ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -207 //紫陽花。…の、だから/そのむら。ら、さきの/花はふみにじられるべきだと、そう//01
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
冬。空間に
さきばしり、咲き
裂かれたかに、咲き
花。その椿に
ささやきあうかに。死者たちは。とろけ、
吐く。唾を
冬。空間に
だれ?唾き、を
さきばしり、咲き
おもみにかたむき
花。その椿に
散り、椿ひとつ
ささやきあうかに。死者たちは。翳りあうままとろけ、
踏む。かかとに
病んでるの?…だれ?
冬。空間に
引き裂かれている、と
だれ?花を
だれ?病的だったろうか?やや
裂かれたかに、咲き
なに?仮定せよ。空間が
おもむろにそれに
病んでたの?…だれ?
花。その椿に
引き裂かれていた、と
体重を。笑み
2002年、大晦日。明けて
あざやかな
色彩。色たち
正月。どちらにも
やわらかな
色彩。色めき
壬生高子は高明を連れて麻布台に行くことはない。麻布台から誰か来るということも。雪の下の竹の翳り、例年通り大晦日には建長寺に参り、鶴岡八幡宮に初詣に行った。山崎秋子だけが麻布台に新年の挨拶に行った。ふつかの日だった。大親父、と。そう呼ばれた壬生秀則の顔を見に行く日帰りにすぎない。ひさしぶりの東京に喜ぶ。すでに正気をなくして久しいとはいえ、正妻たる茅乃の目を避ける。妹に気づかう。風雅から目を
犯罪者のように
逸らす。衰えを
窃盗者のように
年々鮮明にしていく秀則に
弑殺者のように
歎く。ふと、自分の無力を。かつ
犠牲者のように
憐れむ。秀則。彼自身の愚鈍をも。あくまでもひそかに、一個の明確な咎めだてとして。失敗した。秀則は。自分にゆるやかな死を与える環境をしかついに選択できなかったのだから。早朝。秋子は高子に声をかけた。高子は暇つぶしのセーターを編んでいた。そもそもその母親の趣味だった。もとを辿れば茅乃の趣味だった。高子は祖母に、不器用を殊更に歎かれながら編み物をする瑞穂を見て育った。事実、母の手つきは悲惨なほどだった。自分ならもっとうまくできる自信が、高子に瑞穂の手から毛糸玉を奪って見せる喜びを与えた。瑞穂は赦した。上京の準備といって、
数限りもない喜びに
微笑。頬さえ
秋子。いつもにまして
数限りもない苦悩にも
微動。引き攣け
化粧に念を入れた以外になにもない彼女は、リビング、ソファのかたわらに座ると、「大丈夫?ひとりで」答えない。高子は。その実、秋子に不安などさらさらないことも明らかだった。高子はただ、「…よ、」笑んでいた。「ね。なにが、」秋子。「いいかな」ささやき。「なに?…なにって」…え?「なに?」
「お土産」
繊細に、ただ
吐く。唾を
咲いた。椿は
「いらないでしょ…と、」
「そう?」
なつかしむかに
踏みにじる、よね?
ひかった。ぬれて
「思う。だって、」
「駄目よ」
見つあおうよ
吐く。唾を
朝に。散り
「…さ。もう、鎌倉の、ね?お土産ものなんて、」
「高子のよ」笑う秋子を、高子はふと返り見た。「わたし?」
「なにがいい?東京の、…お菓子っていっても、ろくなの…クリーム・ブリュレって、いま、どこがおいしいの?好きでしょ」
「ここでも食べられるんじゃない?」
「ここらへんの?」ことさらに「あんな安物…」高子を見、
なぜだろう?
逸らす。目を
気づく。秋子。もう
ひかりは、なぜ
ゆれた。まぶたが
何十度目にでも、
おだやかなのだろう?
