アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -108 //ふれていたのだ/あなたの目覚めに/その唐突な/沙羅。だから//07





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





謂く、

   覚えてるかな?

   たぶん、あなたが

   忘れかけていた

   あのひとは、あの


   思い出すかな?

   ほとんど、あなたが

   思い出せない

   あのひとは、あの

謂く、

   覚えてるかな?

      やさしい声

    眼の前に

     へたな歌

   思い出すかな?

      声

    ほら

     音階

   あのひとが、いま

      かすれ声

    血が描く花

     あいまい

   舌。咬みちぎればランが手紙を見せてくれたことがあった。…だれ?と。わたしが目覚めの、まどろみのランの、だからそのゆるい懊悩の気配に気づいたころに、…かわいい?

   すてきだよ

      すてき

笑んだ。ふいに、唐突に正気づいていたラン。きれい?

   すてきだよ

      すてき

ささやき。その首だけ、ななめに、…だれ?

   すてきだよ

      すてき

視野にほほ笑み。この、うつくしい、少女は、ゆっくりと、…だれ?

   すてきだよ

      すてき

わたしのために、だれ?

   すてきだよ

      すてき

わたし。ささやいた。その日曜日の午前。愛し合ったあと。ひとりだけ落ちたランの勝手なあさい眠り。猶もじぶん勝手に目を開き、だから、…あなた?

   ささやきあった

      目舞いがするほど

あなたは、わたしのものですから。

   ことば。…と

      お天気でした

わたしのものは、わたしですから。

   ことば

      いいねっ

だから、ランは

   ささやきあった

      目舞いがするほど

笑んでいた。これは、と、わたしです。ことさらにランは笑みなおし、云った。やがて、手紙がある、と。たちがった。あざやかさぎする背筋。これ見よがしな腰の豊満。しかも、なんらの矜持もなく、そこ。ただ放置したわたしをだけとまどわせ、ラン。その知るはずもないわたしだけの懊悩。咬んだ。だから、わたしだけが。無邪気なランは、…見て。

   さっきまで

      ん?

なに?…これ。

   そこに

      なに?…それ

見て。

   吹っ飛びかけ

      ん?

むかしの、だから経年の匂いのある、…見て。

   さっきまで

      ん?

なに?…これ。

   そこに

      なに?…それ

見て。

   ぶち撒かれかけ

      ん?

国際郵便。手書きの、そして…見て。

   さっきまで

      ん?

なに?…これ。

   そこに

      なに?…それ

見て。

   ぶちのめされかけ

      ん?

英語の文章。Dear..と、だから、…見て。

   さっきまで

      ん?

なに?…これ。

   そこに

      なに?…それ

見て。

   ぶっ壊されかけ

      ん?

親愛なる、ランさま。ダディ、と。そのときに写真の日本人がそう呼ばれていたことを知った。ボランティアで来た。そのときには、ベトナム国内は動乱のない一時期を迎えていた。だから来たのだろうか。云った。ランは、ダディは日本の歌を教えてくれた、と。なに?

   さっきから

      ん?

うたえる?

   いまも猶

      ん?

歌った。思い出しながら、ランは。半分は追憶。半分は、わたしへの忘我。いとしいラン。語彙はもはや聞き取れない。意味などなにも。旋律線は残っていた。ランのうるおう舌のうえに。かろうじて。だから、見て。

   さっきまで

      ん?

なに?…これ。

   そこに

      なに?…それ

見て。

   必死にせめてやさしいほほ笑みだけはうかべていなければならないと無理や

      ん?

やがてランは大切にたたまれた、ギターコードつきの歌詞カードを段ボールから引きずり出して、見せてくれた。歌詞が印刷してあった。青い紙。知っている。読み込まなくとも。いま、わたしのねがいごとがかなうなら、と。謂く、

   いきづかいながらも

   見えない。いぶき

   肌の褐色。もう

   沙羅。その朝に


   色彩は消えた

   沙羅は昏い

   翳り、翳る濃い

   ふちどりの綺羅

謂く、ん?あっ!

   沙羅。逆光。いま

      自由をうばい

    なぜ?

