ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -202 //ふ。ふっ。ふみ/ふむ。む。踏ま、ふみ/踏み、かけてふと。…傷み?//06





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





その日、秋子は帰って来た時、玄関の戸をひらいたままにした高明を咎めた。詫びのことばの一言もなくそこに、無邪気に笑ってごまかす高明を、秋子はふといじらしく想いさえし、その日、秋子は帰って来た時、玄関の

   振り向かないで

      背後には

戸をひらいたままにした高明を

   前を、きみは

      ぼくらに

咎めた。詫びの

   ただ、前を

      ぼくらだけの

ことばの一言もなくそこに、

   返り見ないで

      朝日が

無邪気に笑ってごまかす高明を、秋子は

   未来を、きみは

      ゆびさきで

ふと

   ただ、きみの

      撫ぜた。眉を

いじらしく想いさ

   い。び、…て。て

   見なかったと同じ

   明晰な強度に

   微光。び、…て


   自由を。と

   なに?だから

   逃走を、と

   なぜ?きみが

死者たちの、それら。その唐突な失語を。死者たちに、それら

   自由を。と

      振り返られないで

    誘惑を。すこし、でも

     しないしないしないって。ぼくは

   なに?だから

      未来が。きみに

    恥ずかしがりさえ

     しないしないしな、懺悔とか?…莫迦

   逃走を、と

      おびえたりしないで

    後悔を。すこし、でも

     しな、し。しないって。むしろ

   なぜ?きみが

飽和。高明に、眼球の底にだけ目舞いがある、と。そんな

   して。ぼくの

      唐突に、ほら

飽和。女たち。その

   眼の前で

      見て。…み、

媚び。飽和。または

   きみがひとり

      切れ目。あの

焦がれ。それら

   ぼくをいつくしむ

      雲に。雲は

飽和。故の

   して。ぼくの

      唐突に。ほら、

焦燥。または飽和。過剰な

   ななめまえでも

      見て。…み、

傲慢。被虐の、

   きみがひとり

      落ちたのだった

飽和。妄想じみた

   きみをいつくしむ

      筋は。ほら、ひか

糾弾。または

   して。ぼくの

      唐突に、いま

被虐の、飽和。妄想じみた

   完全な背後で

      見て。…み、

恍惚。まなざしに、

   きみがひとり

      ひかり。ひとす

飽和。高明に、眼球の底にだけ目舞いがある、と。そんな、わからない。いつからか。それが。高明。その飽和。そのはじまり。いつ?いつからか。女たち。それらの無数のまなざしに常に、高明は特別な存在だった。藤崎璃々という

   うつくしいから

名。少女。

   せつないくらいに

同級生だった。12歳の高明の目には少女はたしかに

   あれ?髪の毛が

      射せ。ひたすらに

         いたましく

女だった。だからその

   逆立ちました

      綺羅ら。ひねるかに

         笑っていてよ

女。高明を特別視し、相等性。多くの他の女たちとおなじくに。焦燥。璃々。まなざしに、絶望の存在さえ高明に感じさせ、9月。新学期。始まって一週間が過ぎようとしていた。土曜日。午後。曇り空。高明は鶴岡八幡。その下宮の前を、池のふちに通り過ぎようとしていた。なんの用も、なにも。橋。ない。見ればまばらな

   見ないで

      ざわめきの

人影。存在。…の、なか、

   お願い

      点在。ざわ

璃々を、…女。高明を存在。

   見すごして

      あさい、あわい

見止めた。高明におなじくひとり。璃々。さきに気づいていたに違いなかった。高明に。あやうく、彼の目がふれかけるまえ、自分のまざしだけが逸らしおおせた気配の赤裸々。なぜかやや傲慢に見え、せあわただしさ。気配の。うずきのある、…だれに?こころもとなさ。璃々。皮膚。そのわずかな周囲に散るに似て、気配。須臾、迷っていた。璃々は。あきらかに、璃々が。直進を?そのまま、それとも、あるいは猶もいま高明と、…直進を?すれ違うべき?立ち止まるべき?なんであるべき?どうであ、そして見せた背中。橋に、池でも、自分が見やりながら。立ち止まる?待つ。立ち止まりかけ、高明。背後。…に、待つ?通り過ぎるのを。璃々。待つ?高明。曖昧な璃々。その歩み。急激な鈍化。ふと、

   ざわめきさえも

高明は笑いそうになった。笑顔を

   聞こえないから

つくった。璃々ひとりのために。そのまなざしの

   綺羅めき

      え?…なに?

