ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -203 //ふ。ふっ。ふみ/ふむ。む。踏ま、ふみ/踏み、かけてふと。…傷み?//07





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





10月。その朔日。雨だった。香月。濡れたグラウンド。散った。かげろう?水たまりに、蚊?まさか。柴田香月。なにが?受け持ったクラス。殿村英生という生徒をひっぱたいた。給食の時間。席は教員席の前だった。パンだった。前回の持ち物チェックで、机の中から大量に黴びたパンを掘り起こされた。横眼の微妙な翳りとして、その須臾、英生は不穏な気配を香月にきざした。立ち上がり、いきなり英生の名を呼ぶと、「出して」叫ぶ。香月。あくまでもささやき声の音量。香月。教室はまだ、英生。静まらなかった。「なに、なに。な、」怯え。「持ってるの?」英生。そして「いま、」羞恥。「…出して」言った。声。普通に、あえてことさらにやさしく、故に英生にことさらに冷酷すぎて聞こえた声。英生はうわ目に

   いいよ。わたしの

      やばいんだ

香月を

   微笑をあげる

      鼻水たれそう

見た。非行化の、と。その芽は、

   いいよ。わたしの

      とけたんだ

香月。すみやかにつぶさなければならない。思った。香月は。そう云ったのはだれだったか。倫理的優位。それはすべて香月にだけ。教室。すでに静まっていて、注視。まなざしが、香月を。演技?と。自分でいぶかったほどの唐突さで香月は、教員机を平手に叩いた。出しなさい!そう叫ぼうとした喉が、顎をひろげる寸前にそこ、のけぞるように背筋をのばし、英生だけが立ち上がった。あくまでも

   絶望的なまでに

      飛沫。ち、

         全身で!きみは

出さない。手首は、

   晴れた空を

      散る。ひ、

         苦痛であれ!…あ、

机から。それがまるで拘禁の徒刑囚だったかにも、印象。眼と眼。そのむれに。須臾、暴力を匂った。香月は。英生に、あるいは威嚇を。その、いどみかかる?英生。その、窮鼠猫を咬む…って?猫背に。俊敏だった。駆け寄って香月は英生の左手を引きずり出した。空手だった。気づかなかった。それに。香月は。英生。右手。机の外に出かかるすれすれ、パンを握りつぶした。知っていた。英生。自分が眉が何度目かにわななくのを、

   見ろよ!いま

      飛沫。ち、

         全細胞で!き

英生。恥ずかしかった。すべてに於て、

   晴れた空を

      散る。ひ、

         苦痛であ!あれ?

自分が。自分も。なにも。閃光。香月。英生の頬をひっぱたいたから。顎をつき出し、無理やり英生が返り見れば、香月。眼の前。忿怒の顔のまま泣きじゃくっていた。香月。無言。咎めた。女子が。先生、虐めてる、と。無言。英生は。省略はヲなのか。ガなのか。英生は泣いた。謂く、

   ざわめき。き、き

   聞きとれないほどの

   ざわめき。き、

   聞きとりたくない


   ざわめき。き、き

   ふさごう。耳を

   ざわめき、き、

   聞きとれないくらい

繊細に、だから死者たちを擬態し、擬態されたまま

   ざわ。…ん?き。き、

      耳を。何度も

    聞きとれないほどの

     感じさえ!感じ取りさ、感じさえ!

   ざわめき。き、

      くすぐるかのように

    な、い。聞きとりたくはな、

     傷み、とか?まして

   ざわ。…ん?き、

      飽きもせず、しかも

    い。聞きとれないくら、い。い、

     徒労感、とか?

