ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -212 //紫陽花。…の、だから/そのむら。ら、さきの/花はふみにじられるべきだと、そう//06





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





前日に終わった。卒業式は。すでに目に飽きはじめていた桜がそれでも散って、それでも高子に、秋子にも、またはその他参列の無数のひとびとの目にもそれぞれに桜。印象を桜。のこしていたにちがいないことは、桜。高明には、桜。あきらかだった。踏んだ。

   追憶のように

桜を。

   現在に、すでに

踏まずには歩けなかったから。その鶴岡八幡宮。若宮大路を南下し、海岸橋の交差点を右に

   わたしは。そして

      俊敏。ふと

折れた。直進し、

   飛び立つのです

      鼠。自販機に

左に。海浜公園を眼の前にした赤褐色のマンションの3階が雅秀のいまの拠点だった。外づけの螺旋階段を高明はあがった。あがるほどに由比が浜が見えはじめ、部屋からも。水葉。部屋。彼女の南向きの、部屋。角部屋からも同じく海が

   反射光だよ

見える。より一層、

   綺羅めきあって

邪魔されない

   反射光だよ

海が。見慣れていた。それでも海は海だった。高明は呼び出しベルを

   それは、いのちの

      匂うん、だ

鳴らした。その日、

   臭気?それとも

      潮が

雅秀が不在だということは

   亡骸?なにかの

      匂うん、だ

知っていた。部屋で、高明を待っているはずの如月水葉、と。すくなくとも自分ではそう名乗った25歳の、と。すくなくとも自分ではそう告げた女だけがそこにいることも。水葉の

   耳をすまし

声が奧から

   とぎすまし

聞こえた。ドアは

   ししし耳を

開かない。部屋は広くない。そこでなにをしているのかは知れない。もはや、高明は焦れない。水葉はたっぷり時間をかけて、ようやく媚びの熟れきったうわめ。胸元を

   あら?

      すまし、耳を

Tシャツに

   いたの?

      とぎすまし

ほのめかしながら

   クソやろう

      耳を、しし

ドアを開けてやった。謂く、

   見ていた。なにを?

   海を。波を

   では、なく、て、

   なにか。…なに?なにを?


   見ていた。しかも

      わたしの前世は

    泣き叫びたい

     い。悲惨だろうね

   理由。意味も、必然も

      昏いよ。すっげぇ、きっと

    上手に、もっと

     きっと、…ね?やばいよ

   なにもないとは

      はめ、…破滅的だよ

    わめき散らしたい

     わたしに、来世は

   知りながら


   見ていた。なにを?

   海に。波に

   それらではない

   なにか。…なに?それを

トーア由比が浜。その3階の部屋は基本、あくまでも水葉を雅秀が囲うために購入した。ほとんどの時間を雅秀は東京で過ごした。そして部屋づけの監視カメラは作動し続けた。赤いランプ。水葉は最初から高明に、そこにカメラがあることをは告げていた。なかば、

   から、さ。わたし、さ

      うざい?ってか

嘲るように。または、

   せいいっぱい、さ

      めんどくさい?

雅秀をもて遊ぼうと、その

   あいされてん、さ

      やばい?ってか

たくらみを隠さず、水葉。誘ったのはあくまでも水葉の方だった。雅秀から呼び出されて、一月の終わりごろ、近くの飲み屋で雅秀とその舎弟に付き合ったときに、初対面。主人の肩越し、水葉。嘲笑する瞳孔。高明が

   ね?きみは

      指です。これが

         したい?

見て見慣れすぎた焦がれる女たち。その

   発情を?

      さしのべるため。きみの

         夢のなかも

羞恥の一種。…を、

   胸。顔をおしつけ

      指が。これは

         夢見るような

さらし、水葉。嘲笑する

   窒息を?

      指です。これが

         したい?

瞳孔。高明。彼が、あやうく思った。至近。水葉。好意。その興味。これ見よがしが、関心。かりに雅秀が信じがたいほどの鈍だったとして、気づかないはずがなかったから。見とがめられはしなかった。すくなくとも、顔。顕かには。ことあるごとに雅秀は水葉の世話をさせた。水葉がむしろ

   も。なぜ?あなたは

      ふりを。けなげに

求めたのかも知れなかった。高明の

   ここで。なぜ?どこで

      強く、侮辱的で

知るところでは

   も。なぜ?いつでも

      傲慢な、ふりを

なかった。知ったことでも。卒業式の金曜日にさえ、夜、ふたりパーティしようと云った。水葉は。秋子が

   せせら笑うかに

赦すはずも

   吐息を。ふと

なかった。高明に

   なまあたたかに

かたくなに秘密にしながら見え見えに、秋子が卒業パーティの飾り付けなりプレゼントなりを準備していることは

   家屋。…の、翳り

      目が!目!

見てとれたから。事実、

   態度。…の、翳り

      見た!見!

中学の制服のもったいぶった授与から始まって、カバン、儀式じみてランドセルを油紙につつんでしまい、そして高子が運ぶ食事、チーズ・ブリュレ。マンゴー・プリン。…ね?「なに?」

   おれの魂よ

      やべぇくらいに、さ

         醗酵ですか?

プレゼント、なにが

   獰猛であれ

      ややいたいんだけど

         肛門わきあたり

いい?「ぼくに?」あえて、買わなかったの。明日、「ね?」一緒に「ね?」買いに行こう。「なんで?」なにがほしい?その興奮のある

   いま、ぼくは

      すてきなあなたは

秋子の双渺を、むしろ

   笑えばいいかな?

      すてきな未来に

拒絶されているかの孤立に高明は、

   あるいは唐突な

      すてきなつま先を

そして、あざやかに

   憤慨を?…莫迦

      すてきな朝に

やがて笑んだ。「明後日、のほうが、いいかな?おれは」水葉。LDKに歩くまま、先導されるともなく高明は従った。返り見ると、水葉は唐突に須臾、いたぶるに似た顔をさらし、

   いま、ぼくたちは

      波の音

         はははは

いきなり

   残酷なまでに

      どこ?

         あはっは

笑いはじめていた。喉が、「なに?」そう云いかけるすきもなく卒業おめでと。云って、水葉はひとり笑い崩れてしまった。謂く、

   いま、わたしたちはいま

   残酷なまでに

   満ち足りていた

   だから、耳元で


   いま、わたしたちはいま

   残酷な名前で

   呼びあってみようか

   だから、舌先で

叫ぶがいいのだ。叫び、かつさ、叫びちら、ら。

   いま、わたしたちは

      まばたきさえ。…その

    気づかない?ね、

     なって、四つん這いに。なっ

   残酷なまでに

      ふりそそぐ、夢。夢に

    きょうのきみ。きみは

     あなたにケツを

   満ち足り

      水仙のように

    くさい。くっ、若干

     つきだしてあげたい

   耳もとに


   いま、わたしたちは

      くちびるが。…その

    気づかない?…ね

     して、あおむけに

   残酷な名前で

      愛。やさしく愛を

    きょうの、きみは

     ケツを。あなたの

   呼びあう?

      ささやいたなら

    うざい。若干

     ふさいでやりたい

   舌先で







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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