         発光

外に。恩寵だったに違いなかった。璃々にとって。見さえすれば、…見る?わざと気づかずすれ違いかけ、と、見る?振り返り見、…あ。と。呼び止めた。高明は、…あ。と。璃々。彼女を。瞬間、…あ。と。硬直した…あ。と。背中。璃々の、病気?もったいつけて筋肉系疾患?返り見はじめた首すじに、まだるっこしさ。ひかりは。…お前、と、莫迦?「なにやってんの?」早口に投げた言葉を璃々は目を細めて見やっていた。高明。言語を同じうしない外国人じみて彼には見え、「なに?」

   綺羅めき

      え?…なに?

「暇なの?お前」

   網膜に

      え?…どこ?

「暇じゃ、」笑った。「ない。…よ、」思わず、声を立てて高明は。いまさらに璃々は顔を上げ、璃々。そこに、どうして、と、「いま、」ささやき。「笑えるの?」不審。声。素直に、しかもあまりにも押しつけがましく聞こえた声を、璃々。母方の親戚が家族で鎌倉に来たのだと云った。璃々が八幡宮を案内した。由比が浜に送った。それから先、彼等がなにをするのか高明は聞かなかった。あるいは巧妙とは言えない嘘?捨て鉢なごまかし?匂う、と。璃々。その言葉。挙動。それらに、匂う、と。高明。下手くそ。璃々をそんなふうに、高明は

   失敗作だから

憐れんだ。取り立てて

   失敗作だから

かわいらしいわけでもない。とりたてて醜いわけでもない。璃々。女友達には嘘を、祐介。自分が好きなひとは…ね?矢田祐介だと、…ねね。嘘。…ね?心の実情は、…ね、その…ねね。告白を

   マジ?

      嘘?

         そおーな、

囃したてて見せた友達さえも

   嘘?

      マジ?

         そおなんだっ

知っていた。家は

   莫迦?

      マジ?

         そおーな、

いわゆる母子家庭。生活保護。ふたり姉妹だった。姉ひとり。母親はなんでも与えた。ふたりに可能な限りのふたりの求めるものそれらをは。なぜ?責務?ひとり親としての。必死に、

   生きろ!

あるいは、

   生きて息を吐き

矜持、と。

   生きろ!

知れた。「もう、」

   生きて息を吸

高明にさえも、「終わったんでしょ?」無理。問いかける高明。そのやや背後。従い、璃々。うつむくまま、「なにが?」

   綺羅めき

      え?…なに?

「親戚」

   波紋をなし

      え?…おれ?

「知らない。だからもう」高明とても「一緒。もう」行き場所に明確は「終わったのと、…」なにも「一緒」なかった。秋子。高子。ふたりの女たち。彼女たちの陰湿に想えた気づかいあいにふと、高明は辟易した。逃げた。だから。しかし、ない。趣味、高明。友達と土曜日、

   選択したのだ

ない。つるんで戯れる

   孤独を。きみは

悪趣味など。すでに高明はその美貌に、不穏な、暴力と衝動の匂いをも添えかけた。肉体上、単なる発育にも。そしてまざなし。他人たち。高明に気づかい、なにか過剰な、なにかひたすらなまなざし。まえぶれのない豹変。そのあやうさに、怯え?そして畏れ。眼。容赦なく、目。高明はそれらの代わる代わるに稀有を

   あかるいひかり

      遠くに、ね?

見せつけた。高明の

   ぼくたちは、その

      は?ノイズ

あたらしく身に

   綺羅めきにさえ

      にぶい、ね?

纏いはじめた、

   だましあい、また

      は?車の?