   ざわめき、き、


   微弱、な。な

   あくまで、猶も

   微弱、な。な

   しかも、あくまでも

なに?なに?いま、なに?なに?いま、ささやいた、ふりを?しかも容赦ない饒舌さで

   微弱。ただ

      痙攣を?なぜ

    かたむきかけていたその

     ひかりが。やさしいひか

   あくまでも

      毛孔。それらをさかなでするかに

    顎は。頸すじは

     ゆらしたのだった!…カーテンを

   微弱。ただ

      痙攣を?なぜ

    ふるえかけ

     そこ。…で、そこ。…で、そ

   あくまでも


   ざわめき。き、き

   聞きとれないほどの

   ざわめき。き、

   聞きとりたくない


   ざわめ、ん?き、き

   ふさごう。耳を

   ざわめ、ん?き、き

   聞きとれないくら

精緻の極致に、だから死者たちを擬態し、擬態されたまま

   ざわ。…き、き

      かるく、ほら。そっと

    聞きとれないほどの

     でも。いたぶるかに、も

   ざわ。め、

      いわばすこだけ鬱っぽい

    い。な、聞きとりたくい。な、

     せめぎあい、せめ、せめぎあ、

   ざわ。…き、き

      発熱感?…だから、

    聞きとれないくらいの

     そんな、だからやや微妙にあやうい感じで

   ざわ。め、


   鮮明すぎた

    わたしは、だから

   おおう手を、甲を、

    失語したかに擬態したまま

   つらぬいて刺す、…と。そんな

    だから、わたしが

   鮮明すぎて


   微弱、な。な

   あくまで、猶も

   微弱、な。な

   しかも、あく

なに?なに?いま、なに?なに?いま、ささやいた、ふりを?しかも無駄じゃね?マジ、しかも無駄じゃね?マなに?なに?いま、な

   微弱。ただ

      痙攣を?なぜ

    見て。おだやかな

     翳りさえ、そっと

   あくまでも

      全毛孔それらことごとくのごくごく細部をもいじりたおすかにも、に、

    カーテンが。おだやかにほら

     れ。ひびきあうかに、ゆ。れ、

   微弱。ただ

      ごくつぶしども!ごくつ、…なぜ、

    見て。おだやかで

     って。あ。揺れあっ

   猶も。あくまでも

不安だった。教員室で、同僚に自分の不用意な体罰を報告し、そして相談しながら不安。英生はあんな子ではなかった、と、不安。考えれば考えるほどそう想え、劣化を?自分こそが、

   わたしでつか?

英生を?それとも

   わたちのせえでつか?

思春期のせい?やや早すぎるた、彼の。4月。あの英生の明快さを思った。慰めを。同僚は。知った。その声にさえ、香月。追い詰められていく、

   わだぢでづが?

      飛ぶがいい

と。事実、もう

   わだしのせいでございましょうか?

      かすめるかに

追い込まれていた。すべてはすでに傷ましかった。学校はすでに地獄で、あまりにも嬉しく

   見たい?

      滑走

         わたしは、完璧な

いとおしかった。つまりは、

   10歳で、わたしがかつて

      その背後

         微笑を。後頭部に

壬生高明。ただ

   見上げた空を

      すずめが

         さらすのであろう

彼のせいで。滅びてしまえば、と、いい。思った。いい。だれ?自分が。苦しめば、と、いい。思った。なぜ?いい。それ以外すべがないから。いい。香月。絶望の甘美。歓喜の凄惨。ともに、喉の粘膜に感じ、香月。執拗に感じ、香月。謂く、

   ざわめき。 …きっ

   聞きとれないほどの

   ざわ。…き、き

   聞きとりたくない


   ざわめき。 …きっ

   ふさごう。耳を

   ざわ。…き、き

   聞きとれないくらい

わたしはもう、なにも微音さえたたないいわばひとつの超絶技巧としての仮死状態をつらぬいてむしろ、だから死者たちを擬態し、擬態されたまま

   ざわ。わ、

      もう、なにも。もう

    聞きとれないほどの

     シカトされただろう?しかも

   ざわ。わ、

      わたしはただ

    ない。な、聞きとりたくはな、

     ただ。わたしは

   ざわ。わ、

      シカトしただろう?しかも

    聞きとれな…え?い。くらい

     もう、存在も。権利も。もう、

   ざわ。わ、


   鮮明すぎた

    見えますか?あなたは

   おおう手を、甲を

    わたしが、まだ。…もう

   つらぬいて刺す、そんな

    見えません。あなたが

   鮮明すぎて


   微弱、な。な

   あくまで、猶も

   微弱、な。な

   しかも、あくまでも

息が、喉。喉に、ひっかか、かか。か。ひっかか、かか。か。ひっ

   微弱。た

      わたしは自分の

    嘘。いくつの真摯な、嘘。嘘を

     赦せたのだろう?

   あくまでも

      事実を。まごころの、

    真摯。ひたすらに

     ぴゅ。ありのまま、ぴゅ。あぴゅっ。ピュアに

   微弱。ただ

      愛せたのだろう?

    かさねてゆけば

     わたしは。わたしを

   猶もあく

息を、吐く。ふと、その雨。息を、

   い。恋をしても?

