アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -114 //空。あの色を/沙羅。だからその/あなたも、まだ/まだ知らない//02





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





謂く、

   だれですか?

   この莫迦。莫迦は

   だれですか?

   だれのものですか?


   なにごとですか?

   このクソ。クソは

   なにものですか?

   クソでもしますか?

謂く、

   だれですか?

      笑うしかない

    ひとびとは

     沙羅は哄笑

   この莫迦。莫迦は

      だから哄笑

    見た。ただ

     だから哄笑

   なにごとですか?

      わたしは哄笑

    ひとびとは

     笑うしかなくて

   このクソ。クソはななめ前のだれかの喉に喚声がたった。嘲笑?いずれにせよ、わらいだけがある声。沙羅はそこに、ひとびとの無数のまざしを浴びながらそっと大通りを渡った。その足は接面の裏には灼熱を、しかも感じていたにちがいなかった。アスファルト。照らされ切っていた。容赦ない温度。なぜ?沙羅はかならずしも傷むともなく。悩むそぶりもなく。あるいは気づく気配さえなくて。邪気もない沙羅。その破廉恥。むしろ破廉恥なのは、わたしたちだった。周囲、とりかこんでいた。しかも距離をたもちつづけた。圧倒的多数のわたしたち。彼ら。沙羅のみすぼらしい家畜たち。残酷な

   咬みつく?

      それ、な、な、

まなざし。

   なに?なに?

      澄みきっていた

嘲笑。

   はじける?

      それ、な、な、

軽蔑。

   なに?なに?

      清冽であった

非難。

   下痢する?

      それ、な、な、

恐怖。

   なに?なに?

      清潔なのであった

戦慄。

   分裂する?

      それ、な、な、

不安。

   なに?なに?

      無慚にさえ想えた

欲情。

   繁殖する?

      それ、な、な、

罵倒。

   なに?なに?

      いたましいほどであった

忿怒。

   飛ぶ?

      それ、な、な、

糾弾。

   なに?なに?

      微々たるにごりさえも

懐疑。

   とも喰いする?

      一点の澱みさえもな

同情。それらすべてはただ自分勝手な錯誤に見えた。わたしには。見せた。沙羅は。だからわたしたちがそこに如何なるまなざしを向けようと、沙羅。ふさわしくないと。不当だと。あやまりだと。沙羅。もはやわたしたちをすべて、ひとからげに孤立させ、その、もっとも深刻な孤立をじぶんの肌に、爪に、いぶきに、髪の毛先にまでも。沙羅。ミー・ケーと名づけられた海岸。ここで、世界でもっともうつくしいと喧伝されていたそこ。クアン・ナムの海岸にも劣るそこ。その石段を降りた。だから砂浜へ。沙羅は。よりいっそう、その周囲に集める。ひとびとを。散らす。まなざしを。笑う。沙羅。わたしは、どう?沙羅。いま、あなたは世界の中心にいるよ、と。あくまでも不意に、この、ただ丸いだけの地表のうえで。謂く、

   しら砂に

   沙羅。しろい

   砂に、沙羅

   嘲笑が散った


   だれの?沙羅

   沙羅の、また

   あなたをあざけた

   わらうひとびとの

謂く、

   嘲笑。ほら

      だれだれだれ?

    茶番じみた

     壊れてますか?

   沙羅の、また

      莫迦。莫迦

    海のそばだから

     クソ。カス

   あなたをあざけた

      狂ってますか?

    空のしただから

     なになになに?

   わらうひとびとの


   沙羅、と

   沙羅。その

   褐色に名づけた

   沙羅。沙羅と

謂く、

   沙羅、と

      咬みつくよ

    爛れた肌

     ちぎれるように

   沙羅。その

      咬みっ

    凶暴に

     花がふり、ふれ

   褐色に名づけた

      かっ、か

    昏い美貌

     靄。とおいみなもに

   沙羅。沙羅と


   沙羅。その花

   花はしろ

   色はしろ

   沙羅。その花

謂く、

   沙羅。沙羅と

     靄。とおいみなもに

    昏い美貌

      かっ、か

   褐色に名づけた

     花がふり、ふれ

    凶暴に

      咬みっ

   沙羅。その

     つぶれるように

    爛れた肌

      咬みつくよ

   沙羅、と


   沙羅。沙羅と

   褐色に名づけた

   沙羅。その

   沙羅、と

謂く、

   双渺。挑発の

     なになになに?

    空のしただから

      狂ってますか?

   笑みに見つめた

     クソ。カス

    海のそばだから

      莫迦。莫迦

   沙羅を、また

     壊れてますか?

    茶番じみた

      だれだれだれ?

   沙羅も、だれも


   双渺。挑発の

   笑みに見つめた

   沙羅を、また

   あなたも、沙羅


   下品に笑った

   沙羅。しろい

   砂に、沙羅

   しら砂に









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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