気配に、いわば

   ささやきあい、また

      とか?ややせつなくて

危機感。その故にもか璃々が高明を直視するのはことさらに稀れだった。沈黙がちな璃々。八幡宮で、話したい時以外に高明は放置した。やがて実朝桜が近づき始め、思った。ふと。高明。母親。彼女に来客があるに違いない、と。客。その種類のせいで、あるいは璃々は家の外に、璃々。ここにいるしかないのだろう、と、だから、璃々。「お母さん、」さ迷うに似て、「元気?」

「ママちゃん?」

   舌。…を、ふと

      轟音だよ

         赤裸々さ

「一回、入院したとか、さ。言ってなかった?っけ、って、いつだっけ?いつか、」

「あれ、」

   咬みそうなくらい

      いつでもぼくらは

         色が?ひかりが

「夏休み、の、さ」

「じゃ、な」

   笑った。きみが

      かくした放屁も

         赤裸々さ

「前?お前、休んでて、」…あれは、と。「でも」顎。いきなりひきあげ、璃々。そのまま、横向きに

   えぐっ

眼。かたわらに、

   えぐみばしりえぐっ

眼。至近、

   えぐっ

なにを?心のはいりはじめた虹彩。それがやがて高明をゆっくりと

   にじむのだ

      告げ口みたく

見た。ただし、「大丈夫だった」

   きみが

      ささやきじみて

横目に。「…あれは、」

「だったら、べつに」

「気になるの?」嫉妬。あきらかに「なんで、壬生くん、…って。さ。いま」自分でも「ママちゃんが」本気にはしていない、しかし「気になるの?」…好きなんでしょ?と。ひらめき。ただ、璃々にだけひらめいた

   せつなくて

      嘔吐しながら

         狂気だ

それ。無言。

   ただ泣きたくて

      走るがいいさ

         わたしは、しかも

ひらめき、あまりにも

   でもいとしくて

      うしろ向きでさ

         灼熱の

鮮明な、…に、と。いるのに、と。あんな、と、美人の、璃々。若いお母さんが、いるのに。一瞬だけ。すぐに目を逸らし、璃々。つぶやき声に、璃々。そう、そっと、称賛。璃々。憧憬。そして璃々。嫉妬。璃々。憎悪。璃々。まなざし。いま、それら、璃々。さまざまな感情に沸いてたぎっているのが高明には莫迦馬鹿しいほどあきらかだった。「お前って、」高明。…さ。ふいに…ね?立ち止まり、「ひょっとして、いま、さ」…え?「不幸?」璃々。あやうくぶつかりかけ、

   助けて。いま

      かがやきを

違う、と。じぶんは

   わたしはここで

      口蓋。ひろげ

いま高明に

   砂になりま

      飲み込みかけて

近づきすぎている、と、璃々。ちがう。肉体さえもが。見た。そのまばたき、茫然を、高明。須臾。やがてたちどまりざま見上げた顰めっつら。その璃々の顔に、高明。かすかな驚き。喉に。その存在。なに?焦燥。みたいな、なに?璃々に。女たち。彼女たちの

   ひっかり

ありふれた焦燥とは違う強固な焦燥が、

   身をよじったり

そこ。その眉にきざしていた気がした。だから。…なに?高明は思わずそう「それ、」ささやいた。「自分こそ」

   あまりにも多くの

      かたちが、さ

「ぼく?」

   ささやき声が

      ないから、さ

「不幸じゃないじゃん。あんな、やさしくて綺麗なお母さんで、家政婦さんいて、お金持ちで、」

   所詮聞き直しと

      こころって

         ひっかり

「一緒だよ。お前と」故意に吹き出し、故意に暴力的に璃々は…やめて。笑った。「一緒にしないで」

   ごまかしにだけ

      かたちが、さ

         捩ったり。身を

「お前でしょ。ぼくまで同類項にし」

   費やされたという

      ないから、さ

「違うから」

   事実を前に

      いとしさって

「莫迦。お前って、」

   荒唐無稽な猿さえも

      かたちが、さ

「全然、そういう」

「不幸なの?」息を吸い込み、そして吐きかけ、ふいに思いとどまってしかも数秒の沈黙のあと、璃々。いきなり鼻をすすって見せた。「違う、から。…ね?」ささやく。声。耳に、ひびきが表情を欠いた。とっくに花のない八重桜をは過ぎた。その木がそうとも気づかなかった。鳥居をくぐった。右に折れた。自然、横大路に向かうしかなった。沈黙がつづいた。耐えがたいのではなかった。無言が。ややかるい苛立ち。むしろ赤裸々なしずかさのむこう、感じられつづけた璃々のひとりだけの饒舌の気配が

