ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -233 //なに?夏の/花。なに?花。たとえば/朝顔はかたむいた//12
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
午後。着信。その9時すぎ。部屋の中。携帯に着信が、いちど。あった。気づかなかった。いちど。リダイヤルした。綾子。たぶん。沢井綾子。いまだ登録されていた番号。壬生高明。10コールまで待った。いきなり耳に空間が開け、そして座標を無視した至近にふと、息が
やばっ
音を、さ
ノイズにすぎない雑な
なんか、いま赤裸々に
粘膜その触感ごと
鮮明さで
きみを、
ぶっこまれた、的な
鳴っていた。
感じた
やばっ
まばたく。声。聞いた。…やばっ。と。綾子。その「出てくれた。」声。…やばっ、「よかった。電話、で」…狂ってる?と。「でて、」高明。「出でれく、」いっちゃってんの?「…て、」高明。思わず笑ってしまいそうになりながら、
終了ですか?
高明。そこに
終了ですか?
思わずふるえかけたくちびるを咬んだ。「切っちゃった。手首。きっ。…わかる?壬生くん、み。わかる?」あえて、というよりも、単なる自然さを以て、高明はなにも
ど、ど、カッ
唐突な同情と
答えなかった。
ど、ど、カッ
無根拠な共感
聞いた。耳が、
ど、ど、
気がつけば、ふと
そしてそのままに
カッ
取り残された孤立
任せ、「っちゃった。った、ね?」その、唐突に澄んだ声。前のない、しかし唐突さしかない、その、「切っちゃった」
「なに?」驚き。高明は、自分の喉がそこに言葉を差し込んだ事実に、「あ、」言った。高明が。あ、と。むしろ自分の声の
あ
ええ。わたしは
もっと、さ
ひびきを
あ
いっさい、夢を
見なよ。背後の
確認しようと?
あ
記憶したことがありませんから
あかるほうを
なぜ?惑いが、たしかに
あ
獏は存在するのでしょうね?
さ。もっと、
惑いになる前の曖昧を、自分勝手な綾子。その声が「手首」
「手首?」
悲しみよ。いま
え、…マジ?
「二度目」
花と散れ
え、…なに?
「莫迦?」笑った。そう思った。高明は。自分が。そして、
我々はいつでも
排斥しねぇか?
失敗
そこに、
ともに生きてきた
粛清しねぇか?
敗残
むこうに、
我々はいつでも
殲滅しね
残骸
どこに?綾子が。「切っちゃった。ん、だ。わたし、きっ。…わかる?きっ。ね?」その声が、さっきまでたしかに存在していた冴えた、澄んだ、明快な恍惚を破棄して、雑な、耳障りな、いわば普通にお茶飲まない?そんな声の性急に堕してしまったのを高明は
きっ。…き
音声とは
知った。かなしみが、
きっ。…き
雑音なのだ
なぜか
きっ。…き
音声とは
あざやかに芽生えた。特別さを綾子は、そして巻き添えにさえれたじぶんさえも喪失してしまったと、「…好きだって。わかる?好きだって、わかってる?高明が、す、わたし、好きだって。もう、全身で
めざましいほど
わたし、つぶっ
鳴り響け!
つぶやいているよ。つ、
おそろしいほど
さけんでいるよ。だから
響き渡れ!