   いい?かな。な、いい?

   い。泣いちゃっても?

   いい?かな。な、いい?

きみの足元の水たまりを故意にことさらにびちゃっ、と。…さ。ぶ。ぶしゃっ、と。…さ。ど。どぢゃっ、と。…さ。わかる?

   ね?恋をして

      笑って、よ

    一秒でも、きみに

     吐瀉。躊躇なき嘔吐を。

   いいかな?いい?

      だって、かすかににじみはじめたその

    見つめられたら

     容赦なく、ね?

   泣いちゃって

      失禁。無謀、…だ

    思わず泣き叫ぶ。こころが、

     折檻し、…としゃっ

   いいかな?いい?

7日。月曜日。降雨。4限目、体育の授業は体育館に移動した。やることは決まっていた。近く開催される運動会。その演習。演目。フォーク・ダンス。その練習。高明。殊更に女たちが体臭を掻きたてているように思った。それぞれのまなざし。それらの過敏な陰湿さのせいで。女たち。そこらに自虐し、過剰に媚び、そしてそれらすべて意図もなく拒絶をだけ見せていた。なにより求め、焦がれる高明に彼だけへの、

   ありのままの

      澱む。…ほら

         うっとうしいぜ

拒絶。璃々。クラスが

   見て。わたしを

      きみの眉毛に

         強烈だったぜ

違った。だから

   生まれたままの

      溜まって、汗が

         ややうとま

そのまなざしをは見なかった。どんな?練習がいま、指。ふれあえば。終わって、高明たちはふたたび整列させられた。体育座りをした。岡田浩平が力説した。心構えについて。もう精神論の時期。来週の今日がその日だったから。ひととおり諭し、煽り、笑わせ、もうすぐ

   指。ふれあえば

昼休みのチャイムを

   心。ふるえて

聞こうとする頃、冗談で浩平は誰と踊りたいか聞いて回った。文句を言わなかった。だれも。すくなくとも表情を翳らせもしなかった。誰でもいいです、と。それが答えの大半を「それじゃ、」占めた。「おもしろくないだろ」失笑。浩平。親しみやすい

   フローリングに

      あれ?いま

生徒目線の

   新鮮なワックス

      髪の毛の匂いが

大人の

   新鮮な白濁

      吹き溜まりかけた

振る舞い。自分。いままに具現化している、親しみやすい生徒目線の、浩平。そこにひとり高揚し、しかも落ち着いているまま、もういちど笑った。快活に、…林。と。微笑。「お前、どの女子が」その「いいの?」はきはきした声。林勇樹は敏感な少年だった。立ち上がっていかにもな明朗に、若干の照れくささを自然、しのばせて、ぼく、と、「壬生くんがいいです」言って、笑わせた。だれもが笑うべき時を知っていた。高明のななめ前、吉田悠貴愛。その身じろぎもない背中の孤立が目についた。ただ、うしろにすわった崎村美久に。眼の前。まっすぐに

   いいんだ

      でも、さ。耐えら

立つ浩平の

   生きていて

      歯がうずくんです

下半身を、かくす位置に

   こんなやつさえ

      いたたまれず、耐えら

悠貴愛はいたから。ひとしきり笑った。また煽った。上質におちゃらけた。浩平は、ふいにやさしいまなざしを悠貴愛に送った。悠貴愛に、あるいはつまさきのすれすれ、見下ろす男の微笑は不遜に見えた。浩平が「吉田は、さ」云った。「だれがいい?」ことさらに、慎重なあたたかさをその

   いいんだ

      気づいてお願い

         全身全霊

声に。高明。ふと、

   生きていて

      側頭ななめに

         垂直な

いきなりのけぞりかえった肩と頸を

   わたしだって

      蠅。旋回

         凝視

見た。ななめ前。悠貴愛。おかっぱの短髪がふいの、乱れた。返り見。となりの女子が、…田畑安奈。俊敏にその髪を肩は避けた。ん、と。高明が、え?と。われに返る間もなくみぶらん、

   モンブラン?

      錯乱ですか?

と。悠貴愛。そこに

   モンブラン?

      ペン?ケーキ?

はっきりと声をたてた。理解しなかった。すぐには、浩平さえその四音節。ひびきがなにを意味しているのか。高明。頸をかたむけ、高明。眉を寄せ、なにも、不快があったわけではなく。返り見て、悠貴愛。羞じ、かついじける顔全体、複雑の極みの

   見える?