     がんじがらめ

   昏み、清潔に、その

      胸に

    わたしは、拘束の

     あらがう気のない

   翳る。綺羅、そこ

      抱きしめるように

    きみを

     髪。ぬれた。汗

   ひかり。かくされ


   孤立を描き

      聞き耳を

    胸にきみは

     聞こえますか?

   沙羅。そこ。ひとり

      ほら。ほ。ほ。ほ

    きみのこめかみは

     あまりにぶざまに

   飽きもせず、沙羅

      聞いて

    汗にぬらされ

     体内がノイズを

   孤立が描かれ

謂く、死者たち。そこにだまれ、だまれ、それら、ひずみあう死者たち。ひずみ、それら、はじけあう死者たち。はじけ、それら、ひらきあう死者たち。ひらき、それら、つぶれあう死者たち。つぶれ、それら、さわぎあう死者たち。さわぎ、それら、かすれあう死者たち。かすれ、それら、まじりあう死者たち。まじり、それら、ふるえあう死者たち。ふるえ、それら、ゆらぎあう死者たち。ゆらぎ、それら、とろけあう死者たち。とろけ、それら、ゆがみあう死者たち。ゆがみ、それら、死者たち、

   孤立を描き

     体内がノイズを

    汗にぬれながら

      聞いて

   いまさらに、沙羅

     体内が

    きみの頭部は

      ほら

   沙羅。そこに、ひとり

     聞こえますか?

    胸にきみは

      聞き耳を

   孤立を描いた


   昏む。かくされ

     髪。尖端にも綺羅

    きみを

      抱きしめるように

   綺羅。翳り、そこ

    わたしは、拘束の

     柔順な

      胸に

   光り。清潔に、その

     はがいじめ

    なぜ?

      おしつけた

   沙羅。逆光。いま

謂く、あっ。ん?

   逆光に、沙羅

   綺羅。翳るまま

   光る。清潔に

   沙羅。逆光に


   その、あなただけの言語を吐いた

   ささやきながらも。沙羅

   すでに、わたしに

   振り向かなかった


   決して、わたしに

   気付きながらも。沙羅

   すでに、わたしに

   振り向かなかった


   綺羅。ながれおち

   沙羅。ふちどり

   光り射し、こちら

   色彩。翳り

謂く、はじけ、それら。死者たち、ひらきあう

   朝に、沙羅。そこ

     たてていたものたち

    体内のひびき

      ほら

   褐色の肌。その

     だからノイズを

    体内の

      かなり、りりか突飛な

   いぶきに、綺羅は

     いきづくものたち

    聞こえますか?

      でたらめで

   まなざしに、顎は

謂く、彼も、と、はじめるだろう。増殖し、分裂し、さきから、こぼれかけ、したたり、しだいに、出し、にじみ、にじみ、唾液は、

   朝に、沙羅。そこ

   褐色の肌。その

   いぶきに、綺羅は

   まなざしに、顎は


   昏みに、沙羅。その

   逆光が、その

   無造作に、くちは

   背伸び、まつげは


   朝に、沙羅。その

   陽炎は、その

   背後に、ふるえ

   部屋に、ゆび


   ふれあう至近に

   背すじにながれ

   髪は匂った

   沙羅。いまもあなたの


   髪。褐色の

   白濁。綺羅撒く

   光澤。撥ね飛ぶ

   散った。はじく

謂く、かすれ、それら、死者たち。まじりあう

   朝に沙羅。そこ

     集合体たち

    ぼくの音

      ほら

   新鮮な、その

     あるいは、ノイズの

    ぼくの

      猶も。いま猶も唐突な

   さわぎ、翳りら

     いきものたち

    聞こえますか?