目じり。傷みが
違和。高子。彼女と
ここでも
逸らす。目を
話すたびに感じる違和。もう
わたしたちに
吐かれた。息が
三十近い年齢になって、どこがどうという明確もなく、あきらかに高子はまるでまだ90年代の十代の少女のように、そんな気配のうちに話す。最初は憐憫交じりの軽蔑にすぎなかった。所詮は、この子は壬生の娘にすぎない。秋子は壬生たちに同情はない。やがて、
ください。侮辱を
剥いて。素っ裸に
しかも
憐憫だけが
ください。侮蔑を
くれた。全身殴打を
猶も
傷みをさえも伴って、その
ください。屈辱を
唾きししかも夢のような
やがて
違和の内も外も占領した。十五歳で妊娠し、隔離?軟禁?引きこもらされ、雪の下への移住、正確に言えば流され、そしてついに秋子以外にまともな話し相手もつくれなかった。高子が見た、見る、その風景を思った。そして、
ここで。きみにも
ほほ笑みに
自分がそれを
降る雪。雪は
絞殺
まったく共有できない幸福をも、
圧倒的な、…ほら
いつくしむかに
感じる自分をたしかに秋子は
きみにも。窒息を
屠殺
知っていた。「マンゴープリン、か。なんか、そういうの、流行ってなかった?買ってくる。原宿で。あそこ行ったら、なんか、あるでしょ」…まい泉、と。高子はつぶやいて、そしていきなりはにかんで笑った。「とんかつ?…あれ、」
冷酷な、だから
死んで。もう
こころをもって
「好きなの。あそこの、」その高子の声の「って、いつ、食べたのか、知らない。わたし」極端な慎重の「でも、好きって」儚げを思わず秋子は笑った。「脂っこいもの、好きだっけ?」
冷酷な、だから
ひとおもいに、きみは
こころのままに
「高明くん」ささやき、そして高子は目を逸らした。秋子は聞き、見、そして高子の耳の至近にひとり傷んだ。高明の素行は悪くなるばかりだった。悪い噂なら、散歩でもすればいくらでも「あの子、」聞けた。「原宿なんか、いつ、行ったのよ。誰と?」
やめて。わたしに
椿の花に
「知らないけど。もう、大人になってきたんじゃない?」
しないで。つめたく
唾きした奴
「電車ですぐ、だけど。でも」
やめて。わたしを
散った椿に
「おいしいって言ってた。だから、」いいよ、と。そして秋子はようやく、高子のために笑った。秋子は午前九時を待たずに、鎌倉駅に歩いて行った。謂く、
冷酷な、だから
ひかりが。ふと
周囲に、猶も
わたしにも
冷淡な、だから
大気が。ふと
四方に、猶も
あなたにも
ささやきあうかに。死者たちは。翳りあうままとろけ、とろけあいながら、…え?
冷酷な
ほんとうですよ
捨てちゃった、から
ゆびさきに
ひかり。が、
すべての毛髪が
もはや一切の執着。愛、とか?
肌荒れ。かすかな
冷淡な
乾燥していた
感じない、な。から
ほんとうですか?
大気。が、
なにを期待して?
猶も。ふと
舌のさきっぽで
懐疑を。猶も
ささやきあうかにひびきあい、死者たちはひびき、翳りあうままとろけ、ひびき、とろけあいながらにも、…え?
期待して?なにを、
胸いっぱいに
猶も。ふと
かかえられないくらいの嘲笑を
さきっぽで、舌の
ささげてあげ、…だれに?
懐疑を、猶も
冷静な、だから
血管が。ふと
皮下に、猶も
脈動を。その
癒せ。きみは。わたしに孤独を、
冷静な
きっとあしたは、…ね?
ひ。赦しのひ。ひと
晴れきっ、よ。空よ空よ空
血管。が、
降るから。雪がふ。降る、ふ
知ってる?わたしは
空。鳥翳を
冴え切っ
ひたすらに、今日は
ひ。忘却のひ。ひと
探したりするのだった…なぜ?
沸騰を、そこ
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