ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -223 //なに?夏の/花。なに?花。たとえば/朝顔はかたむいた//02





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





ひさしぶりに顔をあわせた。山田椿と。7月。その

   喝采を!

28日。中学はもう

   激賞を!

夏休みに入った。その夏はまだ、なんらの夏らしさをもさらさない。梅雨が明けた気配はない。雨ばかり降る。飛び越えて秋が来たかに思わせ、雷が

   狂暴な男たち

      かけがえのない、この

鳴った日さえも

   優美。ほほ笑み

      日照。この須臾を

あった。山田椿は由比が浜で肌をさらしていた。海水浴。そしてすでに日に焼けていた。サロンに行ったのかと、海岸で彼を見たときに高明は思った。まるで自分が先に見つけたかのように、椿は高明たちに手を振った。今年はまばらな海水浴客たちのなかに、砂に寝そべったスキン・ヘッドの肉体は

   狂暴な男たち

      黴な、…か。華美なまでに

         希少であった、この

目立つ。

   優美。ほほ笑み

      鬱くし、…う。美しくあ

         日照。この須臾を

筋肉。ボディ・ビルのそれにはない俊敏と傷みの予兆。知っていた。椿が楠を知ってることは。知っていた。楠は。しかし、知らなかった。椿が琉偉を知ってる事を、高明は。だから、その瞬間。その唖然。その、気抜けした

   喝采を!

孤立。抜け駆けの

   世界よ

琉偉が、いきなり走って

   讃嘆を!

椿の前にこれみよがしな礼をした。体育会系のおじぎ。声掛け。快活な嬌声。どちらかの兄のつながりと、高明はそれとなく察した。「いいじゃん。お前の」云って椿は、右手を埋め尽くした自分のタトゥーを、高明たちに

   っす。す

      すよっ。よおっ。す

         っす。す

見せてやった。「夭子ねぇに、やってもらったんす」その

   っす。す

      すよっ。よおっ。す

         っす。す

琉偉がふんぞり返って、高明の背後で声を立てた。「これ?」椿。唐突に蠱惑的な微笑。高明の薔薇から「これって、」眼をあげた。「あいつの仕事なん?」

「知り合いなの?」高明。

   無声音

      ひびき

         微弱音

「八木さん?…あれでしょ、彼の、」と琉偉に顎をしゃくって、「ゴンゾウくんの、彼女さんでしょうが」

「お兄さん…」高明。…やばいよ、と。椿は、

   いつ?その

      ほほ笑めば

むしろ楠に、目線を

   眼のしたの

      ほら。花さえ

流し、「あいつ、

   浅い傷

      恥じらえば

カスだよ」笑った。琉偉はなんら口答えをしない。「ちがう」椿。「じゃなくて、八木さんだよ。八木さんのほう。あれが。あれ、お前のゴンゾウくんも、嫌がってるでしょ?八木さん」と、見つめられた琉偉は思わず素直な緊張に、そして

   ほら。鼻に

      喝采さるべき、そ

         わたしは可憐な

笑みに

   鼻水。ほら

      喝采さるべき、そ

         罌粟の花

媚びた。「ストーカーじゃん。たぶん相当ロリ入ってんじゃん?おばさん、やばいよ。お前ら、お前らも喰われるよ。しょせんロリ系ストーカーだからさ。やっぱ専門職、マジじゃん?」笑う。…いっちゃえよ、と。唐突に、高明に、その、砂浜を歩く無目的な須臾にささやいたので、「なに?」

   ささやき

      あ。いま。雲が

聞き直す。椿は、

   打ち明けるかの

      裂かれた。雲が

笑いながら

   ささやき

      引き裂かれ、ふと

舌打ちし、「チキン。やば。チキ、…チ、チキ」と。咬む。不用意に、椿は舌を咬んだ。それが自分で可笑しかった。…つぼった。ちいさく叫んで、叫びおわらずに吹き出し、椿はそこに「なに、」笑った。「なに言ってんの?椿さん、」

「いっちゃえ。お前、いっちゃえって。やばいんじゃね?おまえ。やりたい放題らしいじゃん。マーシーから聞いたよ。水葉。おばさん。あいつとも、しゃぶらせてんじゃん?お前。カス。舐めてやった?カス。れろれろ状態?まじカス。死ね。タコ。お前。逝け」ない。驚きは、いまさらに。ない。バレていない訳がなかったから。「いっちゃえ」と、さらにつぶやいたその

   ようこそ

瞬間に、やや

   ち・かすやろうたち

離れた砂のうえ、肌を

   ようこそ

灼くふたりのビキニが見えていたのに、ようやく高明は意味を察した。「おれが?」

「好きだろ?おまえ」

   おはよう

      ぶっといの?