泣いてたんだよ」…わかる?と、それらたしかに
失笑を。ふと
きみはわたしに
綾子が口にしたはずの
自虐を。ふと
ほほ笑みをくれた
言葉が、声帯を
憐憫を。ふと
わたしはきみに
須臾にもゆらさなかったことに綾子は猶も気付かない。心細かった。自分の真摯が、あまりにも冷淡に無視され、踏みにじられている現状に、憤慨。よりも、むしろ
誇るよ。きみを
クソとはひとつの
停滞した
恐怖。焦燥。よりも、むしろ
きみを好きでしかたない
生態系であって
大気に、やや
懐疑。または、絶望。と、いうよりも鮮明な不可解かつ自虐的
誇るよ。自分も
故に容赦ない脱糞は
沈滞した
歓喜。やっぱり、と。こうなるよね?そんな。あやうく、諦めに堕しそうなこころの弱さを綾子は必死に叱った。沈黙を、高明は聞いていた。つまりは、変質者じみた至近すぎた息のノイズ。放置。思った。高明は。やっぱり、おれは放置する。って、どうせ死なねぇんじゃん?タコ。綾子はいきなり切られた電話に、頭部のななめうえ右半分で
あげるよ
孤独は救済
気づいた。傷み。ななめした左半分で
きみに
爪がわれます
気づかなかった。接続。されてあることの、きわどい
いのちを
救済は孤独
あやうさ。部屋のなか、
あげるよ
われます爪が
窓越しに外を見ていた。綾子が。あるいはそこに移った自分の白濁の影像を見ていた。綾子が。または、単になにも見ていなかった。綾子は、ふと、われに返ったかに気づく。噓。思う、ついちゃった。噓。と。手首。そこを確認した。健常なゆびさきに。母親。肌色がかさつく指先が執拗に、かさぶたにすぎないそこに厳重にまいた包帯は血を流してはいなかった。あやぶんだ。どうなってしまうのだろうと、自分を
こわいよ。きみが
ときには
さ。…こうやって
恐怖の、赤裸々な対象として、
きみ、好きすぎる
じょうずに
さ。…ひとって
そこに綾子は
わたしがこわいよ
わらっていさせて
さ。…ぶっこわれてく、ん、
もてあました。また、かわいらしすぎたのも事実だった。自分が。たしかに。立ったまま、綾子は自分のそこをもて遊んでみた。思春期を自身に擬態して。謂く、
衝動。たとえば
その白濁に
唾を、いま
吐いてしまいたい
ゆれる。想い、その
衝動。たとえば
自虐的な感情も
その白濁に
感覚も、わずかにも
唾を、いま
すこしも、だって
吐いてしまいたい
ゆれる。想い、その想いの、ゆれ。その
衝動。たとえば
そういうの、さ
その白濁に
違くない?基本
制裁を、いま
病んでんじゃいから
くれてしまいたい
ゆれる。想い、その想いの、ゆれ。そのゆれ作用。その
衝動。たとえば
自爆しちゃいたい的な?
その白濁に
感覚も、わずかにも
嘲りを、いま
すこしも、だって
投げてしまいたい
ゆれる。想い、その想いの、ゆれ。そのゆれ作用。その物理学的根拠は?
衝動。しょ
むっかしから、さ
ほほ笑みは、いつも
かわいいんだ。意外に
しょ、しょ、しょう?
頭、いたい、さ
健康だから、わたしはすでに
右半分。やや
衝動。しょ
若干、さ。そういう、さ
健常な笑みを
かたむいた感じ
しょ、あっ。しょ?
あ、と。その別室。離れ。別室。車椅子。壬生秀則。午前9時。口蓋を、あ、と。誰もいない。ひらく。朋子さえも。まだ、だれも。口蓋を。あ、と。まだ、昼食はまだだから。微笑。秀則は
きょうも、あいかわらず
なにを?
眼の前に
ひさしぶりだね?
その、明晰な眼に
微笑を
おれが屠殺した
なにを?
見ていた。あわい
クソ野郎たち
その、あからさまな眼に
光がそれら微笑の向こう側から、しかも光をは完全にうしなって
ひかりをくれてやる!
ぐはっ
射した。そんな明確な視野がたしかにひらかれていた。大田ブッダ。そう呼ばれた男。ひだりのほうは。みぎは、山田二葉。そう呼ばれた、あるいは偽名かもしれなかった男。赦し難く思っていたはずだった。秀則のことを。自信があった。秀則には。発覚の可能性などなにもないと。事実、呪う、恨む、そんな感情を感じさせないあからさまな微笑に、翳りのない
ひかりをやる!
ぐはっ
死者たちその明晰な影像がまなざしに鮮明だった。あ、と。だから
あ、
口蓋は、
あ、
なにを?あ、と。なにも、ささやくべきだろうか。あ、と。彼等に。なにを彼等はささやくべきだろうか。なにを、と。謂く、
死者たち。それら
望んでいますか?
きわまりもない、この
あまりにもの、の。至近。の。至近に
見ているの?または
後悔。悔恨。それら
感情のゆらぎは
いっ。やめておくがいい
見られているの?
わたしの苦しみ
いつか地表をゆらすだろうか?…いつ?
他人のふりは
死者たち。それら
傲慢、だ。とめどもなく、すべて
口はクソを
きわまりもない、この
垂れ流すもの
感情のゆらぎは
耳はつま先を
いつか地表をゆらすだろうか?…い
嫉妬するもの
貪欲、だ。きわまりもなく、すべて
死者たち。それら
怯えていますか?怯え
きわまりもない、この
いい。消え失せなくて、い
見ていたの?または
慈愛。憐憫。それら
ゆらぎ。感情も、…は
いっ。やめておくがいい
見られているの?
あなたにささげられていた思いに
い、地表をゆらすだろうか?…い、
見つめるのだけは
死者たち。それら
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