ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -217 //紫陽花。…の、だから/そのむら。ら、さきの/花はふみにじられるべきだと、そう//11
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
機材を使いこなすのは困難だった。やることの仕組みは簡単なはずなのに、なぜこうも複雑なのか高明はいぶかった。深夜に、ふとヘッドフォンを外した。醒めたままうたたねしかけた目が、
ど、ど、カッ
少年たちは夜
覚めた。喉に
ど、ど、カッ
目覚めているべきものだから
唐突な渇きを知った。どこまでも鈍く、不快感に近い感覚だった。水を飲みにキッチンへ行った。部屋を出たときにはリビングに、誰れかがいることには気づいていた。話し声が聞こえた。足音を、そして
ど。タッ、ど。タッ、
だから、それは
息を潜めた。やわらかな、
ど。タッ、ど。タッ、
きみだから
ひくい興奮があった。声は秋子だった。ひとりぶんしか聞こえなかった。電話では、あきらかになかった。そのまま戸を開けると、思わず高明は頬に、無言の笑みを知った。秋子がふと、ソファ、顔を上げた。表情もなく、だからいきなりひらいた扉のふいうちに、唖然としたひとの知性の喪失を、眼鏡越しに。ややあって、高明は
どん。タッ、…ど、タッ、
老いぼれたちは夜
笑った。二時過ぎ。だから、
どん。タッ、…ど、タッ、
仮死をもとめるものだから
ごく微弱音で。…なに、と、「なにしてるの?」
「わたし?」…だれ?ほかに、と、だれ?声にはださない。デジャブ。あからさまな。高明は、その既視感そのものに笑っていた。「また、それ」
しずかに
あざやかな焔が
画期的だ
「違うの」
「童話?じゃないの?」
ゆっくりと
単色のぼくらを
未曽有だ
「アイ、ティー」と。そこに秋子はもったいつけて云った。「知ってる?」
「なに?」
じわじわと
いま、包囲して
絶望的だ
「インタラクティブ、…」ああ、と、高明は笑って、「そんなの興味あるんだ。わかんの?」
「あたりまえじゃん、」秋子は、「ぜんっぜんわかんない」そして声を立ててひとり笑った。キッチンで水を飲み、そしてデジャブを殊更になつかしみしかも尊重さえしながら、たわむれに同じように
目舞いとともに
だれ?
廊下に出た。つぎに
われわれは生き
四本、二本
するべきは、高子の
目舞いようのない
三本、だれ?
部屋を伺うこと以外にはなかった。もはや、高明はそれを意識さえしなかった。当然として、ただ自然に足が向くままにまかせた。ふと、思った。ITの新書を、なぜ秋子は声を立てて読んでいたのだろう?むしろ秋子の病理をそこにこそ見せつけられた気がした。あるいは、幻聴を?思った。病理はむしろ
目舞いようのない
のいずィー、な
毛虫のように
自分の側にだけ
覚醒の傷みに
ぐぃターの
蚯蚓のように
存在したかもしれない。…どっち?
われわれは生まれ
めろ。でィーを
ウジ虫のように
思わず、高明はそのまなざしの、見下ろされた高子のこちら向きの寝たふりに問いかけそうになった。あきらかだと思った。高明。彼に、高子。その寝たふりは。もちろん暗がりにすぎない。ひらいた背後のドア自体、なんの
見えないんだ
ひかりのほうに
光源を
なにも、見え
歩めばいいのさ
もたらすでもない。廊下よりむしろ部屋の方があかるい。加湿器のデジタル画面が、それでもあるかないかの光をなげた。見えない高子に、ふと高明はくちびるを近づけた。ベッドにふれないように上体をだけまげ、壁に手をつき、と、壊す、と。及び
あげる
いいよ。きみひとり
立て。立ち上がれ
与える、と。ふたつの
ぶっこわす。だから
しあわせでいて、ね
直立。かつ
方向が、おなじまなざしに鮮明に兆した。…なにを?
