ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -209 //紫陽花。…の、だから/そのむら。ら、さきの/花はふみにじられるべきだと、そう//03
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
男は…あ、と。ふいに、思い直した顔をして「必要?おれ、自己紹介」高明に、やがて高子に目線を投げてやった。そしてやはり上質に笑んだ。「山田椿です。先々代がお世話になった、山田二葉の孫。関東担当、…と、いうことで。22。…いや、歳な。これ」悪びれずに云い、丁寧に頭を下げて見せた。そのスキン・ヘッドに
やべっ
踏みそうですよ
ひかりと、そして肌の
逃げろっ
影を。つまさきに
色彩が。文法上の間違いは、過失か故意か高明には察し得なかった。嘲弄?山田椿は、そこに高明をなぐさめるに似せてほほ笑み、「聞いてるよ」ささやく。「おまえのことは。…聞いた。マーシーから。苦労したんじゃん?
共感を?
なぜ、
泣きそうじゃん?
ちがう?
わたしは、ふと
なぜ、
やや。ほぼほぼ、かつ
虐められてる?
共鳴を?
なぜ、
やや。涙さえ、と
言って。
ふと、わたしは
なぜ、
おれは自身の感情を知り
いいよ。
共振を?
なぜ、
失笑しかけて
聞かせろよ」ついに「気にすんな」椿。「ダチじゃん?」吹き出して笑う。自分が笑いだした短い須臾の、その必然のなさに椿はと惑う。それが更に椿を笑わせた。「やくざ?」云った高明に、…じゃ、
見て
清潔なひかりが
見ろ
と、「ねぇよタコ」椿は
見て
ひたいに。きみに
見ろ
ソファに沈めた身をもたげかかり「お前の叔父貴といっしょにすんな。アホ」座りなおした。「用は、」その「なんですか?」早口がめずらしい高子を、雅秀だけが…なにを、返り見た。「イラついてんの…正月から」雅秀は「落ち着いて、…な?」たしなめ、ややあって「年に一度の
茶番だ!
ハレの日でしょうよ」
喜劇だ!
笑った。
滑稽だ!
こともなげに。高子はそっと前歯を咬んだ。雅秀謂く、一時広島に戻っていたが、また関東に進出すると。椿は関東連合あがりだった。第22代目祖師谷ブラック・エンペラーを名乗って、しばらくして、去年その総長を降りた。「いい買い物したんだよ。おれ」雅秀が「こいつ、宮島に観光来て、さ」ひとりさわいだ。「神社なんか参ってんだけどさ」
よ、よ、よ、重量級の
むしろ、わたしは
「あそこパワースポットじゃねぇの?」
キッスを、へい
不在にも似せ
「鹿のクソ、ふんでんの」
べいびー喰ら
見ていた。きみたちを
「話つくんなよ」真顔になって、雅秀は横眼に椿を見た。「見ればわかるじゃん。ひとめで。こいつ。素人じゃねぇじゃん。いかつすぎんじゃん。で、おれも、さ」憐れんだ。高明は。それら、言葉遣いのはしばしの無理に。馴れない標準語の意味を「で、」知った。「気になって、お前、組どこ?みたいな、…な?」…挨拶まわりだよ。ささやいた。雅秀は。
やさしい時を
麻布台は、
ください。ぼくに
あれ、
やさしい吐息を
敷居たかいから、さ。「お正月の挨拶」
「まーくん立派なジャップじゃん」
「うるせぇ」…だからせめて「懐柔策。クソ」笑う椿に、雅秀は故意により大きく笑って見せた。「な、わけがねぇだろ。こいつも、さ。あっちに、さ。捨てられた餓鬼だから。懐柔もなんもあったもんじゃねぇ」…気になってんだよ。やさしく、雅秀が。その「おれも、さ。ほら」いまだ立ったままの「高ちゃん、…お前」高子に。顎を「餓鬼かかえて、」しゃくった。「困ってんだろ?」
ケツに百合を
匂い立て。せめて
「仕送りは、」
「そんなもん」
ぶっ。ぶっ刺す
口臭のアロマ
「十分以上」
「いや、ぜんぜん」
大股びらきで
香り立て。せめ
「戴いてるので」ささやいた高子に、雅秀はその事実を初めて知ったことを…あ、隠さない。そう、と。いや、「後ろ盾、
あ、あ
ほしいんじゃないんか?
ああ、あっ
大変よ。所詮、
そう。そ
女ひとりは」
あ、あ
そして「ちがうで」雅秀は「女性差別じゃねぇけぇな、
糾弾するがいい
どこだどこだ
これ」伸ばした左手に
加害者どもよ
あの日のかがやき
椿の膝をそっとさすった。唐突にひとり、雅秀。失笑。一人語りの昔話に結局、雅秀は一時間ちかくいた。やがていきなり腕のオーデマ・ピゲを見ると椿を促した。退屈しきっていた椿は、促し終わらないうちにも立ち上がる。倦怠の気長な忍従と、帰り際の極端な気の短さが高明に印象を残した。雅秀がせかすままカレンダーに、携帯番号を高明はメモしてやった。二か月で一枚の壁掛けだった。すくなくとも、二月末までは、雅秀のそれは残るに違いなかった。玄関に靴を履きながら、
愛を、と
てな。ほら
椿は
きみは、
笑ってな。ほ
一応は見送りに立つ高子に顎を突き出して、「また、」云った。「連絡してやるよ。…安心しときな」その「女は見捨てねぇ」あまりにも鮮明な三白眼から「おれ意外に、さ」高子は「やさしいから。すっげぇ」俊敏に目を逸らす。「いい奴。おれ」椿。女をふと、値踏みする。謂く、
愛、と。ふと
そう呼ばれるべき
傷み。と、ふと
まばたきを、わたしは
かたむけるのだ。頸を、そっと。だから
笹の葉。それら
清冽さ。その
香りをまでも
覚まし、眼を
わたしは愛した
冷まし、皮下を
なぜ?いまだにも
かたむけるのだ。ななめに、頸を、ななめに、そっと。だからななめに
笹の葉。それら
口蓋に、そっと
思い出などもうそんななにも
後悔?…わたしは
香りを、までも
にじんでいった
なにも、おれにはなにも
けっして。むしろ
愛した。わたしは
冴えたにがみ
わずかにさえも
似ていた。決意にも
なぜ?いまだにも
愛、と。ふと
そう呼ばれるべき
傷み。と、ふと
まばたきを、わたしは
かたむけるのだ。死者たちが?頸を、そっと。だから
笹の葉。それら
強靭さ。その
ひびきまでをも、その
しなやかに、…な?
