷が
さいなんでいたから
ええ。青春の失禁です。…はい、
あのとき、ふたりは
生きてていいって
もがいていたね?
たぶん、はじめて
誰かの苦痛が
教えてくれたね?
泣き騒いでいたから
ええ。思春期の脱糞です。…はい、
あのとき、ふたりは
雨。あの雨は
守られる喜びで
あぶないよ。ほら
うしなっていたね?
いま、どこに、空の
たぶん、全力で
踏みそう。わたしの
自由な呼吸も
どこに?この
満たしてくれたね?
近づけたつまさき
単純な微笑も
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