あげる
おれは逝く
やや斜め。傾斜
高明は知っていた。すくなくともそのまなざしには、高子が自分に焦がれていることは見て取れた。ありえない、恥辱。あるいは、他の女よりも一層執拗で、より押しつけがましく、かつ、一層自虐的でその諦めさえもがもはやただ複雑な陰影を以て祈りにも似せた。ごまかしじみて。ほんとうは、と、
あげる
いいよ。きみは、もう
立て。立ち上がれ
シンプルなんだ。高明は
ぶっこわす。だから
ただ繊細に笑ってさえいれば
垂直。かつ
思う。あなたは、おれが
あげる
おれは逝く
あやうい倒壊
欲しい。それだけ。おれが欲しくてしかたない。…ちがう?ふいに生じた企みが、一瞬高明を
ちがう?ちがっ
ぼくらは、みんなで
嫌悪させ、また、
ちがっちがう?
楽園をめざす
高揚させた。…いいんじゃない?高明はその笑いそうになった頬を押し留め、あなたが、と。複雑さを以て、と。胡麻化してしまったものを、と。ぼくがいま、と。明らかにしてあげても、さ。と、いいんじゃない?すでに、と、高明のくちびるは高子のそれをさぐりあてていた。謂く、
きみの楽園は
苦痛に満ちて
もう、容赦さえ
きみの楽園は
波紋の震動ないし彎曲その表面をさえ浮かぶボウフラのように、
なくて。もう
やわらかい、ん
ふるえたよ。その
おそろしいくらい、だ。
救いさえ、な
だっ。もう、なんか
瞼が。たぶん
だっ。やばっ。なんか
なくて。もう
不吉だったくらい、に
寝たふりのまま
あたたかな、な。なん
赦されるすべさえな
ボウフラのように。浮かぶ表面をその彎曲。ないし震動の波紋。
きみの楽園は
きみに、そこに
きみのためだけに
きみの楽園は
耳を澄ましている、と。高子が。そう思った。なぜ?高明は。なぜ?想い、ふと高明がまだたきかける。謂く、
見て。わたしは
破壊するもの
いつくしむもの
ささげるもの
だって、あなたが
求めていたから
すがっていたから
望んでいたから
歎き、歎き、歎き、歎き、歎き、歎き、な、なやめば?
だって、あなたが
発情。そして
眼に。追いかけられてい
いいんだ。いまは
求めていたから
拘束。容赦ない
た。いつも、すこしだけ離れて、いつも
見えない。なにも
すがっていたから
暴力的な、…やや。きみは
た、そこ。その
見えもしないから
望んでいたから
見て。わたしは
意志さえないもの
欲望さえなく
ささげられたもの
あなたに。あなたが
誘い込んだまま
願っていたまま
切望したまま
傷み、傷み、傷み、傷み、傷み、傷み、い、いじければ?
あなたに。あなたが
呵責。そして
るに。追いつめられてい
いいんだ。いまは
誘い込んだまま
懊悩。救いのな、い。い。ない、
た。いつも、ほんのす。ほんのす。す。離れ
見えない。なにも
願っていたまま。その
性急な、…やや。きみは
た、そこ。そのくちび
見えもしな
切望したまま
見て。わたしは
穢れないもの
無垢でしかなく
ふれられないもの
だって、あなたが
あなたがひとりが
穢れるだけだから
傷むだけだから
体毛を、わたしの。咬むがいい。…と。咬もうとするがいい、…と。咬む努力をす、…え?やや陰惨なそのあま咬みで。
だって、あなたが
まばたく。そして
喉に、追い込まれてい
いいんだ。…だ。いまは
あなたがひとりが
なに?ふるえる睫毛に、は
た。いつもすこ。こ。すこ。離れ
見えな。な。い。な。なにも
穢れるだけだか
え?気づきもしないで
た、そこ。息遣う
見えもしな。な
傷むだけだから
望むまま、ほら
苦しみをあげよう
悲しみ、絶望、または
怒りさえあげよう
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