愛した。わたしは
気配の俊敏
なぜ?いまだにも
かたむけるのだ。死者た、たなめに、頸を、死者た、たなめに、そっと。だから死者た、たなめに
笹の葉。それら
根っこんとこで、さ
もしも死ぬなら
知らない。わたしは
ひびきまで。その
ほじくってやろっか?
笹の葉の群れ。それらの
悲しみなど。ふと
わたしは愛した
さびしんじゃん?タコ
濃い翳りのしたが
吸った。ひかりを
なぜ?いまだにも
連絡は携帯にあったものの、秋子が帰ってきたのは次の三日の日になってからだった。もっとも、不満を感じるべくもない。高子は秋子の貞淑と一途と、そして愚かしさをも知っていた。憎みぬかれてしかるべき秀則を、秋子がたしかにいまだ慕っていることはあきらかだった。たとえ語られはしなかったにしても。執着しているというのとは別の、赦すに似た安らかをただ秋子に感じた。それはあるいは女のしさわせのひとつとも
うぎっ…って、ね
かなしみは、ただ
しあわ、
思えた。その日は
爪。咬むの
きみのため、きみを
わせ。わ、し
朝から、殊更に
すすりあげるの
案じていること
しあわ、
冷えた。起きて窓越しに外を見れば、雪が降っていた。なら、このくらいには、と。高子。冷えるだろう。ひとり、笑んだ。鳴ったどの電話にも帰宅時間の正確は告げられなかった。雪の下を案じているのは明白だった。品川からも秋子はいちいち連絡をくれた。東京に出ない高子はもはや、そこから何時間ばかりかかるのか察知できない。高明はまた、朝から海に行くと言って出て行った。高子はそれを
翳りが、わたしの
そっと
疑いはしなかった。ふらっと
くびすじを撫ぜ
息。吹きかけるかに
庭に出て、そして
足元にゆれ
ふっと
永福寺のほうにまで行って見ようかと思った。海に、あえて背を向けることに高子は気づかない。ふむ。庭に雪を。息が、ふむ。しろい。門。出て左手を見たさきに、人影をふと、あやしく見た。やがて
だれかしら?
雪。思いっきり、いま
それが秋子と
かしらちかくに
雪。開口すれば
すでに、気づいていたことを高子は
気配をさせだれか、か
雪。侵入を?
知った。歩み出すことはもはやできない。目をほそめた。ふたりとひとり。秋の隣に歩くのは、たしかにひさしぶりの敦子だった。手を引かれて、ちいさな幼児がしっかりと道を歩いていた。あれが、と。そこに高子は思った。姉。一度も麻布台の屋敷に足を踏み入れることができなかった、自死したはずの姉。沖縄の。その、
破滅を。空が
落ちる!墜ち、
さむいでしょ?さ
息子、と。その
そこに。色めき
落ちる!墜ち、
あたたまりなさいな
名前をはまだ、
かがやき、猶も
落ちる!墜ち、
いそぎなさいな
知らないままだった。敦子はもう、
破滅を。きみが
落ちる!墜ち、
こごえるまえに、さ
気づいていた。高子に。だから、ようやく姉がほほ笑みをつくったその瞬間を目に確認してから、たくましく左手を振った。清雪の手をは放さない。決して。謂く、
雪は、あなたに
あなたのために
舞い、降り、わたしは
ひとり。そこに
ほら、ら。ら。ほら、ら、ら。
雪は、
と、尋ねなかった。ぼくは、と
あなたに
無理やり笑おうとしていますか?
舞い、降り
と、どうして彼女は、と
ひとり
失語していよう
気絶していよう
あなたは笑って
しあわせだろう
ほら、ほ。ほ。ら。ほら、ほ、ほ、ら。
失語していよう
と、尋ねなかった。ぼくは、と
気絶していよう
無理やり生きていようとしていますか?
あなたは笑って
と、どうして彼女は、と
しあわせだろう
雪は、あなたに
あなたのために
こぼし、笑み、わたしは
しあわせ?そこに
ほら、ら。ら。ほら、ら、ら。
雪は、
かがやかしくあればいい
肩越しに。その
笑っちゃうよ、ね?
あなたに
悲惨も、苛酷も
通過し、傷みが
雪の下に、雪がいま
笑みを
無縁ならいい
まばたいた須臾に
ほんとに、なんだか
しあわせ?
失語していよう
普通であって
ただ赤裸々な
ほほ笑ましいよ、ね?
気絶していよう
どんなときにも
無効をぼくらは
雪の下に、と。いま無理やり息を
笑って、あなたは
平凡でいつづけて
笑っ
吐く女たち、と
しあわせだろう
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