   鳴り響け

      とどろきわたった

癇にさわった。ひびきのない、

   おれの歓喜よ

      うすばかげろうの

轟音じみた

   歓喜の失禁

      はばたきひとつも

息吹き。倦んだ。高明は。怒りさえあった。たしかに、喉に、膜を拡げたにも似。口をつくまま「家出しない?」高明はささやいた。巧妙さのない、…つぶやくように。微笑を、みごとにつぶやきのように。さらして。あくまで璃々をはつぶやくように。返り見ない。そのままに、思いつき。それは、唐突な。あくまで、ささやかれたあとで自分の口に、口走ったひびきの内容を知った。素直に、そしてようやく璃々は

   蟻たち

      くさっ。く

         すべてのいのちは

笑って見せた。すくなくとも、

   はびこり、ほら

      いまの風、…え?

         歓喜のなかに

高明の耳には

   足元に

      くさっ。く

         すべての須臾を

そう聞こえた。だから返り見た。ほんの数秒。そこ。璃々。ひたすらに、思い詰めた目の誠実を、璃々。見せつけ、「なんで?」

「したいでしょ。お前、」

   きみのためなら

      ね?…いま、ケツ

「無理だよ。壬生くんは」

「なんで?」

   荒れた海さえ

      かきむしってていい?

「離れられないよ。恵まれすぎてて、」…オッケー、と。そこ。ささやいた高明の唐突は璃々に、愚弄された感覚をだけ残した。と共に、そこ。高明。彼がいちども自分にだけは嘘をつかなかったという、そのまぎれもない事実をもささやかれた感覚をも。の、故に、そこ。息を

   いち、

止めていた。

   に、

璃々は…いいよ。ささやいた。しずかに、聞き取れないほどの

   ケツ。かきむしった指

      まばたきさえもが

微弱音。たしかに、

   鼻孔に、瀟洒にぶっ

      夢になる

高明。はっきりと、「明日って、」ん?「…さ」え?「晴れ?」…天気?璃々はそれには答えない。「雨っぽくない?昨日も、…だから、さ。むしろ、月曜日」…月曜日?璃々。沈黙。璃々。おなじ沈黙を高明にも、璃々。ただ、3秒「…の、朝。来れる?荷物、持って」

   共謀を

「どこ?」

   我々は

「付き合ってやるよ。お前に…したいん、でしょ?」

   共謀を

      行こうよ、ほら

「いつ?どこ?」

   我々は

      みずみずしいミライ

「源氏…平家池。あそこの橋の前あたりでいいじゃ」…ちがう。そうこころは、そして、…て。じゃなく、て、と、喉が、「どこ?」ささやく。そのとき、笑った。高明が。「だから、鳥居入って左の、」

「じゃない。どこ、行くの」

「どこ?」麻布台、と。一度だけ、写真で見せられたことがあ麻布台、と。一度だけ、

   え?これ

      ほほ笑んだ、ぜ

         ほう、ら。怯えた

写真で

   なに?

      ミライさえも、が

         赤裸々に。ほう、

見せられたことがある。秋子に。自分はいちどだけ前を通り過ぎた事がある。その時に、…写ルンです。それで撮ったものだと、そう云って、笑みを。邪気はない。唐突な秋子の笑みを。幸福に、高明は茫然と笑みを。その瞼を見つめた。まばたき、綺羅が散っ邪気はない。唐突な

   降り落ちて

      何と、名を

秋子の幸福に、高明は茫然と

   降り落ちていた

      これを、何と

その瞼を

   ずっと

      何と、呼ぶべ

見つめた。まばたき、

   降り落ちて

      何と、名を

綺羅が

   降り落

      いまさらこれを

散った。たぶん二年前。「東京、かな」

「いる?知り合い」あそこ、と。「…な?」参道の鳥居をくぐらず高明は池の方を「6時半とか、」指した。「そのくらいでいい?」ふたりだけ?確認しかけた自分の言葉を璃々は恥じ、目を逸らしてい、やさしい気持ちがひろがって、

   しあわせ?