      間歇的な

   胸に、髪は

謂く、彼も、と、増殖しはじめるだろう。分裂し、から。こぼれるさき。したたり、唾液は、

   朝に沙羅。そこ

   新鮮な、その

   さわいだ。翳りら

   胸に、髪は


   沙羅。かたむいて

   目覚め。いま

   ふしだらな

   沙羅。そして


   朝に、沙羅。そこ

   清純な、その

   窓越し。光りら

   ななめに、肌は


   沙羅。ふれられて

   目覚め。いま

   唐突な

   沙羅。そして


   沙羅。いまさらに

   まどろみに

   沙羅。ふたたび

   昏睡に

謂く、生きていたから。唾液が。しかも、

   さらけださせながら

      沙羅

    笑みを

     声もなく

   日射し。色彩を

      そこ。笑う

    気配もなく

     沙羅

   あばかれていた。いま

      沙羅が

    笑みを

     苛烈に

   ふたり。その頽廃をも

謂く、それら、死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ?かすれあヒしかも、かすれ、それら、死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ?まじりあヒしかも、まじり、それら、死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ?ふるえあヒしかも、ふるえ、それら、

   ふたり。その破廉恥も

     狂暴に

    笑みを

      沙羅

   灼いていた。いま

     沙羅

    赤裸々に

      そこ。笑う

   日射し。肌を

     声もなく

    笑みを

      沙羅が

   知ってる?…あなたは

謂く、しかも、唾液が。から。生きていた。

   その破廉恥は

   照らされていた。ふたり

   日射しが、だから

   知ってる?あなたは


   狂暴な沙羅

   意識のない、沙羅

   あま咬みのままに

   唾液にぬらし

謂く、孔。孔。ずぼらすぎた、な。なにを?つぶさに孔。孔、

   うばわれ、沙羅

     舌が

    逃げ場もない

      ふれかけたゆびに

   おおわれ、沙羅

     沙羅。まどろみの

    孤立

      ゆび。ゆびに

   隔離された沙羅

     舐めた

    行き場のない

      息を吐き

   ひそめられ、沙羅


   沙羅、笑い

     歯が

    まよいのない

      のばされたゆびに

   ひびきのない沙羅

     沙羅。まどろみの

    孤立

      ゆび。ゆびに

   声もなく、沙羅

     あま咬みを

    まよいのない

      息づかい

   笑う、沙羅


   かくされ、沙羅

     顎が

    いやされない

      ふきかけたゆびに

   ふさがれた沙羅

     醒めきらない

    孤立

      ゆび。ゆびに

   取り残され、沙羅

     その前歯。沙羅

    いやしのない

      息を吐き

   つつまれ、沙羅

謂く、唾液を、しかも。生きていたから、

   かくされ、沙羅

   ふさがれ、沙羅

   取り残され、沙羅

   つつまれ、沙羅


   沙羅。もうなにも

   見ない。なにも

   沙羅。もうなにも

   感じない。なにも


   体温を。すでに

   息。そっと、そこ

   沙羅。耳に

   ふきかけよう


   耳の至近に

   やさしさに似せた

   沙羅。それが

   ふいに苦悩し


   耳の至近に

   息づかうひびきは

   わたしの。沙羅

   ひびき。それが


   耳の至近に

   愛撫に似せた

   沙羅。それが

   あたためるように


   耳の至近に

   息づかうひびきは

   わたしの。沙羅

   ひびき。それが

謂く、彼は、猶も、ためらいもなく彼が、あくびを、彼も。あくびを、彼が。ためらいもなく猶も。彼は

   知らない。笑みも

      かくされて

    ゆびは、あなたの

     かくれ、かく

   沙羅は、なにも

      沙羅は。かくされた

    体温に、厭い

     そこに、かくれこみ

   かたわら。ななめの

      沙羅が

    厭う。体温を

     沙羅は、そこで

   せせら笑いも


   目隠しされた暗闇に

      あくまでも

    咬まし

     容赦なく

   あなたは、咬んだ

      いとわしい羞恥が

    沙羅。孤立、沙羅

     しかも

   咬みつかせていた

      強引な

    咬む。か

     繊細に

   わたしを、孤独に


   目隠ししたまま暗闇に

      もう、終わってしまったよ

    なに?

     気配さえ

   いぶき、息づかい

      もう、なにも

    沙羅。孤立、沙羅

     せせらわらった

   目覚めつづけて

      はじめなくていいよ

    なに?