「椿さんが、じぶんで」

「見境ねぇだろ?お前。すっげぇ」

   いかれち・・ども

      なんセンチ?

「じぶんで、さ」

「かーちゃんともずっぽしだろタコ笑うマジ死んで」と、

   おはよう

      やや先細り?

だれ?と。高明。彼は思った。罵詈雑言の思いつきとは違う、醒めた印象が声にあった。冷徹。冷酷、それらとも違う、ただ褪せた、そんな。盗撮?盗聴?いつ?なぜ?秋子?まさか。「知らねぇ」高明は、だれにも「知らねぇ」聞こえない声で「知るはずねぇ」つぶやいていた。「お前、」椿。その「憧憬?」返り見ざまの声に「ど、」と、楠はたじろぐ。「同型?」

   裂ける、のだ

      ひかりよ。叫べ

「ごめん、童貞?」

   空。雲が

      ひかりよ。わめけ

「相当日本語まちがえすぎてない?」声だけに笑って、高明は憤慨に眉間をさわがせていた。…いくの、どっち?立ち止まった椿が楠と、高明を交互に返り見た。「おれ、いきますよ。ナンパっすよね」その唐突な琉偉に、…いらねぇ。椿。「マジ、おめぇじゃ無理。死ね。ブス。カスだろお前じぶんの顔見ろ」琉偉。むしろ惡びれず笑う。捨て置き、「タコと」椿。「しかもケツでやってろ。おれ、あくまで戦績重視じゃん?お前、タコ好きじゃん?そういうこと」

   股ひらけよ

      夏であった

         たった!たっ

「楠、男しか興味ないすよ」

   ま・・やろうども

      華麗なる裂けめは

         鳥肌だっ。サメ肌だっ

「売国奴倒すたび興奮的な接吻くらえ。ごめん、てかおめぇのケツ日本の誇り守る将軍的症状さらしてんの?クソ」

   好き?…ケツ

      夏であった

         った。たっ!

「意味わかんねぇ」楠が、むしろ顔になにか飽和を見せて、女のうつぶせふたりのほうに、歩いて行った。高明もそのすぐ後ろに従った。後じさりに椿は、盛んに煽った声を立てつづけ、そして邪気もなく、ただほがらかに笑った。女。その時の女が山田樹々だった。…ジュジュ。自分たちに影を落としたふたりに、樹々はすぐさまに、顔を上げてやった。やがて交互に、え?と。謂く、

   ささやきあうのだった

   わたしたちは。すでに

   親友だったから

   あやうい至近に


   うわさしあうのだった

      お前、名前は?

    夏。その夏は、

     地元民?ってか

   どっちが、どっち?

      ジュジュ。ジュー

    いくらさら。肌をさらしていて、さえ、も

     黒くない?マジ黒くな

   どっちを、どっちが?

      ジュ。ジュジュー

    眠るのだ。タンニンは

     な。黒すぎてない?な

   眼に、たくらみの


   ジュジュー、と

    た。…ね?こころが、や

   ささやき、ふと

    わらか。に、や。すこしだ、

   ジュージュ、と

    け。はげしくふるえ

   つぶやき、樹々と


   ほほ笑みあうのだった

      お前、名前は?

    夏。その夏は、

     莫迦にしてんの?なんか

   どっちが、どっち?

      ジュジュー。ジュ

    いくらなが。涙を流してみても

     さ。…やばっ。ま。マジなんですけ

   どっちを、どっちが?

      ジュー。ジュジュ

    な。乾きはしな、な

     ど。噓でしょ?嘘?ひどくね?

   気配に、冒険の


   ささやきあうのだった

   わたしたちは。すでに

   親友だったから

   あやうい至近に







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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