      ふれそうな

         愛っての、が。さ

悠貴愛。ひだり隣り、

   わたし。ほほ笑んでいるよ

      あやういそこに

         おさなすぎて、さ

平沢亜佳梨。…って、

   聞こえる?

      ぼくの孤独が

         赤裸々すぎて、さ

と、吹き出して「ユッー…」

   わたし。せせら笑ってい

      落ちてい

         恋っての、が。さ

笑った。なに?爆笑。むしろ浩平は苦笑。理解したらしい亜佳梨ひとりに、素直に尋ねた。鮮明な困惑が、浩平の快活をその瞬間には吹き飛ばしていた。「ごめんな、」そう浩平は、ひそめて左隣りに耳打ちだけする亜佳梨を見捨て「お前、」悠貴愛に、ただ「なに?」問い詰めるように。「なに?お前、俺の質問は理解してるよな?」

   胡蝶蘭と

      錯乱ですか?

「みぶらん」

   モンブラン

      錯乱ですか?

「壬生くんだよ」勝村浩美が右の端で声を立てた。その唐突。笑った。すべて理解された。生徒たちにも。笑った。だから。渦。笑い声の。浩平はひとり憤慨し、だめだ、と。怒号。「笑っちゃだめだろ。それ、違うだろ。こころ。だろ?…こころなんだから」笑い声。そのつらなりは、次第に怒号を微弱に匂わせはじめながら、浩平。棘のある眼で咎め、

   手を叩こう

眼。その

   しあわせなら

目。むしろ浩平を被害者にさえ見せ、高明。笑っていた。もちろん。高明も。悠貴愛に、高明。最初から如何なる同情もなかった。あるいは不快も。すくなくとも女子たちのようには。いまだに悠貴愛は

   いいんだね?

      のだ。唐突に、しかし

高明を返り見たまま、その

   わたし、生きて

      確実に、そのとき

自虐。媚び。または

   いいんだね?

      歓喜をわたしは知っ

絶望じみたと惑い。まなざし。悠貴愛。喜び?あさい、あわい、だから高明さえも笑ってくれたことを喜ぶ、そんな、目。喜び?同時に、あさい、あわい、だから唐突に笑いものにされた、しかもそれが所詮日常にすぎない哄笑。常のままにと惑いを、と、そんな、

   いいじゃん。愛。だから

      ざわめき、が。たち、が

         一斉総失神した

目。なに?

   赤裸々なまでの愛。愛なん

      きみの髪をも

         細胞膜が一斉

なにか、関係を意図もなく遮断している、親しみやすく、ふれあいの可能性を持たない断絶の、そんな、

   愛。むしろ

      ふるわすままに

目。しかも、

   向こう見ずなまでの

      ざわめき。ふる

目。謂く、

   惜しみなく

   愛。愛を

   あなたに猶も

   そそぎながらも


   なに?愛と

   愛とは、なにを?

   あなたにいまも

   焦がれながらも

嘘など、いちどもつきはしなかった。だって

   あなたに猶も

      ええ。くすぐるように

    舐め、愛。それ。ほら

     肛門。開口に矢。ぶっ射し、ややっ

   そそぎながらも

      ええ。いたぶるように

    背骨を。わたしの

     ケツ肉につぶされた、それが

   いま。あなたにいまも

      ええ。からかうように

    舐め、愛。そ

     キューピット。の、屍

   焦がれながらも


   知らない。わたしも

   おなじく、あなたと

   あなたを愛したその

   事実を、など

言い訳さえ。言い逃れさえ、なにも、一度も、試みさえ、だって

   知らない。わたしも

    ひき肉ですか?まるで

   おなじく、あなたと

    ケツ肉を愚弄したかの

   あなたを愛した事実など

    肉汁ですか?新鮮かつ

   あなたを愛したわたしさえ


   燃えあがる

   愛。愛を

   あなたに猶も

   湧かしながらも

ごまかしさえ、一度も。だって

   あなたに猶も

      このまま、ぼくは

    舐め、愛。それ。が、さ。ほら

     垂れる、ケツに

   湧かしながらも

      ほほ笑んで、る、ね?

    背骨を。わたしの、…を

     あやうい体毛をつたうその

   いま、あなたにいま。いまも

      ずっと、ね?これから

    舐め、愛。それ。が、

     拭け。グリップを拭きと

   焦がれながらも









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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