     わたしさえ

   覚醒のうちに

謂く、死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ?ゆらぎあヒしかも、ゆらぎ、それら、死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ?とろけあヒしかも、とろけ、それら、死者たち。孔。ふしだらな、孔。だれ?ゆがみあヒしかも、ゆがみ、それら、死者たち。孔。ふしだらな、

   覚醒のうちに

     わたしさえ

    なに?

      見なくていいよ

   目覚めつづけて

     かたわらにあざける

    沙羅。孤立、沙羅

      もう、なにも

   いぶき、息づかい

     感じないで

    なに?

      もう、いいよ

   目隠ししたまま暗闇に


   わたしを、孤独に

     気遣いながら

    咬まし

      あくまでも

   咬みつかせていた

     ただ

    沙羅。孤立、沙羅

      わずかな傷みが

   あなたは、咬んだ

     繊細に

    咬む。か

      傲慢な

   目隠しされた暗闇に


   せせら笑いも

     沙羅は、そこで

    厭う。体温を

      そこ。沙羅が

   かたわら。ななめの

     そこ。かくれこみ

    体温に、厭い

      かくされた。沙羅は

   沙羅は、なにも

     かくれ、かく

    ゆびは、あなたの

      かくされて

   知らない。笑みも

謂く、彼は、猶も、ためらいもなく彼が、あくびを、彼も。あくびを、彼が。ためらいもなく猶も。彼は

   息づかっていた

   昏みにいぶき

   あたえられた

   昏みの中に


   かくされて、沙羅が

   ふさがれた、目に

   わたしは、沙羅を

   見えない。なにも


   そこに、あなたは

   わたしから。沙羅

   あなたから。沙羅

   かくした。わたしを


   かくされて、沙羅は

   ふさがれた、闇に

   沙羅は、なにをも

   見ない。なにも


   だから、あなたは

   わたしから。沙羅

   あなたから。沙羅

   かくした。あなたを


   ほほ笑みも

   かたわら、ななめの

   沙羅は、なにも

   知らない。笑みも

謂く、孔。孔。ひろがった、な。なにを?つぶさになに、孔。孔、

   咬まされていた

     のけぞらさせたにも似せ

    不埒

      うしろ手に

   わたしは、咬んだ

     鉄線で

    きみは、知ってる?

      猿轡を

   沙羅。孤立、沙羅

     しばりあげられ

    不遜

      咬まされたように

   わたしを、孤独に

謂く、彼は、猶も、とまどいもなく彼が、あくびを、彼も。あくびを、彼が。とまどいもなく猶も。彼は、

   咬まされていた

   わたしは、咬んだ

   沙羅。孤立、沙羅

   わたしを、孤独に


   咬みつかせていた

   あなたは、咬んだ

   沙羅。孤立、沙羅

   闇と忘我


   まなざしのなかに

   きえうせてしまった

   だから、沙羅

   もうすでに


   まなざしのなかに

   うばいさられた

   だから、沙羅

   その視野に


   残酷を、あなたに

   あなたにだけ、沙羅

   あげたよ。せめて

   そのまなざしに

謂く、網膜が、しかも落ち窪むのだ。と、彼も、

   残酷を、あなたに

      憐憫もなく

    見て

     わたしたちだけに

   あなたにだけ、沙羅

      惡意もなく

    いま、わたしの

     まごころを。いつわりのない

   あげたよ。せめて

      軽蔑もなく

    ほほ笑みを

     きみだけに

   そのまなざしに

謂く、ひらきあう。ひらき、それら死者たち。つぶれあう。

   なぜ?…そこに

   わたしに、頬。沙羅

   見せた。いま

   くちもとに


   ゆるみかけ、沙羅

   くずれかけ、それ

   ゆがみはじめ、沙羅

   わななかせかけた

謂く、したたりそうに、ふいに。耐えがたくて、涙が、

   なぜ?…そこに

      体液を

    暗殺者のように

     なする

   沙羅の、頬

      ぬれた肉体が

    きみはひとり

     なすりつけ

   ゆるませはじめ、くずされかけて

      容赦なく

    死んだ

     なする

   わななかせはじめ

謂く、それ。死者たち、ひずみあう。ひずみ、それら死者たち、はじけあう。はじけ、それら死者たち、ひらきあう。ひらき、それら死者たち、つぶれあう。つぶれ、それら死者たち、さわぎあう。さわぎ、それら死者たち、かすれあう。かすれ、それら死者たち、まじりあう。まじり、それら死者たち、ふるえあう。ふるえ、それら死者たち、ゆらぎあう。ゆらぎ、それら死者たち、とろけあう。とろけ、それら死者たち、ゆがみあう。ゆがみ、ら。