      ええ。それなりです

         爆発的な!

ふと。眉。

   しあわせ?

      いいえ。それなりで

         鼻孔であった!

ひそめ、嫌悪?眉。謂く、

   ふっと、だから

   降った。すぐさま、に

   ふっと、頭

   落ち…なに?

って、ふと死者たちは哄笑したようだ、とまでも、そんな風評を。…え?

   ふっと、だから

    気づかないほどの、ただ

   降った。まっすぐに

    鮮明な、…な、程度。の

   落ちた。頭に

    気づきようもないほどの

   そんな、…なに?


   ふっ、しあわせが

   降った。すぐさま、に

   ふっと、頭

   落ち、…どこに?

うずまく悪評に思わずのけぞってしまいさえして、ふと見上げれば

   しあわせが

      な。日にも。あたたか、

    秘密にしておく

     に、すがるに似

   降った。まっすぐに

      い。日にも。雨。かなし

    わたしは、あなにも

     に、思うのだった。ただ

   落ちた。頭に

      いてつ、いてっ。日々に凍りつく日に、も

    わたしにさえも

     に、きみ。きみ、だけ

   そん、…どこに?


   ふっ、いまさら?

   降った。通過し

   ふっと、足もとに

   落ち、…なに?

って、ふと死者たちは吹き出したようだ、とまでも、そんな風評を。…え?

   いまさら?

    気づかないほどの、ただ

   降っ、通過し

    強烈な、…な。程度。その

   落ちた。足もとに

    気づきようもないほどの

   そん、…なに?


   ふっ、なに?

   なんですか?ねじり

   頸をねじりあげたかに

   そん、…どこに?

うずまく苦言に思わずののしってしまいさえして、ふとふんぞりかえれば

   なんですか?

      ね?いつか

    ふみじられたんだ

     なに?なにを、な、

   ねじった。まるで

      やさしい雨が降りそそぎ

    あなにも。わたしは

     思うのだろう。ただ

   頸をね。…り、あげたかに

      やわらかなあでやかな色彩に

    わたしにさえも

     なに?なにを、な、

   そん、…どこに?


   そこに、息吹き

   息吹きが、しあわせに

   無防備に、息吹き

   しあわせが、わたしに

歯をつかんで、そして、顎をきれいにふたつにべコッて引きちベコって歯をつかべコって

   そこに、息吹き

    えぐろう。眼を

   息吹きが、しあわせに

    そごう。鼻を

   しあわせが、息吹き

    つぶそう。耳を

   無防備な、わたしに

忘れたのではなかった。事実、日曜日にはたしかに思い出す須臾さえなかったにしても、月曜日の朝には覚えていた。その朝、学校が始まっても顔を出さない璃々に、情報収拾をはかる岡田浩平。その戸惑いに、高明。眉を上手にゆがめて見せながら、高明。かなしみ?璃々をそっと

   えぇ…っと

      ぶって

憐れんでやった。他人の死屍を

   なんですか?

      なぶって

見送るにも似

   い。び、…て。て

   見なかったと同じ

   明晰な強度に

   微光。び、…て


   ぶてよ。嘘

   やめて。クソ

   死ねよ。嘘

   やめて。むしろ

網膜に、いまも。にじみだすように、いまも。あるいは、ね。いまも、死者たちはいまさらに、いまも。見つめ、わたしをいまも

   ぶてよ。嘘

      壊さないでください

    不埒に。きみはいま

     まだ生まれさえもいないから

   やめて。クソ

      あなたのためには

    そこに。世界の中心に、しかも

     だれ?あなた

   死ねよ。嘘

      生きてなどいないのだから

    存在している、と?強烈なまでの強度で

     穢さないで。…お願い

   やめて。むしろ









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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