・~

   わななきかけて

     なする

    死んだ

      体温を

   ゆるみかけ、くずされかけ

     なすりつけ

    きみは死に

      ぬれた肉体が

   沙羅は、頬

     なする

    弑殺者のように

      いきいきと

   なぜ?…そこに

謂く、涙が、耐えがたくて、ふいに。したたりそうに、

   わななかせかけた

   ゆがみはじめ、沙羅

   くずれかけ、それ

   ゆるみかけ、沙羅


   くちもとに

   見せた。いま

   わたしに、頬。沙羅

   なぜ?…そこに

謂く、つぶれあう。つぶれ、それら死者たち。さわぎあう

   そのまなざしに

     きみだけに

    ほほ笑みを

      わずかな隙きもな

   あげたよ。せめて

     愛。あざむきのない

    いま、わたしの

      無駄もなく

   あなたにだけ、沙羅

     わたしたちだけに

    見て

      邪気もなく

   残酷を、あなたに

謂く、彼も、と、窪むのだ。落ち、しかも網膜が、

   そのまなざしに

   あげた。いま

   あなたにだけに、沙羅

   残酷を、あなたに

謂く、網膜が、しかも落ち。窪むのだ、と。彼が、

   目隠ししたまま

      極上の

    見て。み。見て

     みぐるしいくらい

   昏やみに

      キスをしないか?

    ほら。ぼくが

     求めあわない?

   恍惚のままに

      無謀なくらい

    ゆらぐ

     えぐいくらいに

   陶酔のままに

謂く、はじけあう。死者たち、それら、ひずみ。ひずみあう。死者たち。それら、だまれ。だまれ、そこに

   見ひらかれた目を

   わたしはおおった

   わたしはかくした

   沙羅。あなたを

謂く、そこにだまれ、だまれ、それら、死者たち。ひずみあう、ひずみ。それら、死者たち。はじけあう。

   まどろむままに

     クソいやらしい

    かたむく

      すてばちなくらい

   曖昧なままに

     むさぼらないか?

    ほら。ぼくが

      キスをしないか?

   昏やみに

     みじめなくらい

    見て。み。見て

      官能的な

   目隠しされた

謂く、彼が、と、窪むのだ。落ち、しかも網膜が、

   色違いの眸は

   もう、見えなかった

   みぎの。沙羅

   覆う手。これが


   もう、なにも

   ひらかれたまま

   ふさがれて、沙羅

   見なかった。なにも


   これが、このゆび

   かくそうとしていた

   だから、沙羅

   ゆびの腹。これが


   まどろむままに

   曖昧なままに

   昏がりに沙羅は

   目隠しされた

謂く、それら死者たち。つぶれあうつぶれ。

   葬るように

     つぶやき

    かくす。ぼくは

      ささやきつづけて

   沙羅。隠蔽の闇に

     彼等が、いつか

    きみに、かくれ

      わたしたちが

   沙羅。おきざりに

     つぶやきつづけて

    かくす。ぼくは

      ささやき

   まわりこむように

謂く、彼は、窪むのだ、と。落ち、しかも網膜が、

   葬るように

   沙羅。隠蔽の闇に

   見ないために

   にごった眸を


   ひらいた瞼を

   放置のために

   沙羅。おきざりに

   まわりこむように


   すこし、ななめに

   もう、かくしていた

   みぎの。沙羅

   手のひら。これが


   もう、なにも

   ひらかれた、瞼

   ふさがれて、沙羅

   見なかった。なにも


   これが、このゆび

   おさえようとしていた

   だから、沙羅

   ゆびさき。これが


   感じられ

   味覚さえ

   においさえ

   汗ばんで









Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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